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REPORT

2015.01.07

“見つけてくれた”方々へ、全力で感謝のおもてなし!分島花音“The strange treat! X’mas Special”レポート

MCでは2014年に彼女が大きく関わった作品『selector』シリーズの話題へ。2シーズンにわたってTVアニメのOPテーマを担当しただけではなく、TCGのCMソングという形でも同作に携わった分島。改めて、「『selector』を通して、たくさんの経験ができて、いろんな人と出会えた1年」であり「すごく濃い1年だった」と振り返っていた。
そんなMCから続くのは、“スーパーアニソンタイム(※分島談)”。やはり自身が語る通り『selector』で彼女の歌声を知ったお客様も多かったようで、フロアには分島によって“解禁”されたペンライトの光がチラホラ灯りだす。まずは『WIXOSS』TV-CM曲「continue」からスーパーアニソンタイムのスタートだ。普段の彼女のライブでは稀な「ハイ!ハイ!」の掛け声もいきなり飛び出し、この特別なブロックを盛り立てる。と、一転今度は大バラード「signal」(『ストライク・ザ・ブラッド』EDテーマ)を披露。この1年、あらゆる場所で彼女が歌い続けてきたであろうこの曲は、年頭の頃よりも音盤よりも明らかに壮大さを増し、さらには力強さもプラスされていた。そして、先ほど語った『selector』の主題歌へ。まずは最終回を迎えたばかりの『selector spread WIXOSS』OPテーマ「world’s end, girl’s rondo」。一瞬不穏なイントロを越え、複雑なメロディラインも踏み越えていく彼女。雄々しさのスイッチが入った彼女は、「渋谷行けますか!?」とお客様を煽り先導し、戦いへと身を投じていく少女の葛藤を歌声に乗せていく。そして、会場のボルテージが上がりきったところで、「皆さん準備はいいですか?盛り上がっていきますよ!」との言葉とともに、『selector infected WIXOSS』のOPテーマ「killy killy JOKER」がスタートする。2014年に、分島花音が手に入れた新たなキラー・チューン。年頭には、ライブでここまで飛びまくれる曲はなかった彼女。そんな彼女がこの曲で、より広い大衆性を獲得したということが、視覚的に明確になった瞬間だった。曲中にて「ラストー!」と煽る分島の声に呼応するお客様たちの姿も、観ていてなんだかうれしい。

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続くMCでも“アニメをきっかけで知ってくれた”人々のことを「新しく私の音楽を見つけてくれた人」と表現し、改めて感謝の気持ちを語る。もちろんずっとついてきてくれたファンや、スタッフへのその気持ちを伝えることも忘れずに。そして話題は来年リリースのニュー・アルバムへ。自分がシンガー・ソングライターを目指していた、15歳の頃の曲を選んだという話題から、迷った結果「ライブ曲を中心に選曲した」というエピソードが。それは「たくさんの人に私の音楽を聴いてもらえることって、すごくうれしいこと」という想いからのもの。そしてそんな感情から完成したのが、ニュー・アルバム『ツキナミ』に収録される新曲「モンスター・スター」だ。
「どうやれば歌をうたう仕事に就けるのかな?」と悩み、真っ暗闇の中を迷っていた彼女。今その憧れをひとつずつ実現させている彼女にとって、こうして歌を聴いてくれるファン誰もがそこを照らすスターである。その光を目にした彼女は、「自らの感じた幸せをその『ツキナミ』の中にも入れたい」と思い、この曲を産み出した。そんな大切な曲が、この日のラストナンバーである。もがいた頃のある種の苦しさ、そして今の幸せ、そのどちらをもフォローするこの曲こそ、まさしく今の“分島花音”そのものだ。そんな希望と感謝の詰まったこの曲は、アルバムの完成も待ち遠しく思わせるものだった。フルバンドに支えられている彼女は、もうひとりじゃない。大きく一礼をしたあと、彼らの奏でる音をバックに、彼女はステージから降りた。

そしてクラップの輪が、「かーのーん!」の声が彼女をステージに呼び戻す。登場とともにイントロがスタートし、彼女の煽りとともにお客様への名物デザート「moonlight party」がサーブされる。お客様たちも満面の笑みで、大満足でそれをいただく。
こうして再び表れた彼女は、まずは本日の感想をお客様に尋ねる。もちろん返ってきたのは大きな「サイコー!」の声だ。それを聞いて安心したのか、ここからは少々肩の力の抜けたマイペースな進行にシフトする。翌日が祝日なことをド忘れしており、遅めだった開催時間からお客様の翌日を心配したり、ライブグッズの紹介時に「帰りぜった……」と言いかけていたり「あとで(物販に)並んでください!」と積極的に布教していたりと、閉店間際のゆるやかな雰囲気を表すかのよう。
と、ここでそんな雰囲気を一変させる重大発表が。前述の通り、2月にはアルバムのリリースが決定しているが、そのアルバムを引っさげたライブツアーを春に開催することが決定!たちまち店内は大歓声に包まれた。東阪ツアーということで、これまでなかなか会いに来られなかったファンの皆様も多いはず。ぜひこの春、彼女の生ライブのスタイルに触れていただければ幸いだ。
そして本当のラスト曲も定番中の定番。「プリンセスチャールストン」がこの日のラストオーダーだ。しかし定番メニューも、この日のスペシャルアレンジ・管楽器が入るとよりゴージャス感の増した逸品へと仕上がっていく。間奏で「また来てくれますか?私もすっごく楽しかったです!ぜひまた皆さんと一緒に盛り上がりたいので、来年もぜひ来てくださいね!」と少々語りかけたのち、メンバー紹介も兼ねて再度ひとりずつソロを披露。お客様、とりわけ女性の統一感が強かっただろうか、コール・アンド・レスポンスも気持ちよく店内に響く。そんな空気に包まれた分島は、やはりこの日のうちで一番楽しそうな表情を見せていた。彼女もまたメンバーソロのようにボーカルでアドリブを披露。やはりホーンを入れたというこの日のバンド編成が、彼女のパフォーマンスにもジャズの風味を与えていたのだろう。そうして最後はジャンプとともに楽曲を締め、大きな礼と投げキッス、そして最前のお客様とのハイタッチにて、この日の“The strange treat!”は営業を終了した。

前述の通り、2014年に新たなキラー・チューンを数多く手にした分島花音。しかも、それらすべてが、このライブという生の場でリリース時よりもトガッた個性を発揮している。こうなると否応なしにアルバムのクオリティが楽しみになるし、それ以上にその先のツアーでの歌声への期待が高まって仕方がない。しかも、今回のライブはあくまでも“コンセプト・ライブ”。コンセプトを取っ払ったフルライブで、2015年の分島花音はそれこそきっとモンスター級のスターとして輝いてくれるに違いない。そんな確信めいた期待の持てる、素晴らしいライブだった。

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Text by 須永兼次


 

分島花音“The strange treat! X’mas Special”
2014.12.22@渋谷WWW
【SET LIST】
OP The strange treat! prologue
M1 The strange treat!
M2 ファールプレーにくらり Jazz ver.
M3 平凡な僕
M4 さんすくみ
M5 クリスマスメドレー
・きよしこの夜
・恋人たちのクリスマス
・ジングルベル
・赤鼻のトナカイ
・ろくでなしのブルース
・赤鼻のトナカイ
M6 ザ ドールハウス!
M7 芸術家のかわいい想像たち
M8 sing sing sing
M9 黒猫とピアニストのタンゴ
M10 ナイチンゲール
M11 無重力
M12 continue
M13 signal
M14 world’s end, girl’s rondo
M15 killy killy JOKER
M16 モンスター・スター
<Encore>
M17 moonlight party
M18 プリンセスチャールストン

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