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INTERVIEW

2014.09.25

VALSHEの“新境地”を見せるダブルリリース――ニュー・シングル「TRIP×TRICK」&ミニ・アルバム『storyteller II ~the Age Limits~』発売記念 スペシャル・インタビュー

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2014年、VALSHEは自らのアイデンティティを貫く2ndアルバム『V.D.』をリリースし、そこから7thシングル「TRANSFORM/marvelous road」で“転生”を果たした。そんなVALSHEの次の一手は、8thシングル「TRIP×TRICK」と、ミニ・アルバム『storyteller II ~the Age Limits~』のダブルリリース。その真意について話を聞くなかで見えてきたのは、VALSHEによる新たな“物語”の表現だった。

 

――はじめに、今回のダブルリリースに至った経緯を教えてください。

VALSHE まずコンセプト・アルバムの『storyteller II』をリリースすることは、実はかなり前から決まっていたことなんです。VALSHEのメジャーデビュー作品が『storyteller』(2010年9月23日発売)であることから、『Ⅱ』を2014年9月24日に出そうと。その中で、『storyteller』という全篇イラストである事を含める作品のコンセプトそのものは変えたくなかったんですね。一方で昨年から顔出しをして実写ジャケットになっているVALSHEとしては、昔に立ち戻ったように見えてしまうんじゃないかなと思って。

――なるほど、あくまで“今”の流れのひとつであると。

VALSHE はい。『storyteller II』が「これはこれでひとつのコンセプチュアルなアルバムなんです」とわかりやすく提示したいと考えたときに、今の流れをしっかり汲んでいるシングルを同時に作ろうと。イラストでも実写ジャケットでも、自分の伝えたいところを見せるには、こういう形で出すのがいちばん良いんじゃないかという話になり、今回のダブルリリースになりました。

――制作は同時並行ですか?

VALSHE そうですね。夏ごろ、「TRANSFORM/marvelous road」のあとから始めました。

 

キーワードは「大人感」

 

――ではまず『storyteller II』のお話から。これはメジャーデビュー作品である『storyteller』のアンサーアルバム的な1枚になるのでしょうか?

VALSHE アンサーではなく続編です。『storyteller』のコンセプトである、「VALSHEが“storyteller”になって、全く違った7篇の物語をお客様に読み聞かせる」という流れを汲んだ続編。だから『II』ではまた新たな物語が紡がれています。そこで「~the Age Limits~」という新たなキーワードを設けて、全体的に「大人感」のある作品作りを意識しました。

――その1曲目が「HIDE & LEAK」。入りからの“ようこそいらっしゃいました”という歌詞が印象的です。

VALSHE 「HIDE & LEAK」は、このアルバムのご案内ソング的な立ち位置になっていて、その歌詞の中で、これから聴いてくださるお客様への諸注意・ご案内があるんです。その中で「これから始まる物語の中には、フィクションとノンフィクションが散りばめられていますが、どれがフィクションでノンフィクションなのかはお客様にお任せします」と1曲目でアナウンスしているんですね。

――そこからさらに、6篇の物語が紡がれていくんですね。

VALSHE それぞれの曲にストーリーやテーマがあるんですけど、そこはあえてお答えしていません。というのも、曲ごとに込めたキーワードがあって、それはCDのブックレットをよく見て、曲をよく聴いていただければ芋づる式にわかるようになっているから。隠された裏のキーワードがわかれば、どういう曲なのか、どういうことを題材にしている楽曲なのかが全てわかるようになっているんです。

――では楽曲ごとの物語はリスナーさんのご想像にお任せするとして、改めてサブタイトル「~the Age Limits~」の真意、その「大人感」について聞かせてください。

VALSHE たとえば3曲目の「羽取物語」はボーカルワークにこだわった楽曲で、今まで使わなかった節回しとか、普段のシングル楽曲では使わない表現方法を、このアルバムの中ではふんだんに取り入れています。それは歌詞や編曲についてもそうで。サウンド面でいちばん大きく違う点では、新しい作家さんを招いていることが、『storyteller II』の新しい挑戦になります。

――4曲目「Roma」の編曲には後藤康二さん(元ZYYGのギタリスト)のお名前がありますが、ご一緒するのは初めてですよね?

VALSHE そうですね。今回は編曲という形でお世話になりましたが、後藤さんのギターメイクが元々すごく好きで、ご一緒できたのをとてもうれしく思います。それに加えて、作曲の面では皆さんが初めてになりますね。これまでは基本的にminato作曲の楽曲が中心で、たまに自分が作曲をしたり、あとはdorikoがゲストで参加してくれたり……という感じでした。ただいつかは新しい血を入れたい、新しいクリエイターさんを招いて新しい楽曲に挑戦したいねと、実はずっと前から話していたんです。ただそれはVALSHEのサウンドの下地がちゃんと作れてから……例えば「VALSHEのサウンドってどんなもの?」って聞いた時に、「デジタルサウンドで、アップテンポが多くて、こういう感じの曲だよね」というのが、周知のものになってからにしようと話していて。

――その機が熟したわけですね。

VALSHE だから今回新しいクリエイターさんを招いたときも、基本的にVALSHEとminatoで選曲をして、楽曲の方向性を決めて……という作り方のフローは変わっていないです。新しい血を入れても、最終的にVALSHEらしさを実感できる自信がついた。だからこの『storyteller II』を作れたことはすごく大きくて、中でも「すごく面白い化学変化が起きたな」と思ったのが5曲目の「CAINCOMPLEX」です。これは絶対リードではやらない楽曲なので。VALSHEのファンタジックな世界観を好きな方には特に楽しんでいただけるような、意外な楽曲になったと思うので、皆さんの反応が楽しみです。

――「CAINCOMPLEX」はリズムがかなり変則的に展開する曲ですが、こうしたボーカルワークは初めてでしょうか?

VALSHE もう完全に初めてだったと思います。プライベートでは本当にいろんなジャンルの楽曲を聴くし、こういった楽曲もすごく好きなんですけど、まさか自分が歌う日が来るとは正直思ってもいなくて。実際に歌ってみて、編曲が付いた音源を聴くと、「あっ、こんなことができるんだ!」と体感できる場面が、このアルバムの制作のなかでたくさんありました。

――6曲目の「セミステージ」には、先に仰った大人感が顕著に感じられます。

VALSHE 「セミステージ」は、歌詞や歌い方のすべてでアダルトなところを堪能していただければと思います。ブルースが下地にある楽曲はよりブルージーに、R&Bテイストな楽曲はよりセクシーにとか。そういうところを制作過程で詰めながら曲作りをしていきました。

――VALSHEさんの新たな表現が詰まった1枚に仕上がったんですね。

VALSHE ブックレットひとつを取ってもそうなんですけど、『storyteller』のころとコンセプトは同じでもできることは大きく違っていて。デビュー当時では見せられなかった表現や、できなかった挑戦をたくさん詰め込めたアルバムでした。それこそ『storyteller』が仕上がった直後くらいに「いつか続編を作りたいね」と話していたんですけど、当時に漠然と思っていたことと、こうして実際に作ってみたときの手応えは全然違っていて。それはやっぱり4年間の成長だったりとか、その年月があったからこそ。このタイミングで作れて良かったなと思える作品になりました。

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