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INTERVIEW

2014.09.23

中川翔子×富永TOMMY弘明が語り尽くす“血の運命”。――“「TOKYO SHOKO☆LAND 2014 ~RPG的 未知の記憶~」しょこたん☆かばー番外編 Produced by Kohei Tanaka”発売記念スペシャル対談

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中川翔子が新たにリリースしたカバー・ミニアルバム“「TOKYO SHOKO☆LAND 2014 ~RPG的 未知の記憶~」しょこたん☆かばー番外編 Produced by Kohei Tanaka”。そこでは副題の通り、田中公平プロデュースのもとで名曲カバーの数々が歌われている。中でもひときわ輝きを放つ「ジョジョ ~その血の運命(さだめ)~」について、原曲シンガーの富永TOMMY弘明を招き、中川が『ジョジョ』への熱い想いを語り尽くした。

 

馴れ初めは、親子2代にわたる縁

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――まずおふたりの出会いから教えてください。

中川翔子 北九州での“アニうた KITAKYUSHU”というイベントがきっかけでした。それで私は「あの『ジョジョ』のTOMMYさんの生歌が聴ける!」とすごくドキドキと楽しみにしていて。それで実際のTOMMYさんの巨大なオーラに吹っ飛びそうになりながら、もうイントロと一文字目から、体中に波紋が広がるような衝撃を覚え、本当に「生きててよかった!」と(笑)。『ジョジョ』がアニメ化されて初めにOPを観たときに、アニメーションの素晴らしいクオリティと、TOMMYさんの“男の中の男”感を観て、「あっ、私男に生まれたかった!」と思ったくらい。「すごい!こういうのを待ってました!田中公平先生!」と。こう、アニソンが……ごめんなさい熱くなってしまって(苦笑)。

富永TOMMY弘明 いえいえ(笑)。

中川 アニソンが、海を越えて時を超えて言葉を超えて、地球全体をワクワクドキドキさせる。内臓から湧き上がる興奮をくれるアニソン、その世界観や作品のためにすべての瞬間が作られている。細胞からみなぎってくるものが、久しぶりにきてくれたというか。そうして時代に風穴を空けてくれたのはやっぱり田中公平先生で。しかも満を持しての『ジョジョ』で。しりとりでは敗けになってしまう「ん」という単語がこんなにもエネルギーを放つものなのか!と思ったのですよ。「は」「も」「ん」のどれもが……すいませんもう黙ります(笑)。

富永 大丈夫ですよ(笑)。

中川 本当に幸せを感じて。今日まで毎日ずっと聴いていて、その生歌が聴けることがもううれしくて。歌はすごい迫力なのですが、実際にお会いしたTOMMYさんはすごく優しくて、快く「ジョジョ立ち」で一緒に写真を撮ってくださったり。しかも帰りの飛行機のときに話しかけてくださって。なんと!

富永 恥ずかしながら。

中川 私の父(中川勝彦)が歌手活動をしていたんですけど、私の物心がつくかつかないかくらいのころの、唯一覚えている父が出ていたテレビ番組で、旅ロケでインドに一緒に行かれていたのがTOMMYさんだったんです。信じられない。親子二代に渡る縁はまさに『ジョジョ』で、ふたりともTOMMYさんにお世話になっているというのは……ごめんなさいもう黙ります(笑)。

富永 はははは(笑)。

中川 大河を感じました!

――飛行機でお話されたときに、TOMMYさんもその熱量をだいぶもらっていたのではないかと思います。

富永 そうですね。そのころからもちろん「しょこたん」というタレントとしての認識はありましたが、やがてあの「中川(勝彦)さんの娘さん」だと知り、「ああそうなんだ!」と。中川さんはある種のカリスマで、80年代J-POPのなかでかなり際立った存在でした。そんななか、僕がまだ駆け出しのころ、たまたまインドに一緒に行くことができまして。

中川 「一緒にインドに行く」ってなかなかないですよね。

富永 とても神秘的な方というか、奥が深いんですよね。微笑みが深いんです。不思議と、ニコーっとすると吸い込まれていく感じがする方で。本当にアーティストの空気というか、風をまとっている方で。自分とシンガーとしてのタイプは真逆で、繊細とガサツというか(笑)、静と動という感じだったんですけど、自分にないものに惹かれていって。そんな中川さんのDNAが流れている人なんだなと。

――そこはやはり親子だなと感じられたんですね。

富永 僕もいろんなことがあって歌手活動を20年以上やったなかで『ジョジョ』に出会いましたが、本格的など真ん中のアニソンを歌うのは初めてでした。そしたら「しょこたん」さんが『ジョジョ』のものすごいファンらしいと。その前にも僕がCMソングを歌ったCMに出演されたりしていたので、映像では共演していたりします。

中川 後から聞いて、「えっそうだったのか!」と。もうすごくうれしくて、また生歌を聴きたくなって……このときばかりは父と『ジョジョ』に、“その血の運命”に感謝しましたね。またお会いしたいと思っていたんですが、その後に『アニソン・アカデミー』というラジオでご一緒させていただくことができて。生放送で歌ってくださってハートが震え、「燃え尽きるほどヒート!!」しました。だから今日がとっても幸せです。

富永 本当に不思議です。なんでしょうね、人生とは。本当にそう思ってしまいますね。点と点とが、どこかで繋がっていく。きっかけとしてはここ3年くらいの話ですね。

 

「ジョジョ」を歌うしょこたんのライブ感

 

中川 でも今回は、このTOMMYさんの歌う「ジョジョ ~その血の運命(さだめ)~」が好きすぎて、勝手にカバーさせていただいている。もう申し訳ないくらい。

富永 いやいやいや(笑)。

中川 もう、何っ回聴いても飽きなくて、何度聴いても滾ってきて。どんな日に何があっても、この曲を聴くと上に引き上げられるというか。やっぱり素晴らしい。本当に、にんにく注射より効く曲というか……。

富永 にんにく注射より!(笑)。

中川 私の人生にとって欠かせない曲で、これから死ぬまで聴いていく曲なんだろうなと思います。その後『アニソン・アカデミー』で、田中公平先生から「僕なりの『ジョジョ』を出した」というお話を聞いて感動してしまいました。あれだけのことを成し遂げている方が、いつも時代に挑戦していることに感動して。そんななかで今回田中先生がディレクションしてくださることになり。

――中川さんにとっては感動続きですね。

中川 私はカラオケでもよくこの曲を歌うんですけど、キーが合わなくて悔しい思いをしていたんです。「男に生まれたかった、喉ぼとけが欲しい。もう生えろ!」って。初めて男に生まれたかったって思いました。『ジョジョ』が好きな女性はたくさんいると思いますが、女子がカラオケでも歌える女声バージョンの「ジョジョ ~その血の運命(さだめ)~」を今回歌わせていただいて本当にうれしくって。もう本当に「波紋疾走(オーバードライブ)」なんですけど……すいません好きすぎるあまりに!

富永 いやいやとんでもない(笑)。むしろ今回アルバムを聴く前に、ライブ映像(初回盤特典のDVDに収録)を観せていただきまして。公平先生も一緒に演奏されていたものを。

中川 わーありがとうございます!

富永 その入れ込みようときたら。みんなに「この想いを、いかに届けようか!」と全身で表現しているしょこたんのライブ感。ポーズから歌から動きから、こう言うと語弊があるんですけど、歌がちょっと“走って”いる。でもその走っているのがライブ感なんです。僕は歌い手だからよくわかる。もちろん落ち着いたいい歌唱というのはあるんですけど、やっぱりライブとして、良い意味でオリジナルとはちょっと違って、気持ちが上に行っちゃっているときの感覚がひしひしと伝わってくる。もう感動です。

中川 もったいなきありがたきお言葉……田中先生に、リハのときから「『ジョジョ』をライブで歌っていいんですか!?」とお話をしていて。その専用のキーで、しかも田中先生バンドの演奏で歌わせていただけるなんて贅沢すぎて。ライブのときはアドレナリンが出て、身体が勝手にできる限りのジョジョ立ちをしていったことにビックリしました。

富永 そう、俺も見習わなきゃいけないのかなって思ったりして。

――あれは無意識だったんですか(笑)。

中川 最後のところでジョジョ立ちレベル8くらいのポーズをして。

富永 足がこう、浮いてましたね。

中川 その後まさか、アルバムというかたちで形になり、『しょこたん☆かばー番外編』として田中先生にディレクションしていただけるなんて。贅沢すぎてびっくりです。

 

“喉じゃない何か”で声を出す、という領域

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中川 ちなみにTOMMYさんのレコーディングは、どんなふうに行われたんですか?

富永 もちろん公平先生もいらっしゃって、最初に仮歌をもらったときは、まだ歌詞が半分くらいの状態で。「この音が出れば、なんとかいけるんじゃない?」という話でまずは終わって。そこから自分なりにトレースして歌を入れてみたんですけど、やっぱりニュアンスに「公平節」があって、そのディレクションがありました。「ここに特徴があって、それをみんなに覚えてもらうことによって特徴づけられるメロディの構成があるんだから、そこはこうしよう」と。あとは声の強さもどこをどうするという、とっても細かいディレクションでした。感情の昂ぶりは、もっとこうするとこうなるとか、いろいろと言ってくださって。自分なりに流れの中でやっていたつもりなんですけど、想像を超えたディレクションで。とにかく熱い想いをきちんと伝えようとされていて、僕も長年レコーディングをやってきたんですが、それでも大変でした。

中川 大ベテランのTOMMYさんでも大変だなんて……やっぱりすごい曲なんですね。だから私たちも「このアニメのこの曲に出会えてよかった」って、ご褒美をもらったみたいなそんなすごい曲。1クールで終わる深夜アニメが増えてたくさんアニソンが生まれているなか、この曲は1回聴いたら誰しもが「ジョージョ~!」のフレーズを覚えてしまう。本当にすごい力を感じる曲で、それを田中先生やTOMMYさんが作ってこられて。だから「好きだからカバーする」なんてレベルじゃ絶対にダメだし、カラオケになっても意味がないし、本当に生命を賭けて挑まないといけないことで。ちなみに私の方では「『ジョジョ』を歌うのは1日2回まで」というお触れがあって、そうでないと喉が死んでしまうからなんですけど、TOMMYさんはどうですか?

富永 僕も、最後の「ジョジョ」のフレーズをちゃんと決めるには間を置かないとね。けっこう力が入りやすい曲なんですよ。なのでプロの歌い手としては、ちょっと体をほぐす気持ちがないと歌いきれない。やっぱり1曲で5曲分くらいのエネルギーを使い切る感じがします。

中川 そうですよね。私も栄養ドリンク空けてました。スケジュールもタイトで、他の日は1日2曲ずつだったんですけど、「ジョジョ」の日は、前日からしっかり睡眠を取って、肉を食べてました。あと田中先生の熱がすごくて、『巨人の星』みたいに、立ち上がって自ら「そうじゃないこうだ!」と歌ってくださった。そこに食らいついていっても、最後のフレーズも、女声では裏声になってしまうキーなんですけど、裏声ではダメで、波紋とかいろんなものが飛び散らないといけない。そこで喉を潰してもダメだから、最後に取っておこうかという話にもなったんですけど、喉で歌ってもしょうがない。でも田中先生が立ち上がって自ら歌ってくれだしたある瞬間から、身体が「これじゃいかん!」って何かが目覚めたようで、先生のOKテイクが出たんですよね。喉じゃない何かで出すという領域を、私は今まで知らなかったんだなって。わかっていてもできていなかったので、このレコーディングを通してすごい経験値をいただけました。先生のOKをいただくために、今まで出たことのない声が出たみたいな、初めて自転車に乗れたときのような。

富永 本当に“魂”という言葉が似合うような。魂の持っている波動が、本当に人を揺り動かすんだなと本当に伝わってきたんだなと思います。

中川 『ジョジョ』の話をしていると、こういう単語になるんですよね(笑)。

富永 荒木飛呂彦先生の原作が持っている力がね。もちろんコミカルな部分をフィーチャーしたり、おちゃらけたキャラも台詞も出てきたりはするんですけど、やっぱりこの熱さったらないなって。その魂がきっと冒険をずっとさせているんだろうなと思って。しょこたんにも歌をうたわせる冒険をさせたんじゃないかなと思います。

中川 今ゾクッとしました。TOMMYさんにお会いして、ふっと子供のころの心を思い出して。そのときの自分には見えていなかった未来がどんどん星座みたいに繋がっていって。偶然見つかったものもたくさんある一方で、まだまだこれからだなと思うこともいっぱい見つかって。本当に「『ジョジョ』は人生だな」と。たとえば思春期や反抗期とかに、父に対していろんなことを思ったりしたんですけど、その父が生きた証のおかげでいろんなことがあったんだなと、『ジョジョ』のおかげで気づかされて。受け継がれるもの、自分ひとりでは見えないものを教わりました。

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