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REPORT

2026.10.07

前島亜美、“多声性”に満ちた自身の歩みを歌声に乗せて。「みんなと一緒に武道館公演を目指します!」――3rdワンマンライブ“前島亜美 LIVE 2026 POLYPHONY”レポート

前島亜美、“多声性”に満ちた自身の歩みを歌声に乗せて。「みんなと一緒に武道館公演を目指します!」――3rdワンマンライブ“前島亜美 LIVE 2026 POLYPHONY”レポート

声優アーティスト・前島亜美が、9月19日に神奈川・関内ホールにて3度目のワンマンライブ“前島亜美 LIVE 2026 POLYPHONY”を開催した。2ndアルバム『POLYPHONY』と同じく2部構成で届けられたステージでは、女優、声優、そしてアーティストとして歩んできた彼女の様々な“声”が交錯。〈完璧じゃないわたし〉もさらけ出しながら、歌って踊る声優アーティストとしての“個”を鮮明に刻んだ一夜となった。

TEXT BY 永堀アツオ

“多声性”をライブで再構築。『POLYPHONY』が描き出す前島亜美の現在地

ソロアーティストとしてのデビューから約2年で3度目のワンマンとなる本公演は、今年7月にリリースされた2ndアルバム『POLYPHONY』を引っ提げたライブ。ファースト、セカンドと同じダンサーが付き、セカンドライブに続き2度目のバンドセットのライブで、アルバムと同様に第1幕、第2幕という2部構成となっていた。

ただ、10曲を収録したアルバムの方は、提供曲と作詞曲を5曲ずつにわけ、1幕が〈声優アーティスト・前島亜美〉のパブリックイメージ、2幕が〈自分の中にある多声性を自分の言葉で綴る〉という内容になっていたが、ライブでは作詞曲が1幕に3曲、2幕に2曲、アンコールに3曲とほぼ均等に配分。さらに、アルバムで2幕の頭だった「Jeanne d’Arc」がライブのオープニングを飾り、同じくアルバムの幕開けを担っていた「女神Stay Gold!」がライブでは2幕の頭になっていた。全体の流れを見ると、異なる“光”が混ざり合うことなく共存しながら1人の人間を形成しているというテーマのもとで、完璧主義者である前島亜美が、理想である〈なりたい自分〉から次第に鎧を脱いでいき、やがて「完璧じゃないわたし」を見せられるようになり、さらには、心の奥底までさらけ出していく過程が描かれているように感じた。

「Jeanne d’Arc」で開幕。“舞台女優”としての表現力を解き放つ第1幕

ライブでの1幕は一言で言えば、“演劇を頑張ってきた舞台女優”としての“私”だろう。開演直前のBGM「職業:あみた」に合わせた観客からの「あみた、あみた、あみた」というコールに迎えられてステージに上がった前島は、体をのけぞらせて「いくぞー!」と雄叫びをあげ、初披露となったデジタルロック「Jeanne d’Arc」でライブをスタートさせた。「ジャンヌ・ダルクを描いたジャン・アヌイの戯曲『ひばり』を演じることが私の夢」と語る彼女の堂々とした“声”で観客のテンションを一気に引き上げると、大音量の「オイ! オイ!」という観客の“声”を聴いた彼女は笑顔を見せ、間奏では力強くもしなやかに踊ってみせた。さらに、“恐れなど、とうに終えたわ”と告げた彼女は、サビの決めで観客が「オイ!」と叫びながらジャンプすることが定着したハードなロックナンバー「Unfallen Angel」からメランコリックなラテンロック「SCARLET LOVE」と会場を染める真っ赤なペンライトが似合う強靭なバンドサウンドを続け、まるでライブハウスのような熱量に満ち溢れたパフォーマンスを提示した。

最初のMCでは「完璧なライブをしにきたのではなく、ただ皆さんと一緒に楽しい時間を過ごしにきました」と宣言。「ポルターガイスト」「恋愛主義にクエスチョン」「劇薬」の3曲はボカロ系のネットミュージック寄りのサウンドで、4人のダンサーを従えた前島はフォーメーションダンスも展開したが、最も心に残ったのは「劇薬」だった。偽りの自分で生きる辛さやどうしようもない孤独感にさいなまれながらも、英語歌詞のラップに怒りをぶつけ、“さよなら 嘆きの日々よ”というフレーズに辿り着く。魂の叫びでありながらも、どこか官能性を感じるボーカルに強く惹きつけられた。そして、「劇薬」の“どこまでも馬鹿しかいない五月雨ダンスホール”という歌詞が、自身で作詞を手掛けた和メロのダンスロック「五月雨」へとバトンを繋ぐ。前島が「私の弱点」と語る恋愛をテーマにした楽曲で照明が落とされると、夜の星空をバックに、ステージ上の階段に座って歌ったバラード「星を見上げて」、ありのままの私を届けていくという決意を込めた「Adaptation」と、シンガーとしての魅力がはっきりと伝わる楽曲を続け、TVアニメ『不器用な先輩。』EDテーマ「不器用に 君のとなり」へ。笑顔で手を振りながらステージを右へ左へと移動し、観客と距離を縮めたところで、舞台女優として、楽曲の主人公を演じながら歌い踊った一幕は終了した。

次のページ:“私は私”――歌って踊って、多彩な“声”を響かせた第2幕

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