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INTERVIEW

2026.10.02

約4年ぶり、待望の新作は自身も出演するTVアニメ『MAO』第2クールエンディングテーマ!“声優アーティスト・上田麗奈”が本作に込めた想いに迫る

約4年ぶり、待望の新作は自身も出演するTVアニメ『MAO』第2クールエンディングテーマ!“声優アーティスト・上田麗奈”が本作に込めた想いに迫る

幽羅子の気持ちを代弁する、キャラソンとは似て非なる歌唱表現

――楽曲制作において、作品サイドから具体的なオーダーや指定はありましたか?

上田 ありました。作品で描かれる900年に及ぶ想いや全体的なほの暗さから、「明るい感じではないバラードにして欲しい」というオーダーでした。あとは私がリリースしてきた楽曲の中で「こういったイメージです」というピックアップをしていただいて。もうひとつ、「幽羅子というキャラクターに焦点を当てすぎないようにして欲しい」ということでした。

――上田さんが幽羅子を演じていらっしゃるので重ねて聴いてしまいがちですが、そこまで寄り添わず距離を置いて作っていったのでしょうか。

上田 いえ、歌詞自体は、1番と2番で言ったら2番のほうは幽羅子の色が強い形になっていて。ただ、1番はアニメのエンディングで皆さんが聴ける部分なので、どのキャラクターから見ても感情移入しやすいような歌詞になっています。『MAO』の登場人物は幽羅子に限らず、それぞれに900年に及ぶ想いを抱えています。なので個人的には「幽羅子に焦点を当てすぎない」というオーダーには沿うことができたと思っているのですが、歌唱になるとまた別物というのは今回レコーディングをして感じました。(幽羅子と)距離を取るという意味で。

――歌唱については後ほどじっくりお伺いします。楽曲のイメージや方向性に関して、上田さんから何かお伝えしたことはありましたか。

上田 今回久しぶりに音楽活動をやるので新たにチームを作っていただいたのですが、最初の打ち合わせで私を含め皆さんで作品の世界観やイメージを共有し合って、それに合った曲をお任せしたので、私からは世界観の共有だけでした。その後、集まった楽曲の中からコンペで選ばせていただいた形です。

――コンペで上田さんが選んだ決め手、自分の中のイメージに合致したポイントは?

上田 参考資料として、アフレコ済みの音声入りだけどSEや音楽はまだ入っていない状態の本編映像を全話数分いただいていたんです。映像を流ししつつ、エンディングのタイミングに合わせてコンペの曲を1曲ずつ聴いてみる作業を各話でやったんです。すごく時間がかかったんですけど、それをやった時に地続きでスムーズに繋がると思って選んだのが、この曲でした。劇伴の一部のように溶け込んで聴けるものが理想だったんですよね。チームのみんなで第3希望くらいまでそれぞれ持ち寄って会議した結果、この曲が一番投票数が多かったです。

――すでに映像があるからこそできるアプローチですね。歌詞は結城アイラさんが作詞していますが、出来上がったものを受け取った時の印象はいかがでしたか?

上田 先ほども触れましたけど、1番は幽羅子に寄りすぎていない歌詞になっていて、それでも幽羅子を思い出す部分や感情移入してしまう部分が多かったので絶妙な塩梅だなと思いました。2番以降は幽羅子の気持ちをすごく思い出してしまうので、キャラソンにならずに歌えるかどうかすごく心配になるくらい、作品の物語やキャラクターの心情を捉えていただいている歌詞なのかなと思いました。

――上田さんが演じられた幽羅子はどんなキャラクターだと感じていますか?

上田 幽羅子は、自分を愛する方法がわかっていない人なんだろうなと思うんですけど、だからこそ摩緒という存在をすごく求めてしまう。自分のことを唯一優しく労ってくれるのが摩緒という存在で、自分自身でさえも自分を肯定できないし愛せないからこそ、摩緒にそれを委ねようとしているように見えます。摩緒に執着や依存してしまう気持ちを否定することはできないですけど、見ていてすごく苦しい気持ちにはさせられますよね。

――「見ていて苦しい気持ちになる」というのは客観的な印象だと思うのですが、主観で演じる時はどういう気持ちで演じていたのでしょうか。

上田 もう「摩緒に会いたい!」という一心ですよね。「摩緒に嫌われたら悲しい、摩緒に好かれていたい、摩緒と一緒にいたい。それであれば生きていける」ということだけを考えて行動しているのかなと思って演じていました。

――そういった幽羅子の印象を踏まえつつ「揺蕩う」を歌ったと思うのですが、1番は作品全体に寄り添えるような歌をイメージしたのでしょうか。

上田 私は客観視で表現するのが苦手なので、「この歌い方をすればこの作品に馴染む」とかをやると、多分よくわからなくなっちゃうんです。なので歌う時は、あまり考えすぎないようにしていました。

――では、歌う時はどんな心持ちで歌いましたか?

上田 幽羅子の気持ちを幽羅子として歌うのではなくて、幽羅子の気持ちを上田麗奈として代弁する、というのが近いと思います。あくまで私が私の生活感の中で幽羅子の気持ちを代弁するという。心持ちはそういったところになりますね。ちょっとした違いなので聴いた印象はそんなに変わらないかもしれないんですけど。幽羅子と私の普段の声や張ったときのトーンがあまり変わらないので、私も完成した曲を聴いた時に「幽羅子に聴こえるかな」と思ってしまったくらいなので(笑)。

――ということは、今までアーティスト・上田麗奈として歌っていた曲の距離感とはちょっと違うものになった?

上田 そうですね。私が私の思っていることを歌うのではなく、私が幽羅子の思っていることを歌う、なのでやっていることは違うのかなと。

――歌っている時に、上田さんとしては幽羅子のどういう心情を一番意識したのでしょうか。

上田 それはもう「摩緒」です(笑)。摩緒に会いたい、摩緒しかいない。摩緒への強い執着、想いが一番大事ですね。アフレコでセリフを言っている時と気持ちとしては変わらないです。

――その摩緒への思いが一番ピークに達した部分や、より強く思いが出たポイントはありましたか?

上田 私はどの曲でもラスサビで気持ちが盛り上がりがちなので、この曲もラスサビが一番強い感情を発散した部分だったと思います。それまではモノローグみたいに自分の中で溜めていたものが一番最後にポンと出てくるような感じになったかなと。特に“仕合わせを想いたい”“私の余白は貴方しか もう要らないの 嗚呼”のところですかね、やっぱり。これが一番言いたいことというか、強い気持ちですね。

――幽羅子の心の中には埋められない穴があって、それを埋められるのは摩緒しかいない、と。

上田 と、錯覚しているのかもしれません。きっとそうするしかない状態にあるというのはわかるので、今の幽羅子にとっては間違いなくそうなんだと思います。

――上田さんは「揺蕩う」という言葉に対してどんなイメージや印象をお持ちでしょうか。

上田 「揺蕩う」は掴みどころがなくて寂しげなイメージが強いですね。漢字にするとより、その印象が強くなる。私の中では明るい言葉ではないので、この曲のタイトルとしてもぴったりなワードだなと思いました。

――この「揺蕩う」が流れるアニメのエンディング映像をご覧になった感想はいかがでしたか? 幽羅子にフォーカスを当てた映像になっていましたが。

上田 敵か味方か本当に分からない、揺蕩っているようなキャラクターではあるので、本編で菜花を惑わすようなことを言ったりする彼女のほろ苦い部分に反して、すごくヒロインのような、一人の女の子としての柔らかい表情や切ない表情、悪役には見えないような表情になっているのが、より「どっちかわからない」感じになっていて。菜花の幽羅子に同情してしまうような感覚を、アニメを観ている人にも体験させるような、そんな映像になっているのかなと思いました。

「揺蕩う」とは真逆のアプローチで『MAO』の世界に寄り添う「結ぶ」

――シングルのカップリングには、新曲「結ぶ」を収録。こちらはどんなテーマで制作されたのでしょうか。

上田 チームの皆さんとどんな曲にするかを考えていくなかで、「揺蕩う」は、2番以降は幽羅子の気持ちがメインだったりもしたので、逆に紗那のイメージの曲にするか、菜花のイメージの曲にするか、という話になって。結果、紗那のイメージで清らかな川のような曲を作っていただきました。清らかなんだけど、内に秘めている思いはちゃんとあって、ただそれを表に出すことはしない。裏陰陽師の家の仕組みや状況がわかっているから、自分の気持ちをぶつけたり、自分の気持ちで何かを変えるということはしない。そういう強い女性の清らかさを描いてもらいました。

――これもコンペで楽曲を選んだのですか?

上田 「揺蕩う」のコンペの中で、もう1曲気になっていた曲があって。それが素敵だったし、紗那をテーマに曲を作るのであれば合うかも、というところで「結ぶ」になりました。

――こちらも作詞は結城アイラさんが担当されていますね。

上田 私がアイラさんと一緒にお仕事をしたかったので(笑)。元々アイラさんに歌のディレクションをお願いするというのは決まっていたんです。今回、またアーティスト活動するにあたって、過去別作品でディレクションをしていただいたことがあるアイラさんとだったら、緊張せずにのびのびとできるかもしれない、ということでお声がけしたんです。その流れもあって、歌詞もお願いしたら、アイラさんが快く引き受けてくださいました。

――「結ぶ」の歌詞を受け取ってみて、紗那らしさや『MAO』という作品らしさを感じたりしましたか?

上田 それ以上に「大人だな」と思って(笑)。この境地にはなかなか辿り着けないなって思いました。自分の気持ちは一旦置いておいて、表では清らかに振る舞っている。大事な人への思いはあるけれども、必ずしも自分のそばで笑っていてほしいわけではなくて、どこかで笑っていたらそれが嬉しい。変わらない日常であってほしい、みたいな。自分のものにしたいとかじゃなくて、その人がその人らしくある日常であってほしいっていう。私はそこまで清らかになれないので、「大人だなあ、どう歌ったらいいかわからないなあ」と思ったのが一番最初の気持ちでした。

――実際、歌はどんな心持ちで歌ったのでしょうか。

上田 すごく難しかったですね。「清らかです」と表現するとわざとらしくなってしまうし、裏に抱えている気持ちを出すと紗那じゃなくなってしまうし曲とも相性が悪くなってしまう。なので、よりリラックスして、いい意味で何も考えずに歌ったテイクのほうが、パイプが綺麗だから清らかな水が流れてくる、みたいな感じになるなあと思って。そんな風に歌うチャレンジをしました。普段は言葉一つ一つに意味を持たせようとか、どこが立たせどころかみたいなことを考えますし、「揺蕩う」でもそういうことを考えつつ歌ったからこその情念みたいなものがあったと思うんですけど、そこを逆にやらない、「揺蕩う」とは真逆の歌い方になりました。

――幽羅子と紗那の関係性とも合致するように、歌のアプローチも対照的になったんですね。なおかつ「結ぶ」はハチロクのワルツっぽいリズム感で、踊るような優雅さが感じられる歌だなと思いました。

上田 ビジョンとしてはそういうイメージはありました。綺麗な花びらが舞っているみたいな、髪が揺れてクルッと回ってみたりするような、温かい日差しのビジョンが自分の中にあったので。マスタリングで音のイメージを調整したんですけど、キラッとした感じや清らかな部分をなるべく活かす形で仕上げたので、花びらが舞っている様子みたいなのがより伝わりやすくなったのかなと思います。

――両方の楽曲ともに『MAO』に向けて制作されたシングルになったわけですが、そういった作り方や久しぶりの作品づくりを通じて、どんな手応えを得ましたか?

上田 アフレコを全部終えているタイミングで制作ができたからこその楽しさがあったと思います。アニメの制作スタッフの皆さんは、声優陣よりも長く作品に向き合っていて、その分、理解が深まったり愛情も増していったりするのが羨ましくて。「その感覚を私も味わいたい!」と思いながら、日々仕事をしていたなかで、声優として携わったプラス、エンディングテーマとしても制作期間があったことでより作品に近づけた感じが、すごく楽しくて嬉しかったです。

――久しぶりのアーティスト活動を経て、またさらにやってみたい気持ちが芽生えたりしましたか?

上田 このメンバーだったらやりたいと思いました。もちろん前のチームも一緒にやりたいと思っていたメンバーだったので、その座組みが無くなったことが、自分の中での活動に対するストッパーになっていたんですけど、今回新しいメンバーでやってみて、今までやってきた音楽性も踏まえつつ「今回はこういう風にしていこう」というアイデアも融合させていい塩梅を探していけるチームだったので、すごく楽しくものづくりができたのがいい思い出になっていて。このメンバーだったら信頼できるから、「次こういう曲を歌ってみますか?」と言ってもらえたら「歌ってみます」と思えるかなって。自分発信は大変なのでなかなか難しいんですけど。

――声優業もお忙しいですものね。

上田 それこそラジオで流せるようなちょうどいい曲、しゃべっている後ろのBGMとしてテンション的にちょうどいい曲を1曲作ってみるとか。ラジオの中でたまに猫ちゃんの話もしているから「じゃあ猫ちゃんっぽい曲作ってみる?」とか。よりライトで、突発的で、フリーダムな活動をしてもいいなら(笑)。

――猫ちゃんソング、いいじゃないですか!ぜひ期待しております。

上田 猫ちゃんソングは本当に作りたいかも……。「こたろう」と「しいな」(※上田が飼っている猫愛)の2匹分でもいいので(笑)。


●リリース情報
「揺蕩う」
9月30日発売

【初回限定盤】

品番:LACM-34724
価格:¥2,310(税込)

【通常盤】

品番:LACM-24724
価格:¥1,650(税込)

<CD>
1. 揺蕩う
作詞:結城アイラ 作曲・編曲:牧野太洋 弦編曲:谷ナオキ
2. 結ぶ
作詞:結城アイラ 作曲・編曲:加藤冴人
3. 揺蕩う(Instrumental)
4. 結ぶ(Instrumental)

●作品情報
TVアニメ『MAO』

<あらすじ-INTRODUCTION->
大正時代を生きる青年、摩緒(まお)。“呪い”により900年生き続ける謎の陰陽師。
令和を生きる中学生の少女、黄葉菜花(きばなのか)。幼い頃、家族と事故に巻き込まれ、自分だけが生き残った。

ある日、菜花が事故現場となった商店街の門をくぐると、
妖(あやかし)の蔓延(はびこ)る大正時代に迷い込んでしまう。
摩緒と出会った菜花は――

「おまえ、妖だろう。」

摩緒にそう告げられ、自身の異変に気付く菜花。

二人には、同じ“呪い”がかけられていた――!!
摩緒と菜花は、連鎖する“呪い”に立ち向かっていく!

高橋留美子の最新作『MAO』、待望のアニメ化!
没入型ダークファンタジー×時代(とき)を越えるタイムスリップミステリー、いよいよ開幕!

それは、時代を喰らう“呪い”

【原作】
高橋留美子「MAO」(小学館「週刊少年サンデー」連載)

【STAFF】
監督:佐藤照雄
シリーズ構成:柿原優子
キャラクターデザイン・総作画監督:菱沼義仁
美術監督:加藤 浩、保木いずみ
色彩設計:大塚眞純
CGディレクター:藤江智洋
撮影監督:伏原あかね
編集:新居和弘
音響監督:菊田浩巳
音楽:兼松 衆
アニメーション制作:サンライズ
製作:「MAO」製作委員会

【MUSIC】
第1クールオープニングテーマ:Kis-My-Ft2「HEARTLOUD」
第1クールエンディングテーマ:TRUE「呪愛」
第2クールオープニングテーマ:20th Century「僕らが上書きする世界」
第2クールエンディングテーマ:上田麗奈「揺蕩う」

【CAST】
摩緒:梶 裕貴
黄葉菜花:川井田夏海
乙弥:寺澤百花
百火:下野 紘
華紋:豊永利行
不知火:興津和幸
白眉:佐藤拓也
夏野:釘宮理恵
真砂:陶山恵実里
大五:小西克幸
紗那:清水理沙
幽羅子:上田麗奈
加神双馬:海渡 翼
宝生かがり:下地紫野
貂子:日笠陽子
魚住フナ:くまいもとこ
猫鬼:松山鷹志

原作/高橋留美子「MAO」(小学館「週刊少年サンデー」連載)
©高橋留美子/小学館/「MAO」製作委員会

関連リンク

上田麗奈 公式サイト
https://www.lantis.jp/reinaueda/

上田麗奈 公式X
https://x.com/reinaueda_staff

TVアニメ『MAO』公式サイト
https://www.anime-mao.com/

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