ミュージックレイン1期生としてデビューした寿 美菜子、高垣彩陽、戸松 遥、豊崎愛生が今年で声優デビュー20周年を迎える。それを記念したライブイベント“ミュージックレイン声優成人式”の開催に向けて、メンバー1人1人の20年間を振り返っていく特集の第1回は寿 美菜子が登場!これまで歌ってきたキャラクターソングを披露する予定のライブを目前に、キャラソンとの向き合い方や印象的な楽曲の数々について掘り下げていく。
INTERVIEW & TEXT BY 仲上佳克
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――声優活動20周年を迎え、“ミュージックレイン声優成人式”が開催される運びとなりました。まずは開催が決まってのお気持ちをお聞かせください。
寿 美菜子 まずは“声優成人式”という名前がつけられるくらい、 20年も声優を続けてこられたことに感謝の気持ちでいっぱいです。これは本当に私だけじゃなくて、作品との出会いとかスタッフさんやキャラクターとのご縁がなければここまで繋がっていないですし、まさか同期の4人が一緒にこの 20周年を迎えられて、しかもこうやってインタビューしていただけることになるなんて想像もできていませんでした。もちろん私たちよりも長く続けられている先輩の姿を見ていて本当にすごいなと思ってきました。ただ、20周年でイベントをされている方はあまり見たことがなかったので、10月10日にイベントができるというお話をいただけて、本当に嬉しいです。実際に企画が進んでいけばいくほど20年間これだけの人に出会って、支えてもらって、作品もあってという、これまでの道のりを振り返る時間にもなっています。
――ちょうど自分たちの20年間を振り返る機会にもなったということですね。
寿 最近、この“声優成人式”の話とは関係なく、現場でご一緒した後輩にあたる方たちに「『けいおん!』観てました」とか「『けいおん!』が僕の青春です」とか言われることが、ありがたいことに多くて。『けいおん!』に限らず、みんなが通ってきた作品、触れてきた作品に自分が関わっていて、それをきっかけに話をしてくれることが最近たまたま多かったので、ちょうど“声優成人式”で振り返っているタイミングでもあったので、「みんなにも届いてたんだな」と実感できる時期になりました。
――まさに20年という時の流れを感じますね。
寿 それこそ自分が20歳の成人式を迎えた時、実際の成人式は参加できず、悠木 碧ちゃん、早見沙織ちゃん、東山奈央ちゃんとイベントで成人式をしていただいたんですけど、20歳の時に感じる20年って、生まれてから最初の5年間くらいは自分の記憶になかったりするわけじゃないですか。だから「自分が20年も生きているのかあ、不思議だなあ」くらいに思っていた感覚が、今回は初めて自我がしっかりある状態で 20年を歩んできた部分があるので重みが全然違うというか、親はあの成人式の時にこういう気持ちだったのかなと思うくらいなんです。声優としての20年は自分の記憶もちゃんとあって、こういうことで悩んだなとか、トライしたなということが体に染み込んで残っていて、振り返るとキャラクターたちが私にとっては親友みたいなところがあって。共に歩んできた気持ちがとても強いので、キャラクターたちと一緒に20年やってこられたのがすごく誇らしいなと思いました。
――今回のインタビューはキャラクターソングの話をメインに伺っていこうかと思っていますが、最初に歌ったキャラソンは覚えていますか?
寿 『けいおん!』(2009年~2010年)が最初だったと思います。オープニング、エンディングの進行がとにかく早かったんです。放送になる前の年のクリスマス頃に録っていた記憶があって、 しかもまだアフレコも始まっていないから、自分のキャラも本当にこれでいいのかな?みたいな。もちろんオーディションで演じてはいたキャラクターですけど、いっぱいしゃべったわけでもないし、ある程度の方向性しか定まってないなかで「もう録るんだ!?」と思った記憶はありますね。そういう意味では「Cagayake!GIRLS」にしても「Don’t say “lazy”」にしてもコーラス担当なのもあって、より「この感じで合ってるのかな?」となって。琴吹 紬という人間性を考えても、あんなに速い曲を歌うのが最初はイコールにならないというか、このキャラであのテンポ感、リズム感、言葉の早口感と、どうイコールに繋げていくんだろう?というのはすごく悩みました。それで自分の中では苦戦していたんですけど、とにかく褒めていただいたことはよく覚えています。自分は元々歌がやりたくてこの世界に入ったところもあったりして、初めてお仕事したのがCMで、それが歌うCMだったんですよ。「ドレミファソラシドを歌ってください」というオーディションで、母がピアノの先生だったこともあって絶対音感があるから音を外すことはなく、合格できて。それが最初だったので、自分の中でどこか自信にもなっていたし、初めてのキャラソンも「この感じで合っているのかな?」という不安はあったんですけど、歌として大きく間違えていることはないんじゃないかなと。そう思うと、技術的なことに関してはあまり物怖じせず堂々としていた分、「歌、上手いんだね」と言っていただいた時は、その時点で歌のレッスンを始めて5年くらい経っていたので、自分が今までやってきたことは間違っていなかったんだなと思えました。キャラソンにもちゃんと使える技術だし、自信にも繋がった機会でした。
――声優としてキャラソンを歌う機会が増えてきて、キャラソンを歌うということに対してはどう向き合っていきましたか?
寿 自分がそれまでキャラソンをあまり聴いてこなかったのもあって、最初は、みんなはどこからがキャラっぽいと判断するものなのかなと考えました。自分がキャラクターソングを歌うことになるのであれば、まずは声の印象がみんなの想像しているところから外れちゃいけないんだろうなと思いましたし、当時のマネージャーさんにも言われていました。実際、今でもそうなんですけど、何回もICレコーダーで録るというのは最初の頃からやっていて、自分的に歌えているか歌えていないかもそうですし、どこにどうやってキャラっぽさを入れていったらいいんだろうというのは初期の頃から試行錯誤していたんじゃないかなと思います。どこのタイミングからそれができるようになったのか、自分ではわからないですけど、リズムの取り方をキャラクターによって変えているというのは何となくあります。ロックな曲で縦にずっと刻み続けているようなリズムがあったとしても、おっとりなキャラクターだったら倍でゆっくりリズムを取るとか、逆にテンションが高いキャラクターとか小柄なキャラクターとかだったら倍の速さで取るとか細かくリズムを刻むとかして変えていったりします。そういう部分では役作りと似ているんですけど、呼吸感を変えるというところにキャラソンも行き着くなと思いました。
――技術的に工夫されている部分はちゃんとあるんですね。
寿 みんながそうなのかはわからないですけど、20年やってきたなかで見つけた方法ではあるなという気がします。あとはキャラクターソングって、こんなにニュアンスをつけていいんだと思いました。キャラソンを歌っていると「歌詞に書いてあるようなニュアンスをもっとダイレクトに入れてもらっていいですか?」と言われることがすごく多くて。確かに、あえてニュアンスを乗せていく感じのほうがキャラクターが歌っている感じになるな、と自分でも聴いて思いました。逆にスフィアや、その後に始まったソロでは、もちろん乗せるところは乗せるんですけど、あまり説明しすぎてしまうと侘び寂びの感じがちょっと違うというか……。アーティスト本人がそういう表情で歌うタイプの人だと全然いいと思うんですけど、寿 美菜子像として、例えば涙がどうのこうのという歌詞に対して「めっちゃ泣いてるな」というふうにあえて乗せるのか、「強がってるけど、キランって目元は光ってるかも?」くらいの涙にするのか。それは“私”という、ある種のキャラソンなのかもしれないんですけど、アーティストでの表現の出し方とキャラクターソングでの表現の出し方は結構違うものだなと思いました。
――やっぱりキャラソンとアーティストとしての表現で違いはあるわけですね。
寿 あと、キャラソンで解釈がちょっと難しいなと思った時は、「この子がカラオケに行ったらどういう歌い方をするかな?」というのはよくやります。キャラクターの性格と楽曲のテイストが全然違うけれど、それも面白いとして作っていきましょうとなった時、「でも確かにカラオケではこういう曲も歌うかもな」って、色んな可能性を考えるとキャラクターをすごく深められて、面白くて。それこそ最新の『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』(2026年)で歌わせてもらった郡上かなでの「感情グラス」とかは、まずそれを考えました。「カラオケも上手いほうであってほしいよな」とか「あまり下手な感じではないと思うんだけどな」なんてことをざっくり思いながら、あとはキャラクターにおいてどのワードを大切にしたいかというのはすごく考えて歌っていました。『上伊那ぼたん』に関してはメインキャラクター6人ともが同じ曲を歌って、それがエンディングで流れて、こんなにみんな歌い方が違うんだとか、みんながどこまでどういうこだわり方をして歌っていたかは細かく聞いてないですけど、キャラクターと同じように個性の出方が六人六様だったことに感動しました。
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