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INTERVIEW

2026.08.03

絶望系アニソンシンガー・ReoNaが“愛”を歌う!TVアニメ『きみが死ぬまで恋をしたい』オープニング主題歌「Amore」インタビュー

絶望系アニソンシンガー・ReoNaが“愛”を歌う!TVアニメ『きみが死ぬまで恋をしたい』オープニング主題歌「Amore」インタビュー

TVアニメ『きみが死ぬまで恋をしたい』のオープニング主題歌となるReoNaのニューシングル「Amore」は、自らのお歌を通して様々な形の“絶望”に寄り添ってきた彼女にとって、新境地を切り拓く“愛の歌”となった。かねてよりファンを公言していた『きみ死ぬ』の非情な世界観、死と隣り合わせの日常の中で、それでも生きていく少女たちの物語に、ReoNaは“会いたい”というシンプルかつ切実な願いを重ねてお歌を届ける。“絶望系アニソンシンガー”を掲げて活動してきた彼女が、今このタイミングで“愛”を歌う意味、アーティストとしての現在地について、故郷・奄美大島への想いを形にした「結々の唄」といったカップリング曲の話題も含めて語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創

『きみ死ぬ』との出会いがもたらした、ReoNaが歌う“愛の歌”

――今回の新曲「Amore」はTVアニメ『きみが死ぬまで恋をしたい』(以下、『きみ死ぬ』)のオープニング主題歌ですが、ReoNaさんは元々原作コミックのファンだったんですよね。

ReoNa はい。以前、FM802の番組「ハチパレ(802 Palette)」に準レギュラーとして出演させていただいていたのですが、その番組内の「作品に合った曲を選ぶ」という内容の企画で、私が歌っている「Lotus」という楽曲を、番組側が『きみ死ぬ』の主題歌に合いそうな楽曲としてセレクトしてくださったんです。その時に作品のことを初めて知って、私もなぜ「Lotus」をマッチングしてくれたのか気になったので、その当時3巻まで出ていたコミックスを買って読んだのが作品との出会いでした。最初の5~6ページを読んだだけで「なるほど」と納得したのと同時に、作品の世界観に一気に心を掴まれてしまって。新刊が出たらその日のうちに買うくらい大好きな作品になりました。

――どんなところに「Lotus」っぽさを感じましたか?

ReoNa すごく簡単に説明すると、『きみ死ぬ』は戦争用の兵器として育てられる少女たちが暮らす孤児院兼学校を舞台にした物語なのですが、かわいらしい女の子がたくさん登場するのに、みんな何かを失ったところから始まっているんです。身寄りのない子供たちが集められ、誰かを殺めるため、戦うために育てられている。だけど、そんな中で日々の生活の営みがしっかりと描かれていて、そこでは、食べたり、話したり、学んだり、寝たり起きたりという日常の生活が繰り返されている。その営みの中で、大切な仲間や友達、好きな人ができていくけれど、その大切な人に触れた手で、その日の夜には誰かを殺めに行かなければならないかもしれない。ファンタジーの設定でありながら、生きることの生々しさが克明に描写されているんです。その“絶望”と“美しいもの”とのバランスが、「Lotus」という楽曲に通じるものがあると感じました。「Lotus」はハヤシケイ(LIVE LAB.)さんが、実体験に寄り添った赤裸々な痛みを、花が開くようなメロディや言葉に昇華してくださった曲です。だからこそ、この作品に選んでくれたんだなと、当時コミックを読んで感じました。

――その後、『きみ死ぬ』と「ハチパレ」がコラボした際にはReoNaさんが“きみ死ぬアンバサダー”に任命されて、原作者のあおのなち先生から描き下ろしのイラストをプレゼントしてもらうなどの交流もありました。アニメのオープニング主題歌のお話をいただいた時は、さぞ嬉しかったのでは?

ReoNa 実はお話をいただいたのは、まだアニメ化の情報も世の中に出ていないタイミングだったので、大好きな作品のアニメ化の情報と主題歌のお話を同時に知って、感情の置きどころがわからなくなるくらいでした(笑)。元々コミックのPVでも高橋李依さん(シーナ役)と日高里菜さん(ミミ役)が声を当てられていましたけど、その彼女たちが実際に動き出す姿が見られることがまず嬉しかったですし、そこに自分の歌で寄り添わせていただけるというのは、責任重大だなと感じました。今考えると、もし他の方が担当されていたら、悔しくて枕を濡らしていたかもしれません。

――あはは(笑)。新曲のタイトル「Amore」は、イタリア語で“愛”“愛する人”を意味する言葉で、文字通り“愛”をテーマにした曲です。『きみ死ぬ』のオープニング主題歌として、作品のどんな部分に寄り添おうと考えて制作を進めましたか?

ReoNa 制作の最初から、“愛”という言葉が1つの大きなテーマとして上がっていました。『きみ死ぬ』の物語にある、死と隣り合わせの絶望や日々の生活の中で、どこにフォーカスすべきかと考えた時に行き着いたのが、「いつか失うかもしれない」という前提があるうえでの“愛”でした。『きみ死ぬ』の世界の子たちは、私たちよりもずっとタイムリミットを意識して生きていると思うんです。大切な人がいつ戦地に駆り出されるかわからない。自分がいついなくなるかわからない。いつか失うことがわかっていても、それでも誰かを愛するということ。そんな部分に寄り添えたらと思って。私自身、大事なものができると、つい“終わり”を考えてしまうタイプなんです。

――過去のインタビューでも、“終わり”を怖がるタイプということは度々お話されていました。

ReoNa すごく“終わり”を意識してしまう性分で、幼い頃に初めて“死”を自覚したとき、「家族は自分より先に死んでしまうんだ」と怖くなって、置いていかれるような感覚になったことが心に残っていますし、今の生活でも、飼っている猫が毎朝ちゃんと息をしているか、帰宅したときに迎えに来てくれるか、常に失う可能性をどこかで意識していて。「失うかもしれないけれど、愛おしい」という感情は、『きみ死ぬ』の世界ほど切羽詰まったものではないにせよ、私たちの日常にも通じるものだと思うんです。これまでのReoNaだったら、ここまで真っ直ぐ“愛”を表現できたかはわからなかったけれど、今だからこそ「Amore」という言葉を紡げるようになったのかなと思います。

――自分も、この曲はReoNaさんのキャリアの中でも転換点になるのかなと感じていて。ここまで真っ直ぐ“愛”を歌えるようになったのには、何かきっかけがあったのでしょうか。

ReoNa 自覚していなかっただけで、今まで歌ってきたお歌の中にも“愛の欠片”は散りばめられていたんだと思うんです。私はあまり素直な性格ではないので、これまで「思いを真っ直ぐ言葉にすること」に対してどこか捻くれた自分もいたなと思っていて。友達だと思っている人に「友達だよね?」と確認するような感覚になってしまうというか。でも、一歩ずつ階段を上るように活動を続けてきたなかで、特に3rdアルバムの『HEART』だったり「結々の唄」を経て、ようやく素直に思える今の場所にたどり着けた気がします。

――それは音楽的な表現に限らず、ReoNaさんの人間性の変化としても素直に自分の気持ちを伝えられるようになった、ということ?

ReoNa 常に心がけてはいますけど、そこまで成長できたかは、まだわからないです。でも、17歳の頃に「こえにっき」(ReoNaの音声で綴る日記コンテンツ)を始めたきっかけも、当時の私が自分の感情を言葉にするのが苦手だったからなんです。今お話しているみたいに人前で言葉を伝えたりとか、歌詞を書いたりする練習の一環として始めたもので。そうやって自分の感情を1つ1つ言葉にしていくなかで、絶望の裏側には、誰かに愛されたいとか期待してしまう自分がいて、光を見つめているからこそ、絶望が色濃くなるということに気付いたんです。その光と影、愛と絶望のバランスは変化していってもいいもので、今までは影寄りにフォーカスしてきたけれど、それが何に照らされてできた影なのかというところまで視野を広げてくれたのが、『きみ死ぬ』という作品との出会いだったのかもしれないです。

――その意味では、“絶望系アニソンシンガー”を掲げて活動するReoNaさんにとって、この「Amore」は活動全体の中でどんな立ち位置になると感じていますか。

ReoNa 決してこれまでの活動から外れたものではなく、“今の私”が自然に辿り着いた場所だと思います。それこそスタート地点のメジャーデビュー曲「SWEET HURT」は甘くて痛い愛の歌でしたが、あの曲を歌うにあたって自分にとっての“愛をくれたあなた”を考えたときに、私にとっての“あなた”は“お歌”ということにたどり着いて。それはものすごく、19歳の私の“今”だったんですね。その後、1stアルバムの『unknown』で「何者でもない」という表現になったのも当時の私の“今”だし、その後も、時に怒ってみたり、時に楽しんだもの勝ちになってみたり、リリースごとに色んな“今”を置いてきて。そして2026年の私が紡ぐ“今”が、この「Amore」なんです。もしかしたら未来の私は愛をさらに掘り下げて歌っているかもしれないし、この曲で愛を表現したから、次はもう一度影の部分を濃く深く見つめようとするかもしれない。ここからどんな場所に踏み出していくかは、きっと未来の私の“今”が紡いでくれるんだと思います。

“会いたい”――シンプルな言葉の裏側に込められた感情と願い

――「Amore」は、これまでにも「Runaway」や「3341よ」などを手がけてきたPan(LIVE LAB.)さんが作詞・作曲・編曲を担当。どのようなやり取りがありましたか?

ReoNa まず、“愛”をテーマにお歌を紡ぎたいとなった時に、色んな『きみ死ぬ』に向けたお歌やお歌の欠片が生まれたのですが、その中でPanさんから届いたのが、この曲でした。歌詞については、作品の世界観だけでなく、現実世界の私たちが生きるリアルな生活にも重ねられるように、想像しやすい言葉になっていきました。

――完成した曲を聴いて、作品のオープニングとしての印象はいかがでしたか?

ReoNa 私がこの作品を読んでいて最も心を動かされるのは、当たり前でささやかな日常が繰り返されるシーンなんです。「お腹が空いたから帰ってご飯を食べる」とか、「自分では結べない髪を誰かに結ってもらう」とか、そんな何気ないシーンにふと胸が熱くなるんです。当たり前だと思っていることは、実は当たり前ではない。それは私たちの現実でも同じですし、それはあおのなち先生が描きたいことの1つでもあるのではないかなと感じていて。作中で交わされる「ただいま」「おかえり」という挨拶も、すごく何気ないものですけど、相手がいないと成立しない言葉で。だからこそ、このお歌の中にも“おはよう”と“ただいま”がちゃんと描かれていて、そうした“当たり前”の大切さを込めています。

――冒頭の“会いたい きみに会いたい”というフレーズも非常に印象的です。この言葉の裏側には「会いたいけど思うように会えない」という気持ちが見えますし、特に2番以降は相手の不在が強調された歌詞になっていて。

ReoNa 『きみ死ぬ』の物語の中には、シーナやミミ、アリ、セイランといったメインキャラクターだけでなく、例えばシーナがたまたま見かけた先輩や、シーナと相部屋だった子、メインキャラクター以外にも登場人物たちがたくさんいて、彼女たちにも失いたくない大切な存在や、すでに失ってしまった人がいるはずだと思うんです。「会いたい」という感情は、目の前に相手がいないからこそ涌き出るもので、それは私がこれまで歌ってきたことの根底にもあるもの。Panさんが編曲に携わっている「ガジュマル ~Heaven in the Rain~」も、もう二度と会えないとわかっていても、会いたいと思ってしまう気持ちを歌っていて。でも、会えないからといって、その人との思い出や言葉が失われるわけではない。今は会えない。だから“会いたい”というのは、すごくシンプルな言葉ですけど、その裏側にある深みや重みを感じながら歌いました。

――歌唱において大切にしたことや、苦労した点はありましたか?

ReoNa 私の中で、こういう声音や温度感にしたい、という理想像があったのですが、その形に持っていくために自分の技術が追いつくまでに少し時間がかかりました。最初に歌ってみた時、自分ではそのつもりはなかったんですが、すごく痛々しく悲しく聞こえてしまったんです。

――それは今までのReoNaさんらしい、とも言えるのかもしれません。

ReoNa 確かにそれが私の声の特徴ではあるのですが、今回はそれだけではない響きが欲しかったんです。なので今回は本番のレコーディングまでに何度も歌を録って試行錯誤を重ねました。失ったもの、今ここにはないものに対する切実な思いと、愛情や燃えるような情熱、温かさと冷たさのバランス。そのちょうど良い境目を探すのに時間をかけました。

――この曲の歌に関しては、清らかと言いますか、押し付けがましくない強さを感じました。正直、歌詞の内容的にもっと感情的に熱く歌い上げることもできる曲だと思うんです。でも、ReoNaさんの歌声には、どこか淡々とした部分があって。

ReoNa そう言っていただけると嬉しいです。特にサビなどは楽器の音がすごく情熱的で、迫ってくるような迫力があるので、歌もそれに釣られて力が入りすぎてしまうんです。その情熱的な音の中でピアノだけはバラードのように切なく弾いていて。一度、ピアノだけをバックに歌ってみたら、スッと心が落ち着いて、冷たい場所に落ちることができたんです。その感覚を覚えたまま、再びすべての楽器の音の中に飛び込んでいくことで、求めていた情熱と切なさの間の温度感に辿り着けました。

――イントロなどの浮遊感あるコーラスワークや要所で入るオクターブ下のハーモニーなど、主線以外のボーカルも非常に凝った作りですよね。

ReoNa そこはPanさんのこだわりが詰まっています。何人もの声が重なっているように聴こえるコーラスもそうですし、実はそのメロディが学校のチャイムと同じフレーズになっているんです。寄宿学校という作品の世界観に寄り添いつつ、耳に残るような仕掛けを色々入れ込んでくれました。

――「Amore」はMVに関しても、ReoNaさん、バレエダンサーの森岡恋さん、白猫が登場する、楽曲のテーマに合わせて独自のストーリーが浮かび上がるような素晴らしい映像に仕上がっています。

ReoNa ありがとうございます。何度も打ち合わせを重ねて、単なるお芝居ではなく、受け取る人に余白を残しつつ、この歌にある“会いたい”という思いや“愛情”をどう表現するかを突き詰めました。白い衣装のバレリーナさんと白い猫、2人は“私のそばにいる存在”のメタファーになっていて。もし『きみ死ぬ』という作品のことを忘れて、私が「Amore」を表現するとしたら、どんな形になるかを聞かれた時に、真っ先に思い浮かんだのが自分の家の猫だったんです。

――ReoNaさんにとって、飼い猫は“Amore=愛おしい人”そのものなんですね。

ReoNa 私が中学生の時からずっと一緒にいて、人生の半分を共に過ごしているので。もうだいぶいい年なんです。私がミルクをあげていた頃から思うと、もうすっかりおじいちゃんになって、瞳孔が閉じにくくなっていたりして。猫は人間よりも寿命が短いので、どうしてもいつか自分より先にいってしまう存在で。「あと何回、一緒に夏を過ごせるんだろう」と考えると、本当に大切にしなくちゃなと思います。

――撮影場所も草花に囲まれたスポットで、独特な雰囲気がありましたね。

ReoNa 『きみ死ぬ』の作品の中でもお花が印象的に描かれていて、アニメのキービジュアルもお花畑の中にいるイラストですし、きっとあおの先生もどのシーンにどのお花を出すか考えていると思うんです。ReoNaとしても、それこそ「Lotus」だったり「forget-me-not」のように、お花を重ねたお歌もあるなかで、今回は“愛”を象徴するバラをはじめ、いろんなお花を印象的に入れていただきました。

――バレエのシーンも素敵でした。

ReoNa 撮影を通じて「バレエってなんて情熱的な踊りなんだろう」と驚きました。それまでは上品でクラシカルなイメージを持っていたのですが、プロの方は小さい頃からたくさんの時間をバレエに注ぎ込んできて、指先から足の爪先に至るまで、全身の筋肉を使って、動きや踊りで感情を表現して物語を紡いでいく。その表現力に圧倒されました。

次のページ:また別の角度から『きみ死ぬ』の物語に寄り添うカップリング曲

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