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INTERVIEW

2026.07.28

高橋李依インタビュー 3年ぶりの新作EP『黄身加熱中』 セルフプロデュースで熱い思いを込めた濃厚な新曲たちを解説

高橋李依インタビュー 3年ぶりの新作EP『黄身加熱中』 セルフプロデュースで熱い思いを込めた濃厚な新曲たちを解説

声優アーティスト・高橋李依が待望の新作EP『黄身加熱中』を約3年ぶりにリリースした。3年間の様々な経験や着想から作った楽曲たちが熱量高く込められている。楽曲制作の解説と共に、先だって発表されたアーティスト活動再始動に向け、まずは今の彼女から放たれるメッセージを受け止めたい。

INTERVIEW & TEXT BY 日詰明嘉

“理由”をキーワードに加熱している最中の気持ちを歌った5曲

――5月には約3年ぶりとなる、声優アーティストとしての“2ndワンマンライブ「A Rie in Wonderland」”が開催され、『黄身加熱中」の楽曲から3曲歌われていました。高橋さんの音楽活動においてこれらはどのような位置づけになっていますか?

高橋李依 3年前に“1st LIVE「Cinderella popcorn」”を開催させていただいたのですが、その時点で当時のチームは解散することが決まっていたんです。ただ、その先どこへ行くのか、私がどういう形で音楽を続けられるのかが何も固まっていなかったので、先行きがわからないままその事実だけを伝えるのは、ファンの皆さんを不安にさせてしまうなと思って、あえて言わないという選択をしてきました。この3年間は、ファンクラブイベントやキャラソンライブなど、私が叶えたかった夢を1つずつ叶える時間でもありました。そのなかで「アーティストとしての高橋李依の音楽も聴きたい」という声をたくさんいただいて、今の私たちのチームでの集大成として自主制作でCDを作ってみた、というのがこの作品です。ライブでも話したんですが、感覚としては、『黄身加熱中』は1部と2部の間にある“1.5部”みたいな気持ちですね。

――その自主制作を支えたチームとは?

高橋 「からかい上手の高木さん」などでご一緒していた音楽プロデューサーの水野大輔さんに、各方面の窓口となっていただき、ファンクラブ運営やイベント運営を繋いでくれました。そこから2ndライブと今回のCDの制作に動き出したときに、音楽ディレクターをお願いしたのが2nd EPの『青を生きる』の時にも入ってくださった冨田恭通さんでした。冨田さんは私がやりたい音楽の方向性をすでにわかってくれていて、以前ご一緒した信頼できるメンバーを中心に声をかけていった、という感じでした。

――自主制作になったことで、制作の様子は変わりましたか。

高橋 ものづくりそのものは、実はそこまで大きくは変わっていないんです。元々『青を生きる』の頃から、コンセプトをこうしたい、タイトルをこうしたい、という部分は自分の意見で進めさせてもらえていたので。今回変わったのは、その範囲が少し広がったことですね。ジャケットをこうしたい、衣装はこうしたい、というふうにセルフプロデュースの幅がぐっと広がりました。だから、作り方がまったく別物になったというよりは、自分が責任をもつ領域が増えた、という感覚のほうが近いですね。

――大変だったことはありましたか?

高橋 今回は、年間を通した長期的なアーティスト活動というより、『黄身加熱中』までの短距離走みたいな進め方だったんです。誰かが全体のスケジュールを仕切るというより、配信日を決めてそこまでにどのように制作を進めていくのか、全員で1つずつ指差し確認しながら進めていくような感じでした。そこが大変でしたし、同時に、自分たちで走り切らなきゃいけないという責任も強かったですね。

――音楽活動の意味において、この3年間をどのように捉えていますか?

高橋 私が曲を作る時は、自分の中にある感情を見つめ直して生んでいくんです。もちろん、作詞家さんや作曲家さんがいて、私が全部を直接書いているわけではないんですけど、プロットは毎回私が書いているので、自分の感情を外に出すというサイクルは、ほとんど呼吸みたいなものなんです。そのサイクルが3年間止まっていたところから、今回『黄身加熱中』でもう1回やってみようと思ったら、すんなりできたんです。自分って、まだこんなに言いたいことがあるんだ、と思いました。でも、その感情は3年間温めたからこそ出てきたものでもあるので、1年スパンでやっていたら、このCDにはならなかったとも思っています。温めたからこその1枚ですし、今まさに加熱している最中、その途中の熱量が入っている作品だと思います。

――3年間で変わった部分と、変わらなかった部分は?

高橋 変化は確かにあると思います。以前とは違う視点で歌えるようになったり、表現の仕方も変わったり、成長した実感があります。でも、アウトプットしてみて気づいたのは、エネルギー源そのものはあまり変わっていないんだな、ということでした。まだ燃えているし、まだ熱されている。変化はしているけど、熱源はずっと同じところにある。そのことを今回の作品で改めて実感しました。

――その“熱源”は、どこから来ているのでしょう?

高橋 多分私は、色んな感情を知って、人と共有して、思い出を作っていきたいんだと思います。人にはそれぞれ、人生に何を求めているかがあると思うんです。美味しいものを食べたい人もいれば、知識を蓄えたい人もいる。そのなかで私は、人の感情に触れること、その感情を共有することが本能的に好きなんですよね。だから、その感情に触れるという行為に関しては、ずっとブレていないと思っています。声優という仕事だからこそ、色んな感情や立場に近づける。そういう職業だからこそ出せる音楽があるし、そこはこれからも自信をもってやっていきたいです。

――タイトルの『黄身加熱中』には、どんな思いを込めましたか?

高橋 この作品のタイトルは最後に決まったんですけど、自分の中では黄色をコンセプトにしていて、温かいものにしたいという思いがずっとありました。ただ、いざ作品を作ってみると、ただ温かいだけではなくて、まだ燃えている、まだ熱されている、という感覚が強かったんです。完成して落ち着いた状態ではなく、今まさに変化している途中にある。そういう意味で、“加熱が終わったあと”ではなく、“加熱している最中”という言い方が一番しっくりきました。『黄身加熱中』というタイトルには、その途中という熱量をそのまま込めています。

――作品全体を通して、共通するキーワードはありますか?

高橋 今回の楽曲を作っていく指標となったのは、自分の中にあるものの“理由”。どうして自分はこう感じるのか、どうしてまだ燃えているのか、そういう根っこの部分を掘っていく作業だった気がします。1st EPの『透明な付箋』であれば、忘れられなかった記憶とか、私の頭の中で透明だけど付箋を貼って忘れないようにしておこうという感情たち。2nd EPの『青を生きる』では、青臭くてもこういう生き方をしていますという自己紹介をしてきました。そして、次のステップに進むため、私にとって譲れない“理由”という言葉をキーワードに曲を作ることで、私自身も気づくことがあったんです。 1曲目の「Re:You」はまさにそのものですし、2曲目の「ココロアダプタ」は“理由”の捉え方、3曲目の「ジオード」は“理由”に気づいたこと。4曲目の「痛み入ります」は“理由”にしないでほしいという内容。5曲目の「ひだまり」は“理由”になりたい。そんな私の根源を見たときに主張したい5方向の歌になりました。

次ページ:はち切れそうなほど濃密な“黄身”が完成

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