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INTERVIEW

2026.07.30

私だからこそ表現できる歌――岬 なこ、ファンへの想いを込めた約1年ぶりのシングル「青の足跡」リリースインタビュー

私だからこそ表現できる歌――岬 なこ、ファンへの想いを込めた約1年ぶりのシングル「青の足跡」リリースインタビュー

岬 なこが、約1年ぶりのシングルを7月29日にリリース。表題曲「青の足跡」は、夏のとある時間を切り取った切ないポップナンバーだ。カップリングの「ココロの糸」と、先日ファイナルを終えた“岬なこ 2nd Live Tour Reflection”も含め、たっぷりと語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 塚越淳一

ファンとの一体感が素晴らしかった2ndライブツアーを振り返る

――“岬なこ 2nd Live Tour Reflection”を終えた後ということになるのですが、アコースティックライブを挟みましたけど、バンドでのワンマンライブは久々だったんですよね。

岬 なこ 1stライブからは2年半ぶりくらいですね。元々バンドサウンドが好きなので、バンドの音を背負って一緒にライブをする楽しさを改めて思い出せたというか。これがライブだよな!と思い出しながらのライブで、楽しかったです。

――率直に、なぜ、あんなに良いライブができるんですか?

 それはちょっとわからないです(笑)。自分のライブを客観的に見れてはいないので、良いライブだったどうか、皆さんの感想を知りたいくらいです。

――本当に素晴らしかったです。今回はツアーでしたが、ブラッシュアップされていくような感覚もありました?

 良くなっていたら良いなという感じではいました。愛知公演からスタートしたのですが最初はドキドキで、MCでも毎回「緊張してます」と言っていたくらいでしたし。だから皆さんがライブの空気を作ってくださったというか。コールがあってクラップがあって、それも含めてライブだなぁという感覚に浸ることができたんですよね。で、終わった後は正座で反省会(笑)。

――どんな反省会をするのですか?

 基本的にスタッフさんやプロデューサーさんと、セットリストの上から順に「ここはこうしたほうが良かったから、もうちょっとこうしてみよう」とか、客席から見た演出面のことや、皆さんの反応を教えてくれるんです。具体的に「ここは、みんなクラップをしたいかもしれないから、私から誘導したほうがいいかもしれないね」とか。なので、大阪・東京と少しずつ変わっていった感じです。

――ライブを見ていて、お客さんとの呼吸がぴったり過ぎたので、すごく納得がいきました。盛り上がりたい時に盛り上がれるようになっていたのに驚いたんです。

 私からはそんなにコール&レスポンスをしてほしい曲を提示していなくて。楽曲でカッコの表記や、わかりやすいところは積極的に声を出してくださったりするんですが、愛知公演の時から皆さんの息はずっと合っていたんですよね。その後の公演で、新しくライブに参加する方が多い状態だったにも関わらず、(すでに見た)皆さんがノリ方を背中で語って、引っ張ってくださっていて。なので初めての方からは、「めちゃくちゃノれました」とか「わかりやすかったです」という声が多くて、本当に皆さんに助けられているなと感じました。

――「ぽぽきゅん!」の“ぽぽぽきゅん!”辺りも。

 そこはリリースした時から、絶対に声を出してほしいと思っていました。みんな己が思う“ぽぽぽきゅん!”を出してほしいと。

――ステージにも届いていたんですね。

 もちろん、めちゃくちゃ聴こえていました。イヤモニを突き抜けてくるから、毎回ちょっと笑っちゃうんですよ、野太くて。あれは好きですね。

――お客さんの団結力が素晴らしかったんですね。

 そうですね、本当に皆さんのおかげです!

――2ndアルバム『Repeated Reflect』を引っ提げてのライブで、ツアータイトルにも“Reflection”とあるので、ミラーボールを多用した演出でしたが、ステージからの景色はいかがでしたか?

 すごくきれいですし、きれいすぎて万華鏡みたいに見えたんです。光が反射して散らばっていく感じだったので。万華鏡ということは全体的に光に包まれている感覚になるので、歌やバンドの演奏だけでなく、演出面すべてを通して、ライブへの没入感を高めてくれたんじゃないかなと思いました。

――没入感はありました。

 私も客席から見たかったなぁ~。

――セットリストのこだわりはありました?

 ベースはスタッフさんが考えてくださったんですが、こだわりというか、セットリストをいただいた時にまず思ったのは「私、捌けないんだ」ということで(笑)。

――バンド紹介の時も、ずっとステージにいましたよね。

 捌けることの意味が、今回のセットリストだとあまりなかったんですよね。楽曲をできるだけ多く届けたいし、できるだけ長く皆さんと時間を共有したいという思いがあったので、最後まで捌けずに、アンコール以外は出ずっぱりにしました。ステージでリップ直すことってあるんだ、と思っていました(笑)。

――あれは初めて見る光景でした(笑)。

 「なんて素敵なポーチ!」とか言って自分のグッズを使いながらステージ上でリップを直すという。でも、ありがたいことにグッズもたくさん買ってくださって、グッズ紹介をする頃には売り切れていたという嬉しい悲鳴もありました。またセットリストのことをいうと、カバー曲を歌ったんです。東京公演はsajou no hanaのsanaちゃんが参加してくれたのですが、他の公演は「ここにいたい」(sajou no hana)という楽曲を私1人で歌ったので、また違う緊張感がありました。人の楽曲を歌わせていただく責任も感じましたね。

――コラボ、すごく良かったですよね。

 楽しかったです。私がそもそもsajou no hanaさんの楽曲が好きなので、「イヤモニを通して生歌が聴こえる!」と、一瞬ファンの気持ちになりました(笑)。長いブロックではあるんですけど、緊張する度合いも高いところなのであっという間に感じましたし、もっとsanaちゃんと一緒に歌いたいなと思いました。

――その後も、お客さんを座らせてしっとりさせるブロックや、終盤は再び盛り上がっていく感じもあって、完璧なセットリストだったと思います。

 ベースを考えてくれたスタッフさんに伝えておきます(笑)。あとバンドメンバーが心強かったですね。リハーサルの時から温かい雰囲気を作ってくださって。私がすぐ緊張してしまうのですが、空気作りが上手いんです。それに私の歌のアプローチにすごく寄り添ってくれるんですよね。私は器用に歌いこなせるタイプではないんですが、皆さんの音を聴くと、楽しんでいるのが伝わってくるんです。優しい曲の時は温かい音色に聴こえるし、激しく盛り上がれる曲は1つ1つの音が弾けている感じがするので、ギアが上がり過ぎてしまって「落ち着かなきゃ」と思うことが多々ありました。そんなメンバーたちにも助けられました。

――バンマスの黒須克彦さんも、すごく柔らかい方ですからね。プレーは激しいんですけど。

 はい、とても温かい方なんですよ。普段は寡黙ですが、ふと発する言葉がめちゃくちゃ面白かったりもする素敵な方です。

海辺を歩きながら空を見上げて優しく歌うような楽曲

――ツアーは、今年1月にリリースされた2ndアルバム『Repeated Reflect』を引っ提げてのものでしたが、このアルバムはどういったアルバムだったのでしょうか?

 ジャケット写真に色んな鏡に反射する私が映っているんですが、それこそ2年ぶりのアルバムで、デビューアルバムからここに至るまでにリリースしたシングルを収録しつつ、またそれとは全然違った私を見てもらいたいと思ったんです。鏡に映る自分がそれぞれ違って見えるように、反射した全然違う私を見てほしいという思いを込め、テイストの違う曲をたくさん収録したのでチャレンジも多いアルバムでした。

――ラップ曲もすごく良くて、何でこんなに幅広く歌えるんだろうと思っていました。

 嬉しいです。ラップはそれこそ私が好きなので「歌いたいです」と言って生まれたんですけど、「Happy × Hungry」はすごく好きな曲です。

――そこからのシングルですが、2ndアルバムからの流れはあるのですか?

 流れというよりは、このシングル単体として考えていました。シングルとしては初めてタイアップとかではなく、まっさらな状態でレコーディングさせていただけるということなので、制作もわりと初期のミーティングから参加させていただいたりして、自分も一緒に歌に寄り添って作っている気持ちがありました。

――具体的にはどういう流れで制作していったのでしょうか。コンセプトから決めていく感じだったのですか?

 まず、ざっくりと「こういうコンセプトでシングルを作ろうと思っています」というのを聞かせていただいて、コンペで集まった曲があったので、それを聴き、良いと思った曲を伝えました。2ndアルバムくらいから、私も積極的に楽曲制作に参加させていただいているんです。その前から、「どんな楽曲がいいですか?」と聞いてくださってはいたんですが、どの曲にしようかというところから参加するのは、2ndアルバムくらいからだと思います。

――今回は、どんなコンセプトだったのですか?

 「青の足跡」は、夏曲ではあるけど、青空というより、ちょっとオレンジがかった、天気の良いお昼から夕方にかけてのエモさみたいなものが出るイメージでした。元気いっぱいの曲ではなく、思い出に浸るような楽曲が良いよねという考えがあったんです。カップリングの「ココロの糸」は、私がバラード特化といいますか、歌心を込めて浸れるようなバラードを歌いたいというのを前々からお話ししていたので、そういう楽曲を用意していただきました。なので両方とも割としっとりめな感じになりましたね。

――真夏リリースですけど、切なさを感じる2曲でしたね。

 そういうコンセプトではありました。でも仕上がってみて、私らしいアプローチになったとは思いました。私、そんなハツラツとしたタイプではないんですよ(笑)。根暗というわけでもないんですけど、どちらかというとマイペースでのほほんとした感じだと自負しているんです。だから海辺を歩きながら、空を見上げて優しく歌うような楽曲たちだなと思いました。弾ける良さもあるけど、私だからこそ表現できるテイストなのかなと。

――黄色も似合いますけど、青も似合いますね。

 ありがとうございます。黄色と青は相性も良いので、この2色が似合うと言っていただけるのは、これ以上ない褒め言葉です(笑)。

――この曲のどんなところに惹かれて選んだのですか?

 具体的にはギターですね。それこそイメージにあった、アップテンポ過ぎず、バラード過ぎず、口ずさみながら歩いているような優しい音色で、ギターが寄り添ってくれているようなメロディラインが良かったので、たくさんあった曲の中で、この曲を選ばせていただきました。青空から夕焼けに差し掛かるまでの、少しずつ1日が終わっていくような、あの絶妙な時間帯の感じをピンポイントで表現していたので、情景がぱっと想像ができたというのが、一番のポイントだったのかも知れないです。

――歌詞もついていたのですか?

 そうですね。ただ、最終的には当初のものから少し変わってますし、1コーラスだけだったので、2コーラス目はまるまる新しい歌詞になります。

――「青の足跡」というタイトルは、岬さんが付けたそうですね。

 本当にタイトルが決まらなくて、Geminiに相談しながら(笑)。あの絶妙な時間帯を短い言葉で表現したくて、タイトルに青は入れたかったんですが、それと切なさを合わせるのが難しくて……。一瞬一瞬を噛みしめるような良いタイトルはないかなと、Geminiが同じことしか言わなくなるくらいは相談しました(笑)。周りの方にも助けてもらった結果、辿り着いたのが“足跡”というワードで、少しずつ夜に差し掛かっていき、さっき見えていた青が変わっていくというのをわかりやすく伝えられるタイトルになったかなと思います。

――オレンジのほうから表現する曲は多いですけど、青からオレンジへいく時間を表現するのは珍しいと思います。

 実はオレンジは元のタイトルに入っていたんですよね。ただそれだと簡単に想像できてしまうし、タイトルのイメージがカタカナではなかったんです。カタカナよりひらがな、ひらがなより漢字という勝手な自分のイメージがあったので、最終的に良いところに落ち着いたと思います。

――歌詞の世界観についてはどう感じましたか?景色が見えてくるような歌詞ですよね。

 景色が見えますし、爽やかな感じで歩き始めたと思ったら、お友達と過ごす日常の別れ際の寂しさみたいなものが頭に浮かんできたんです。楽しく遊んでいた友達の背景に少しずつオレンジがかっていく空が一緒に映り、影が伸びていくという情景が重なることによって、思い出がすごくきれいで尊いものに変わるというか。それが嬉しくもあり、レコーディングでは寂しくもなっちゃいました。

――青春時代の人はもちろん、青春時代を思い返して、あの時と尊かったなと思い返すことができる歌詞ですよね。

 それが別に人でなくても、自分の学生時代とかの思い出を振り返りつつ、昔歩いていた道を歩きながら聴いてみたりすると、思い出がさらに彩られていくような、そんな楽曲になる気がしました。

――やはりイントロのアコギは印象的でしたね。

 やっぱりこの曲は、ギターの音色なんですよね。ピアノとはまた違う魅力があるんです。ピアノだと、立ち止まって思い出に浸る印象があるんですけど、ギターは少し弾んだ音なので、そこに自分が歩いているという描写を足してくれるような印象があったんです。

――Bメロに時計の音を思わせるような感じもあったりしたので、それも進んでいる感じがありますね。

 自分が歩き続けているなかで、そこに思い出が重なっていったりするイメージです。今、誰かと過ごしている時間がちゃんと前に進んでいるという。

――ボーカルも、情景が見える前半から、サビへ向かっていく感情のグラデーションが良いなと思ったのですが、どんなことを意識しましたか?

 Aメロのキーが少し低めで落ち着いた雰囲気があって。ただ、そのままの音の印象で歌うと暗くなってしまうので落ち着き過ぎないようにしました。歌詞的にも1Aは楽しく過ごしている瞬間なので。そこから別れの時間が近づいてきてというところは、メロディにも助けてもらいつつですね。あと、サビは練習の時から噛み締めて歌い過ぎて切なさが全面に出てしまう感じだったんです。2サビの歌詞に“悲しいわけじゃない”とありますが、今自分の心の中にある気持ちを咀嚼するだけでなく、それを上手く外に放出できるように。テイクを重ねたことによって、そのバランスが完成していったような感じがあります。

――サビは絶妙でした。言葉にできない思いみたいなものを、ちゃんとメロディに込めて歌っている感じがしました。

 この曲はとにかくテイクは細かく、言葉の1つ1つを大切にして歌いました。その中で良かったテイクを繋げるような感じだったので、私自身は、色んなアプローチをしました。

――最後の“Uh uh uh”にも、しっかり想いと余韻が込められていましたね。

 ここが一番難しくて!(笑)。歌詞ではあるけど、そこで何か伝わるかと言われると、言葉がないわけで、どういうテンションで歌ったらいいんだろうと、ここもテイクを重ねました。この曲は、まだ人前では歌ったことがないので、皆さんを目の前にした時にどうなるかですよね。私は楽曲へのアプローチが毎回変わるので、自分がどう歌うのかは楽しみです。リリイベも夕焼け時とかにならないかな(笑)。

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