――そんなライブで初披露されたのが、お二人のコラボレーションによる新曲「Trinity Force」。動画配信アプリ「東映特撮ファンクラブ(TTFC)」の10周年記念作品『フォルティクス 配信!推しを継ぐもの』のED主題歌になります。タイアップのお話を聞いた時の感想はいかがでしたか?
田中 10周年記念という大きな節目の作品に携わらせていただけるのは、すごく光栄でした。奥井さんには以前、私の楽曲「I need」でも歌詞を書いていただきましたが、“歌姫修行”でもご一緒させていただいているなかで、今回の「Trinity Force」を一緒に歌えることがとても嬉しかったです。
奥井 有紀ちゃんの「I need」を作詞させてもらったご縁があったからこそ実現できたことだと思うので、本当にありがたいです。
――JAM Projectとしては『牙狼〈GARO〉』シリーズで特撮とのご縁がありましたよね。
奥井 そう、逆に言うと私は『牙狼〈GARO〉』しかやったことがなかったんですよ。ただ『牙狼〈GARO〉』シリーズは大人向けの少しダークな作品なので、もちろん私もいつも歌詞を書いていますし、すごく好きな作品なんですけど、明るいヒーローの特撮ものとはまた毛色が違うので、新鮮な気持ちで取り組ませていただきました。
――田中さんは、特撮作品の楽曲を担当するのは今回が初めてですが、歌ってみたい気持ちはあった?
田中 やっぱり私も小さい頃に観ていたので、興味はありました。日曜の朝に起きて仮面ライダーや戦隊ものを観るのがルーティンで、子供の時の楽しみな時間だったので。
奥井 女の子だけど観ていたんだね。何を観ていたの?
田中 記憶に残っているなかで一番古いのは『仮面ライダー響鬼』で、『仮面ライダー電王』も観ていました。昔からバトルものも好きだったので、応援したりかっこいいなと思いながら楽しんでいた覚えがあります。そんな自分が特撮に携われるのは不思議な感覚で、子供の頃を思い出すきっかけにもなって嬉しかったです。
奥井 私は仮面ライダー1号・2号、藤岡 弘、さんの時代ですから。特撮もすごく進化しましたよね。
――『フォルティクス 配信!推しを継ぐもの』は、劇中に登場する架空の人気特撮作品『新星伝承フォルティクス』と、制作会社に勤める本条津吉(演:鈴木 福)、早田直斗(演:濱田龍臣)、海城心陽(演:武田玲奈)が物語を織り成していきます。ご覧になった感想はいかがですか?
田中 アクションが手に汗握るかっこよさで、特撮の魅力が詰まっていますし、三人の絆も素敵で、誰かのために自分を犠牲にできる強さや優しさを教えてくれる、温かい作品だと思いました。個人的には、鈴木 福さんの役どころが、特撮好きを公にして仲間と語り合っているところが素敵に感じて。私は好きなものを一人で楽しんでしまう傾向があるのですが、好きなものをみんなと共有しているのを見て、すごく楽しそうだなと思ったんです。もちろん一人で楽しむ良さもあると思うのですが、自分の「好き」を語ることが苦手と思っている人にも勇気を与えてくれる作品だと思いますし、私もこれからは好きなものを言っていこうと思いました。
奥井 私は今回、先にシナリオを読んだうえで「Trinity Force」の歌詞を書かせていただいたんですけど、有紀ちゃんが言ってくれたような、好きなものを共有することで生まれるポジティブな力や、誰かを守るための絆というのは、普通に書くとちょっと照れくさいものですけど、特撮ヒーロー作品ではむしろそういうことをストレートに書くべきだと思うんです。これは特撮だけでなくアニソンにも言えることなのですが、私は昔から、ちゃんと希望や光が見えるような歌詞にしたいと考えていて。アニメや特撮は子供たちが観るものなので、そういうものを届けるのが大人の責任だと思うし、うちのリーダー(影山ヒロノブ)もよく話されてますが、ポジティブな気持ちを学ぶためにあるっていう考えなんですよね。だからこそ今回の「Trinity Force」も、ドラマの最後にこの曲が流れることで、明るくポジティブな気持ちになれるように作詞しました。私たちの歌を聴いて「そうだ!好きなものは好きって言おうぜ!」ってなってもらえるように。
田中 やっぱりヒーローには希望であってほしいですものね。私もそれはすごく思います。
奥井 そうなんだよね。もちろんダークヒーローもかっこいいけど、そういう存在にも必ずどこかに光があるものだし、そうじゃないと“ヒーロー”とは呼べないから。そういうものが私は好きですね。
――「Trinity Force」は、サウンド的にもアッパーかつ前向きな開放感に溢れていて、まさにヒーロー作品としての希望を象徴するような楽曲です。
田中 疾走感があって駆け抜けていくイメージがありますよね。ドラマの最後に合わせてイントロのギターが流れるタイミングがぴったりで、一旦の区切りではあるけど、今後も物語が続いていきそうな期待感もあって、すごく未来を見せてくれるような楽曲だと思います。またみんなに会いたいと思ってもらえるようなサウンドと歌詞だと思いました。
奥井 そうそう、「続きそう」っていう感覚を与えてくれるよね。観ている人が、その続きの流れの中に自分の人生や日常を投影してもらって、「自分もヒーローの一員だ!」と思って生きてもらえるとすごくいいなと思います。それとメジャー調の曲なんですけど、曲とアレンジの中に、ただ明るいだけじゃない、ちょっと切ない部分があるんですよね。そこがすごく魅力的で、作品的にも葛藤やいろいろな思いが描かれる部分があるので、そういうフィルターも通して歌詞を書きました。人によっては全編明るいまま歌詞を書く人もいると思いますが、私は現実的な部分も楽曲に乗せたいタイプなので。今の時代、ただ明るいだけで生きている人はいないと思うので、現実的な悩みや葛藤からも目を逸らさず、それを乗り越えたいという気持ちを込めました。
田中 私、この曲の歌詞は本当に全部好きなのですが、そのなかでも“好きなモノを「好き」と言える 心地良さ”というフレーズが特に響きました。世の中にはいろんな考え方の人がいて、好きなものを言った時に否定されてしまうかもしれないと、発信を怖がっている人もいると思うんです。私も以前、人に「え、それ好きなの?」と言われた経験があって。
奥井 えー!私がそんなこと言われたら「そうだよ、それが何?」って言い返すね(笑)。自分の好きなものや聖域を汚す権利なんて誰にもないから。
田中 もちろんその方も悪気があって言ったわけではないんです。ただ、今の時代、SNSの普及もあって他人の生活や考えが見えすぎるので、誰かが発信している「好き」に対してマルを付ける人もいれば、バツを付ける人もいて。そんななか、私は友達と一緒にいて伸び伸びと自分の「好き」を言えたり、自分らしくいられる環境にあるので、そういう意味ですごく共感しますし、きっといろんな世代の方にも刺さるフレーズだと思います。
奥井 今の若い子は大変な環境にいるんだね。今の話を聞いて、すごく令和を感じました(笑)。私たちの時代は自分らしくいることなんて当たり前だったし、むしろ「自分らしさって何だろう?」という悩みの方が大きかったけどね。さっき話した、若い頃のMCで「いい人ぶってしまう」というのも同じで、どう振る舞うのが自分らしさなのかわからない、みたいな。
田中 奥井さんは「自分らしさ」をどう見つけていったんですか?
奥井 でも、結局何が「自分らしさ」なのかはわかっていないのかも。とにかく楽な感じでいることが大事なんですよ。もちろん自分の悪いところはちゃんと直したり努力する必要はあるけど、ある程度、自分で自分の責任を持っておけば、あとは無理せず背伸びせずいられるのが一番。私、今は悩みなんて何もないから。悩みと言えば、せいぜい体力が衰えてくることくらい(笑)。でも、有紀ちゃんは若いから、まだまだ悩むことが大事だと思う。20代は悩むことが楽しい時期だし、嫌なことも含めて自分を形成する糧になるから。逆にもっと未来になって今を振り返った時に「楽しかったなー」って思うはず。
田中 勉強になります……!
――「Trinity Force」のレコーディングエピソードや歌のこだわりについても教えてください。田中さんは奥井さんのレコーディングをリモートで見学されたとか。
田中 はい、本当は現場で直接見学させていただきたかったのですが、どうしてもスケジュールが合わず、始めの部分をリモートで見学させていただきました。もう本当にすごかったです。私の場合、レコーディングではディレクターの方と相談しながら、いろいろ練って作り上げていくのですが、奥井さんは1発目からの説得力がすごくて。肯定してくれるような力強い歌声がリモート越しでも伝わってきて、私もそうなれるように頑張りたいと思いました。
奥井 それは場数と生きてきた年数ですよ(笑)。でも、レコーディングは結局、一番最初に歌ったものがパッションがあって一番いいんです。やればやるほど声がへたったり、変にこねくり回したりすることもあるので。何回も場数を踏めば、どこが自分の一番いい声なのかが見えてくるはず。私も若い時はコーラス出身ということもあり、自分の個性を確立するのに苦労した時期があったけど、ライブをたくさん経験していくことで自分の歌声を掴んで、ライブ感のあるレコーディングができるようになりました。
田中 ああっ!私、レコーディングの時に「ライブ感を意識してください」ってよく言われます(笑)。今回のレコーディングも、奥井さんが「(歌声を綺麗に)直さない前提で歌う方がいい」とおっしゃっていたので、今回はそこを意識して、音を正確に覚えるだけでなく、奥井さんの熱量に合わせていく気持ちで、洗練されたものを出せるように臨みました。
奥井 有紀ちゃんは歌が上手だから、ピッチや音程を大きく外すようなことはないし、ライブ感をレコーディングに持っていけばもっと良くなると思う。とはいえコーラスのハモリとかは綺麗に直してもらうことで、より心地良く聴こえたりもするので、要は使いようなんだけどね。昔ながらのレコーディングの手法と新しい技術を上手に融合させていければいいなと思いますね。
――お二人で歌うことの相乗効果が生まれているようにも感じました。
奥井 私もそう思います。それこそライブで一緒に歌った時にすごく良かったんですよね。あのライブ用に書いた曲(「Pas à paS」)もあんなに明るい曲なのに自分で歌いながらグッときたし、「I need」も途中から一緒に歌わせてもらった時に、「この曲、爽やかなのに何でこんなにウルッとくるんだろう」って改めて気付かせてもらえた部分もあって。
田中 すごく嬉しいです……!
奥井 ライブで歌うことでわかることもたくさんあるし、その後にレコーディングするとすごく変わるんですよね。場数を踏むことによって、歌が自分のものに変化していく。なので「Trinity Force」も、今またレコーディングすると絶対に違う歌になると思いますし、そうやってだんだん上手になっていくものなんです。だから楽しみですよね、ザッキューちゃんとの次の“歌姫修行”も。
田中 ありがとうございます!今回、そもそもデュエット曲の経験自体が初めてでしたし、奥井さんとご一緒させていただいたことで、今までは自分の中でしっかりと揉んで作り上げた歌を出すことばかりを意識していたのが、もっとその場の閃きや「こう歌いたい!」という気持ちを大切にしてもいい、と考えられるようになったのがすごく嬉しくて。これからは自分の気持ちももっとたくさん乗せられるようになれたらと思います。
――今回のコラボと“歌姫修行”を経て、お二人は師弟関係になったと言ってもいいんですかね。
奥井 いやいや、師匠なんてそんな。私は“ママ”でいいです。
田中 ママ!いいんですか?
奥井 いろんなところに娘がいるので。またここにも新しい娘ができました(笑)。
――最後に、奥井さんから歌姫修行中の田中さんに向けてエールをいただけますでしょうか。
奥井 修行はまだ続きますからね。次のZAQちゃんとは、私とはまた全然違うタイプのライブになると思うので頑張ってください。今のところ“歌姫修行”は第3回まで決まっているみたいなので、この企画が第4回、第5回と続いて、いろんな人と修行することで、逆にみんなを引っ張っていく存在になってほしいです。私のファンの方々も、有紀ちゃんとのライブは新鮮だったみたいで、とても喜んでいました(笑)。ありがとう。
田中 こちらこそ、ありがとうございます!奥井さんとの“歌姫修行”は何から何まで勉強になったので、今後もZAQさんや、いろんな方とご一緒できるのが楽しみです。ライブ本番だけでなく、リハーサルやレコーディング、全ての経験からたくさんのことを学びたいと思います。頑張ります!
●リリース情報
奥井雅美×田中有紀
「Trinity Force」
6月7日発売
東映特撮ファンクラブ10周年記念作品
『フォルティクス 配信!推しを継ぐもの』ED主題歌

奥井雅美
オフィシャルサイト
http://makusonia.com/
オフィシャルX
https://x.com/LoveLoveDragon
田中有紀
オフィシャルサイト
https://lantis.jp/artist/tanakayuki/
オフィシャルX
https://x.com/yuki_t0626
東映特撮ファンクラブ(TTFC)
オフィシャルサイト
https://tokusatsu-fc.jp/
オフィシャルX
https://x.com/tokusatsu_fc
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