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INTERVIEW

2026.04.29

麻倉もも、ソロアーティストデビュー10周年タイミングの「crumb」で見せる新たな“かわいい”を深堀り!

麻倉もも、ソロアーティストデビュー10周年タイミングの「crumb」で見せる新たな“かわいい”を深堀り!

麻倉ももが16枚目のシングル「crumb」を4月29日にリリース。今年11月にはソロアーティストデビュー10周年を迎える彼女が「今見せたい“かわいい”」は一体どんなものなのか?絶えず、ブレず、恋の歌を歌い続ける麻倉ももに最新のモードを聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY 青木佑磨(学園祭学園)

10周年に向けて「麻倉ももはまだまだやれる」を見せるシングル

――今回は16thシングル「crumb」にまつわるインタビューなのですが、まずリリース資料に「アーティストデビュー10周年を控えた麻倉もも」と書かれていて驚愕しました。

麻倉もも そうですよね。今年はTrySailの10周年イヤーの真っ只中で、それが一段落してからようやく自分の10周年に向き合えるという感じです。なのでまだTrySailのことで精一杯で実感がないんです。私もこういう表記を見かけるようになって「そういえば」と思えるようになってきました。10周年で何をしようかという話し合いは始まっているんですけど、まだまだ先のことみたいです。

――長くインタビューをさせてもらうなかで定期的に「チームのスタッフが新しくなりまして」とお聞きするので、ひょっとして10年の活動のすべてを把握しているのは麻倉さんご本人だけなのでは?

麻倉 確かに!全部を知っている人はもう誰もいないかもしれない!あ、でも振付や演出をしてくださっているHIROMI先生は唯一、10年のすべてをわかってくれていますね。だからライブの面では安心して一緒に10周年を迎えられると思います。でも10年……言われて私も気づきました!10年ずっといるスタッフさんはいないかもしれない!でもまだいなくて困ったことは起きてないので、大丈夫でしょうと思いつつ(笑)。今のチームもちゃんと今の私を見てくれたうえで色々な提案をしてくれるので、昔の私を知らないから困るということはないのかもしれません。

――ちょうど今回のシングルの話にも繋がるのですが、最近の麻倉さんはかなり新しいことをされていますね。

麻倉 そうですね、挑戦的なこと。ユニットではやらないような、かつ今までの私の中にもなかったようなものをできていると思います。

――改めて16thシングル「crumb」はどういった起点から作られたものになるのでしょうか?

麻倉 周年イヤーが始まる前に出す最後のシングルということで、10周年に向けて勢いをつけるような1枚になったらいいねと話していました。そのなかで「こういう楽曲はどうか」と提案していただいたのがこの楽曲です。だから今回は私が「こういうことをやりたい!」というよりは、「麻倉さんこういう曲はどうですか!?」とスタッフさんに強く推してもらった感じですね。最初に想定していた方向性とは随分違ったものになったんですけど……楽曲自体の勢いというよりは「まだまだ麻倉ももはやれるんだぞ」というところを見せようという、それは間違いなくできているんじゃないかと思っています。

――それはとても感じます。今までの麻倉さんのリスナーはもちろん、すごく新規開拓に繋がりそうな楽曲ですよね。

麻倉 私自身も「こういう一面あるんだ」と思えましたね。まずこういう楽曲を素直にいいなと思えたので、自分自身でも新たな発見ができました。

――どういった形で麻倉さんに楽曲の方向性の相談があったんでしょうか?

麻倉 最初は「ドリームコア」や「没入感」みたいないくつかのキーワードを交えて提案してもらって。それで一番最初に上がってきたデモは完成系よりもっと明るかったんです。「crumb」が夕暮れだとしたら、デモはもっと朝寄りの明るい音で。

――すごくかわいらしい楽曲ではありますが、正直アニメ・声優音楽においてはまだ当たり前ではない、最新のサウンドにも思えます。

麻倉 「サウンドでもビジュアルでも今までのファンの皆さんに楽しんでもらえることを前提としつつ、新しいところにも踏み込めたら」というのはチーム的にもありましたね。新しい音を使ってみようとか、洋楽的なアプローチをしてみたりとか。

――「朝寄り」から「夕暮れ」にサウンドのイメージが修正されていったのはどういった意図だったんでしょうか?

麻倉 チーム内で「こういう方向でやりたい」という楽曲イメージを、事前にイラストや写真で共有していたんです。その中に夕暮れの草原の画像やフィルムっぽい質感の写真があって、それが画として共有できていたので「もっと夜っぽいイメージだよね」というお話がスムーズにできました。楽曲自体もそうですけど、今回はジャケットやMVのビジュアルでこういう面を見せたいというのがある程度あったので、そこに向かっていく作業です。それと前回のシングル「めいきゅーらぶみー」がファンタジー的な音と世界観だったので、今回のドリーミーな雰囲気とちゃんと差別化できるようにお伝えしました。

――確かに「めいきゅーらぶみー」はファンタジーの中でもアクティブ寄りで、物語の空間を動いている感じがありますよね。「crumb」は逆に止まっている感がある。

麻倉 「crumb」は静と動の「静」ですよね。

――「crumb」は作詞をKawaii Psycho 倶楽部が、作編曲を星銀乃丈さんが手掛けていますが、上がってきた楽曲の印象はいかがでしたか?

麻倉 一番最初にデモが上がってきた段階だと……正直難しかったです(笑)。メロディもまだふわっとついているくらいで、ラップパートも短音の音符が並んでるだけだったので、「はて?」と。でも良いものになりそうな予感はすごくしたんです。作編曲の星さんとは「HIT GIRL NUMBER」という曲でご一緒していて、信頼もあるしきっと良いものになるだろうと。

――麻倉さんの中で確信に変わるのはどのタイミングなんでしょうか。

麻倉 要望を伝えていくなかでメロディがちゃんと定まっていって、サビもキャッチーだし「すごく良い曲だ」!と思いましたね。挑戦的だけどちゃんとキャッチーさもある、いい塩梅に落とし込めそうだなと思いました。

“かわいい”や“ロマンチック”のかけらを集めたドリーミーな新機軸「crumb」

――麻倉さんは歌詞を少女マンガ的に捉えて主人公のキャラクターを設定して歌われると過去に伺っていますが、今回はどのように楽曲に向き合いましたか?

麻倉 いつもはどれくらいの年齢感でどんな女の子なのかなって考えたりするんですけど、この曲は逆にあまり考えないほうがいいのかなって。夢の中みたいな世界観なので、ふわっと抽象的な女の子。顔もおぼろげでもやがかかっているような。私自身もそれくらいの理解度で臨みました。そのほうがこの世界観を表現しやすいかなと思って。作詞のKawaii Psycho 倶楽部さんもおっしゃっていたんですけど、歌詞自体も意味というよりはかわいい言葉やロマンチックな言葉のかけらを集めたみたいな。それで歌もストーリーや人物像が見えてくるものじゃなくていいんだと思いました。

――作家陣とはお会いできたんですか?

麻倉 はい。レコーディングに来てくださって。星さんは「HIT GIRL NUMBER」の時にはお会いできなかったんですけど、その代わりに歌い方の教則ビデオを作ってくださって。

――4thアルバム『ChouChou』のインタビューで伺いましたね。リズムの取り方や歌い方の指針を示してくださったと。

麻倉 今回は対面で実演していただいて、「こうすると気持ち良くノリ良く歌えるようになります」というのを教えてもらいました。

――MIDIや譜面だけでは捉えられない複雑さがありますよね。

麻倉 メロディはもちろん、Kawaii Psycho 倶楽部さんの音のはめ方が本当に独特なんですよ。それでいつもならレコーディングに向けて歌い方を事前に細かく考えたりするんですけど、今回はテンション感や声量は現場で固めたほうが良さそうだなと。作家のお二人が来てくださって、お二人の中で正解が見えていたから、的確に「もっとこうしましょう」と悩まずに伝えてくださってすんなりと進んでいきました。私のテンションを上げるのもすごく上手な方々だったので……サッカー中継のゴールが決まった時みたいに「ヒューーー!!」って盛り上がってくれて、活気のある現場でした(笑)。

――この曲を活気のある現場で録ったのは意外すぎますね。

麻倉 良いテイクが出たら盛り上がってくださるし、ラップは苦手な部分もあるんですけど話し合いながら良いものにできたと思います。

――ストーリー性やキャラクター性が薄めの曲ですが、レコーディングの際はどんなことを思い浮かべるんでしょうか。

麻倉 あまりちゃんと「このシーン」みたいに思い浮かべることはしなかったですね。もやがかかった雲の上で、薄暗い雰囲気で、そこに寝転がりながら楽しげに歌っているイメージ。全体を通してそんな想像をしながら歌いました。

――過去のインタビューで「現実に引き戻される言葉、時代性を感じすぎる言葉」などは歌詞から減らしたいという話を伺いましたが、今回はドリーミーなサウンドの中でも“スワイプ”や“神泉”などのワードが採用されていますね。

麻倉 “スワイプした”がスマホ関係の言葉なのは確かにそうなんですけど、仮歌で歌われていた“スワイプ”という言葉の語感がすごく良かったんですよ。かわいくできる単語をかわいく歌ってくださっていたのでまったく気にならなかったです。神泉は私も気になって……一応言いました(笑)。夢の中みたいなのに神泉が急に出てくるなって。でもドリーミーだからこそ、このDメロで現実的な言葉が出てくるのが逆にいいんですよね。全部がふわふわなんじゃなくて「えっ」って思うような。

――ジャケットなどのビジュアルイメージはどのように作られていったんでしょうか?

麻倉 事前に写真で共有していた色合いのイメージを反映させつつ、今回はワードとして“ドリームコア”が軸にあったので、衣装もバブーシュカみたいなふわっとしたものを採用したり。かなりすんなり進められましたね。

――曲の印象から色が思い浮かんで、そこからビジュアルイメージを定めるといった話を以前に伺いました。今回はどのような色味を感じたんでしょうか。

麻倉 夕暮れの、紫とオレンジが混ざったような色が思い浮かんでいました。

――夕暮れというとまずオレンジが思い浮かぶと思うんですが、確かにそこから更に日が沈むと紫の時間帯もありますね。

麻倉 はい、夕暮れよりも少し時間が進んだくらいの空の色ですね。

――……「ゆめかわ」って言葉はもう死語になったんですかね?

麻倉 あー確かに!ゆめかわだ!これもゆめかわって言っていいのかな?

――最近聞かなくなりましたよね。楽曲から受ける印象はゆめかわっぽい薄紫で、でも実際のビジュアルはそれよりももっと曖昧で良い色味でした。

麻倉 私のイメージも「大人ゆめかわ」みたいな感じかもしれないです。

――こんなにもかわいらしい楽曲なのに、ボーカルもビジュアルもどこか少し大人なんですよね。意識されたりはしましたか?

麻倉 歌声は口角を上げて歌っていたりはするんですけど、ビジュアルではあまり笑ってはないんですよ。それが大人っぽさに感じるのかもしれません。

――MVも撮影されたとのことですが、こちらはどのようなものになったんでしょうか。

麻倉 ジャケットと同じ色味と質感で、森の中で寝たり……森の中で……お茶を飲んだり……フィルムのような質感だったり、今までにない不思議な映像になっています!

――チームに自分のような中年男性がいてしまうと、もっと平成レトロみたいなものが介入して「古い」「懐かしい」みたいな属性がついてしまうと思うんです。楽曲にもビジュアルにもそれが乗っていなくて、ちゃんと若者に向けた制作をされているんだなと伝わる誠実なものづくりに感じました。

麻倉 今回メインでアイデアを出してくれた女性のスタッフさんが元々カメラマンをやられていて、やりたい方向性を実現する知識もあって現場でもアイデアを出してくださったんです。

――かわいさも甘さもレトロ感も全部調味料をかけすぎていない絶妙な度合いですよね。

麻倉 はい、提案してくださるアイデアがすべて良くて、信頼して制作を進めることができました!

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