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INTERVIEW

2026.03.23

DJ和、DJ Alex Kade特別対談!アニメ『SI-VIS: The Sound of Heroes』の“音楽で世界を救う”物語とDJの親和性

DJ和、DJ Alex Kade特別対談!アニメ『SI-VIS: The Sound of Heroes』の“音楽で世界を救う”物語とDJの親和性

現在2クールにわたり放送中、音楽で世界を救う若者たちを描いたオリジナルTVアニメ『SI-VIS: The Sound of Heroes』(以下、『SI-VIS』)。ニューヨークで開催された“We Touch Grass”で本作の楽曲を用いたDJプレイを披露したDJ Alex Kadeと、韓国で行われた“Anime X Game Festival 2025”で本作の楽曲を用いたパフォーマンスをした日本のアニソンDJのトップランナーであるDJ和の特別対談が実現。音楽を主軸に置いた『SI-VIS』という作品と、世界中で広がりつつある”アニソンDJ”というカルチャーの親和性について語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 加東岳史

北米と日本のフロアの温度差の違い

――ALEXさんはTVアニメ『SI-VIS』の楽曲を用いたプレイをニューヨークで開催された、自身が主催する団体“We Touch Grass”のイベントで披露したとのことですが、そのときのフロアの雰囲気はいかがでしたか?

ALEX 僕がDJをするなかでDJ妙利に尽きるなと感じるのは、みんなが聴いたことのない曲を自分なりにリミックスしDJプレイのなかで聴いてもらうことだと考えているんです。今回の“We Touch Grass”でのプレイは『SI-VIS』と一緒に何かやらないかと声をかけていただいたところから始まっていて。そんななか、自分は曲をリミックスする時に気を付けている部分があるんですよ。それがオリジナル曲の良さを大事にしながら、どう自分の味付けを加えてみんなに聴いてもらうかというところなんです。今回『SI-VIS』の楽曲で最初にDJで使用したのは「MELODEA」だったんですが、この曲は過去の海外でヒットした楽曲たちに通じるところもあるのに、すごく新しい部分もある曲だったので、絶対盛り上がるだろうと思っていたんです。

――「MELODEA」のどのあたりに魅力を感じたんでしょう?

ALEX 特にサビの部分ですね。最初はサンディエゴ、その後カナダのカルガリー、そこからニューヨークでもこの曲を使用しましたが、やはりサビになるとみんな一気に盛り上がるんですよ。しかも初めて聴く曲でもあったはずなのに、すごくお客さんも楽しんでくれたと思っています。

――ありがとうございます。ではDJ和さんに質問なのですが、韓国で行われた“Anime X Game Festival 2025”でも『SI-VIS』楽曲などを使用したDJプレイを披露されたとのことですがいかがでしたか?

DJ和 僕、韓国には多分10回くらいDJで行かせてもらっているんですけど、韓国って日本のアニクラ(アニソンクラブイベント)文化が一番伝わっている国だと思っているんです。色んな国に行ったけど、韓国が一番日本と近い。日本も韓国も、お客さんたちがアニソンを楽しむ方法を自分たちですごく研究するんですよ。この曲が流れたらこういう動きをしようとか予習もするし復習もする。1曲ごとに楽しみ方を変えるんですよね。多分普通のクラブミュージックよりも頭を使って楽しんいでる気がしています。
そんな中で僕も「MELODEA」を流させてもらったんですが、その時初めて「MELODEA」を聴いた人もいたはずなのに、「この曲でどうしたら俺たちが一番高まれるんだろう?」ってみんなで考えていた気がしたんです。そうやって曲が育っていくというか、フロアの思考が鍛えられていくみたいな感覚がありました。

――僕は過去にロサンゼルスの“Anime Expo”に行った時、アフターパーティーのDJイベントがものすごく楽しかったんですが、同時に日本と北米の人の楽しみ方がちょっと違うなと感じたんです。ALEXが開催しているイベント“Anime Raves”ではどういう人たちが集まっていて、どういう楽しみ方をしながらパーティーが進んでいくのかを聞いてみたいです。

ALEX “Anime Raves”に遊びに来てくれる人たちは、音楽やジャパンカルチャー全体に対してすごく理解があると思っていて、言葉が分からなくてもすごく楽しんでくれる。「紅蓮華」(TVアニメ『鬼滅の刃』竈門炭治郎 立志編OPテーマ)や「ブルーバード」(TVアニメ『NARUTO-ナルト- 疾風伝』第3期OPテーマ)を選曲するとみんな大声で叫んで歌うんですよ。普段、日本語を全然しゃべらない人でもそれは変わらない。多分アニメというカルチャー全体がまだアンダーグラウンドで、ニッチなコミュニティではあるとは思うんですが、多分北米だけでも数百万人はアニメファンがいるのは感じるんです。そしてファンの結束も固い。加えて、とにかく盛り上がるっていう熱量があります。

――僕らも日本のクラブでZeddの「Clarity」が流れれば英語がしゃべれなくてもなんとなく歌ったりする。多分それと同じことなんでしょうね。根底に流れている「音楽もアニメも好きだ」という気持ちは、国や言語と関係ないんだなと思いました。

ALEX 本当にそれはそうだと思いますね。

――和さんの目から見て、日本と海外でお客さんの楽しみ方が違うと感じる瞬間はありますか?

DJ和 アジアが一番多いですけど、アメリカ、ドイツ、イタリア、サウジアラビアとかでDJさせていただくことがあって、その地域によって楽しみ方は全然違うと思っています。先ほども言いましたが、アジアは日本に近く、北米やヨーロッパとは全然違うんです。ライブっぽくDJを楽しむ人が多いイメージですね。
アジアって欧米に比べて、生活の中にダンス文化がないと思うんです。盆踊りのような土着的なものはありますし、日本だったらディスコで踊るとかはバブル期にありましたが、ホームパーティーをやろうとか、曲を流して踊ろうというような文化がない中で僕らは育ってきた。だから音楽が流れたら自ら踊りだすみたいなことには抵抗があると思うんです。

――確かにそうかも知れません。

DJ和 アメリカなんかに行くと、音楽の楽しみ方に自主性があるんです。音楽に対して自分たちでどんどん前のめりにノリ始めるというか。僕が何もしなくても勝手に音に乗ってくれる。DJをやっているだけで常にフロアの熱量が平均値を超えているみたいな感覚があるんです。でもアジアでプレイする時はフロアの温度はゼロスタート。曲を紡いでテンションをビルドアップしていかないといけない。

――フロアの温度が最初から欧米は高いと。

DJ和 そうですね。欧米は最初からフロアが良い感じに楽しむ準備が出来ているというか、基準が既に真ん中にある気がする。それをどう上げたり下げたりするかの技術が求められる感じがあります。アジアはそのフロアの温度の基準値が低いところからスタートするので、それをどこまで上げられるかが求められる。DJ文化というものがヨーロッパスタートで、アジアはそこから一番地理的にも遠いわけだから、DJという存在、DJイベントに対しての楽しみ方や伝わり方が全然違うとは思いますね。

――音楽とダンスという結びつきが遺伝子レベルで違うのかもしれませんね。

DJ和 僕ら日本人は切り替えの文化なんです。イベントに入場する時もちゃんと静かに並ぶ。お金を払って、入場して、音楽が鳴り始めたら楽しんでいいんだなみたいな切り替えが日本人はキッチリしてると感じていて。欧米の方ってもうちょっと緩やかというか、僕らみたいな切り替えをせず、日常の中でも音楽や踊りを楽しむ。生活と音楽が繋がってる感じがしています。

――そしてALEXをアニソンDJって呼んでいいのかちょっと分からないんですけど、大きく“アニメソングを使ったDJをプレイする人”としてお聞きしたいのですが、2人が考えるアニソンDJの定義ってどういうものなのでしょうか?

ALEX 自分の場合は本当に子供の頃に観て聴いた、大好きなアニソンを自分のDJセットに入れて、より多くの人に聴いてもらいたい、盛り上がってもらいたいと思っているんです。多分みんなも子供の頃に観て聴いた大好きな曲のはずだから、それをセットに入れることでみんなで盛り上がろうよということをしたいんです。

――なるほど。

ALEX 自分は必ずしもアニソンDJではないかもしれないけども、アニメが大好きなDJであり、アニソンをかけるのが大好きなDJだとは思うんです。多分北米やヨーロッパにはそういう人が多い。少しずつアニメというものがいわゆるメジャーな人たちの中でも浸透しているし、アニソンもただアニメ好きの間だけで聴くものじゃなくて、メインストリームなシーンでも聴くものになってきている感じがある。特にコロナ禍前と比べると状況が全然変わってきていて。多くのセレブが「自分もアニメ好きだ」ということを語るようになってきていますね。

――「アニメが好き」「影響を受けている」ということをカミングアウトするハードルが下がっているんですかね。

ALEX そうだと思います。自分たちのライブのビジュアルにアニメの影響を受けていることが表現されていたり、アニメの動画をVJの素材として使っている人たちもすごく増えましたからね。あとはプロデューサーも日本のシンガーや作曲家とのコラボレーションを積極的にするようになって来ているのは感じます。

DJ和 今のALEXの話を聞いて思ったのが、アニソンDJの定義は「アニソン大好きDJ」だと思うんです。アニソンDJをやっててアニソン嫌いな人、絶対いないじゃないですか。理由もなくアニソンをかけたら沢山お金がもらえるから使うとか、そういう世界じゃない。だから「本当に好きだからアニソンを使う」みたいな特殊感があるんですよ。自分が好きな曲を流して、それを好きな人がここ(フロア)にいっぱいいて「俺も好き、みんなも好き!」みたいになる感じ。そこには好きをみんなで集めた時間というか、そういう空間があると思うんです。

――僕らはアニソン大好きですからね(笑)。

DJ和 そう、だからかけたいし、爆音で聴きたいし、みんなで盛り上がりたいし、盛り上げたい。それも自分の理想とするタイミングや曲順で楽しみたいんですよ。この曲からこの曲に行ったらこんだけ楽しい!みたいなことをやっているんですけど、それは好きだからこそやれているというか。

――DJを始める初期衝動も、“好きな曲を好きに流して歌いたい、踊りたい”ですもんね。

DJ和 DJは最初好きな曲しか持っていないので、ただ好きな曲同士をつなぐだけからスタートすると思うんです。そこから曲のライブラリーを増やしていくわけですが、ヒットチャートに登る曲はすぐ出会えますけど、一昔前の曲は自分で探しに行かないと出会えない。アニソンだったらアニメイトに行って、ゲーマーズに行って、“リスアニ!(リスアニ!LIVE)”“アニサマ(Animelo Summer Live)” “アニマックス(ANIMAX MUSIX)”に行ったりしないといけないんです。だからアニソンって待ちの体制だと楽しめないジャンルだと思うんです。おかげで好きな人が集まりやすいし、濃度が濃くなっていく。やっぱり他のジャンルとは異質な雰囲気がある気がします。

次ページ:『SI-VIS』のリミックスは、色んなジャンルをまたいだものにしたかった

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