【特集】いきづらい部！キャスト リレーインタビュー第10回：涼ノ瀬葵音（佐々木翔音役）――翔音との出会い、その人生を背負う覚悟と演じる楽しさ

5年後、10年後、応援して良かったと思ってもらえるように

――いきづらい部！のデビューシングル「What is my LIFE?」が最初のレコーディングになったと思うのですが、どのような気持ちでしたか？

涼ノ瀬　この曲を初めて聴いた時、「本当にこの曲を翔音が歌ってくれるんだ！」とワクワクする気持ちがありました。同時に、“翔音は私が歌わないと歌えない”という、当たり前のことに気づいて、翔音をすごく愛おしく感じました。ほぼ初めてのオーディションだったので、自分以外の誰かを担う経験もないですし、この子の人生を背負う責任の大きさをすごく感じたことを覚えています。だからこそ、翔音がこの曲を歌うとしたら、メンバーと出会う前の、新しい道に一歩踏み出すときの未来への希望を歌うだろうなと思ったので、明るくポジティブな気持ちでレコーディングに臨みました。

――緊張もせず？

涼ノ瀬　緊張をしたくなかったので、しないためにすごく練習をして準備したうえで臨みました。

――でも、準備したものが崩れた時に困ったりしますよね？

涼ノ瀬　そうなんです！練習をしすぎて、自分の中にあるイメージを固めすぎてしまうと、レコーディング現場でとっさに別のニュアンスを引き出すのが難しくなるというデメリットがあるので、今後はもう少し柔らかく考えていけるようになりたいです。

――練習していた時は、こう歌おうとか、歌詞の意味などを書き込んでいたのですか？

涼ノ瀬　楽曲を受け取った時、まずは歌わずに何度も何度も聴いて、歌詞のことを考えずに、メロディだけで、「何でここにはこの楽器を使っているんだろう？」とか、「この楽器を使うことで何を表現したかったのだろう？」と考えました。その後に歌詞を見て、翔音だったら、ここはどういう心情で歌うのかを、自分が共感できるまで、何度も何度も聴くということをしていました。

――使用楽器まで分解して考える方は、初めてです（笑）。

涼ノ瀬　私にできるところまでですけどね。ただ、歌詞に関しては、考えすぎなくても捉えられる感覚的なものもあると思うんです。この曲であれば“始まりたい？あたらしいことがしたい”というのは良い意味で大雑把な希望が描かれているように思いますし。このあたりは自分の中で大事に歌いました。

――歌って、とにかくこれが一番伝えたいんだ！という大きなテーマみたいなものがありますからね。

涼ノ瀬　そうですよね。なので、とにかくこの曲を聴いた時、聴いてくださった方の背中を押せるような曲にしたかったので、その気持ちを込めていきました。それが伝えられていたら嬉しいです。

――でも、そこまで分解したのなら、気に入っている歌詞を聞いてみたいです。

涼ノ瀬　やっぱりサビの“始まりたい？あたらしいことがしたい”のフレーズは、私もこれまでの経験で感じていた気持ちなので心に刺さりました。それとポルカちゃんが“君とのイントロが流れて”と歌うところは、曲の始まりを意味する“イントロ”というワードを使っているところがすごくおしゃれで、耳に残りました。“イントロ”という言葉は、この曲のテーマにすごくぴったりだと思うんです。

――まさにいきづらい部！も始まったばかりですから、イントロですよね。

涼ノ瀬　なので、この曲はどこを取っても前向きになれる歌詞だなと思います。

――個人的に、最後のロングトーンは結構伸ばすなと思っていたんですけど、実際に歌うのは大変じゃないですか？

涼ノ瀬　そうなんです！ライブで歌う時は、あそこはダンスが終わった後になるので、結構ハアハア息を切らせながら頑張って声を伸ばしています（笑）。

――ちなみにダンスの見どころはありますか？

涼ノ瀬　“胸のツバサ”というフレーズが3回出てくるのですが、最初は1人で“胸のツバサ”を作っているのが、2番ではそれが2人になって、最後は全員で大きなツバサを作る振り付けになっているんです。そこはストーリー性を感じさせるのでお気に入りです。私もダンスの先生に振付の理由を教わってびっくりしたところではあるんですけど。

――振付と言えば、「ヒミツミチ」では、ポルカと翔音が手を繋ぐのも印象的です。

涼ノ瀬　池袋サンシャインシティの噴水広場で初めてパフォーマンスをさせていただいた時、そこでとても盛り上がったのが、私の中では予想外で本当にびっくりしましたし、私もあの瞬間は気持ちが盛り上がりました。翔音はポルカたちメンバーと出会って、自分らしくいられる居場所を見つけられたと思うんです。それは翔音も嬉しく思っていると思うので、これからの展開が楽しみです。

――「ヒミツミチ」も、歌詞がすごく良いですよね。翔音が“でも君と巡り会えたから”と歌っているのもエモさがあって。

涼ノ瀬　メロディに乗せずに言葉としてこのフレーズを聞くと、翔音の心からの思いなんだなと思えて、ジーンときてしまいました。この曲を聴いていると、メンバーが夕日を背景に仲良く歌っているような情景が浮かんで、すごく温かい気持ちになるので、この曲の雰囲気は素敵だなと思います。

――続いて翔音のソロ曲「イキタクナイevery day」ですが、すごく衝撃的でした。曲はカッコかわいいのに、歌詞が結構シリアスですよね？

涼ノ瀬　私も結構言葉が強い歌詞だと思いましたし、歌詞と曲調のギャップで、翔音を表現している感じがしました。この曲を何度も聴いていくうちに、流れ星のような儚さがあるなと感じたんです。翔音の孤高さと孤独感が同時に表されている曲だと思いました。

――孤高さと孤独感。まさにです。

涼ノ瀬　翔音の思わず強がってしまう部分と、本当は心のどこかで辛さや寂しさを感じている部分、その2つの感情が同時に乗っている曲だと思うんですよね。受け取った時は、曲がアップテンポなので、歌詞がそこまでネガティブだとは感じていなかったのですが、何度も聴いて、歌詞を読み解くうちに、そんな想いが表されているんだなと思いました。

――“人生ってイカレてるニーハイでやり過ごせ”あたりも、翔音らしいですよね。

涼ノ瀬　このあたりは、翔音の投げやりな気持ちも表されていると思ったので、レコーディングでは、スパーンと放たれるような歌い方をしました。

――また、“Blue”という言葉の使い方も、憂鬱という意味合いから、最後は“Blue Bird Blue Bird 探すよ”と、意味合いが変わっていく感じも良かったです。作品タイトルにも紐づく“Blue Bird”というワードがあるのは、今のところ春宮ゆくりの「Pray for love」とこの曲の2曲だけなんですよね。

涼ノ瀬　曲の最初からストーリーが流れていくなかで、どういうルートであれ、前向きな気持ちに繋がっていくような感じがしたので、そこが素敵だなと思いました。“Blue Bird”にどんな意味が込められているのかは私もわからないですが、原案の公野櫻子さんが書いている歌詞ということもあり、奥の深さを感じます。

――そして金曜日と土曜日以外は“Blue”なんだなと共感しました（笑）。

涼ノ瀬　私もそれが翔音の本音なのかなと思いました（笑）。多くの人に共感していただける歌詞だと思います。

――歌い方で感情がこもっている箇所が多くありましたが、特に“愛してる大好きさ”は、すごく気持ちが乗っていると思いました。

涼ノ瀬　歌詞を、翔音を演じるための台本として捉えた時に、このフレーズは誰に向かって言っているのか、翔音が自分自身に向けて言っているのかなど、色々なことを考えたんです。そのうえで、この“愛してる”のところは、応援してくれているみんなに対する心からの感謝だと解釈して、思い切り愛を乗せるべきだと思って歌いました。でも、その気持ちをメロディに乗せながら歌わなければいけないと思ったら、頭がパンクしそうになってしまって……本当にたくさん練習をしました。

――そして“Look”や“Back”の言い方も、すごくかっこよかったです。

涼ノ瀬　ここは最初、普通に歌っていたのですが、いろいろ模索していく中で息を多めにして歌ってみたら、よりかっこよく表現することができました。

――ここはライブで盛り上がると思います。

涼ノ瀬　私も早くライブで歌いたいです！

――では最後に、『イキヅライブ！ LOVELIVE! BLUEBIRD』は、まだ何も決まっていないプロジェクトです。今後どんなことをやりたいですか？

涼ノ瀬　私たちいきづらい部！の未来を皆さんと一緒に作っていくためにも、まずは私たちのことをもっとたくさんの方に知っていただいて、応援したいと思っていただけるようになることが、私たちのひとつの大きな目標です。応援してくださっている方に、5年後10年後、いきづらい部！を応援していて良かったなと、心から思っていただけるよう、私たちもひとつひとつの活動に向き合っていくので、応援してくださると嬉しいです。よろしくお願いします！