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INTERVIEW

2025.08.10

シンガーソングライター・汐れいらがTVアニメ『薫る花は凛と咲く』EDテーマを担当。雨の情景から制作がスタートした「ハレの日」、制作過程を語る。

シンガーソングライター・汐れいらがTVアニメ『薫る花は凛と咲く』EDテーマを担当。雨の情景から制作がスタートした「ハレの日」、制作過程を語る。

2022年に恋愛リアリティ番組で挿入歌に起用された「センチメンタル・キス」がバイラルヒットを記録し、2023年にメジャーデビューを果たした23歳のシンガーソングライター・汐れいら。同年10月に配信リリースした「味噌汁とバター」が実に2年後となる2025年4月にTVアニメ『日々は過ぎれど飯うまし』EDテーマに抜擢され、楽曲の関連動画の再生数が100万回を突破した彼女が、TVアニメ『薫る花は凛と咲く』のEDテーマで初のアニメ書き下ろしに挑んでいる。原作を読み込み、新曲「ハレの日」を書き上げた彼女の制作過程を詳しく聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY 永堀アツオ

TVアニメ『薫る花は凛と咲く』のEDテーマ「ハレの日」

――最初にTVアニメ『薫る花は凛と咲く』のEDテーマに起用された時の率直な心境から聞かせてください。

汐れいら 初めてアニメに対して書き下ろしというのをしたんですけど、一度、違うアニメで、既存の曲を使ってもらった時があって。その時とは全然違うし、いつもの書き方とも違うので、どういう曲ができるんだろうなと思っていました。

――ちなみに、美味しいご飯を食べる時に感じる“普通の幸せ”をテーマに制作された「味噌汁とバター」がリリースから2年後にアニメに使われることが決まった時はどう感じました?

 それもすごく嬉しかったです。そもそも、「味噌汁とバター」はもっと前にリリースする予定だったんですが、あとになるほうが聴いてくださる方が多くなるからという理由で、ちょっと伸びたんですね。新しく出た曲のほうが今いるファンの方に聴いてもらえるので。昔の曲が掘られることって、タイアップとかじゃない限りあまりないことなんだろうなと思っていて。でも、この曲は自分の曲の中でも自分が出ていて。

――僕は2年前のコンベンションで拝見したんですけど、「私、飽き性で、幸せっていう感情にも飽きちゃったりするんです。そんな私にも飽きないものがありました……それは、ご飯です!」と笑顔で絶叫していて。いまだにそのMCをすぐ言えるくらい印象的だったんです。

 あははは。そんなに覚えていただいていて、すごく嬉しいです。周りからも私が出ている曲だねと言ってもらっていて。デモをスタッフさんに送った時も、「すごくいいね」と言ってくれたんですね。だから、自分の満足度も高いですし、実際に曲を出した時の皆さんの反応も良かったんです。でも、聴いてもらえる数はまだそんなに多くなくて……。それが、まさかの二度目になる、また知らない人が知ってくれる機会をいただいて。アニメを観た方からも良いコメントばかりいただいたので、すごく嬉しかったですね。

――繰り返しなるのですが、「味噌汁とバター」は自分を出した曲がアニメに使われるという形になりましたが、今回は全然、違う作り方ですよね。

 そうですね。自分で書く時は、自分の中の満足度がメインになるんですね。どこまで突き詰めるか。最後はこれにしようと決めるのは、満足度の部分なんですね。自分で作る時は、自分の中のものを1曲で再現するので、自分が一番わかっていなくちゃいけないですし、それをどう伝えるかというのも自分次第になる。でも、今回は、自分、周りの人、視聴者さんに共通した真実があって。色んな見方はあれど、1個の作品がある。そこで、自分の中でしっくりきた言葉選びやメロディが、他の人にとってもしっくりくるものだとより自信になるというか。自分がイメージするところに辿り着けたのが嬉しかったですし、それがまた採用してもらえた時はさらに嬉しく感じて。すごく楽しくできました。

――改めて、楽曲制作の過程をお伺いしたいと思うんですが、まず、原作を読んだ時にどんな感想を抱きましたか?

 普通の恋愛マンガと違って、悪者がほぼいないんですよね。みんな良い人。しかも、恋愛要素はたくさんあるけれど、すごく純粋だし、嫉妬心すらもドロドロしていないので、どちらかというと愛情のほうが近いなと感じて。虹色にも感じるし、白っぽくも感じるし。そこから、曲には天気のことと、お花のことを書きたいなと思って。

――「薫る花は凛と咲く」というタイトルだし。

 そう。でも、お花メインだけだと、つまらなくはないけれど、作品からそのままっていうよりは、リンクしつつ、違う視点のものを書けたらなと思っていた時に、主人公の(紬)凛太郎くんは実家のケーキ屋さんをお手伝いしている時に(和栗)薫子さんと出会うので、お花とケーキで「結婚式」が思い浮かんで。でも、結婚式みたいな毎日というか。特別な毎日なんだけど、別に盛大じゃないというか、さりげない幸せのアニメだなと思ってたんですね。

――結婚式だけど、結婚式じゃない、普通の日々?

 ケーキやお花って、特別な日にしか渡したりしないと思うんですけど、普通の日常の中でもあげていいし、あげたいなって。記念日じゃない日を特別にしていこう、みたいなのがいいなと思って。その時に、「あ、これだ」と思えたのは、この作品があったからなんですよね。作品を上手く自分に落とし込めたし、落とし込まれているというか。

――でも、胸キュン青春学園アニメだから、結婚式を連想させるワードを使うのはなかなか勇気がいることじゃないですか。

 私はまず、「言葉をかけること」に意味を見いだしちゃうというか、私の中での満足度が上がるというのがあって。最初に天気があってこれは、薫子の視点なんですけど、その前に先に同じメロディで凛太郎視点で書いていて。凛太郎視点は、雨が降っているけれど、虹が出ている。その曲は「曇(どん)な日も」というタイトルだったんです。その対比になるように、薫子視点で「ハレの日に」にしていて。

――「曇りの日」と「どんな日」、「晴れの日」と「ハレの日」をかけているんですね。

 そうです。天気の晴れもあるんですけど、結婚式のハレでもある。最初は洗濯物を干してる情景で、濡れた洗濯物や自分が悲しかった時に泣いた涙がだんだんも晴れていく感じを書きたくて。

――どうして雨の情景から始めたんですか?

 最初に原作を読んだ時に、相合傘をしてるところが浮かんで。この曲は両方がお花を持っているんですけど、最初に書いたほうは相手に傘を届けに行くんですね。そしたら、相手も傘を持っていて、みたいな情景が浮かんでいて。それを女の子視点のほうはお花にして。守りたいというよりも、飾りたいというか、キラキラした感じが浮かんだんですけど、凛太郎くん視点だと、助けたい、守りたいというのが浮かんで。でも、仰々しすぎるのではなくて、傘で雨から守るっていう。2人で1つのものだけど、両方とも持っている、みたいな絵が浮かんで。そこから書き始めました。でも確かに、なぜか頭に空の情景はありましたね。

――凛太郎視点から薫子視点にガラッと変えたのはどうしてですか?

 スタッフから「女の子視点も見たい」と言われて。確かに対で書くのは、アンサーソング的な感じで楽しいので。だから、作品に対して書いたけど、自分の中でもまた物語ができるっていうのが楽しくて書きましたね。

――薫子視点のどんな感情や心情を書こうと思いました?

 やっぱり真っ直ぐさですね。「あなただからいい」というが想いが強いと思っていて。しかも、それを真っ直ぐに言えてしまう。歌詞にある“愛情が薫っている”なんかも意識した部分ですね。

――“eat a cake”もアニメとリンクしてますし。

 最初“甘くなくてもいい”にしようかと思ったんですよね。原作を読むと薫子はそんな甘くないほうが好きらしく、そこは添いたいなと思って。たくさん食べる子だけど、小さくてもいいから2人分あればいいにしようかな、とか。結構、原作は意識しましたね。

――他にもありますか?

 “愛の顔つき”は、薫子が凛太郎の表情をすごく見ているシーンですね。逆に、凛太郎のほうはちょっと照れて、真っ直ぐは見つめられないところがある。薫子はじっと見ているタイプなので、“愛の顔つき”にして。自分に対しての相手の愛情は顔や目に出ると思うんですね。それ見て愛情を感じるというか。言葉じゃなくて、自分のことを好いてくれてるなっていう表情を見て、ようやく愛されている実感が沸くと思って。

――アニメと寄り添いながらも、ご自身の経験や気持ちと重なった部分もありましたか?

 嬉しいことより、悲しいことを共有できるほうが自分は好きだなと思っていて……。

――どうしてですか?

 嬉しいことは1人でも嬉しいから。

――あはははは。

 負の感情のほうが個性が出ると思っていて。例えば、食べ物もそうなんですけど、好きな食べ物より苦手な食べ物の理由のほうが独特というか、その人の個性が出るって思ってて。

――確かに、嫌いな食べ物が一緒だと急に親近感が湧いたりします。

 よく言うことですけど、良いところを見て好きじゃなくて、ダメなとこ見ても好き、みたいな感じですね。負の感情を受け入れてもらったり、共有したほうが、愛が大きいなって感じる。一緒に悲しんでくれたり、悲しみたいっていうのはありますね。

何でもない日々、それが幸せ――

――1曲だけでも汐さんの独特の思想や恋愛観が伝わってきますね。“なんでもないこと”や“ただの日常”というのも、とても汐さんらしさが出ている気がします。

 私、中学生の終わりくらいから日記を書いていて。毎日、日記を書くんですけど、日記を書き始めてから、ハッピーになったんですよ。嬉しいことって忘れちゃうから、毎日、書き出していくと、日々の満足が上がって。そこから毎日が楽しくなるようになって。だから、自分も忘れがちっていうのもあるんですけど、自分に言い聞かせるというか、自分に言いたいことっていう意味でもありますね。何でもない日々のほうが特別だっていうのは。

――日常を歌うということは意識されていますか?

 どちらかというと、「日常じゃない」を書かないほうに意識が向いていますね。仰々しいというか。

――ちなみに日記を書き始めたのは何か理由あったんですか?

 はっきりとは覚えてないんですけど、そもそも文字を書くのが好きで、ノートも好きなんですね。何か大事なものを閉じ込めるためにいつもノートを使っていて。幼稚園くらいの時にピューロランドに行って、キティちゃんがショウですごくきれいなドレス着ていたんですね。そういうキラキラしたきれいな色や夕焼けの色がすごく好きなんですけど、手には入らないじゃないですか。幼稚園の頃からそういう色をクレヨンで書いて、ノートで持っておくと、自分のものになったみたい感覚があって。ものにならないものに価値を感じてるけど、ものにしたい、みたいな。だから、感情も忘れちゃうから書いておこう、みたいな感じで始めた気がしますね。

――楽曲の話に戻ると、歌入れはどんなアプローチで臨みましたか?

 歌によって声を変えたりしつつも、飲まれちゃう時があるというか、曲に寄り添いすぎてしまうなということに最近、気づいて。もちろん、曲に対してはそうあるべきだけれど、自分を出すのも、自分を保つのも大事だなと思って。だから、この曲も、もしも曲に寄り添いすぎたらもっと息多めの優しい感じになったと思うんですけど、「センチメタル・キス」と比べたら割とハキハキと歌いましたね。

――アニメの絵についたものを観た時はどう感じましたか?

 元々色んなアニメを観ていたので、こんなにきれいに書いてくれるんだ!と思いましたし、やっぱり最後に自分の名前が載るのは嬉しかったですね。私の曲を聴いて作画してくれたことも嬉しかったですし、リンゴの絵も入っていて。私のことを前から知ってくれている方が、「センチメンタル・キス」のリンゴと繋がって嬉しいって言ってくださっていてt。

――「センチメンタル・キス」のジャケットには2つのリンゴが並んでいますね。薫子さんは傘を持っていますし。

 そうなんですよ。皆さんが、いろんな考察をしているのを見るのも楽しかったです。「薫子ちゃんの指が学校を押して近づけている」と言われた時には、「あ、すごっ!」って。めちゃくちゃこだわっているのを感じて嬉しかったです。

――元々アニメ好きだったんですか?

 一時期すごく観ていました。どちらかというと声優さんが好きで。宮野(真守)さんが大好きで。元々声フェチがあったんですけど、友達に勧められてハマってしまって。特に『Free!』の時期は「リスアニ!」も買っていましたし、宮野さんの日本武道館ライブに行ったりもしていました。だから、今回も内山(昂輝)さんの声がすごく好きで、先行上映会に行かせてもらった時に声を聞いて、「ヤバッ!」って(笑)。

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