INTERVIEW
2025.07.03
ソロシンガーとしても順調に活動を続けるCHiCOと、人気バーチャルシンガー・花譜が、CHiCO×花譜としての「Story Tellers」と、花譜×CHiCOとしての「撃って」を2曲同時にデジタルリリース！ それを記念して2人のスペシャル対談を前後編でお届け。2人の出会いとコラボの経緯を話してもらった前編に続き、後編では「Story Tellers」と「撃って」の2曲について聞いた。
★前編はこちら
https://www.lisani.jp/0000285693/
INTERVIEW & TEXT BY 阿部美香
――では今回のWリリース1曲ずつ、お話を聞かせてください。花譜さんチーム制作の花譜×CHiCOナンバー「撃って」（ぶって）は、 “組曲2”プロジェクトの第6弾楽曲となりました。作詞・作曲・編曲を手がけたのは清竜人さんですが、清 竜人さんから楽曲提供を受けるのは初めて？
花譜 はい。初めてなんですけど、以前カバーライブを数年に1度開催していて、その時に清 竜人さんの曲をカバーさせていただいたりもしておりました。
――CHiCOさんのライブで聴いた時も驚きましたが、まるでミュージカルのようなドラマティックなオープニングから、ジャジーな曲調が展開するとてもオシャレなナンバーで、お二人の縦横無尽なハーモニーも魅力です。曲を受け取って感じたことは？
花譜 そうですね。最初、フリーテンポで始まるところからどんどん盛り上がって、最後はもうなんか“花火”なっていくのが見えるような……疾走感がありながら、泣きたくなるような感じがするんですが、それすらも痛快に歌う、みたいな。“生”を……生きている感じを、心にまざまざと刻みつけられる歌詞もメロディも素敵だなと思いました。
CHiCO 私はすごく難しい曲だなと思いましたね。楽曲の世界観もそうですし、ボーカルのメロディもめちゃめちゃかっこいいんですけど、すごく歌のテクニックを必要とする曲だなと。受け取った時は、これをどう花譜ちゃんは歌うんだろう？というのを想像しましたし、花譜ちゃんに合わせていくのがいいのか、私は私で色をガツンと出したほうがいいのかを考えましたね。花譜ちゃんは、どんなふうに歌おうと思いました？
花譜 私は……出だしが自分の歌始まりなので、そこはみんなをガッと引き寄せられる歌い方にして、その後にリズムが入って賑やかになっていくところは跳ねるようなイメージでとか、英語の歌詞のところは流れるように歌おうとか。あと2番に“ただ生きていたい”という歌詞があるんですけど、そこはこの曲で一番強く歌いたいところだったので、ニュアンスにも試行錯誤しました。
――CHiCOさんが難しく感じたという歌詞の世界観も魅惑的ですよね。耽美的な言葉も並んでいますが、花譜さんはどうイメージしました？
花譜 そうですね。“時計台の午前0時”とか“私はそっと孤独を抱きしめる”とか……寂しさは感じました。竜人さんは、私たち2人の声から受けたインスピレーションで書いてくださったそうなんですが……一人ぼっちでいた世界に、誰かが入ってくれるのを待っていたり、会いに行ったりするような。そんなイメージをしました。そんな世界で、“掴む”でも“捉える”でもなく“撃つ”……「撃って」という、竜人さんの唯一無二の言語感覚に、強さを感じます。
CHiCO すごくロマンチックですよね。この曲の中で燃え尽きる！みたいな世界観なのかなと。孤独というのも、リアルと現実のギャップを感じるし、私たちの歌声を唯一無二と言ってくれているこの曲で、花譜ちゃんと私の世界を作って届ける。曲の冒頭に“魂は短いのさ”とありますけど、この曲でみんなの世界を変える、この曲で燃え尽きてやる！みたいな、熱い気持ちを感じました。あと1つ、気になる歌詞があって……。
花譜 なんだろう？
CHiCO ……花譜ちゃんって血液型O型ですか？
花譜 いえ、B型です。
CHiCO 歌詞に“BloodtypeBO”ってフレーズがあって私がB型だから、花譜ちゃんがO型なのかも？と思っていたんですけど……違った！（笑）。
花譜 うーん、自分たちじゃなく、きっとこの曲の主人公にまつわることかも？（苦笑）。
CHiCO 謎が深まってしまった……ここは、聴いてくれた方にぜひ考察してもらいましょう！
――そして「撃って」の音楽的な魅力の1つが、様々に展開する2人のハーモニーですね。
花譜 はい。CHiCOさんのライブでご一緒した時も、2人で別々の旋律を歌って。
CHiCO お互いメインメロに行ったりハモに行ったりが、すごく入り混じっているんですよ。レコーディングで、コーラスをたくさん録ったのはいいものの……ライブ本番どうしよう？花譜ちゃんに釣られずに歌えるかな!?とちょっと心配だったんですけど……（苦笑）。
花譜 私のほうは、CHiCOさんに委ねようと思いつつ（苦笑）。でもライブもそうでしたけど、音源で聴いても2人の声がすごくきれいに混ざり合っていて、とても素敵な曲になりました。
CHiCO 2人の声だけでも音の厚みが結構、豪華になっているので、そこにも注目してもらえたら！
――そしてCHiCOさん側制作によるCHiCO×花譜「Story Tellers」は、「インパーフェクト」に続いてSPYAIRメンバーとのコラボ曲でもあります。今回、作詞はMOMIKENさんとCHiCOさんの共作で、作曲はUZさんです。「撃って」とはまったく違うテイストで、SPYAIRさんらしいパワーのあるロック色が強いナンバーになりました。
CHiCO 「インパーフェクト」を書いていただいた時、私はSPYAIRさんのロックバラード風というか、ミドルテンポのロックも好きなので、今回、花譜ちゃんとのコラボでどなたに曲を書いていただこうか？とCHiCOチームで話し合いをしたなかで、ぜひSPYAIRさんにお願いしよう！となったんです。そして私もせっかく花譜ちゃんとのコラボなので作詞をしてみたいし、私と花譜ちゃんの共通する部分を歌詞で引き出せたらいいな！という想いで、MOMIKENさんと共作させてもらいました。
花譜 実は私、作詞にCHiCOちゃんが参加されていることを、自分のパートのレコーディングの後で知りまして……。
CHiCO そうなんですよね、先にお伝えしそびれていて……（苦笑）。
花譜 でも、だからなおさらですかね？さっきCHiCOちゃんもおっしゃってましたけど、私達が歌の物語の語り手として、その世界に一緒に存在させてもらってるみたいな感じが、この曲にももちろんありましたし、普段過ごしてる日々の生活の中でフッと見える風景とか景色がすごい思い出させられる、すごく身近な感じがある曲だなと思いました。
CHiCO 良かった、そう言ってもらえて。同じ音楽活動でしてるんだけどいる場所が違う、そんな1人1人のアーティストが、今回1つに繋がって同じ道を向いた瞬間というか。私と花譜ちゃんだからこその世界観を届けたいという想いをMOMIKENさんにもお伝えして、そこにMOMIKENさんの世界観を交ぜていただいて1番を書いてもらい。2番から先は私も書かせてもらいました。だから歌詞の内容も、聴く方もイメージしやすいようにストレートな言葉が並びましたね。聴いてくれる方が、自分のストーリーを切り拓いていけるよう、ポジティブな捉え方をしてもらえたら嬉しいです。
花譜 わかります！2番でちょっと道に迷って、どっちに行けばいいんだろう？と迷っていたけど、ラスサビ前では、自分の景色は自分が描いていくんだという決心があって、またパッと最後に向かって広がっていくような。そういうストーリー展開が、すごくきれいに描かれている曲だなと思います。
――歌ってみて感じたこと、意識したことは？
花譜 普段自分が歌ってる曲は、もっと高いほうのレンジを使うことが多いので、声を張り上げないで歌う曲は、すごく久しぶりな気がします。新鮮でした。
CHiCO キーでいうと、私が苦手な音がいくつかあるので、そこは丁寧に。あとテンポ的にもゆったりめなので、前からやってみたかった、たっぷり腹から声を出して歌う歌い方ができたので、レコーディングも楽しかったです。
花譜 私も、すごく楽しく歌えました、2曲とも。「Story Tellers」では特に、サビの“Story tellers Keep on writing”や、Dメロの“全て手に入れたいんだ 星も世界も”だったり、掛け合いの部分はCHiCOちゃんと一緒に歌ってる実感がとてもあって、すごくワクワクしました。
CHiCO ライブでも、一緒に向かい合って歌ったしね！花譜ちゃんが言ってくれた“全て手に入れたいんだ 星も世界も”のDメロは、ライブでも特に熱かった瞬間でしたね。その後のフレーズに“掴んだ過去と未来は 誰にも握らせはしない”とあるんですけど、この歌詞はストーリーテラーと名付けていたり、“日記”という言葉を入れたり、自分で自分の物語を書いていくイメージなので、“握らせはしない”ってペンのことなんですよ。自分が書くペンは、絶対に他人に渡さないぞ！という。
花譜 うんうん！
CHiCO 自分でも上手く書けたなと思って、ニコニコしながらMOMIKENさんに渡しました（笑）。
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