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INTERVIEW

2025.05.03

平野 綾、約11年ぶりの新曲「evolutions」リリース直前!その制作過程と間もなく迎えるデビュー20周年について語るインタビューをお届け

平野 綾、約11年ぶりの新曲「evolutions」リリース直前!その制作過程と間もなく迎えるデビュー20周年について語るインタビューをお届け

11年ぶりの新曲にしたためた、変わらずリアルな自分自身

――このたびリリースされる「evolutions」はランティス時代を彷彿とさせるロックサウンド。この方向でいきたいというビジョンは平野さんの中にあったのでしょうか?

平野 それはずっと前からありました。ライブで盛り上がる楽曲を皆さんが求めていると思っていて。私のライブは参加型なので、一番最初のオーダーも「絶対ライブでみんながアガる曲にしてください」でした。

――今回作編曲で参加されている神田ジョンさんはその点、打ってつけの人選ですよね。

平野 そうですね。作編曲を神田さんにお願いすると話が挙がった時に、以前から私がPENGUIN RESEARCHさんを知っていたこともあって、そのメンバーである神田さんの音だったら間違いないと思ったんです。打ち合わせで感じたのは、神田さんはすごくレシーブが強くて早いということでした。ちゃんと話をわかってくださっているなというか、すごく信頼できるなというのがあって。それで一番最初はどっちかというと「Lost my music」みたいな、みんなでハッピーになれるような曲を作ろうと思っていたんです。それで最初に上がってきた曲が、サビ前までの展開が今と一緒で、サビだけガラッと明るくなる展開だったんですよ。それもすごく良かったんですけど、あまりにも出だしの印象が強くて。これだけインパクトがある出だしだったらその方向に振っちゃったほうがかっこいいかもしれないと思って、「サビで転調して明るい雰囲気に持っていかなくて良いので、この(出だしの)ラインで全体を作ってもらってもらえますか?」とお願いしたんです。そうしたら3日後くらいに神田さんが仕上げてくれて、「どんなスピードで作っているんだろう?」って思いました(笑)。

――そんな神田さんが、元は西川さんに弟子入りしてローディ(アーティストが使用する楽器のメンテナンスを担当する職業)として働いていたのも巡り合わせですよね。

平野 そうなんですよ!それも後から気付いて(笑)。この間の生配信の時にもお話しましたけど、お師匠様(西川さん)の話が神田さんとできたのもすごく嬉しくて。実は西川さんとは昨年の“ANIMAX MUSIX  2024 FALL”で初めてお会いしたんですよ。それからすぐにお弟子さん(神田さん)とお仕事させていただくなんて、すごく不思議な感覚でした。

――楽曲について改めてお伺いします。この曲のキモとしては出だしの強さが大きいですね。

平野 そうなんです。もう全部持っていかれるじゃないですか。だからもう「絶対これはいける」と思って。それを聴いてから歌詞のイメージが浮かんだので「すごいインパクトを与えてくださってありがとうございます」という感じでした。

――作詞も久々になるんですよね?

平野 そうですね。最後がアルバム『vivid』に収録された「のんびりしましょ」というわりとボサノバみたいな楽曲で。作詞も久々だし、今回のロックなサウンドで「私、できるのかな?」という不安がすごく大きくて。なんならレコーディングの1週間くらい前まで「いや、私無理かもしれません」ってずっと言っていました。

――「のんびりしましょ」以来ということは11年ぶりの作詞ですね。

平野 そうなんです。以前作詞を頻繁にやっていた時はネタ帳みたいなものを作っていて、言いたいことをまとめたりとかしていたんです。それをラジオのネタ帳としても活用していて。でも、最近はラジオも作詞も全然していなかったので「私そもそも0ベースだ、どうしよう」というとこから始まって。それでもとりあえず紙に書いてみようと思って、コピー用紙をプリンターから出して書き殴るみたいな。まずはイメージする単語をバーって書いていって、それだけでもコピー用紙3、4枚とかになって。そこからストーリー仕立てみたいに歌詞を書いていったらそれも3枚ぐらいになっちゃって。「あれ、これ全然まとまらないぞ?」と思って(笑)。

――歌詞を見ても書きたいことがたくさんあったのがうかがえます。

平野 そうですね。たくさん歌詞を書いている当時は、言っていることは一貫してるんだけど、曲によって書き分けるみたいな感じでやってたんですよね。対して今回は1曲とはいえ、(書きたいことの中から)どれをチョイスすればいいんだろうっていうのが難しくて。最近は活動の仕方も変わってきているのもあって「アーティストとしてみんなに伝えたいことがもうなくなっちゃっているんじゃないのかな?」という不安もあったんです。でもいざ自分にギアが入ると、とてつもなく書きたいことが出てきて。やっぱり体や脳が覚えている、コツさえ思い出せば一気にできるようになるんだと思ったんです。あと、歌詞を書いている時に初めて作詞した「LOVE★GUN」の時の感覚が甦ってきたんですよ。当時の生みの苦しみみたいなものがオーバーラップして「逆にいけそう」とも思って。

――初作詞の時の感覚に近いものがあったからこそいけそうだと感じたと。

平野 そうですね。「LOVE★GUN」の時は「1週間で(歌詞を)あげてください」って言われて、その打ち合わせが終わった後に当時ランティスの近くにあったうどん屋さんで作詞を始めたんです。うどんを食べながら「大変なことになったな……」と思って歌詞を書いていたら、段々とお腹が痛くなってきて……その夜中に盲腸になって救急車で運ばれました(笑)。なので「LOVE★GUN」の歌詞には産みの苦しみ+盲腸の痛みが入って、結果エッジの効いた曲になったんです。今回の作詞中も「LOVE★GUN」の時と似た状況に陥っていて。でも今それを乗り越えなきゃいけないんだなというのもあって、色々なものと戦いながら歌詞書いたんです。だから、今回自分を鼓舞するような歌詞になっているのも「頑張んなきゃダメだぞ、また次の試練が来たんだったら絶対乗り越えないとダメだぞ」って思って書いてるのもあって。それで強い言葉が綴られた歌詞になっている気がします。

――そうした苦悩と葛藤のなかで生まれた「evolutions」の歌詞ですが、平野さんらしいストレートなワードで埋め尽くされているなと思います。

平野 歌詞が完成した時に神田さんから「平野さん本人に書いてもらって大正解だと思いました」と言っていただいたんです。作詞家さんに書いていただくと色々気を使っていただいたりということもあって「本人はこういうこと言わないんじゃないか」って踏みとどまるところがあると思うんです。でも本人はどんな言葉でも堂々と書ける。神田さんも「ここまでの強い言葉は本人じゃないと出てこない。だから本人に書いてほしいかったんです」って言ってくださって。

――平野さんの様々な感情をさらけ出す瞬間が音楽活動で、それが「evolutions」の歌詞にも表れていると感じました。

平野 そうですね。でも相変わらず私は“平野 綾”として活動するのが苦手なんだと今回改めて思いました。そのコンプレックスが役者を目指すきっかけになったのですが、役というフィルターを通さないと自分を表現できないしがらみを感じているんです。でも不思議と音楽では“平野 綾”として活動できている。本音の部分とアイコンとして“平野 綾”を演じられている両方の感覚があるんです。なので歌詞を見て「それそれ!」って言ってもらえるのが一番嬉しいです。

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