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INTERVIEW

2025.02.14

矢野妃菜喜がニューシングル「ありがとうだよ」で伝えたい感謝の気持ち、盟友・水野 朔とのコラボレーションで開いた新たな扉

矢野妃菜喜がニューシングル「ありがとうだよ」で伝えたい感謝の気持ち、盟友・水野 朔とのコラボレーションで開いた新たな扉

声優やソロアーティストとして幅広く活躍する矢野妃菜喜が、通算5枚目となるニューシングル「ありがとうだよ」を完成させた。J-POPやアイドルを中心に数々の名曲を世に送り出してきた杉山勝彦が書き下ろした表題曲に込められたのは、矢野がこれまで出会ってきたあらゆる人々に贈る感謝の気持ち。同じ事務所の後輩で親交の深い声優・水野 朔をデュエット相手に迎えたカップリング曲「辛苦or酔夢」と共に、彼女らしい遊び心と温かなメッセージが詰まった作品になっている。3月に行われるワンマンライブ“矢野妃菜喜 LIVE「妃菜祭 2025 ~こちらこそ、ありがとうだよ~」”への意気込みを含め、たっぷり話を聞いた。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創

ファンや支えてくれる人たちに贈る、心からの“ありがとう”

――ニューシングルの表題曲「ありがとうだよ」は、様々な形の“ありがとう”というメッセージを伝える、ハートウォーミングな楽曲になりました。

矢野妃菜喜 日頃から感謝の気持ちはちゃんと伝えたいと思っていて、実際に「ありがとう」という言葉を使うことも多いのですが、「心から伝わっているかな?足りてないんじゃないかな?」と感じたり、伝えるタイミングを逃してしまうこともたまにあって。それに親や身近な人にあらたまって「ありがとう」と伝えるのは照れくさいものじゃないですか。だからこそ、それを楽曲の中で表現できればと思って作らせていただきました。

――ソロでのアーティスト活動も3周年を超えたなかで、改めてファンに感謝の気持ちを届けたいタイミングでもあったのではないでしょうか。

矢野 最近はライブでどんなことを歌いたいかを考えて楽曲を制作することが多いなかで、感謝の曲を作りたいという気持ちは漠然とありました。私からの「ありがとう」とみんなからの「ありがとう」は、同じものではあるんですけど、私は1人だけどファンの方は多人数なので「どうせみんなに向けていってるんでしょ」と感じる人もいると思うんです。そんななかで出てきたのが、楽曲の中でみんなから「ありがとう!」と言ってもらって、その場で私からも「ありがとう!」と素直に返せる楽曲というアイデアでした。

――「ありがとうだよ」は杉山勝彦さんが楽曲を提供。杉山さんとは、前作のシングル収録のハイテンションなタオル曲「ブルジョワタオル」で初めてご一緒していました。

矢野 杉山さんは元々「ブルジョワタオル」みたいな楽曲よりも、こういうタイプの楽曲が得意な方だと思うので、またご一緒できて嬉しかったです。杉山さんからは「ただ“ありがとう”と伝える楽曲は世の中にたくさんあるので、親しい間柄だからこそ言える“ありがとう”も入れましょう」とご提案をいただいて、私も「なるほど!」と思ったので、少し皮肉めいた“ありがとう”も入れていただきました。私のそういうエピソードを杉山さんにヒアリングしていただいて。Dメロの“ありがとう”を返し合うところはファンのみんなに向けてですし、2番には仕事仲間に向けたようなフレーズも入っていて、色んなシチュエーションの“ありがとう”が詰まった楽曲になっています。

――2番の皮肉めいたパートには“わたしのポジション奪ってくれてさ あ゛り゛がとうね”という歌詞もありますが、これも矢野さんの経験から生まれたものですか?

矢野 それは本当に同業の仲の良い子に対しての文句であり感謝ですね(笑)。以前、コンテンツのライブで私がセンターに立っている時に、その隣で全力のパフォーマンスをしている子がいて、「えっ!そんなことしていたの!?」と思ったことがあって(笑)。もちろん控えめにやるよりもバチバチに戦ってくれたほうがお互いにとっていいので、そういう感謝の気持ちを込めています。

――他にも“長い長い 長電話に付き合ってくれて”は友達感がありますし、“恋を思い出にしてくれてありがとう”はかつての恋人に向けたような歌詞になっていて。矢野さん自身だけでなく、色んな人の気持ちに寄り添える楽曲になっていますよね。

矢野 最近はTikTokが流行っているので、楽曲の色んな部分を切り取ってショート動画で使ってもらえるといいなと思って、色んな“ありがとう”を短いフレーズで詰め込もうというのは考えていました。その辺りのバランスは杉山さんが取ってくださって。恋の要素を入れてくれたのも、きっと戦略的な考えがあったんだと思います(笑)。

――確かに“盛れてない写真あげてくれてさ あ゛り゛がとうね”というフレーズはSNS世代にも刺さりそうです。

矢野 そういう皮肉めいたフレーズもしっかりと入っていて、ある意味ふざけられるポイントでもあるので歌っていて楽しさもあります。

――メリハリがあるという意味では、歌う際に色んなアプローチにトライしたと思うのですが、どんな部分にこだわりましたか?

矢野 全体的には“ありがとう”を伝えたい楽曲なので、照れくささは全部取っ払って真っ直ぐに“ありがとう”を伝えるようにしました。ただ、この楽曲自体がすごく歌いやすい作りになっていて歌っていて気持ちいいので、そこは意識しなくても自然と出せる楽曲だったと思います。それと皮肉ゾーンは「矢野さんのヤンキーな部分を出してください」とディレクションしていただいたので、巻き舌をたくさん使って荒々しく歌うようにしました(笑)。

――アハハ(笑)。でも、矢野さんにヤンキー要素はあまり感じないですけど。

矢野 わからないですけど、杉山さんからは「いいねえ!」と言っていただけたので、きっとどこかにそういう部分もあるんだと思います(笑)。

――ちなみにこの楽曲は昨年11月に行われたワンマンライブ“矢野妃菜喜 LIVE 2024~キミといた夏を~”のアンコールで初披露したそうですが、ファンの方たちの反応はいかがでしたか?

矢野 後ろのスクリーンに歌詞を表示していたので、泣いている方もいらっしゃって。色んな“ありがとう”が詰まっているからこそ、きっと刺さる部分があるんだろうなと思いました。私も目の前に(“ありがとう”を伝える)対象がいるのですごく気持ちを込めて歌うことができましたし、みんなから“ありがとう”と言ってもらえて、それに対して私がすぐに“ありがとう”と返せるのがすごく良かったです。今後もこの曲を歌って定番化していくなかで、きっとまた違った形に育ちそうだなと思えたので、これから育っていくのが今からすごく楽しみです。

――Dメロは“ありがとう”の応酬だけでなく、“君に優しくできてますか? ちゃんとチカラになれてますか? わたしにできること考えてる日々だ”という歌詞もすごくいいですよね。

矢野 私もめちゃくちゃ共感できる部分です。それこそみんなの元気の源じゃないですけど、聴いて「頑張ろう!」と思える音楽を届けたいですし、ライブも「楽しかった!」という気持ちで帰ってもらいたい、みんなの力になりたいというのは常に思っていることなので。サビの少しずつ転調していくところもエモさが倍増されてすごくいいですし、サビの歌詞があまり変わらないところもいいなあと思って。これからたくさん歌っていきたいです。

――この楽曲のテーマにちなんで、矢野さんが声優やアーティストとして活動していくなかで改めて感謝を伝えたいお世話になった方、この楽曲を届けたい方がいれば聞いてみたいです。

矢野 一番はお母さんですけど、それこそ3月のワンマンライブにゲスト出演していただく多田(三洋)さんは自分の音楽観やバンドのライブをどう作っていくかをDUSTY FRUITS CLUBとしての活動を通して教えてくださった方で、それ以外にもボイトレもしていただいていたので、すごくお世話になっています。次のライブは多田さんもステージに立つ側になりますけど、感謝の気持ちが伝わればいいなと思います。

――声優業でもそういう恩師に当たる方はいますか?

矢野 まだ声優の経験があまりなかった当時、音響監督のたなかかずやさんのワークショップに長く通わせていただいて、そこでアフレコの疑似体験や色んなことを教わっていたんです。初めてのレギュラー作品のアフレコをやり終えた時、自分としては正直「これだ!」という手応えは掴めなかったのですが、そのワークショップで「すごく上手くなったね」と言っていただいたのがすごく印象に残っていて。その時に、実際のプロの声優の現場で経験したことを持って帰れたんだなと感じました。最近はお会いできていないので、この楽曲を届けられたらと思います。

――お母さまもご自身の活動をずっと応援してくれているんですか?

矢野 はい。今は実家の兵庫にいるのですが、自分のライブがあるといつも観に来てくれますし、ライブ後に会うと「私が一番の古参ファンだから!」って言ってくるお茶目なお母さんです(笑)。私を芸能の世界に入れたのもお母さんで、最初は子役から始めたので、お母さんから「こうしたほうがいいよ」とか言われると「うるさい!じゃあ自分でやってみてよ!」と反抗する思春期もありましたけど(笑)、今思うと努力している私のことを見て色んなアドバイスをしてくれていたんだと思いますし、ずっと応援してくれているので、“ありがとう”を一番届けたい相手ではあります。

次のページ:水野 朔とお魚コラボ!?2人の絆が新たな扉を開いたカップリング曲

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