――「Turing」はkevinさんが作編曲した、ドリーミーな雰囲気のポップソング。どんなイメージで制作されたのでしょうか。
佐藤 まだEPの“夢”というテーマが決まっていない段階で、kevinくんには明るくてファンタジックでドリーミーな曲を作ってほしいという話をして。
kevin それでポップでファンタジーな方向でデモを何曲か作ったんですけど、佐藤さん的にはもっと明るくしてほしいということだったので、デモを作り直して。それとキーワードとして「ディズニーっぽい感じ」という話もあったので、であれば3拍子っぽいリズムがいいかなと思って今の形になりました。
佐藤 kevinくんと出会ったばかりの頃に、ポゴ(POGO)というアーティストの話で盛り上がったことがあって。
kevin そうそう。ポゴはサンプリング主体で楽曲を制作しているんですけど、ディズニー映画の中のセリフをサンプリングして、ピッチ補正して音階にして楽曲に仕立てるようなことをやっているアーティストで、僕はその人が大好きなんですよ。すごくファンタジックな曲を作る人で。
佐藤 そう、だから「ポゴを好きというマインドを思い出して曲を作ってほしい」って伝えて(笑)。
kevin 「Turing」では人の声とかをサンプリングして使っているんですけど、あれは完全にポゴへのオマージュです(笑)。
――ジャズギターっぽいフレーズを入れたのは?
佐藤 kevinくんのデモの中に、それっぽい感じのサンプリングのギターが入っていたんですよ。なのでそれを発展させると面白いかなと思って、インナージャーニーの本多(秀)くんに弾いてもらいました。本多くんには「パット・メセニーみたいな感じで」ってお願いしたんですけど、彼はパット・メセニーをあまり聴いていなかったみたいで。で、YouTubeでライブ映像を観てもらったら、「……すごすぎて、どうしたらいいかわからないです」って言われて(笑)。
――まあ、パット・メセニーっぽくというのはかなりの無茶ぶりですよね(笑)。
佐藤 なので、この楽曲のこのフレーズっぽい感じで、というのを細かくディレクションしました。(パット・メセニーの演奏は)ジャズっぽくて、なおかつテクニカルに動くじゃないですか。それがこの曲の3拍子のゆったりとした曲調に合いの手みたいに入ってきたら面白いかなと思って、頑張って弾いてもらいました。
――5曲目の「光舞う冬の日に」はfhánaの結成当初からある楽曲で、自主製作盤『New World Line』にはボーカロイドのIA歌唱バージョンが収められていましたが、今回、towanaさんの歌唱で待望の音源化となります。
佐藤 「光舞う冬の日に」はfhánaの結成時にトライアルとして最初にデモを作った楽曲で、まさに「CLANNAD」にインスパイアを受けて、「『CLANNAD 〜AFTER STORY〜』の第18話めちゃめちゃ泣ける……!」みたいな勢いのまま作ったんですよね(笑)。ライブでもずっとやっていますけど、拍子が4/4から4/6になったり、ライブではtowanaが指で三角形を描くような振りもあって、fhánaのオリジナリティ、エモーショナルかつ普通のロックやポップスとは違う感じがこの楽曲には凝縮されていると思っていて。そんなfhánaの原初の楽曲「光舞う冬の日に」を、「ONE.」の主題歌の「永遠という光」「Last Pages」と同じ作品に収録できたという意味では、このEPは初期衝動的というかプリミティブな作品と思いますし、制作していくうちにどんどん“夢”に収束していった感覚があります。
――towanaさんはライブで歌われてきたこの楽曲を改めてレコーディングしてみて、いかがでしたか?
towana すごくスムーズでした。もう10年以上ライブで歌ってきているので、ディレクションとかも特になく、いつも通り、10年以上ライブでやってきたことをここに凝縮することができて。
佐藤 最初にワンコーラス、レベル調整のために歌ってもらったら、もう仕上がっているなと思ったので(笑)。それと演奏も先日の10周年ライブのフルメンバーで録り直して、元のバージョンと比べてよりエモーショナルになっていると思います。
――そしてEPの最後を締め括るのは「ONE.」のEDテーマ「Last Pages」。「永遠という光」は作品にグッと寄り添った内容でしたが、こちらは作品に寄り添う部分もありつつ、fhánaの楽曲としての存在感を強く感じました。
佐藤 「Last Pages」のほうがより自然かつ自由に作りましたね。「永遠という光」は楽曲に合わせてオープニングムービーを付けるということで、オーダーも結構かっちりしていたのですが、EDテーマはもっとざっくりとしていて、「ポジティブで物語全体を包み込むような壮大な曲を」という感じだったので、「ONE.」という作品に即しながらもよりfhánaっぽさが出ていると思います。その中でも「whight light」のような壮大でエモい世界観かなと。ただ、「whight light」よりもしっとりとした歌もので、なおかつオルタナティブなギターでバーンと押しているので、結構面白いバランスの曲になりました。確か制作サイドからは、「calling」みたいな感じがいいです、というお話もありましたね。
――「whight light」を例えに出していただきましたが、まさに後半にかけて音が押し寄せてくるようなエモーショナルさは共通しますね。
towana 最後はロングトーンが重なっていくんですよね。そこは歌詞の最後のフレーズになっている“物語をいくつも重ねてく”みたいな感じが出ていて、いいなあと思いました。
佐藤 “物語をいくつも重ねてく”というのはfhánaが繰り返しているテーマですし、それでいてサビの“最後のページ 開く時だ”がラスサビでは“新しいページ 開く時だ”になっていて。fhánaらしい曲でもあるし、旅立ちに相応しい曲でもありますね。
――まさに11年目を迎えて“夢追い人”として新たな旅を始める、今のfhánaのスタンスを示すような作品になりました。最後に、改めて2023年は皆さんにとってどんな1年になったか、そして2024年はどんな年にしたいかをお聞かせください。
佐藤 2023年は大変な年でした(笑)。星占いで言うところの惑星直列と言いますか。
kevin 体制変更しかり、レーベル移籍しかり。
towana 事務所も独立して。こんなに色々なことがあった年はなかったと思うし、それがメジャーデビュー10周年という節目の年に一気にやってきたのは、偶然のようでいて、そういう巡り合わせだったのかなと思いますね。必然性があったというか。
佐藤 しかも10周年ライブを10月に開催して、そこから一気にこのEPを制作したわけですから。
towana だからこの1年は本当に駆け抜けていく感じでしたね。10周年ライブで、私はやっぱり歌や音楽が一番好きということを実感して。それをやり続けていくこと、ふぁなみりーと繋がっていることが、自分にとって一番大事だということが改めてわかった1年だったので、来年はさらに加速して、fhánaというバンドを能動的に動かし続けていきたいです。
kevin 来年1月からは初めてのアジアツアーも控えていますし、10年経ってもまだ“初めての〇〇”ということがまだまだあるので、どんどん新規開拓していって、色んなところにもうって出て行きたいですね。10年で一周して、また1年目に戻ったというか。実際、周りの環境的にも本当に一新したので。
towana 本当にそうなんですよ。また新しい環境でやらせていただけることが本当にありがたくて。なので今はめっちゃ楽しいですし、新人の気持ちで頑張ります。
佐藤 海外でのライブは、アジアツアーだけでなく、ヨーロッパやアメリカでもやりたいですし、2023年は激動の年で、勢いで駆け抜けてきたところがあるので、来年はさらに加速していくのと同時に、足場をしっかりと固めることもやっていきたいというのが目標です。それはグループとしての活動もそうですし、ふぁなみりーのみんなとの関係性もそうで。ファンクラブの活動も含めて、持続可能性を意識して土台を作っていきたいですね。そのうえで、15周年もじきに来るわけですし、その先も20周年とどんどん新しい祭りを盛り上げていって、「この祭りが終わったら、次はこっちの祭りだ!」みたいな感じで、終わらない学園祭を続けていきたいです。
kevin 『Beautiful Dreamer』だけに。おあとがよろしいようで(笑)。
●リリース情報
fhána メジャー1stEP
「Beautiful Dreamer」
12月20日発売
【DVD付き限定盤】

品番:COZX-2063/4
価格:¥3,410(税込)
【通常盤】

品番:COCX-42155
価格:¥2,750(税込)
<CD>
01. 夢
作詞:林 英樹 作曲・編曲:佐藤純一
02. 永遠という光
作詞:林 英樹 作曲・編曲:佐藤純一
03. Beautiful Dreamer
作詞:林 英樹 作曲・編曲:佐藤純一
04. Turing
作詞:林 英樹 作曲・編曲:kevin mitsunaga
05. 光舞う冬の日に
作詞:林 英樹 作曲・編曲:佐藤純一
06. Last Pages
作詞:林 英樹 作曲・編曲:佐藤純一
<DVD>
01. 永遠という光 MV
02. 永遠という光 MV メイキング映像
●ライブ情報
“Beautiful Dreamer ASIA Tour 2024
■韓国公演
2024年1月6日(土)
会場:韓国 WEST BRIDGE LIVE HALL
https://www.west-bridge.co.kr/
■台湾公演
2024年1月20日(土)
会場:台湾 NUZONE 展演空間
https://www.nuzone.com.tw/
■東京公演
2024年1月28日(日)
会場:新宿BLAZE
https://shinjuku-blaze.com/
開場:16:00 開演:17:00
スタンディング ¥6,500(税込)
プレイガイド最速先行受付中
https://eplus.jp/fhana/
詳細はこちら
http://fhana.jp/blog/?p=5480
公演に関するお問い合わせ
ディスクガレージ:http://diskgarage.com
fhána
公式サイト
https://fhana.jp/