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INTERVIEW

2023.03.15

Gom、shito、ヤマコお薦めの曲とは!?HoneyWorks待望の6thアルバム『ねぇ、好きって痛いよ。~告白実行委員会キャラクターソング集~』リリースインタビュー

Gom、shito、ヤマコお薦めの曲とは!?HoneyWorks待望の6thアルバム『ねぇ、好きって痛いよ。~告白実行委員会キャラクターソング集~』リリースインタビュー

「可愛くてごめん feat. ちゅーたん」がTikTokのダンス動画でも大ブレイク中のクリエイターユニット・HoneyWorks(以下、ハニワ)が、待望の6thアルバム『ねぇ、好きって痛いよ。~告白実行委員会キャラクターソング集~』を3月15日にリリース!HoneyWorksの代名詞でもある胸キュン♪な青春恋愛群像劇「告白実行委員会」シリーズのキャラクターを演じる人気声優がボーカルを担当する本作は、2枚組、全32曲収録という大ボリュームも魅力だ。楽曲制作を手がけるGom、shitoと、イラストレーター・ヤマコのハニワメンバー3人に、「告白実行委員会」シリーズへの想いと本作の“推し曲”を語ってもらった。

INTERVIEW & TEXT BY 阿部美香

HoneyWorksのアルバムは毎回が世界観を楽しめる“ザ・ベスト”!

――6thアルバム『ねぇ、好きって痛いよ。~告白実行委員会キャラクターソング集~』は、新規レコーディング16曲を含む28曲に、ボーナストラック4曲を加えた計32曲を収録した2枚組。すごいボリュームですね!

Gom 結果的に、そうなってしまいました(笑)。「そろそろアルバム出そうか!」と思って準備するんじゃなくて、ひたすら曲を作り続けていたら、気がついたらこんなに曲が増えてしまって。「そろそろアルバムにまとめておかないと、このままだと3枚組になっちゃう!」って(苦笑)。

shito 僕らのアルバムは、いつもそういう作り方になりがちですね(笑)。

――HoneyWorksの活動拠点は動画サイトで、1ヵ月に数本、新曲MVが非常に短いスパンで公開され、それがもう10年以上続いている。一般的な音楽アーティストの活動に照らし合わせると、毎月シングルを数曲ずつリリースし続けているのと同じなので、これはすごいことです。それらのMVはネットでいつでも視聴できますが、あえてアルバムという形で届ける意義を、皆さんはどこに感じていますか?

shito たしかに、最近は僕らの中でもアルバムの意味合い自体が変わってきましたね。ただ音楽をまとめて聴けるというだけじゃない。HoneyWorksが作っているのは音楽だけではなくて、イラストやキャラクター同士の物語全部が1つの作品。CD、アルバムはプレゼントボックス、詰め合わせセットだし、毎回がベストアルバムだから、HoneyWorksの世界観が丸ごと楽しめるものにしたい!という想いがあります。

ヤマコ やっぱり、パッケージになることの特別感ですよね。マンガも今は電子書籍で手軽に読めますが、手元に物があると、私もすごく喜びがある。アルバムも、パッケージを開けるワクワクは、ネットでMVを観るのとは全然違うし、HoneyWorksの場合はジャケットも描きおろしだし、特典もたくさん付けて楽しんでもらえる。世界観を丸ごとお届けできるのは、絵描きとしてもすごく嬉しいです。

Gom 僕らも今まで何枚もアルバムを出させてもらってますけど、今回は特に、ただのベストアルバムというだけじゃなく、群像劇としての『「告白実行委員会」キャラクターソング集』の意味合いが強くなりました。普通、音楽のアルバムを作る時は、曲順もこういう曲調のあとはこういう曲がいいなみたいなものを流れで決めると思うんですけど、『ねぇ、好きって痛いよ。』は曲順も、歌の主人公キャラクターとその関係性で並べてるんです。

――たしかに。2枚組のDISC1は、涼海ひより(CV:水瀬いのり)を中心にした、昨年放送されたTVアニメ『ヒロインたるもの!~嫌われヒロインと内緒のお仕事~』の登場キャラクターのドラマが楽曲となって詰め込まれていますし、DISC2には「告白実行委員会」シリーズでいうところの、涼海ひよりの先輩達の物語が紡がれています。

Gom そうなんです。なので今回は特にシリーズの物語性をさらに強調したコンテンツ、パッケージになっているんですよね。歌詞も順々に読んでいくと、「告白実行委員会」シリーズのアニメや小説、コミックなどで描かれていたり、まだ詳しくは描かれていなかったバックストーリーが、すごく見えてくるものになっていると思います。

「告白実行委員会」シリーズに向かう気持ちの変化

――そもそも、HoneyWorksがある学園を舞台に、キャラクター達の青春恋愛群像劇を楽曲で紡いできた「告白実行委員会」シリーズは、2010年代前半からスタートしました。キャラクターが歳を重ねるごとに後輩キャラクターも増え、LIP×LIPやmonaなどのアイドルキャラクターもそこから生まれて、ワールドがどんどん広がっています。HoneyWorksの「告白実行委員会」シリーズ全体への向き合い方に、変化はありますか?

shito あると思います。いざ曲を書こうとした時に、どんな主人公の話を楽曲にしようか、色んな選択肢があったんですけど、今だと絶対に「告白実行委員会」がベースにある。無意識に「誰の曲にしようかな?」と考えてしまうというか。HoneyWorks自体の土台がそこにあるというのが、より強くなっている気がします。

Gom 「告白実行委員会」という世界観の中で、キャラクターがそれぞれ成長していたり、過去を振り返ったりできるというのが大きいですね。「告白」と言いながらも、高校では片思いから両思いになり、大学を卒業して社会人になって、いよいよ結婚したカップルが出てきたり。

ヤマコ 今、高校に通っている最中で、ヤキモキさせられる子たちもいたり(笑)。私も昔はそんなにシリーズを意識していなくて、“MVの中でキャラクター同士の関係性を遊んでいる”感覚が大きかったんですね。でも今は、全員を相関図にしてみると、すごく複雑な関係性が出来上がっていまして。

shito 気がついたら(苦笑)。

ヤマコ しかも恋愛関係以外にも、男の子同士、女の子同士の友情だったり、ファンとアイドルだったり、繋がりが複雑に絡み合ってるので、「告白実行委員会」シリーズ全体がハニワファミリーみたいな感覚で。その関係性における感情も“好き”だけじゃなく、嫉妬もあって昔よりドロドロしてるというか(苦笑)。

Gom たしかに(笑)。

ヤマコ 人間味がどんどん増しているので、ファンの皆さんも「あー、あるある!」と思って、一層キャラクターたちを身近に感じてもらえている感じがします。

shito もう学園青春恋愛ドラマを超えて、彼らの人生を描いている感じで。

Gom なのでどの曲を書いていても、誰かとの関係に繋がるんじゃないか?誰かをテーマに据えてもそこから周りの面白いキャラが生まれるんじゃないか?と、結びつけて考えることが確かに増えた気がします。既存キャラにしても、新キャラにしても。

――新しいキャラクター設定や、楽曲で描かれる個々のエピソードなどは、その後のストーリーがこうなるからこうしようと、最初から考えているんですか?

Gom 全体を俯瞰して、ここがどう繋がる……みたいなことは、実はあまり。それこそ群像劇なので、制限は設けていないです。その時々の勢いも大事なので(笑)。

shito 以前は“恋愛”を主軸にしていたので、物語全体というよりは「こんな告白シーンだったらキュンとするな」とか「気持ちがこうすれ違ったらもっとドラマチックだな」といった、描きたいシーンをMVにしていたんですけど、最近はキャラクターごとの“生き様”を辿っていく感じで。

ヤマコ なんかかっこいい(笑)。

Gom 大きく出ました(笑)。

shito 例えば『ヒロインたるもの!』で、ひよりの友達の中村千鶴(CV:早見沙織)。彼女は中身は実は地雷系で、裏では“ちゅーたん”と名乗って、アイドル・LIP×LIPの推し活のためにコンカフェでアルバイトをしてるという設定。で、その推しアイドルも学校ではクラスメイトで、友達にも推し活がバレないようにしているので、関係性はかなり複雑なんですけど(苦笑)。

――このアルバムの収録曲でいうと、「同担☆拒否」「推し★ごと」、TikTokなどSNSでも大ブレイク中の「可愛くてごめん」といった“feat. ちゅーたん”名義のナンバーがそれですね。

shito それも「地雷系の女の子の曲が欲しい!」と思って作った曲から、ちゅーたんの設定をどんどん膨らんでいった感じですし……ほんと色んな書き方がありますね。

Gom それでいうと、今回のアルバムの新録曲には、「男の子の目的は何? feat. 高見沢アリサ(CV:東山奈央)」と「女の子の愛って何? feat. 柴崎健(CV:江口拓也)」という2曲がDISC2に並んでいます。この2曲はようやくカップルになれたアリサとシバケン(柴崎健)それぞれの目線から、相手を想う曲なんですけど、今までのHoneyWorksだったら、どちらかのキャラが歌った曲をアレンジ違いにして、同じ曲をもう1人が歌う「-another story-」を作るのが普通だったんです。でも今回はあえて、別の曲を同じBPM、同じ尺、同じ楽曲の構成で作ることにチャレンジして、作り手としてもすごく面白かったですね。聴いてくれる方には、よりカップルとしての結びつきや気持ちの奥を、楽しんでもらえるんじゃないかと思います。

MVのこだわりは小物にも!スマホを見れば時代がわかる!?

――ではイラストやMVでのビジュアル表現に深く関わるヤマコさんは、絵を描く立場として、具体的に以前と変化したことはありますか?

ヤマコ アニメ化されて声優さんがキャラクターソングを歌ってくれるようになってからは、絵で「こういう表情させたい!」という気持ちが、自分の中ですごく強くなりました。声優さんの歌い方だったり、そこに込められた感情によって、私が歌詞を読んだだけでは思いつかなかったビジュアルが見えてくるんですよ。こういう歌い方をしているキャラだったら、こういう場面ではこんな表情をするだろうな!というのが。声優さんから、受ける影響はすごく大きいです。

――キャラクターデザインをする際はどうですか?例えば今回のアルバムの登場キャラクターで特に印象的だったのは?

ヤマコ ひよりを作った時に、地元の幼馴染男子もいつか出したいって話はしていました。キャラクターのビジュアルは、Gom、shitoにいつも相談しながら描いていくんですけど……最終的にはバチッと決まりまして。でも、ひよりちゃんに恋心を寄せている幼馴染みの白波渚(CV:榎木淳弥)くんは、すごく迷いましたね。それまでの「告白実行委員会」男子キャラはハイトーンの髪色だったり、髪型も凝っていたり、割と個性派が多かったので、ここにきてスポーツマンで短髪黒髪という正統派は、埋もれちゃわないかな?という(苦笑)。正統派で普通にかっこいいキャラクターは目立った特徴が作りにくいので、私にとっても新しい発見がありました。

――そういえば、シリーズが始まって10年以上が経つと、学園生活を送るキャラクターたちの日常生活も、時代によって変化していませんか?

ヤマコ そうなんですよ!(笑)。初期の頃は、それこそ“ちゅーたん”みたいなマニアックなキャラが、身近な存在になるとは思ってもみなかったですし、ファッションも数年すると全然変わる。以前は、学校の中だけの話でしたが、最近は日常シーンがたくさん出てくるので、イマドキ感を出すのに、小物も色々と工夫してます。

Gom みんなが使ってるスマホとかね。

shito そうそう、最初の「告白予行練習」のMVなんかはまだガラケーだから(笑)。

ヤマコ そう!元々ハニワのMVってケータイがめちゃめちゃ出てくるから、新製品はマストですね(笑)。キャラ同士のやりとりも今はLINEだし、InstagramやSNSも活用してるので、画面作りも頑張っています。

――Gomさん、shitoさんの書かれる歌詞は、時代のトレンドを意識されていますか?

Gom うーん、そうですね。恋愛感情については、時代が変わっても人を好きになる気持ちって普遍的だから、特別意識はしていないんですけど……ちゅーたんみたいな、新世代のキャラを表現するための情報収集はしますね。

shito アイドルにガチ恋している人の心理や熱心に推し活をしている人が、普段どういうアクションをしているのかとかはネットで調べたり。その界隈の僕らが知らない専門用語は検索して(苦笑)。

ヤマコ しますねー。Twitterで、芸能ニュースが出た時の、ファンの反応を追い掛けたり。

――具体的な曲調についてはどうですか?

shito 描くキャラクターの幅が広がったので、楽曲のテンポや音数は変わってきたと思います。昔は、登場するのが高校生だけだったので、若さを感じられる元気な曲が多かったんですよ。BPMも速くて、音の構成もガチャガチャしていて。でも今は、その子たちが大人になってからの曲も増えましたし、今回のアルバムには久々に明智(咲)先生(CV:緑川光)の恋愛の曲も入っていたり。

――実は昔の教え子と結ばれていた!という衝撃作ですからね、「元生徒 feat.明智咲(CV:緑川光)」は!

ヤマコ びっくりですよね(笑)。

shito そういう大人の歌を作る時には、やっぱりゆったりしたテンポの落ち着いた曲調が似合うので「元生徒」は切なさもあるアダルトな曲調になりました。

Gom 若い子の曲は疾走感強めなので、使う楽器もバンドサウンドに合っていくし、アダルトな曲はもっとJ-POP寄り……みたいな違いもあると思います。でも「告白実行委員会」の曲は、内容も基本前向きなので、全体的にはメジャーキーの曲が多い。そこは昔から変わらないことかもしれないです。

次ページ:成長した綾瀬恋雪と初代カップルたちのその後に注目

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