にじさんじ所属のバーチャルライバー・叶が2022年7月にmini album『flores』でアーティストデビュー。2022年12月21日には早くも2ndミニアルバム『夜明かし』がリリースされた。前作から引き続きサウンドプロデュースを行ったyuxuki wagaが見た、叶の隠れた魅力とは?プライベートでも交流があるという2人によるアルバム制作秘話をお届けする。
INTERVIEW BY 北野 創(リスアニ!)
TEXT BY 金子光晴
――前作『flores』の叶さんのインタビュー記事で、アーティスト活動では和賀さんが精神的な支えになっているという発言を見かけたのですが、和賀さんの第一印象はいかがでしたか?
叶 最初は大人たちに囲まれてレコーディングするのが怖かったんですけど、和賀さんがすごく優しくて。会うたびにお土産をくれたり、だんだん「和賀さんがいるから大丈夫!」みたいな気持ちになりました(笑)。エンジニアさんとかは曲によって代わったりするんですけど、和賀さんはいつもいてくださるので、和賀さんの顔を見ると安心していましたね。
yuxuki waga 嬉しいですね(笑)。
――和賀さんは叶さんがレコーディングにあまり慣れていないということで心遣いをされた、という感じですか?
yuxuki waga 自分がデビューしたての頃にしてもらったことを思い出しながらという感じですね。それに、最初のレコーディングはすごくたくさんの人が来たので、そのみんながじーっと見ている状態で歌うのはマジで大変だろうなと思ったし、実は僕も緊張していたんですよ(笑)。だから少しでもやりやすい空気を作れたらなと思っていましたね。
――前作でも和賀さんは必ずレコーディングに立ち会われていたんですか?
叶 そうですね。歌録りでは必ず来ていただいています。
yuxuki waga ディレクションもしているので基本的にいますね。
――和賀さんとしては、叶さんにはどんな印象を持たれましたか?
yuxuki waga マジで良い人なんですよね。波長が合う感じがすごくしていて、盛り上がりすぎない、良い感じのバイブスでやっているところを含め、自分とBPMが同じ感じがして(笑)。こちらから何かディレクションするよりも叶くんの中から出てくるものを大切にしたいので頻繁に話し合いながら作業するんですけど、相談をしやすくてやりやすかったですね。
――叶さんも配信でおっしゃってましたけど、ギターを一緒に買いに行かれたとか?
叶 そうなんです!一緒に行きました。
――プライベートでのお付き合いも増えているんですか?
叶 ゲームを教えてもらうこともあれば、うちに来て機材の調整をしてもらうこともありますね。
yuxuki waga たまに遊んでもらってます(笑)。
――配信内でゲームのお話もありましたが、叶さんも和賀さんもゲームがお好きですよね。共通の趣味もあったりするんですか?
yuxuki waga 話はめちゃめちゃ合いますね。
叶 やってるゲームが近くて、『flores』のときは「ELDEN RING」が出た時期でしたよね?
yuxuki waga 初対面から『ELDEN RING』の話をしていた気がする(笑)。あとはFPSも『オーバーウォッチ』を一緒に遊んだりとかしていますね。
――和賀さんもゲーム配信を始めるかもしれませんね。
yuxuki waga いいですね。そのときはやり方を教えてください(笑)。
叶 もう、何でも聞いてください(笑)。
――今回、早くも2ndミニアルバム『夜明かし』がリリースされるということで、引き続き和賀さんのプロデュースとなりますが、叶さんとしてはどんな作品にしたいという想いがありましたか?
叶 前作は正直、曲を作る、アルバムを作るというのがどういうことかちゃんとわかっていなくて、とりあえず自分が好きなものでテーマにしやすそうな“花”をコンセプトとして提案させていただいたんです。でも、今回は前回のアルバムを経て理解できた部分があったので、前回よりも具体的に「こういう曲にしたい」というお話をさせてもらいました。僕自身は普段、あまりハッピーな曲を聴いたり歌ったりしなくて、特に(前作に収録の)「ブロードキャストパレード」は自分と真反対の位置にある曲だったので、今回はより自分に近い曲にしたい、もっと尖らせた歌詞にしたいという提案が多かったですね。
――和賀さんはその提案を踏まえて、作品の方向性を決めていったわけですね。
yuxuki waga そうですね。今回は“外から見た叶くん”ではなく、“叶くんを知っている人から見た叶くん”のイメージに近い作品を作りたいというのがありました。これは『flores』と対比にしたかったんですよ。『flores』は「ブロードキャストパレード」もそうですけど、明るくて優しい曲が多いし、広い意味で“VTuberが歌う楽曲”というのを表現できればと思っていました。今回はもっとパーソナルな“表現者としての叶”というところを出せたらいいのかな、と。2個セットでより色々な視点から叶くんを見られるようなものにしたいと思ったんですね。
――確かに「ブロードキャストパレード」は今までの叶さんのイメージとは違う印象がありましたが、今作は叶さんのイメージにより近づいている印象があります。そこは和賀さんがより叶さんのパーソナルな部分を踏まえたうえで作られた部分が大きいのでしょうか?
yuxuki waga 自分が参加させてもらっている意味や理由があればいいなと思っているんです。例えば『flores』は最初なのでわかりやすくお祝いのイメージがあって、プロデュースはやりやすい感じがあったんですけど、今回は叶くんに迫っていくうえで、叶くんだけで表現できる世界に、もう1つ何かエッセンスや面白さを加えるサポートができれば、というイメージでしたね。
――叶さん自身も具体的な音楽の雰囲気を提案できたとおっしゃっていましたが、そこに和賀さんが一捻りを加える作業だったわけですね。
yuxuki waga 今回は叶くんが色々意見をくれて助かりました。歌詞も作詞家の方と具体的なやり取りをしてくれて。それがあったから生々しさが出たのかなって。
――叶さんも自分らしさが出た、というのは感じますか?
叶 そうですね。ちょっと挑戦してみたり、一歩踏み出したりというのは多かったですね。
――だからこそ今回は「惜別」という楽曲で、作詞にも挑戦したのでしょうか?
叶 そうですね。作詞は本当に楽しかったけど、大変でした(笑)。
yuxuki waga 初めての作詞にしては、ずいぶん難しい楽曲にしてしまったなと(笑)。でも、世界観が初稿から良い感じにできていてすごいなと思いましたね。毎週、作詞講座みたいなことをしていたんですよ。「ブロードキャストパレード」の歌詞を書いてくれたCocoro.(Dream Monster)さんにお願いして、「作詞とは?」というところから教えていただきました。
――講座の中で叶さんが掴めた作詞のコツはどんなものだったんですか?
叶 歌詞を書くその瞬間に言葉ができなくても、プロットみたいなのができればいい、ということですね。それがわかってからは、歌詞の作り方も1番から順ではなくて、例えば2番にいく前にラスサビにいったりできるようになって、進みが早くなりました。それまでは最初の4行とかはすぐ出るんですけど、そのあとが続かなくて悩んでたんです。最終的にはスムーズにできたかなと思います。