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INTERVIEW

2022.10.28

【インタビュー】『転スラ』アプリゲーム主題歌 第二弾「VISIONS(feat.寺島拓篤)」配信リリース――寺島によって導かれた“新しい熊田茜音“、そしてライブの経験を経た彼女の今の想いとは?

【インタビュー】『転スラ』アプリゲーム主題歌 第二弾「VISIONS(feat.寺島拓篤)」配信リリース――寺島によって導かれた“新しい熊田茜音“、そしてライブの経験を経た彼女の今の想いとは?

歌手・声優として活躍する熊田茜音が、アプリゲーム「転生したらスライムだった件 魔王と竜の建国譚」主題歌 第二弾となる新曲「VISIONS(feat.寺島拓篤)」を配信リリースした。TVアニメ『転生したらスライムだった件 転スラ日記』のOPテーマ「Brand new diary」に続き、寺島拓篤(作詞)×R・O・N(作曲・編曲)が制作し、しかも寺島をフィーチャリングアーティストに迎えた本楽曲。悩み傷つきながらも前進する覚悟と意志を表現した、力強いロックチューンだ。アーティスト活動3年目の熊田が、この楽曲を通して見せてくれるビジョン、そして今思い描いているビジョンとはどんなものなのか?話を聞いた。

ライブでの経験が気付かせてくれた“音楽”の奥深さ

――今回は10月28日に配信された「VISIONS(feat.寺島拓篤)」についてお話を伺っていきますが、その前に近況をお聞きしたいです。最近はライブイベント続きとのことで、いかがですか?

熊田茜音 「ライブがたくさんできるアーティストになりたい!」とスタッフさんにずっと話していたので、今年はたくさんライブをやらせてもらって嬉しいです。ライブを重ねるたびに「もっとこうしたい!」「できることを増やしたい!」と感じていたんですけど、“リスアニ!LIVE SPECIAL EDITION アキヤスミ”のステージ直後に担当プロデューサーから「自分の音楽に何が足りないか理解していない」「音楽についてもっと学びなさい」と喝を入れられて……それがきっかけで真剣に音楽の勉強を始めました。

――音楽の勉強とは具体的に?

熊田 今までは歌の練習をメインに頑張っていたんですけど、楽器の音を聞き分けられる耳を育てようと思って、自分の楽曲の楽器ごとの音源をいただいて、個々の音を聞き込んでいます。完成版と比較して聴いてみると「ここはこんなふうにベースが鳴っていたんだ」といった気付きも増えて。ほかにもYouTubeで即興ドラムの動画(初めて聴いた楽曲のドラムを即興で演奏する動画)を見たりして、ちょっとずつなんですけど音楽の聴き方が変わってきました。最近は何気なく耳に入った曲に対して「この曲、ドラムがかっこいい!」とか感じるようになって、音楽を聴くのがより楽しくなりました。

――耳が鍛えられていくことで、歌のアプローチが変わっていきそうな予感はありますか?

熊田 すごくあります。それこそデビュー曲の「Sunny Sunny Girl◎」はずっと歌ってきた曲ですけど、デビュー3年目にして「サビのキメの部分で音が鳴ってたんだ」と気付きました(笑)。

――今!?

熊田 はい(苦笑)。今まではどちらかというと、目の前にいる方にどう届けるかという感情を重視していたんですよ。でも、イベント後の反省会でプロデューサーから「「Brand new diary」の最初のところでお客さんがクラップしてくれるのは何でかわかる?」と聞かれた時、私は今まで自分の楽曲も感覚で捉えてきたから、その理由を説明することができなくて。あとから気付いたのですが、あの部分ではバスドラムがわかりやすく鳴っているから、会場にいる人はそれに合わせて手を叩いてくれるんですね。言われた直後は、めったに落ち込まない私がすごく引きずるくらいだったんですけど(苦笑)、でも、これで聴こえる音が増えてまた一歩成長したし、今はバンドの生演奏をバックに2ndライブをしたいという想いがあるので、あのとき厳しいことを言ってもらえて良かったです。

――愛のムチですね。その勉強を経て、歌い方やステージでの感覚は変わったりしましたか?

熊田 最近スタッフさんから「後ろの音を意識しているのが伝わってきたよ」と言っていただけたくらい、すごく変わりました。あと、10月17日に行われた“maruxenon Live Vol.53「夜間飛行」”というライブで生バンドさんと歌う機会があって、そのときはゆったりとした空間で歌ったんですけど、初めて合わせたバンドさんから「僕たちの音を聴いてくれてありがとう」と言ってもらえたんです。今までバンドさんからそういった言葉を言われたことがなかったし、これまでも音は聴いていましたけど、「今ここで音がゆったりしたな」といった大枠でしかわからなかったんです。それが今回、「今バンドさんが遊んでくれているから、ちょっと乗っかっちゃおう」とか、キメをつくるためのギターソロを私からバンドさんに提案することができて。特に提案は今まで一切できなかったので、言うときは身体がすごく震えたんですけど(笑)、「どんどん言っていいよ」と受け入れてくださって、「音楽はこうやって一緒に作り上げていくものだったんだ」ということに気付けて良かったです。

――先ほどおっしゃっていた、“2ndライブは生バンドをバックに歌いたい”という目標に向けて、すごく大きな成長ですね。

熊田 3年間気付けなかったので、今から超特急で追いかけていきます!ただ、最初に感情を優先させていたのは自分の性格を考えると良かったとも思っていて。私の場合は先に技術を磨いてしまうと、多分そればかりを気にして魂を込めて歌えなくなっていたかもしれないので。ファンの方との絆をさらに深めてもっと一緒に遊びたいと思うので、今回切り替えられてことはすごくプラスになりました。

――今までそういったことに気付けなかったのは、熊田さんはデビュー直後から新型コロナウイルスの影響でライブをする機会があまりなかったことも大きかったのかもしれないですね。

熊田 たしかに。最近になってようやく有観客でライブができるようになって、改めてお客さんと一緒の空間にいることの温かさを感じています。“会いたいのに会えない”を積み重ねたからこそ、漏れ出る笑いやクラップといったものすべてが楽しさに転がっていくのをより強く感じますね。やっぱり私のほうが元気をもらっているし、音楽を勉強している時間もファンの方と楽しむためと思えば楽しいですし。

次ページ:自問自答しながらも前へ――新曲が示してくれたビジョン

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