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INTERVIEW

2022.10.07

【インタビュー】早見沙織、TVアニメ『聖剣伝説 Legend of Mana -The Teardrop Crystal-』OPテーマの新曲「Tear of Will」配信スタート!ケビン・ペンキンとのコラボで生み出された楽曲の制作過程とは。

【インタビュー】早見沙織、TVアニメ『聖剣伝説 Legend of Mana -The Teardrop Crystal-』OPテーマの新曲「Tear of Will」配信スタート!ケビン・ペンキンとのコラボで生み出された楽曲の制作過程とは。

早見沙織が自身も主人公の1人であるセラフィナ役で出演するTVアニメ『聖剣伝説 Legend of Mana -The Teardrop Crystal-』のOPテーマとして書き下ろした新曲「Tear of Will」をリリースした。ヒロインを務めるTVアニメ『RWBY 氷雪帝国』ED主題歌で、TK(凛として時雨)とコラボレーションしたロックバラード「Awake」、TVアニメ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違ってるだろうかⅣ 新章 迷宮編』のEDテーマで早見作品ではお馴染みの渡辺翔による優しくも力強いエールソング「Guide」に続く新曲の作曲と編曲を手がけたのは、初タッグとなるケビン・ペンキン。オーストラリア出身ながらも幼少期からスクウェア・エニックス作品をプレイし、2012年からは作曲家として「ファイナルファンタジー」シリーズの植松伸夫とのコラボレーションを重ね、2017年にはアニメ『メイドイン・アビス』のサウンドトラックで注目を浴びたケビンに早見が求めたものとは?

『聖剣伝説』がずっと大好きな方々にも愛していただけるようなOPテーマにしたい

――まず、TVアニメ『聖剣伝説 Legend of Mana -The Teardrop Crystal-』(以下、『聖剣伝説』)のOPテーマを歌うことになった心境から聞かせてください。

早見沙織 もちろん、私も知っている作品でしたし、シリーズが30周年と言う記念すべきタイミングで、初のアニメ化のOPテーマに参加させていただけるというのは、本当に光栄なことだと思いました。そのぶん、プレッシャーというか、緊張感も大きかったですね。

――ゲームには触れていましたか?

早見 今回作品に参加させていただくということになってから、ゲームの「レジェンド・オブ・マナLEGEND OF MANA」のゲームをプレイさせていただきました。まず、自分の手で武器を作り上げて、世界を構築して冒険を切り開いていくというのが新鮮で、とても面白いなと思いました。<宝石泥棒編>に関して言えば、アニメもあるので、最後までは言えないのですが、本当に心が揺れ動くストーリーになっていて。シナリオを読ませていただいたのですが、まるで自分がこの作品の中に入って、一緒にその状況を体験しているような感覚に陥って。最後には結構、ぐっときましたね。

――今回、アニメのほうにはセラフィナ役として出演されます。

早見 そうですね。キャラクターとしては、すごく朗らかで、打ち解けやすい雰囲気を持った女の子なのですが、物語が進むに従って、彼女の内に秘めている想いや状況がアニメの1つのキーポイントになっていく――重要な役どころだなと思ってるので、心してアフレコに臨んでいます。

――ゲームではシャイロとは重ならないんですよね。

早見 そうなんですよ。ゲームの中では、シャイロかセラフィナのどちらか1人を選んで最後までプレイするので、アニメは2人いるということで、どういうふうになっていくのかも1つの見どころかと思います。かなり新鮮に味わってもらえる部分もあると思うので楽しみにしていてほしいですね。

――ちなみに、早見さんがTVアニメのオープニングを担当するのは、アーティストデビューを飾ったTVアニメ『赤髪の白雪姫』(2015年)のOPテーマ「やさしい希望」以来になりますよね。これまで数々のアニメのEDテーマを歌ってこられましたが、オープニングになると気合いが違うということがあったりしますか?

早見 気合いは常に120パーセントなので、あまり違いはないのですが、個人的には、OPテーマは作品の真正面のお顔みたいなイメージがあるので、より一層の熱は入りましたね。そして、何よりも、『聖剣伝説』という作品の力もかなり大きいと思います。やっぱり30周年を記念した初のアニメ化ですし、『聖剣伝説』がずっと大好きな方々にも愛していただけるようなOPテーマにしたいっていう気持ちは、制作当初から持ってました。

――では、楽曲はどのように制作していきましたか?出発点から聞かせてください。

早見 やはり、『聖剣伝説』のOPテーマであるというのを大きな木の幹のようにどっしりと主軸に据え、意識を向けて曲を作っていきました。『聖剣伝説』は元々、音楽もとても皆様から支持されていて。人気のある楽曲がたくさんありますし、私もゲームをプレイしながら、「下村(陽子)さんの曲、すごく素敵だな」と思っていて。そして、「この作品は音楽がとても大事である」という共通認識を持ったなかで行ったチーム会議のときに、スタッフさんから、ケビン・ペンキンさんのお名前を出していただいて。TVアニメ『盾の勇者の成り上がり』やTVアニメ『神之塔 -Tower of God-』で音楽を担当されていらして、私もご一緒したことことがある素敵な作曲家・編曲家の方なんですけど。

――作曲家としてはどんな印象を持ってましたか。

早見 ちょっと抽象的になるのですが、森や大地、風や光という自然を感じることができるんですよね。そして、どこか懐かしさと温かさがあるような音楽というイメージがあって。今回『聖剣伝説』のオープニングを作るにあたって、ケビンさんが生み出す音楽や雰囲気がしっくりとハマるのではないかということでお願いし、そこからリモートで打ち合わせをさせていただいて。

――英語で?

早見 ケビンさんは外国語をお話しされるんですけど、割と日本語もペラペラなんですよ。最初のご挨拶やざっくりとしたコミュニケーションは日本語で会話をさせていただき、楽曲の細かいニュアンスなどについては通訳の方を介してお話しさせていただきました。すごく気さくでお話をしやすい、とても明るくて素敵な人柄で、私は緊張していたのですがケビンさんのお言葉でどんどん気持ちがほぐれていきました。

――ケビンさんには求めたものはどんなものでしょうか。

早見 そうですね。まず、私のほうのチーム全体で色々と話し合っていたのですが、作品としても、スケールが小さいよりは壮大な楽曲にしたいという思いがありました。また、やっぱりOPテーマなので、物語の始まりにふさわしいスタート感のある楽曲というか。ただ、リズムとしては、ミドルから少し早いくらいのどっしりした楽曲にしたいですというような話はしました。

――打ち合わせで何か覚えていることはありますか?

早見 ケビンさんは既に『聖剣伝説』をご存知で、日本のアニメーションやゲームに精通していらっしゃったんですね。その大前提を共有していたぶん、話がとても早かったですね。『聖剣伝説』の作品性や空気感を言葉にはしていないですが、チーム全体で無意識にそこを共有することができていたのが、かなり大きい要素だったのではないかなと思っています。なので、楽曲のイメージはお伝えしましたが、あくまでケビンさんが持っていらっしゃる『聖剣伝説』の印象や、ケビンさんが普段作られている楽曲の延長線上でというところでお願いしました。

――楽曲を受け取ってどう感じましたか?

早見 ケビンさん節を感じましたね。ケビンさんが元々作られている、そして、私が聴いたときに感じる……何とも言葉にできないんですけど、ちょっと懐かしかったり、少し独特な雰囲気のある印象はそのままでした。

――とても独特の構成ですよね。弦とピアノとコーラスがメインで、ビートレスのところもあれば、打ち込みのビートが入るところもあるし、またなくなったりもしつつ、また最初のメロディに戻るという。

早見 一番最初にいただいたデモから何度か改定稿があり、どんどんブラッシュアップされていって。後半にいくに従って、ものすごく壮大な展開になっていく曲になったんです。冒頭の“かげる空~”のところは、メロディだけで聴くと、「これ、どんな日本語の歌詞を当てたらハマるんだろう?」っていうのが、一聴しただけではなかなか見えなくて。独特なメロディラインだったので、歌詞を書くのもドキドキ感がありましたね。

――まさに、いわゆるJ-POPにはないメロディラインですよね。でも、短歌のような文学的で美しい日本語の歌詞が載っています。作詞は大変だったのでは?

早見 難しかったですね。最初の繰り返しの部分は、本当に個性的なメロディラインになっていて。メロディというよりは、音のリズム感なのかな。どんな日本語の音をはめるかで、響きが全然変わってくるような難解さを持ち合わせているんですね。そこにいくつ音をはめるのかっていうのでも変わってくるくらい、一文字一文字が大事になる音の乗せの仕方が必要で、色々と試行錯誤したのですが、全体としてはやっぱり、『聖剣伝説』の物語をかなり意識しました。主人公1人の軸というよりかは、全体を通して、少し物語を俯瞰している部分も入れながら、キーワードも思い浮かべて。

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