【インタビュー】TAKU INOUE 初のコンセプトEPが完成!5曲入りの新作『ALIENS EP』が生まれた背景に迫る

実力派エイリアンたちと作り上げた音楽たち

――そうしたなかで本作に集まる”エイリアン”たちーーゲストボーカルはどのようにして選ばれていったのですか?

TAKU 今回はラップをフィーチャーしたいなっていうのがあって、Calliopeさんは先に決めて、そのあとどうしようかなって思いながらCalliopeさんの曲を書いて、自分の曲を書いて、最後に1曲目と5曲目をイントロとアウトロのつもりで書いたんですけど、イントロが存外かっこいい出来になったので、そこに男性を入れたいなというのもあったところで、かねてから好きだったONJUICYくんにお願いしたんですね。

――そうしたONJUICYさんが参加した表題曲「The Aliens EP」ですが、本作のイントロダクション的な側面もあり、フリーキーなジャズテイストのある曲で、人気トランペット奏者の類家心平さんが参加されています。

TAKU そうなんですよ。ご紹介いただいて。まだご挨拶したことなくてデータのやりとりだけだったんですけど、ものすごくよかったですね。

――そんな類家さんのトランペットも印象的なこの曲ですが、トラックのイメージは?

TAKU なんとなく、芯としてこのEPはジャズの要素を入れたいというのがあって、まず「3時12分」もあったのでなんとなくジャズの流れでイントロっぽいのを作ろうかなってなったときに、どジャズなんだけど、ドロップがトラッピーになるというか、そんなイメージで作り始めましたね。それでトランペットソロも入れようと思いました。

――またサウンドがTAKUさんのディスコグラフィーでは新鮮でもあり、実に刺激的でした。

TAKU トランペットのおかげでだいぶかっこよくなりました。たぶん、自分のパブリックイメージとは違う感じだと思うんですけど、どうせソロ名義でやるんだったら全部同じだったらつまらんしっていうのもあったので、これを1曲目にしたいなっていうのはありましたね。

――そこに乗るONJUICYさんのラップがよりエッジィさを際立たせるというか。

TAKU また結構攻めた感じになりましたね。

――ONJUICYさんのラップも素晴らしいですが、彼が書いたリリックも夜感もあり、アニメや映画などのネタ使いもあって。

TAKU 彼にまず伝えたのはエイリアンというコンセプトと、曲を追って時間が流れていく感じを作りたいというので、ONJUICYくんには午後8時半から午前1時ぐらいの雰囲気で、どこかで時間の表記を入れてほしいということを伝えたんですけど、それで書いてきてくれたのがこれで。世の中のエイリアン作品のオマージュや、そういうのを入れてくるのもすげえなあって。

――これがTAKUさんの作品の導入になるというので、あらたな魅力を見つける人は多いと思います。

TAKU たぶん曲とも普段こういう曲を聞かない人はいると思うので、どう受け止めてくれるか楽しみですね。

――続いてはCalliopeさんが参加した「Yona Yona Journey」ですが、Calliopeさんのパフォーマンスが……。

TAKU これは……素晴らしいですよね。

――正直、これにはびっくりしました。

TAKU これはリードトラックにしようと思って作っていたんですけど、予想以上に声のはまりがすごくよくて。僕はサビのメロと歌詞を考えて、ヴァースのところはCalliopeさんにお任せして、それはONJUICYくんと同じようにリクエストを全部伝えたうえでの制作だったんですけど、めちゃくちゃよかったですね。

――しかも彼女のリリックがまた「The Aliens EP」と続いている感じがあって、本作のコンセプトにもぴったりだなと。

TAKU そこはたまたまで、彼女は「The Aliens EP」の歌詞を見ていないんですよ。サビの歌詞と資料として「3時12分」の歌詞を渡したぐらいで、なので本当にたまたまな感じでいい流れができてよかったなって。ふたりともちゃんとコンセプトを噛み砕いてくれて、いいリリシストたちだなって。

――”PM to the AM, talkin’ 25時”というラインもあるように、まさに日付が変わる頃をイメージした曲になっているわけですよね。

TAKU ピークタイム時のことを書いてくれってお願いしました。ONJUICYくんはわりとステージに立つ側の目線で書いてくれたんですけど、Calliopeさんはステージの下から見た感じになっているなと思って、その対比も面白いなって思っていますね。

――その一方で、TAKUさんのトラックはどのように作られていきましたか?

TAKU あまり音数の多すぎない、ウェットすぎない4つ打ちにしたいなっていうのはあって。リードトラックなので勢いのある4つ打ちがあるといいなっていうのがあったんですが、そのなかでも軽快な曲を作ろうという感じでした。

――たしかに軽快さというのはトラックから感じられますが、その一方でコンパクトながえら歯応えがある仕上がりだなと。

TAKU そうですね、そういう感じなるといいなと。でも歯応えがあるのはやっぱりCalliopeさんの歌がすごくよかったからなのかな。リードトラックなのに英語たっぷりから始まるのはどうなんだろうって思ったんですけど、英語からサビで日本語に切り替わるところが好きで。英語と日本語が混ざるグルーヴがあって気持ちいいというか、そういうのは往年のm-floのLISAさんの感じがして気に入っていますね。

――まさにピークタイムというところで、この先に向けて酩酊はしていないという感じもありますね(笑)。

TAKU まだ意識ははっきりしている(笑)。まだまだ遊ぶぞっていう感じですよね。

――そこからの「Club Aquila」ですが、こちらのクレジットはTAKUさんのみということで、クレジットだけ見るとインストなのかなと。

TAKU 自分で歌いました(笑)。

――自身がボーカルをとるというのはソロ活動をするうえで想定していたんですか?

TAKU 自分のなかでは全然していなかったんですよ。これは「3時12分」のリリース情報が解禁されたときに、「あ、イノタクが歌うんじゃないんだ」っていうリアクションがそこそこあって、そういうのをレーベルが見ていて(笑)。「じゃあ今回5曲のうち1曲ぐらいはTAKUさん歌いますか」ってなったのがきっかけですね。まあやりたくねえっていうのはなかったんですけど。

――その流れで自分が歌うことはスムーズに入れましたか?

TAKU 絶対無理!っていうのはなかったんですけど、いざやってみると、自分の声って客観的に聴けなかったですね。普段のクライアントワークスとかで、お題があってこの人にお願いしましょうってなったときは、「じゃあこういう曲にしましょう」って思いつくんですけど、自分の声となると全然わからなくて。自分の声のどこがいいところでどこが悪いところで、どういう曲が合うのかっていうのがわからなくて、ものすごく悩みましたね、作っては捨て、作っては捨てっていう感じで。結構大変でした。

――でも自分自身と向き合うところはソロらしいというか、しかもポップなテイストにぴったりな心地よいボーカルだと思います。

TAKU ありがとうございます。せめて心地よくしようっていうのがあったので、歌いあげるというよりかはラップみたいに早口な感じが歌うほうがいいなっていうのがあって、最終的にこんな感じになりました。

――この先もTAKUさんが歌う楽曲をもっと聴きたくなる人たちは増えていきますよ。

TAKU そうだったらいいなあ。次の作品で自分のボーカルが入るかどうかはこれで決まるというか、あのとき「イノタク歌わねえのか」って言った人は責任をとって聴いてくれよって(笑)。

――そこから「3時12分」へと流れるわけですが、シングルとしてリリースされたこの曲が、この『ALIENS EP』のコンセプトのなかに投げ込まれると、また前後のストーリーが見えてくるというか。

TAKU おっしゃるとおりで、シングルのときと違う感じで聴いてほしいなっていうのがありました。前までの流れがあって、「ほら、こういう景色があるよね」っていうのがあって。

――どのような流れがあって3時12分という時間に辿り着くのか、というのがこのEPからだとよくわかるというか。

TAKU そう、そういうストーリーがあるといいなって。

――そんな「3時12分」を経て、「Taillights(Outro)」というアウトロで本作が締めくくられます。ギターの優しいアルペジオなど、まさにパーティーが終わった頃をイメージした楽曲というか。

TAKU おっしゃるとおり。ちょっと朝チュンっぽい感じを入れたんですけど(笑)、帰り道のちょっと寂しいような、ほっとしたような感じで締めるのがいいのかなって思って。結構締め切りギリギリだったんですけど。

――ここまで聴くと、あっという間ですが、イントロからアウトロまで濃厚な一夜が展開された一枚なんだとわかりますね。

TAKU そうそう。総尺15分ないんですけど、聴き応えを作れたらなって思いまして。

――たしかに本作は5曲で15分弱で、1曲もほぼ3分前後というコンパクトさなんですよね。

TAKU そうなんですよね。3分ないものもあるし。

――今回あえてそうしたコンパクトさというのは意識していた?

TAKU 時代ですね。やっぱり最近4分超えると長いなって、聴いていても感じるようになって。前までは5分ぐらいのものも作っていたんですけど、意識的に削れるところは削りましたね。なるべく削ぎ落とそうと思って。

――たしかに昨今そうしたコンパクトな構成が好まれるのもありますし、それが本作をリリースするVIAというレーベルのアティテュードともリンクしているのかなと。

TAKU そういうところは意識したのはありましたね。あとこれぐらいのボリュームだったら多少尖ったものでも聴いてもらえるんじゃないかなっていうのがあって、だからこういうボリュームにして、「ALIENS EP」みたいな尖ったこともやらせてもらおうって。これで長尺になっちゃうとやっぱりトゥーマッチになるのかなって。

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