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INTERVIEW

2021.12.03

【スペシャル対談】映画「フラ・フラダンス」より、総監督・水島精二と主題歌を担当したフィロソフィーのダンスの対談が実現 。“運命的な出会い”であり“愛のコラボレーション”となった今作に込めた想いとは――?

【スペシャル対談】映画「フラ・フラダンス」より、総監督・水島精二と主題歌を担当したフィロソフィーのダンスの対談が実現 。“運命的な出会い”であり“愛のコラボレーション”となった今作に込めた想いとは――?

12月3日(金)にいよいよ全国ロードショーを迎えたオリジナルアニメーション映画「フラ・フラダンス」の総監督を勤めた水島精二と、主題歌「サンフラワー」を担当したフィロソフィーのダンスの初の対談が実現した。『鋼の錬金術師』や『機動戦士ガンダム00』など数々の名作を手がけ、日本のアニメーションを代表する監督である一方、フィロのスをインディーズ時代からチェックするなど、ドルオタの一面もある水島総監督。そして、ガチのアニオタである十束おとはを擁する4人組のアイドルグループであるフィロのス。これは、「運命的な出会い」であり、「愛のコラボレーションだ」という意見で一致した対談のなかで、メンバーが思いがけず涙してしまう場面も。総監督がかけた言葉とは――。

お互いに愛を持った作品のなかで生まれた“奇跡のコラボレーション”

――まず、水島総監督がフィロソフィーのダンスに映画主題歌をオファーした理由から聞かせてください。

水島精二 フィロのス自体は前から知っていて。自分がファンだからっていう理由で、結構早い段階で「フィロのスがいい」って言ってたんですよ。

十束おとは ……嬉しい!やったー、ありがとうございます。

――どんなところに惹かれたかを聞いてもいいですか。

メンバー 聞きたい!聞きたい!

フィロソフィーのダンス

水島 最初は楽曲から入ったんです。おとはす(十束)の声が特徴的でフックがあるし、(日向)ハルちゃんのボーカルも強い。(奥津)マリリさんのボーカルもすごく良いし、まりあんぬ(佐藤まりあ)のダンスもすごくて、それぞれのパーソナリティがとても立っている。普通のアイドルじゃないなというのは最初から感じていたので、音源を聴いたり、映像を観てたんですけど、虹コン5周年のライブ(“虹コン結成5周年AnniversaryLIVE~今年もあなたと過ごすサマー!~”)のときに生で初めてパフォーマンスを観て、「すげえ!」ってなって、Twitterで呟いて。

十束 それを私がリツイートしたんですよね。エゴサしてたら水島総監督が呟いてくださっていて。アイドルがお好きということはちょっと知っていたんですけど、まさかフィロソフィーのダンスに興味を持っていただけるとは思っていなかったので、「えっ!?」って驚いて。これは、オタクとしてリプをせずにはいられない!という感じで即リプして。

水島 僕も「ぎゃー!」って驚いて(笑)。そのあとにライブにお誘いされて、観に行くようになったっていう経緯なんです。音楽的に好きで、パフォーマンスも素晴らしいし、皆さんかわいらしいし、最高じゃん!って思って観てた(笑)。その後、紆余曲折あって、なかなか「フラ・フラダンス」のエンディングが決まらなかったんですけど、かなり時間が経ってから、もう1回フィロのスの名前が出てきて、「水島さん、フィロのスがいいって言ってましたよね?」ということで、ようやく着地したという経緯でしたね。

十束おとは

――フィロのスにとっては初の映画主題歌となりますね。

十束 そうですね。アニメ映画の主題歌を歌わせていただけるのは初めてだったので、とっても嬉しいっていうのが率直な気持ちですね。そのなかでも、水島総監督は以前から知っていたというのもあり、縁を感じていました。また、アニメなんですけど、震災からの復興という人間ドラマもたくさんある奥の深い作品なので、その世界観を壊さないように頑張らなければいけないなという気持ちもありました。

佐藤まりあ 私は最初、実感が湧かなくて。自分たちの曲が映画館で流れることが想像できなくて、試写会の日まで疑っていました(笑)。

十束 あははは。その時点でもまだドッキリだと思ってた?

佐藤 もしかしたら何かの間違いかもしれないと思いながら試写会に行ったら、実際にエンディングで流れてきて。「あ、私たちが主題歌に決まったんだ!」って、本当にそこで実感するくらい、フィロソフィーのダンスとして活動し始めてから一番驚いた出来事でした。

佐藤まりあ

日向ハル 私も一緒ですね。自分たちが映画の主題歌を歌える日がくるとは思ってなかったですし、試写会で観させていただいたとき、360度、自分たちの音楽に耳が包まれる感覚が初めてですごく感動して。映画の内容ともリンクしてるし、自分たち自身とも重なる歌詞でもあるので、色んな方向から涙腺をズタズタにされて……気づいたらメンバー、みんな泣いてたんですけど、終わったあとに「すごいピッタリだったね!私たちの曲!!」って。

奥津マリリ あははは。自画自賛したよね。

日向 自分たちで言うなって感じなんですけど、そのくらいピッタリなので、やっぱりご縁があって、この作品に関わらせていただけたのかなって思ってます。とっても嬉しかったです。ありがとうございます。

奥津 デモの仮歌を歌っている時点で、絶対にピッタリっていう確信を勝手に得ていて。最初からこれは運命だ!と思っていたので、決まったときは信じられない気持ちとともに、ほらやっぱり決まった!絶対にこれは運命だって思っていた!という気持ちも強くて。実際に完成したものを観ても、「やっぱり運命だった!」と思いました。映画の中の登場人物たちの気持ちとも本当にリンクする内容の曲で、このアニメーション映画でシネマデビューできたことが本当に嬉しく思いました。ありがとうございます。

水島 いやいや、こちらこそ「ありがとうございます」ですよ。

日向ハル

――メンバーは「運命だった」と言っていますが、水島総監督は楽曲を受け取ってどう感じましたか。

水島 デモの時点でタイトルが「サンフラワー」で、歌詞がめっちゃめちゃ作中のキャラクターとも、フィロのスとも合っていて。紆余曲折ありエンディングが決まらないっていうなかで、最後に、自分の好きなアーティストがものすごく作品に合った曲を上げてくれた。それは奇跡的なものを感じましたね。あと、僕はアーティストさんとご一緒するときに、アーティストさんの色が消えちゃうのはすごく嫌なんです。でも、この曲は、僕が映画で描こうと思っていたことを読み取りつつ、フィロのスとしての表現の新しさも感じるし、これまでのフィロのスらしい持ち味も生きてる。だから、曲を聴いたときに「よっしゃ!」ってなったし、エンディングのプランもすぐに自分の中で湧いたので、本当に“運命”だなと思って。だから今、マリリさんの発言を聞いて、両方同じことを感じていたんだなと思いました。最高ですね。

日向 お互いに運命だったと思ってたみたいです。

奥津 両想いでした。ふふふ。

奥津マリリ

水島 本当に、幸せなコラボになったと思う。フィロのスとできたことが、何よりも映画の中ではトピックだなと思っていて。映画を観終わったあとの気持ちの良い感覚を持ち帰ってもらうには最適だし、映画のテーマともバッチリ合っているし、すごく良い曲をもらえちゃったなって。

十束 私たちの愛と水島総監督の愛が交わった、お互いに愛を持った作品で、“愛のコラボレーション”なんだなっていうのが……。

水島 あははは。恥ずかしいけど、そうだよね。

十束 いや、これは見出しです!それくらい、みんな愛を持って、縁や絆を大切にして、この作品が出来たことを証明できて嬉しかったです。

水島 僕もそう思います。自分が出せるものは全部出したし、過去からの縁や絆の集大成にもなってる。だからこそ、最後まで責任を持ってやらないと、という思いで頑張ってきたものが、本当にフィロのスのエンディングによってすべてが良い方向に向いている。映画的にも、コラボレーション的にも達成できていることが実感できているし、今回の衣装もそうですけど、めちゃめちゃ前のめりにやっていただいてるんだって実感できて。

十束 あはははは。確かに。

日向 めっちゃ張り切ってる(笑)。

奥津 ひまわり畑に行っちゃいました。

水島 それも含めて嬉しかったですね。ちゃんと向き合ってくれて、一緒にやってくれてるのがオタク冥利に尽きるなって。あと、「サンフラワー」のMVを観て、本当にすごい!と思って。

――映画の舞台になったハワイアンズで、フラダンサーさんと一緒に「サンフラワー」を踊っていましたね。

水島 映画のテーマのアンサーをまさかフィロのスがやってくれたっていう。こんなこと滅多にないんですよね。みんなの愛が積み重ねていって、あの映像が出来た。観ていると、目頭が熱くなって泣けてくるんですよ。こんなに幸せなことってあるんだなって思いましたね。

奥津 映画を観て、フラガールの皆さんに自分たちがすごく重なって、他人とは思えなくて。ハワイアンズにも実際に行ってみたいし、フラガールさんたちとコラボできたらすごいことだよねっていうところから始まったので、それは映画の力ですね。

日向 すごくアットホームだったよね。

奥津 温かかったです。

水島 同じダンスを踊る人たち同士だからか、僕らが見たダンサーよりも、みんな柔らかい表情をしていて。一緒にダンスの練習をしてるときも、実際のステージもすごく楽しそうにやっていて。本当に「フラ・フラダンス」でやろうと思ったことがリアルに表現されていたんですよね。すごく映画を後押ししてもらっているし、今の話だと、明らかに自然発生的な流れでできていることを感じられてすごく幸せだし、監督冥利に尽きますね。自分が「フィロのスがいいな」って言ったところから始まってると思うと運命を感じるし、最高の贈り物をもらった気分ですね。みんなを元気にできるものを、という想いで作ったけど、実際にみんなが元気になって、その元気を広げて、また自分に返ってきた。素敵なことだなと感じますね。

「アーティスト冥利に尽きる」――思わずこぼれた涙

――ハワイアンズのステージで踊った感想も聞かせてください。

佐藤 映画を通して、フラガールの皆さんがどれだけたくさんの努力をして、あのステージに立っているかを感じたので、今までのライブとはちょっと違う緊張感がありました。でも本番はすごく幸せな時間で、フィロソフィーのダンスにいなかったら経験できなかっただろうなと思ったら、泣けてきて。すごく貴重な時間になりました。

奥津 映画ではフラガールの皆さんがアイドルの曲を使っているので、逆に私たちは、アイドルとしてダンスにフラを取り入れてみて。一緒にステージに立ったときにフラガールの皆さんの心が伝わってきて、グッとくるものがありました。ぜひ、映画を観た方には、あのMVも観ていただいて、ハワイアンズに行きたいなと思っていただく、3点の道を辿っていただきたいなと思っています。

十束 まさに幸せでした。総監督がおっしゃったことにすべて詰まっていると思うんですけど、私たちも温かさを感じて。フラガールの皆さんだけじゃなく、ハワイアンズで働いている皆さんや、お客さんも温かくて。まさに「フラ・フラダンス」の雰囲気がMVでも表現できたのかなって、心からハワイアンズの皆さんに感謝しています。

水島 ハワイアンズは本当に素敵なんですよね。包み込む感じがすごくて、アットホームの度合いが度を越してる(笑)。あの雰囲気を映画に落とし込みたかったんですけど、奇しくもフィロのスのMVを観て感じることができる。ある意味、アニメの追体験ができるし、フィロのスのMVを観ると、本当にこんな雰囲気なのかな、行ってみようっていう気持ちはより高まりそうだなと思って。いやもう、素晴らしいコラボになってる。素晴らしい流れができているなと思っています。

――ハルちゃんは今泣いてますね。ハワイアンズで踊ったあとは、メンバーが涙を流すなか、1人だけ笑顔だったのに。

奥津 時差ですね、きっと(笑)。

日向 いや~、嬉しくなっちゃって。本当にアーティスト冥利に尽きると言いますか。私たちもこの作品に少しでも力添えができるといいなと思って歌って、MVを撮って。そう思っていたのが、総監督から「僕が映画で表現したかったことを表現してくれた」と言ってもらえるとは思ってなかったので、本当に感動してしまって……。MV撮影のときは、あまりにも楽しかったので1人だけ笑顔だったんですけど(笑)、改めて、監督が目の前にいらっしゃって、温かい言葉をかけてもらえたことで、みんなから遅れて感動がやってきました(笑)。

水島 あははは。僕はこれまでも色んな作品をやってきてますけど、一番シンクロ度、リンク度が高いと思う。自分でオーダーしながらやってきてますけど、ここまで作品とマッチすることはなかなかないんですよ。こうして、MVが明らかに映画のアンサーになってる。対になってることをフィロのスがやってくれた。どれも自分が映画で書きたかったこと、伝えたかった空気感もちゃんと込められているっていう。まさに運命で奇跡だなと思うので、幸せな作品になったと思います。

水島総監督

十束 嬉しいね。嬉しい!めっちゃ嬉しいです。今までの作品でシンクロ度が一番かもしれないっていう言葉が、アーティストとしても、オタクとしても、めちゃくちゃ嬉しくて。

水島 作品で表したいと思っていたこと、エンディングとして素晴らしい曲であること、ベストオブベストです。そう考えると、今まで自分の映画やテレビの中で、一番ですよ。

十束 (涙を流しながら)それは嬉しい。嬉しすぎますね……うえーん、えーん……。

――今度はおとはすが号泣してます。

メンバー あははははは。

水島 でも、本当にそれくらい、「サンフラワー」を聴いたときはやった!っていう気持ちになったんですよ。

十束 めっちゃ嬉しいです。『ハガレン』『シャーマンキング』『OO』ってオタクの通る道で、何回観たかわからないくらい観たし。『楽園追放』もめっちゃ好きなんです。それを超えて1位って言われて……(涙)。やばいですね。こんなことあるんですね。

水島 それくらい奇跡的なマッチングでした。

十束 すごい。今、これまでで一番頑張ってきて良かったと思いました。

奥津 本当に愛のコラボレーションですね…。フラダンスには1つ1つの動きに意味があって、私たちも今回それを意識しながらダンスを作ってもらったんですけど、サビの一番最後の“私は生きている”という歌詞のところが「愛しています」という意味の振付になっていて。「生きることは愛すること」っていう私たちのマインドを表していて、大切に愛を伝えるように踊ってるので、ぜひ注目して観ていただきたいです。

次ページ:「フラ・フラダンス」を思い返すことができるアニメMV

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