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INTERVIEW

2021.11.27

【特集】繋がる、「神聖かまってちゃん」と『進撃の巨人』。7インチアナログ盤「僕の戦争 / 夕暮れの鳥」リリース 撮りおろしインタビュー

【特集】繋がる、「神聖かまってちゃん」と『進撃の巨人』。7インチアナログ盤「僕の戦争 / 夕暮れの鳥」リリース 撮りおろしインタビュー

神聖かまってちゃんみたいなものがこうなってるのは、まだ救いはあるんだなって。(の子)

――そして「僕の戦争」については、何と言っても聖歌隊がフィーチャーされて、非常に分厚いサウンドになっているわけですが。

の子 そうですね。聖歌隊は常々使いたいと思ってたんですが、今回お金がいっぱい入ったんで。やっぱりお金ですよ。

――(笑)。制作費が出たってことですね。

の子 制作費ですね。悲しいこと言いますけど、やっぱお金ですよ。制作費!今までも聖歌隊使いたいって言ってきたんですけど、そこはお金の、予算の問題があって。でも今回の『進撃の巨人』はめちゃくちゃ出るんで、もうふんだんに使って。やりたい放題やったって感じですね。

――で、この曲は後半で、日本語の歌詞になりますね。

の子 そこはシーンを一気に変えてる、ような……変えてるようで変えてないっていう狙い。もう完全な狙いですね、それは。やっぱり神聖かまってちゃんの新曲として書いてるんで、そこも英語の歌詞なんですけど、フタを開けてみたら全部繋がってるっていうか。

――そこがすごいですよね。この構成は最初から考えたんですか?

の子 いや、流れですね。色々考えて、流れで(音のアイデアを)ぶち込むだけぶち込んで、みたいな。

――monoくんは「僕の戦争」に最初、どんな印象を持ちました?

mono 単純に(主題歌として)ハマるだろうな、という気はしました。アニメの内容というか、(ストーリーの)どこら辺からというのは聞いてはいたので、ウォーッ!っていう感じじゃないだろうなというのは、なんとなく予想していて。

――じゃあ、あのイントロの民族音楽っぽいフレーズもあった?

mono はい、もう。その雰囲気だったと思います、たしか。

――の子くんには、実際に聖歌隊や菅や弦が絡んでいくとすごい曲になっていくだろうな、という感じはありました?

の子 それはもう、自信はありましたね。うん、けっこう。

――なるほど。で、それだけの曲になりましたね。今でも色んなところで聴くもんね、この歌。

の子 まあ、そうですね、色々。テレビでも。ありがたいですよね。TikTokでも、ネット上でも、どこでも。野球選手も使ってくれてるみたいで……塩見泰隆(東京ヤクルトスワローズ所属の外野手)選手?ありがたいです。

――あ、そうそう!僕も神宮球場に野球を観に行ったら、彼がバッターボックスに入るときにこの曲が流されて、「おお、使われてる!」と思って。

の子 ありがたいですよ。だからこうして『進撃の巨人』というデカいものを通して、また神聖かまってちゃんが世界に知られていってるのは、僕からしても面白いですね。で、そういう世の中であることがまた嬉しかったりします。神聖かまってちゃんみたいなものがこうなってるのは、まだ救いはあるんだなって。俺も楽しいですし……さっきもお祭りって言いましたけど。別に神聖かまってちゃん、やってることって、ずっと変わんないんですよ。これからも変わんないと思いますし。軸となるものは……表現したいものとかはありますけどね。で、それがゆえに、なかなか理解されないところが今でもあったり、ファン減らしたり、色々あるんですけど。それでも今の現状は面白いですね。

――monoくんはどう思います?色んな方面からこの曲へのリアクションがあると思うんですけど。

mono いやぁ、単純に『進撃の巨人』ってすごいんだなって、改めて思いましたよ。で、その力はもちろんですけど、今回本当に良いものができたなって思うんで。だから、言い方は悪いですけど、そんなに驚いてはいないですね。「だよね」とは思いましたよ。

――それだけ自信があるものが出せたということですね。で、さっきも話にあったけど、僕も『進撃の巨人』とかまってちゃんの世界には通じるものがあると思うんですよ。ご本人たちとしては、それはどういう点だと思います?

の子 うん、まあ普通に……パッと脳内に浮かんだのは、いじめられっ子、とか。スクールカースト下の下の下、とか。そこで叫んでる、とか。こう言うと、『進撃の巨人』のファンタジーとは対を成すことを言ってるようにも聴こえるかもしれないんですけど、そうでもなくて。(『進撃の巨人』は)ダークファンタジーはダークファンタジーなんですけど、スクールカーストなり何なりの、リアル社会にあるものが……上手くあると思うんですよ。諫山さんの表現に関しては。その表現というところで合致してるんだと思います。実際それで諫山さんが僕らの音楽を好きになってくれたのも、当然ありますし。僕がニコニコ動画でああいう奇抜なことやってるのが出会いのきっかけだったのも、そうだと思いますし。なんか絶妙なところで線が繋がってる感じはあるんじゃないですかね。

――うんうん、なるほど。monoくんはどうですか?

mono やっぱり復讐的なところがあるのかな、と。イメージとしてね。『進撃』もそういうところがあると思うし。共通点はそこかな、って。

――そうですね。それプラス、僕が感じるのは、作品に緊張感があって、その抑圧されてるなかで大切なもの、かけがえのないを見出そうとしたり、こちらはそれで生きていることを実感できたり、というところも通じるんじゃないかなと思います。

の子 ありがとうございます!……うん、表現してる側はゲロ吐いてるような感じなんですよ。溜まりに溜まって、バーッ!て出てるっていう。メンヘラの爆発みたいな、病んでる人のウワーッ!って感じですね。そういうタイプで、(諫山先生と)似てるところがあるなって、僕も思います。そういうスレスレな感じというか……僕の、自分の経験から言えば、結局それは人間性なんですよね。それが血となり何となり、という感じの。

――はい。それが脈々と自分たちの音楽にも生きていて。

の子 それは昔からそうですね。だからそこがまた、時が経って、僕も10年20年やってきて、どういう変化があるのかと言えば……客観的に見て、神聖かまってちゃんとか自分の曲とか……良い感じに成長してってんだな、と思いますけどね。自分の創作面に関しても。それはスキルであったりなんですけど。それはアーティストとして、単純に思います。今回の「僕の戦争」なんかも特にそうですけど、そういうものを出せてるんで。

――そうですね。そう思います。

の子 うん。それでも根底は変わってないんですよ、やっぱり。「学校に行きたくない」とかを作った10代の時のああいったものは……「ロックンロールは鳴り止まないっ」でもいいんですけど。だから根底は変わらないなかで、広がった……という言い方は、自分ではあれなんですけど。

の子 でも……わかんない。悪く言えば、上手くなった、とかもあるのかもしれないですね。あんまり考えたくはないですよ、自分では。その時に、動物的にやってるのが一番なんで。

――はい。それはこっちの係ですから。

の子 そうですね。そう、ツッコミじゃないので。ボケるのはこっちなんで。漫才で例えればボケ側なんで。でも自分でも日々、ツッコミ側というか……冷静に見てますけどね、当然。はい。

――だから成長はしてるけど、でも貫かれ続けてるものはあると思います。そこは、の子くんの業(ごう)というか、変わらないところ、変えられないところなのかなと。で、それがあるからこそ、やり続けてると思うんですよね。

の子 まあ、そうですね。それは(自分個人の)人生としてもあると思いますし……神聖かまってちゃんとしても、人生としても、色々あると思いますね。これ以外にないですからね、もう。人生、もはや。

――その部分をこの「僕の戦争」のジャケットの諫山先生のイラストは、すごく表してると思うんだよね。教室の絵で、そこで戦いがあって、それはまさにかまってちゃんらしさでさ。

の子 良いですよね、改めて見ても。シュールで。笑っちゃいましたもん。

mono (笑)。ビックリはしたけどね。

――こうしてレコード盤になると喜ぶファンも多いんじゃないでしょうか。

の子 レコード盤は初めてなんですかね?うちら。レコードって今はみんな、飾るとか……流行ってるんでしたっけ?プレイヤーってみんな持ってるんですかね?

――持ってる人も多いけど、持ってない人も多いと思いますよ。で、レコードをアイテムとして持っていたいという。

の子 ああ、アイテムとして。やっぱり飾るとかなのかな。

――良いと思いますよ。そういう楽しみ方も。

の子 うん、良いと思います。僕らはお金が入れば、何でもいいんで(笑)。

――そして、この曲のMVが今作られてるところなんですよね?

の子 それ、ちょっと見たんですよ。いやあ、すごかった。今回もラビットマシーンさん(MVクリエイター/近年はYOASOBIのビデオも制作)に頼んでるんです。前回の「るるちゃんの自殺配信」のアニメーションのビデオを作ってもらって、ものすごく良かったので。

の子 そこでアニメーションと楽曲との親和性が高いってわかって。今回のも、良いな!と。

mono すごく、良い感じでした。

の子 でも曲発表して、もう1年経ってますけどね(笑)。まだMV出さねーのか!いつまで「僕の戦争」で引っ張るんだこいつらは!って言われるかもだけど。いや、こっちだってそんなつもりもないんだけど(笑)、ここまできたら時期はちゃんと見て、狙って出そうかなって考えてます。

PHOTOGRAPHY BY 山本マオ
TEXT & INTERVIEW BY 青木 優


●リリース情報
神聖かまってちゃん
「僕の戦争 / 夕暮れの鳥」

2021年11月27日(土)発売

予約ページ(海外通販共通)はこちら

形態:7inch アナログ盤
価格:¥2,420(税込)
品番:CMRS148

<収録曲>
side-A 「僕の戦争」(アニメ「進撃の巨人 The Final Season」 OPテーマ主題歌)
side-B 「夕暮れの鳥」(アニメ「進撃の巨人 Season 2」 EDテーマ主題歌)

関連リンク

神聖かまってちゃんHP
https://shinseikamattechan.jp/

神聖かまってちゃんTwitter
https://twitter.com/kamattechaninfo

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