INTERVIEW
2021.11.17
2010年代から数々のヒットアニソンを生み出し、現在は自身のユニットであるsajou no hanaでも活躍するクリエイター・渡辺 翔。スマイルグループ所属の彼もまた、今回開催される「アニメ音楽のこと!マッチング・オーディション2021」に審査員として参加する。業界屈指のメロディメイカーは、どんなシンガーやクリエイターとの出会いを求めているのだろうか。
■「アニメ音楽のこと!マッチング・オーディション2021」特設ページはこちら
――翔さんは2014年に開催された「<アニメ限定!>スマイルカンパニー・オーディション2014」で審査員として参加されていましたよね。
渡辺 翔 そうですね。あのときは最初に集まったものをほかの方が内部審査してから僕が選ぶという流れだったんですけど、たまたまそのオーディション期間内に事務所に行ったら資料がまとまっていたので、事務所の部屋にこもって4~500人分くらいを一気に聴きました(笑)。
――結局一次審査から参加されていたと(笑)。
渡辺 どうしてあんなに時間があったんだろうって(笑)。でも気にはなっていたんですよね。僕もsajou no hanaを始める前だったし、僕も次の何かを考えていた時期だったので、良いボーカリストはいないかなって前傾姿勢で聴いていましたね。
――そのときはどんな基準で選考していたんですか?
渡辺 とりあえず声の感じとか、自分が良いなって直感で思うものをどんどん横によける感じですね。そこはフォルマントというか喉の作りに依存するというか、生まれ持ったものは変えられるものではないので……というとこれから応募する人にはハードルが上がるかもしれないですけど、僕がピンとくるもの持っている人を探していた感じですね。
――そのなかで、のちにsajou no hanaで一緒に活動することになる当時15歳のsanaさんがいたわけですよね。
渡辺 そうですね。そのときすでに甲(克裕/株式会社スマイルデイズ代表)さんから「いい子いたよ」ってなんとなく情報は聞いていたんですけど、僕はそのとき彼女をチェックしていなかったんですよ。自分の見る目が……(笑)。
――お二人が共鳴し合ったのはオーディション後だったと。またオーディション後には、sanaさんに未発表で1曲提供されたようで、sanaさんは「難しい曲だった」と言っていましたが……。
渡辺 ありましたね。ロックなんだけど曲中にR&Bを入れたような(笑)。当時の彼女の歌い方は今とはまた違っていて、ブラックミュージックの影響を受けてきたんだろうなっていう歌い方だったんですよ。とはいえアニメフィールドではそれとは別の手法を歌う必要があるだろうなと思っていたので、色々混ぜたような曲になりました(笑)。リズムはロックな雰囲気なのにメロディの雰囲気はR&Bというのを初っ端から歌ってもらいましたね。
――それが結果として同じユニットを組み、翔さんとしてもクリエイターから表に出るきっかけにもなったわけですからね。
渡辺 そうなんですよ、だから助けられた部分もあって。今思い返すとターニングポイントになったオーディションだったのかなと思います。
――そしてそこから7年ぶりに、スマイルグループによるオーディション「アニメ音楽のこと!マッチング・オーディション2021」が開催となります。
渡辺 オーディションという形は以前と比べて少なくなってきたと思うんですよ。今って自己発信で自己プロデュースできる時代なので、そのなかでどんな人が集まるんだろうというのは気になりますね。例えば歌手を目指している人で世の中に音源を出していない人がどれくらいいるんだろう?とか。昔はそっちが大半だったんですけど、今はどんな人がくるんだろうなと。
――今回も応募資格は広く、シンガーからクリエイターなど様々なタイプの応募が可能となっています。
渡辺 ほかにもバンドをやっている人も可能だし、なんならフリーですでに楽曲提供をしている人もいいと思うんですよね。
――ちなみに翔さんは最近の若手の楽曲は聴かれますか?
渡辺 よく聴きます。作家中心でやっている人の楽曲も聴きますし、別界隈で活動されている人の楽曲も聴きます。僕は編曲をしないので、だからこそ常に自分の曲をアップデートしてくれる人を探しているというか、単純に興味がありますね。
――若い発想でのアレンジャーを求む、と。
渡辺 はい、そこは僕の裏テーマでもありますね。もちろん作詞も作曲も編曲もなんでもできます!っていう人も当然OKだと思いますし、それこそ作詞だけでもありですよね。
――作詞家志望となると、どんな形態が望ましいんでしょうか?
渡辺 歌詞だけっていうのは難しいですよね。歌詞ってメロディにはめる作業が大変なので、歌詞だけがとても良いって見てもらうのはなかなか大変かもしれない。例えば作詞家志望でも、以前誰かと作った音源を送ってもいいと思いますし、その経験がなければなんとなくこれがAメロこれがBメロこれがサビ、って分けてもらえるといいかもしれませんね。作詞家になってもメロディに歌詞をつけるという作業をくぐり抜けなくちゃいけないので。
――なるほど。
渡辺 あと作詞家志望であるなら作風が違うものを見てみたいですね。自身の恋愛経験を絡めた歌詞がよくありますけど、ほかにもそれとは違う、例えばキャラソン設定とかそういうものでもいいのかなって。
――では作曲家になるとどこを見ますか?
渡辺 メロディとコンセプトを見ます。コンセプトに関しては編曲にも繋がってくるとは思うんですが、やっぱりコンセプトは大事ですね。あとメロディの組み方でその人の時代感とかってわかるんですよ。メロディを聴くだけでわざとそれをやっているのか、その人の本質なのかはわかるんですけど、じゃあ複数曲応募するならそれを使い分けられているのか。逆に使い分けていなくてもメロディがとにかく良ければそれで突き抜けられるものもある。
――今の時代にフィットするメロディなのか、時代を超越するほどグッドメロディなのか、というのは大きいですね。
渡辺 例えば作家としては、その時代が終わったときに苦労するかもしれないですけど、そういう人は作家だけじゃなくてもその先があるので、そこから色々できることもあるんじゃないのかなって。
――そしてクリエイター志望のなかで、アレンジ部門についてはいかがですか?
渡辺 アレンジ志望の人が一番聴かれるというか、厳しく審査されるのかなって思います。でも今って、アレンジだけやりたいっていう人はいるんですかね?
――たしかに、作編曲や歌詞までトータルで手がける方は多いですよね。
渡辺 ただ、トラックメイカーとかそういう方向の人はいいかもしれませんね。ジャンル的にはヒップホップやクラブミュージック界隈だと、メロディを作るよりトラックを作るのが好きだという人はいると思います。そこから楽曲にするとなるとコライトでやるというパターンが多いですね。意外とトラックメイクだけが好きだという人もいるので、自分がアニソンというジャンル的に合わないかなと思っても、そういうきっかけで応募してくれたらそれは楽しいと思いますよ。
――昨今はアニソンでもコライトは多いですからね。自分の得意分野をとにかく応募してみるのもいいですよね。
渡辺 なんならチームで応募するというのはどうなんですかね?今もチームで楽曲制作しているところも多いですし。