INTERVIEW
2021.11.17
――ちなみにトラックメイクとなると技術的な面も見られると思いますが、シンガー志望などでは録音環境などは審査に影響はありますか?
渡辺 例えば以前のオーディションでも、歌志望の方だと後ろで音楽を流して、スマホで一緒に録ったというパターンの人もいましたし、それがオーディションの結果に響くことはなかったかな?ただ、僕らの仕事で仮歌さんっているんですけど、それくらいクオリティがよくて、なんならめちゃくちゃ仕事してるんだろうなっていうくらい作り込まれている方も応募者にはいたんですよ。かといってそれがデビューに近づけるくらい出来がいいのかかというと決してそうではなくて……。
――デモのクオリティよりも聴くところは惹きつけるものがあるかどうか。それがオーディションを通過して磨かれていくこともあるわけですよね。
渡辺 それこそsanaちゃんは、僕が気づけなかったくらいの原石だったんですよね。めちゃくちゃ歌が上手かったんですけど、当時僕がチェックしなかったのは、それが今のアニソンシーンにハマるのかな…と思うところがあったんです。歌い方的に僕が見えなかった部分があったんですけど、でも今の彼女の声を聴くとそのなかで儚さが出てきたし、ニュアンスも洗練されてきて、「こんなにも変わるんだな」って。同じsajouのメンバーのキタニ(タツヤ)も含めて、やりながら見つけていったところだと思います。
――シンガーやアレンジャーなど、今後このオーディションを通過した人と、翔さんが一緒に仕事をする可能性があるわけで、今回の選考にも気合いが入りますね。
渡辺 本当は全部赤ペン先生したいぐらいです。多少好みは反映されますが、僕もたまに作家志望にコメントを返してあげることもあるので。
――翔さんにとってもそういった若い才能との出会いの場になるわけですね。
渡辺 そうですね。そういえば誰かがツイートしていてなるほどなって思ったんですけど、最近の若い子はみんなDAWは触っているんだけど、作曲能力の上がり方はそんなにこれまでとそんなに差はないなっていうのがあって。たしかにDAWの使い方はみんな上手いけど、上手く作曲できる人が劇的に増えたかというとそうでもない。それでも一体自分はどんなもんだ!くらいの気持ちで応募してきてほしいですね。それが楽しみではありつつ、自分が脅かされる怖さもありつつ(笑)。
――脅威に感じつつも翔さんが後輩育成にあたるかもしれないですよね(笑)。
渡辺 たしかに僕って、今まで育成欲ってあまりなかったんですけど、ここ何年かでスマイルに紹介した若い子たちとやりとりをしていると、意外と相談に乗ってあげるのは好きなんだなと思いました。自分でも、割と親身になって話を聞くんだって(笑)。
――やがて“渡辺 翔の秘蔵っ子”がデビューすることがあるかもしれないと。ちなみに翔さんは今の事務所に所属してどれくらいになりますか?
渡辺 22歳で入ったので、もうすぐ15年になりますね。
――もうスマイルでも古株ですね。
渡辺 古株なのかな?中堅くらい?アニソン業界でも中堅(笑)。
――重鎮ですよ(笑)。
渡辺 昔は“新進気鋭のクリエイター”って書かれて嬉しかったんですけど、数年前の打ち合わせのときに、「今回のアルバムは渡辺 翔さん以外はフレッシュな方で」と言われて、「僕はもうフレッシュじゃないんだ……」って。いまだにフレッシュを求めるのは強欲かもしれませんが(笑)。
――さすがにフレッシュの座は若手に譲りましょう(笑)。
渡辺 そうか。じゃあ、中堅からちょっと上くらいで挑みたいと思います(笑)。
――そんな翔さんから見て、長く所属するスマイルという事務所はどんな場所ですか?
渡辺 そもそも僕は15年前、J-POPの老舗というイメージで入ったんですよ。当時はアニメをやり始めたくらいの頃ですかね。僕もアニメ音楽というよりヒットチャートに載るような音楽を作りたいというイメージでこの事務所に入ったので、それこそ「雪の華」(中島美嘉)とか、ヒット曲がある事務所っていうイメージですね。
――それが、約10年前から、翔さんが作られた「コネクト」(ClariS)や「oath sign」(LiSA)など数々のアニソンヒットを生み出す事務所になっていきました。
渡辺 クリエイターの層も厚いですからね。色んなものに長けている人がいるので、編曲をしない自分にとってはこの事務所に助けられています。元々プロではまだ通用しない音源だったのに、メロディや歌詞を書かせていただいてプロで通用するように見せてくれたっていう一面もあるので。だからこれから応募する人にも、もしかしたら何か化学反応が起こるかもしれない。この人はまだまだだけどめっちゃ伸びるぞみたいな、即戦力じゃなくていいと思うんですよ。そういう伸び代はしっかり見ると思います。
――では最後に、オーディションに応募しようと考えている方たちにメッセージをお願いします。
渡辺 アニメ音楽を作りたい、アニメの曲を歌いたいというど真ん中の人に応募してもらいたいという思いはありつつ、アニメきっかけに自分を表現したい人もウェルカムだと思っていて。それこそボカロPになりたいとか、アイドルに曲を書きたいとか、そういうのもあっていいと思うんですよ。色んなやりたいことがあるけどアニメもやりたいっていう、それをきっかけにしたいという人がいれば、変にアニソンに寄せずにそのままで応募してくれればいいのかなって僕は思います。もしかしたらアニメには合わないけどすごくいいなと思える要素があれば、別口でピックアップされることもあると思うので、まず自分の才能を調べたいとか、何かのきっかけに応募してほしいなと思います。
――どんな形であれ、才能はフックアップされると。
渡辺 この業界、横の繋がりは太いですからね。それはそれで違うきっかけになると思うし。逆に自分はアニメに合わないと思っていても、それがめちゃくちゃ合うこともありますし。だからこそとにかく応募してほしいですね。
TEXT & INTERVIEW BY 澄川龍一
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●オーディション情報
「アニメ音楽のこと!マッチング・オーディション2021」
<応募資格>
・応募部門自由(ソロシンガー、ユニット、バンド、作詞、作曲、編曲、その他)
・年齢、性別、国籍:不問
<審査員>
渡辺 翔 / 作詞・作曲・プロデュース
黒須克彦 / 作曲・編曲・作詞・ベース・プロデュース
渡辺拓也 / 作曲・編曲・作詞・ギター・プロデュース
PA-NON / 作詞・プロデュース
sana(sajou no hana)/ ヴォーカリスト
甲 克裕 / 音楽ディレクター
<応募方法>
応募フォームよりエントリーをお願いします。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScGSGRRlK5smi7d9dYN3eE-Nmwmp4ETdwazQeromfgI74pqUA/viewform
<募集期間>
2021年11月17日(水)~2022年1月31日(月)23:59
<応募上の注意>
・審査結果は通過者のみにご連絡させていただきます。
・審査状況や選考結果に関するお問い合わせには一切応じておりません。
・オーディション参加費、選考費、またその後にかかる費用は一切ありません。(ただし、審査会場までの交通費は各自ご負担ください)
・未成年の場合は保護者の承諾が必要です。
・お送りいただいた応募資料は選考以外の目的で使用することはありません。
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