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INTERVIEW

2021.09.08

【スペシャル対談】『電音部 ベストアルバム -シーズン.0-』発売記念、各エリアインタビュー!【第四弾】シブヤエリア:健屋花那(鳳凰火凛役)×Masayoshi Iimori

【スペシャル対談】『電音部 ベストアルバム -シーズン.0-』発売記念、各エリアインタビュー!【第四弾】シブヤエリア:健屋花那(鳳凰火凛役)×Masayoshi Iimori

音楽シーンの流行を盛り込んだハイブリッドサウンドが完成。「Let Me Know」の制作秘話

――では、「Let Me Know (feat. Masayoshi Iimori)」の制作過程について教えてください。

Masayoshi この曲はそもそも、制作チームの皆さんから「頭の悪いドロップがある曲を作ってほしいです!」とオーダーがあって出来た曲でした。なので、治安が悪い曲になることは、最初から決まった未来だったんです。今思うと、めちゃくちゃな順番でできたことになりますよね。歌モノなのに「頭の悪いドロップ」からアイデアが始まったという(笑)。

健屋 でも、すごくシブヤっぽさが感じられる曲でした。「治安悪い、やったー!」って。

――具体的には、どんなふうに楽曲の構成を考えていったんですか?

Masayoshi この曲は、ラッパーのなかむらみなみちゃんにもリリックやメロディの部分で協力してもらっているんですけど、最初は僕らチームの中で「どんな曲にしようか?」と色々考えていって、参考になるような曲を挙げていくところから始めました。そのときSpotifyでプレイリストを作ったんですけど……1つキーワードとしてあったのは、最近流行っている「ハイパーポップ」と言われるような音ですね。歌モノなのに急にドンク(ベース)や4つ打ちが入ってくる、あの感じを出したいと思っていました。あと、リコ・ナスティーのようなラッパーからも影響を受けていて、そのうえでめちゃくちゃオートチューンで広がるような歌から入って、ドンクを加えたり、ダブステップにしたりして、最後は4つ打ちで終わる、という構成にしています。「Let Me Know」は、そうやって色んな要素の組み合わせでできた曲です。実際にどう組み合わせるのかが、すごく難しかったです。

健屋 「色んな要素の組み合わせ」って、もしかしたら、私たちのボーカルもそうなのかもしれないですね。私たちって全然声質が違うタイプだと思うので。

Masayoshi そうですね。実は今回は、人生で一番ミックスが大変だったかもしれないです(笑)。

健屋 ええっ、お手数をおかけしました……!

Masayoshi 声のタイプがそれぞれに違うからこそ、「こっちを抑えるとこっちだけ目立ってしまう」ということになって、全体での一体感がなくなってしまうんです。でも、そのなかで、「この人はこういうものが得意そうだな」とわかったりもしてすごく面白かったです。

健屋 えー、聞きたい!Iimoriさんから見ると、どういうことが得意そうですか?

Masayoshi 例えば、健屋さんはガリガリに歪ませたほうがかっこいい声だな、と思いました。“どこまーでーも ふりまわすからー いらない返答”という部分をミックスしているときに、グランジのような曲を歌ってもらってもめちゃくちゃかっこよさそうだな、と思ったんですよ。逆に(シスター・)クレアさんの場合は、今回はオートチューンもかけて歪ませましたけど、そうしない方が本来は合うだろうな、と思ったりしました。一方で、オートチューンのケロケロ加工が一発でいい感じになったのはサラさんですね。あと、健屋さんで印象的だったのは、やっぱり“Say Bye Bye”、“Yeah Fly High”のところ。この部分って、健屋さんじゃなければはまらなかっただろうな、と思うんですよ。三人の歌割りはスタッフさんが決めてくれたんですけど、それがバチッ!とハマった感覚でした。

健屋 私たちには最初、みなみさんが歌ってくれた仮歌が届いたんですけど、みなみさんと私たちの声質は違うので、最初は「どんな塩梅でやればいいのかな?」と考えました。でも、声の裏返し方や引っかけ方を、火凛としても無理のない形で参考にさせていただきました。

Masayoshi みなみちゃんが普段からやっているような高低差のあるラップの魅力を、健屋さんが汲み取って自分のものにしてくれていて、僕らとしてもすごくありがたかったですね。

健屋 あと、火凛の場合、ソロ曲の場合は「音楽楽しい。わー!」という雰囲気のものが多いんですけど、「Let Me Know」のようなシブヤの全体曲は、「他の追随を許さない」という雰囲気があると思っていて。そういう曲では、ちょっと抑えめに歌おうと意識したりもしています。もちろん、火凛は最強だし、音楽は楽しいけど、もっと余裕のある雰囲気というか、気だるげに面倒くさそうに歌うことを意識したりしてみました。

――なるほど。めちゃくちゃに騒ぐよりも、どっしりと立っているだけのほうが威圧感が出たりすることがありますが、それに近いイメージですか。

健屋 そうかもしれないです(笑)。火凛の立ち絵って、実際に仁王立ちしているようなものが多いですし。あと、この曲はメインのボーカルの後ろで色んなパートが飛び交っていて。後ろで巻き舌をしていたり、「エイ」「アイ」とアドリブを入れるのも面白かったです。

――トラップが流行って以降に出てきたラッパーたちに通じる雰囲気が伝わってきます。

Masayoshi そうですよね。例えば、サラさんがやっているアドリブには、プレイボーイ・カルティみたいな雰囲気もありますし。「すごい。ここまでやってくれるんだ!」と、聴かせてもらいながらめちゃくちゃ楽しんでました。

健屋 普段から私たちの活動を見てくれているリスナーさんたちからしても、新鮮に楽しめる曲なんじゃないかな、と思います。例えばクレアちゃんなんて、絶対この曲で歌っているようなことって普段は言わないと思うので。

Masayoshi そういうのって良いですよね。役として別の人格に向き合うことで、普段は見えないような表情が見られるというのは、キャラクターを演じる意味があることだと思うので。まぁ、いきなりこの曲から聴くと、わけが分からないかもしれないですけど……。

健屋 「えっ、誰?!」って(笑)。

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