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INTERVIEW

2021.08.05

35年歌い続けてきた今、大変な時代だからこそ伝えたい想い――森口博子、24年ぶりのオリジナルアルバム『蒼い生命』ロングインタビュー

35年歌い続けてきた今、大変な時代だからこそ伝えたい想い――森口博子、24年ぶりのオリジナルアルバム『蒼い生命』ロングインタビュー

“35人の森口博子”が歌う「水の星へ愛をこめて」、その先に続く未来

――そしてアルバム最後には「水の星へ愛をこめて」の新バージョンが収録されます。こちらがなんと、“35人の森口博子によるアカペラヴァージョン”というもので、まずこのバージョンを作ろうとなった経緯を教えてください。

森口 『GUNDAM SONG COVERS』で「めぐりあい」をオールアカペラでレコーディングさせていただいて、すごく評判が良かったんです。それで私もアカペラにハマっちゃって。“声”は神様からのギフトであり、その人にしかない“声”じゃないですか。それを重ねていくのはすごく神聖な作業だと感じて。それで今回、自分から「水の星へ愛をこめて」のアカペラバージョンをやってみたいとスタッフの方々にリクエストしたら、あの頃よりも難しいパートがたくさん出てきて、自分で言ったもののどうしようって(笑)。

――なんせ35のパートを一人でこなすわけですからね。

森口 歌以外のパートもそうですよね。トランペットやストリングス、ベースだったり、色んな楽器を自分の口で奏でて、コーラスも自分でやって、もちろんメインボーカルも歌って……。35トラックを重ねていく作業は、1トラック1トラックが一年一年色んなことを乗り越えて生きてきたその歴史を重ねていくような気持ちでした。35周年にちなんでの35トラックだったので。

――その制作がまさに、森口さんの35年の歩みであるかのような。

森口 「ああ、これは長いな、大変だな」って思いました(笑)。でも「楽しいな、感動するな、どんな仕上がりになるだろう?」っていうのもまさに35年を、1年1年を積み重ねていくことと同じだなって思って。それってつまり、35人の私じゃないですか。少女のような自分があったり、迷っている自分があったり、色んな時代があるわけですから。35人の私イコールみんなとの歴史なんだなって。

――その歴史を声で作り上げる。

森口 声だけというのは自分の決心ですよね。これからの周年に向けて、この声でずっと歌い続けていくんだっていう。この曲をアルバムの最後にしたのも、ノスタルジーに浸るみたいな意味ではなくて、私はデビューした17歳のときから、普遍的な、いつの時代にもリンクする曲をいただいているっていうことでもあるし。この声を届けていく決心も込めて、この曲をアルバムのラストに収録しました。

――これからも歌い続けるという強い決意を感じさせる、まさに圧巻の仕上がりでした。

森口 レコーディングはもう大変でしたよ。3日間かかったんですけど。3日間で「めぐりあい」のときには感じなかった腰痛が、ズシっと(笑)。

――体にくるんですね。

森口 きました。腰がちぎれるかと思いました(笑)。3日間ずっと歌い続けて、しかも取りづらい音もあったりして、途中脳トレかと思いました(笑)。楽器の旋律のなかには口三味線で表現するのが難しいフレーズもあるんですよ。でもそれが楽しくて。音楽プロデューサーで、この曲をアレンジした時乗(浩一郎)さんが「端から見たらいじめているみたいだよね」とおっしゃってて、私も「いじめられている! でもなんか楽しい!」とか言いながら(笑)。

――35年経ってもなお刺激的だと。

森口 はい。だって、いまだに「まだまだだな」って思いますし。私はいつも、1分前の自分の歌声は古いなって思うんですよ。そのとき精一杯の一番新鮮な自分を出したつもりでも、もう1分前の歌声は古い、まだまだだな、っていうことの繰り返し。

――そうした更新の先、10月3日にはアニバーサリーコンサートが待っています。

森口 待ってますね! 『GUNDAM SONG COVERS』シリーズや懐かしいオリジナルソングそして、『蒼い生命』のアルバムをしっかりと生でお届けします! 神前さんの美しい楽曲は泣かずに歌える自信がない(笑)、それほど心が今から震えています。「ポジション」はレコーディングしていて、「コンサートの絵が見えるよね! 間奏で絶対ありがとうって言っちゃうよね!」とか、ブースでも盛り上がっていたので、ウズウズしています! 毎日エゴサするんですけど「森口博子のライブ、ヤバイ」「一度行ってハマった」とかそういう声にもニヤニヤしています。

――ファンと一緒に楽しむことができる、森口さんにとってもその瞬間は待ち遠しい!

森口 そうですね! でも、私が今回、寂しいなって思うのがファンの皆さんとのその場での会話。私はキャッチボールを大事にしたいんですね。いつもだと、これはお決まりなんですけど、靴の紐を結ぶフリをして前の方のお客さんに「あらやだ! 下着見えちゃった?」って言うんですよ。それで「見えない見えない」「うそ、見えたでしょ?」「見えない」「見なさいよ!」っていうお約束があるんですよ(笑)。そういうコミュニケーションができないのはすごい寂しいな、とか。

――それができないぶん、会って心の中で抱きしめるようなコミュニケーションになるのかなと。

森口 この状況だからこその楽しみ方もあると思うので、そこは工夫して。逆にみんなの知恵が働くこともあると。色んな想いで足を運んでくれたコンサートだからこそ、みんなも忘れないと思うので、プラスアルファとして何をお届けできるかをじっくりと考えて臨もうと思います。このアルバムも、当初は『GUNDAM SONG COVERS 2』のあとにアニバーサリーシングルとしてリリースする予定だったんですよ。それが緊急事態宣言が発令された影響で、『GUNDAM SONG COVERS 2』のリリースが後ろ倒しになって、35周年シングルがリリースできない状態になってたんです。そんなときに、ディレクターさんが「こんなにみんなをお待たせしたからアルバムにしましょう」と言ってくれて、アルバムになったんです。

――こうして事態が刻一刻と変わるなかで、シングルがアルバムに生まれ変わったと。

森口 大変な環境だったからこそアルバムにしようって。ほかにも書き溜めていた曲、恋愛の曲も色々あったけど、今回はそういうモードじゃないんですね。だから書き溜めていた曲は1曲も収録していなくて。今これを伝えたいと。

――本当にこのアルバムは、この瞬間でしか生まれなかったものであると。それを受けてのコンサート、35周年イヤーを終えた先に新たな景色が見えそうですね。

森口 いいことをおっしゃいましたね! まさにそうです! 気が抜けない状態っていうの?(笑)。

――充実した未来まで、まだまだ気が抜けないですね。

森口 そうですね! それをいつもいい形にしてくれる心強いスタッフの皆さんに支えられているので。私も自分のやりたいことや構想を、いつも熱くお伝えするんです。それをなんとか形にしたい、一人でも多くの人に届けたい、という気持ちをもったファミリーと一緒に、デビューからずっとレコードやCDを作り続けてきた。それを振り返ったときに、本当に名曲揃いなんですよ、自分でいうのもなんですけど(笑)。丁寧に作って歌ってきたんだなって。その一方でファンの皆さんも、常に「新しいリリースいつですか?」とか「次を待っています」と声をかけてくださって、ノスタルジーに浸るだけではなく、アップデートされた歌手・森口博子を求めてくれる。そして、ライブやコンサートで魂が共鳴し合うその存在意義に私も突き動かされるというか。

――35年経てなお前を見据える体勢が整っていると。

森口 そう、求められるから頑張れる。

――そうやって求められ続ける存在って稀有ですよ。

森口 すべての出逢いがあってこそ! 私は欲しがられることが生きがいなんですよ。みんなと繋がりたいし。繋がりん坊、欲しがりん坊です(笑)。

INTERVIEW & TEXT BY 澄川龍一


●リリース情報
『蒼い生命』
8月4日発売

【初回限定盤(CD+Blu-ray)】

品番:KICS-94014
価格:¥3,850(税抜価格¥3,500)

【通常盤(CD)】

品番:KICS-4014
価格:¥2,750(税抜定価¥2,500)

<CD>
01. 蒼い生命
作詞:Qoonie、森口博子 作曲・編曲:田熊知存 (Dream Monster)
02. 鳥籠の少年
作詞:ryo 作曲・編曲:Masayoshi Kawabata
03. I wish ~君がいるこの街で~
作詞:西脇 唯 作曲・編曲:伊藤心太郎 ストリングス編曲:時乗浩一郎
04. 陽だまりのある場所
作詞:森口博子 作曲・編曲:神前 暁 (MONACA)
05. ポジション
作詞:森口博子 作曲:森口博子、時乗浩一郎 編曲:時乗浩一郎
06. 星より先に見つけてあげる
作詞:畑 亜貴 作曲・編曲:前山田健一
07. 生命の声
作詞:森口博子 作曲・編曲:宇佐美宏 ストリングス編曲:関根佑樹
08. 水の星へ愛をこめて ~35人の森口博子によるアカペラヴァージョン~
作詞:売野雅勇 作曲:ニール・セダカ 編曲:時乗浩一郎

<Blu-ray> ※初回限定盤のみ
01. 蒼い生命 [Music Video]
02. 鳥籠の少年 [Music Video]
03. 星より先に見つけてあげる [Music Video]
04. I wish ~君がいるこの街で~ [Music Video]

●ライブ情報
“森口博子35周年アニバーサリーコンサート~蒼い生命~”
メンバー:安部 潤(Key)、吉田次郎(Gt)、山本直哉(Ba)、則竹裕之(Dr)、宮崎隆睦(Sax)
会場:東京国際フォーラム ホールC
日時:2021年10月3日(日)
時間:開場16:45 / 開演17:30
料金:¥7,800(税込み/全席指定)
お問合せ:キャピタルヴィレッジ
TEL.03-3478-9999(平日12:00~17:00)

関連リンク

森口博子 オフィシャルサイト
https://www.mogeshan.net/

森口博子 公式Twitter
https://twitter.com/hiloko_m

森口博子 オフィシャルブログ
https://ameblo.jp/hiroko-moriguchi/

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