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INTERVIEW

2021.07.27

【インタビュー】雨宮天、待望のニューシングルは壮大なバラードと自作曲を含む歌謡曲による1枚に。自身の表現力の幅を広げた今作と、歌謡曲への愛をたっぷり語る!

【インタビュー】雨宮天、待望のニューシングルは壮大なバラードと自作曲を含む歌謡曲による1枚に。自身の表現力の幅を広げた今作と、歌謡曲への愛をたっぷり語る!

TrySailでの活動のみならず、ソロとしても独自の世界観を構築している声優・アーティストの雨宮天。そんな彼女のニューシングル「フリイジア」は、TVアニメ『天官賜福』日本語吹替版EDテーマにして、壮大な世界観のなかで彼女の表現力が冴え渡るバラードだ。また、2017年「irodori」、2019年「VIPER」に続いてリリースされる“歌謡シングル”の側面ももつ本作は、自身の歌謡曲への愛がふんだんに込められたカップリングも含めて、アーティスト・雨宮天の新たな一歩を示す1枚となっている。そんな彼女に「フリイジア」で見せた表現から、溢れ出る歌謡曲ラブについてたっぷりと聞いてみた。

“部屋を小さく、大きくする”という表現方法

――12枚目のシングルとなる「フリイジア」ですが、この曲を最初に聴いた感想はいかがでしたか?

雨宮天 もう、前奏から雰囲気があっていい感じ!って思いました。最初に聴いたのはTVサイズの1コーラスだけだったのですが、その1コーラスを聴き終えた段階ですでにオリエンタルな雰囲気が伝わってきて。私が元々オリエンタルな雰囲気が好きだったのもあってひと聴き惚れといいますか、「すごくいい曲!」って思いまして。切なさと壮大さのバランスが絶妙で、メロディも好きですね。

――TVアニメ『天官賜福』日本語吹替版EDテーマということもあって、大陸的なサウンドが印象的ですし、リズムも途中で変わったりと変則的な部分もありますが、そこはどう歌おうと考えていましたか?

雨宮 プランニングとしては、最初から壮大なイメージだったら固めやすかったかと思うんですけど、この曲のAメロは小さな部屋の中にいるイメージで、サビになるとバーっと世界が開けるような二面性をもった曲なんですよね。そのバランスをどうしていくのがいいんだろうというのは自分でも色々考えました。

――たしかに序盤は静かな導入で、サビで一気に盛り上がる構成になっていますよね。

雨宮 Aメロ、Bメロ、サビと思いきり場面転換していくので、それぞれが持っている部屋というか、世界観の大きさや広さというのをこの曲では大事にしたいなと思っていて。Aメロは小さな小部屋の中でポソポソって呟いているイメージで、Bメロは夢の中にいるみたいな雰囲気に1回飛んで、そこからサビでは部屋もなくなって広いところで歌い上げる……というイメージで、声でもそういう表現をしていきたいなと。声優のお仕事でもモノローグのときとセリフのときとでしゃべり方も変わりますし、そういった部分をしっかり活かしていきたいなと思いましたね。

――たしかに小さい部屋から始まって、大きさを変えながら、サビではその壁が取り払われるような。

雨宮 本当に、そういうイメージです。サビでは、力強く壮大さを出したいのですが、ぶつけてはダメだなって。

――ぶつける、ですか。

雨宮 広いところで壮大で力強いんだけど、どこかで柔らかさもあるような雰囲気にしたいなと思っていて。でもサビの“いつかは手にしたあの願いを”のメロディが上がったところでぶつけそうになるんです、吐き捨てそうになるというか。ぶつけてはいけない、でもサビだから心にグッと迫るような感じを出したいし……その塩梅が難しかったですね。なので、サビはレコーディングでも色んなテイクを録りながら自分で温度感を確かめていきました。

――そのサビ終わりでまた、序盤のような小さい部屋に戻っていくような余韻がありますよね。

雨宮 そうなんですよ、サビで部屋が一度なくなった状態からシュッと最初の小部屋に戻る感じで。歌っている自分自身がその小部屋の世界に戻っていくのに結構苦労しました。普通は出しきって終わったほうがやりやすいのですが、今回は寂しげに小さく終わる。その温度感にもかなりこだわりました。

――そして、2コーラス目以降では開かれたまま最後までいくと。この曲は雨宮さんの表現力が素晴らしいなと思いました。

雨宮 ありがとうございます。そもそも1番サビの最後にある“そっと陰る部屋の片隅で”で伸ばすのか伸ばさないのかを考えて。アニメで放送されるのはそこまでなので、伸ばして終わり感を強めるのがいいのかなと最初は思っていたのですが、部屋も世界観も小さく戻ってきたから、ここはあえて短めにして、息で余韻を残すような表現が最終的には合うんじゃないかなって思って今の形になりました。そうやって1つ1つの表現に頭を使ったので、そう言っていただけると嬉しいです。

――この曲のMVについてはいかがですか?

雨宮 今回のMVは、この曲が持つオリエンタルな雰囲気は大事に、大道具や小道具から、私のメイクや衣装までそういうところを活かしたいなと。ただ、ストーリーが明確にあるわけではなかったのですが、撮影現場を撮影しているようなイメージでした。この曲を最初に聴いたときは、しっとりと大自然の中の小さな部屋で歌っているイメージが強かったんですけど、MVのほうでは撮影現場のイメージになっていてお洒落になっているんですよね。アニメの世界とはまた違った見方になっていて、面白い作りになっています。

――ジャケット写真も含め、アートワークもオリエンタルな雰囲気ですよね。

雨宮 そういう雰囲気は前面に出したいという希望を出させていただきました。もちろんそれは「フリイジア」をイメージしたものですけど、今回のシングルのカップリングは歌謡曲になっているので、ジャケットにはそのすべてを詰め込みたかったんです。オリエンタルな雰囲気も、歌謡チックなヴィンテージな雰囲気も、全部ジャケットに詰め込みたくてあのような雰囲気に仕上がりました。

――たしかにジャケットの「フリイジア」の文字もレトロな、レコードの7インチシングルを思わせるような。

雨宮 今まで2017年と2019年の奇数年に歌謡シングルを出させていただいて、2021年にも歌謡シングルを出したいと思っていてリリースすることが決まった1枚なので、そこは「フリイジア」のイメージも出しつつ、ファンの皆さんにも歌謡シングルだというのが伝わるものにしたくて。このヴィンテージ感のあるマイクも作っていただいたんです。

――雨宮さんが持っているマイクはハンドメイドなんですか?

雨宮 そうなんです。いい味を出していてすごくお気に入りなんですよ。そういう小物も含めて、私や雨宮チームのこだわりが詰まった1枚になっています。

次ページ:自身の詞曲で聴かせる歌謡曲への愛

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