リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2020.08.19

畠中 祐、感謝と新たなスタートへの想いを込めたニューシングル「HISTORY」リリースインタビュー

清涼感と熱さを併せ持った歌声でアーティストとしても人気を集める声優の畠中 祐が、1年ぶりの新作となるニューシングル「HISTORY」を完成させた。打ち込み主体の爽快なサウンドに乗せて歌われるのは、たくさんの人々が一つの景色を共有することの奇跡。昨年夏の1stワンマンライブを経て生まれた感情を形にした、最高のサマーチューンだ。かつてない一面を露わにした野心作「Regret」、自身が作詞した「ボトルメール」と、充実のカップリング曲を含め、久々のシングルに込めた想いを本人に語ってもらった。

いろんな人々の想いとストーリーが重なって生まれた新曲「HISTORY」

――今回のニューシングル「HISTORY」は、前作の3rdシングル「not GAME」(TVアニメ『ナカノヒトゲノム【実況中】』OP主題歌)から約1年ぶりの新作になりますが、いつ頃から準備を進めていたのですか?

畠中 祐 実は結構前からで、曲の構想は1stライブ(2019年7月27日に豊洲PITにて開催された1stワンマンライブ“TASUKU HATANAKA 1st LIVE -FIGHTER-”)が終わってすぐに作り始めていたんです。11月にはジャケットの撮影でグアムに行って、そのときにはメロディラインも出来上がっていたので、曲の雰囲気に合わせて写真を撮ったりもして。コロナの影響などもあり、結果的に1年ぐらい経ってしまいました。

――今話題にあがった1stライブですが、改めてご自身にとってどんな体験になりましたか?

畠中 今までもフェスやイベントにはたくさん出演させていただいていたので、そこでライブの楽しさは味わっていたんですけど、やっぱりワンマンライブの楽しさは格別でした。初めてのことだったので、準備期間は不安に駆られることもあったんですけど、実際にステージに立ってみると、お客さんの声や表情といったものにすごく背中を押してもらって。支えてくれているスタッフさんたちも含め、みんなで一緒に楽しさを共有できたと思うし、僕も本当に超楽しかったんですよね。また新鮮な気持ちに戻れましたし、このライブを観に来てくれた人たちと一緒に、もう一つ新しい景色を見に行きたい気持ちがわきました。

――新曲の「HISTORY」を聴いたとき、おそらく1stライブで得た経験や感情を踏まえて作られた楽曲でもあるのかなと感じたんですよね。

畠中 そうですね。個人的には新しいスタートの歌というか、「これまでありがとう、これからもよろしくね」という気持ちを、あなたに話しかけるような歌を作りたくて。この曲は大勢に向けた曲ではなく、“あなたと私”という一対一の歌なんですよね。ライブのとき、会場を埋めてくれたお客さん一人ひとりの表情がステージ上から見えたし、その一人ひとりがいろんな思いを抱えてライブを観に来てくれたんだと感じて。だから、その一人ひとりに対して、「ありがとう」と「これからもよろしくね」という気持ちを伝えたかったんです。

――今回の楽曲は、松藤量平さんが作詞、白戸佑輔さんが作曲・編曲を担当。清涼感のあるサマーチューンですが、最初に楽曲を聴いたときの印象はいかがでしたか?

畠中 まずグアムで聴いたときメロディラインに優しさを感じて、僕が今まで歌ってきたかっこいい系の夏ソングとは違っていたので、すごく新鮮でした。柔らかい気持ちを届けるのが今回のテーマなので、こういう曲調のほうがハマるだろうなと思いましたし、ライブ後の歌でもあるので、ある種、肩の力が抜けた感じにしたかったというのもあったんです。今まではファイティングポーズを取るような曲が多かったですけど、この曲は、どちらかと言うと「一緒に」という意味合いが強いほうがいいので。

――1stアルバムのタイトルは『FIGHTER』でしたものね。

畠中 今も根底にはそういう気持ちがありますけど、今回はその姿勢を一旦崩そうということで(笑)。何よりも「共有する」「繋がっていく」ということを、ライブですごく感じたんですね。いろんな人がいろんなものを抱えてここに来て、その一人ひとりのストーリーが重なって一つのものになっていくっていう。「HISTORY」を作ってくださった量平さんと白戸さんは、1stライブも観に来てくださっていたので、そういうテーマや感覚を共有しやすかったというのはあるかもしれないです。

――ファンやスタッフの方を含め、いろんな人々のストーリーが重なり合うことで、ヒストリーができるという。

畠中 そうですね。このタイトルは量平さんが考えてくださったもので、最初は「HIS STORY」だったのですが、最終的には「HISTORY」になって。僕自身はまだまだこれからなので、自分の口からヒストリーとは到底言えないんですけど、これはデビューの頃から4年間ずっと歌詞を書いてくださっている量平さんがつけてくれたタイトルなので、すごく好きですね。

――歌詞で特に印象的なフレーズを挙げるとすれば?

畠中 僕的にはサビの“この先も変わらない気持ちで”ですね。これはライブのMCでも話したんですけど、僕の中で歌は遊びというかプレイする感じのもので、実家の風呂でデカい声で歌っているときも、ステージ上で歌っているときも、楽しさの根源というのはあまり変わらなくて、歌いたくなったから歌ったという気持ちが強くて。その楽しい気持ちを、変わることなくずっと一緒に共有できたら、という意味で、このフレーズが好きです。

――シンプルな言葉だけど、だからこそ心に刺さる歌詞だと思います。

畠中 ありがとうございます。量平さんは僕の今の等身大の気持ちを歌詞として書いてくれるなと思っていて。普段から「曲聴いたよー」とか「今、大変なの?」という感じでLINEをくださいますし、やっぱりそういう連絡をいただいたときはすごく嬉しいんですよね。量平さんは歌もめちゃくちゃ素敵で、仮歌もそのまま届けたいぐらいいいんですよ(笑)。いつか量平さんのギターで、一緒に歌いたいですね。

――松藤さんはシンガーソングライターとしても活躍されてますものね。レコーディングではどんなことを意識して歌いましたか?

畠中 今まではライブのステージからみんなに向けてダイナミックに歌う感じが多かったのですが、今回は歌い上げるというよりも、マイクの前に「あなた」がいることを意識して歌いました。リラックスして聴いてほしかったので、僕自身も肩の力を抜いて歌いましたし、すべてにおいて楽しむことができました。今までは、楽しさもありましたけど、「もっとやらなきゃ」という気持ちが強かったので。

――デビューから丸3年経って、気持ち的にも余裕が出てきたのでしょうね。

畠中 余裕というよりも、楽しむことを感じる隙間ができたという感じですかね。今までは「やってやるぜ!」という感じでしたけど、今もそういう気持ちは強くありますけど、その中に、みんなと共有することを楽しむ隙間ができたというか。

――MVも爽やかな映像に仕上がっていますが、どんなコンセプトで撮影されましたか?

畠中 僕がカメラでいろんな人の写真を撮って、それをフォトアルバムにまとめることで、一つのストーリーを作っていく内容で、世代や性別を超えていろんな人が繋がっていくというのがテーマになっています。海沿いでの撮影は「STAND UP」でもやりましたけど、今回は海辺の白い家をバックに撮ったので、柔らかい雰囲気の新鮮な絵が撮れたと思います。

――畠中さんのMVと言えば、毎回ダンスシーンが見せ場になっていますが、今回はリラックスした空気感が良いですね。

畠中 今回は初めて女性ダンサーの方にも入っていただいて、楽曲も“あなたと私”の繋がりを描いた歌なので、振り付けもみんなで手を合わせたり、繋がり重視の内容で撮らせていただきました。今までは男同士で「イェーイ!」みたいな感じでしたけど、今回は女性が加わったことで印象も柔らかくなって面白かったですね。時期的にずっと家にいたので体がなまっていたんですけど、久々に踊ったら、やっぱりダンスは楽しいな、もっと踊りたいなっていう感情が芽生えてきて。なので当日も楽しく踊ることができました。

――ちなみにダンスを習った経験は?

畠中 保育園のときにちょっと……。

――それは習ったうちに入るんですかね(笑)。

畠中 あと、大学の必修科目にコンテンポラリーダンスがあったのでやっていたんですけど、それをさもダンス経験者という感じで事務所のプロフィールに書きました(笑)。実際、本格的にダンスをやり始めたのはアーティスト活動を初めてからですね。なので最初の頃は全然ダメだったんですけど、最近は本当に楽しんで踊っているので、もっとクオリティを上げて、いつか周りのダンサーさんとも遜色ない感じに踊れたらいいなと思ってます。

ネガティブな感情から生まれた異色曲「Regret」でのチャレンジ

――今回のシングルにはカップリング曲を2曲収録。そのうち「Regret」は、不穏な雰囲気のポエトリーリーディングから始まる異色のナンバーです。

畠中 実は今回のシングルの3曲には共通している部分があって、1曲目の「HISTORY」は“あなたと私”がテーマでしたけど、2曲目の「Regret」は“僕と僕”、3曲目の「ボトルメール」は“あなたとあなた”の曲なんです。なので「Regret」は、自分の内面と向き合ってどんどん引きずり込まれていくような歌になっていて。

――なるほど、三部作的な構成になっているんですね。「Regret」に関しては、曲名にもあるように“Regret=後悔”の念から自問自答を繰り返して、深みにハマっていくような心情が描かれています。

畠中 僕は結構不安症で、ライブや大きなお仕事があると必ず「大丈夫かな?」って思うし、若干ネガティブなところがあるんですね。アーティスト活動ではみんなを楽しませることが重要だと思うので、今まではそういう部分を表立って出さないようにしていたんですけど、ここで一度、ネガティブなことを全部吐き出してしまうことも必要じゃないのか?という話になって、プロデューサーに自分のネガティブな思いを書き出したメモを送ったんです。そしたら暗い曲が出来上がりました(笑)。でも、自分の中にはこういう引き出しもあるので、今までにない感じの曲でしたけど、歌っていて楽しかったです。正直、こういう感情は誰もが持っているものだと思いますし。人間って波があるじゃないですか。そのいちばん低い部分を出しただけというか。

――たしかに。そういったご自身のネガティブな側面を見せられるようになったのは、きっとライブを経て、ファンならば受け入れてくれるという気持ちが強くなったからなんでしょうね。

畠中 そうですね。もしかしたら引かれるかもしれないですけど(苦笑)……でもきっと大丈夫です。今まで散々いろんなことを見てくれた方たちなので。もしこの曲を聴いて受け入れてくれるのであれば、すごくありがたいなって思います。

――ポエトリーリーディングやシアトリカルな要素もあり、非常にチャレンジングな楽曲ですが、レコーディングはいかがでしたか?

畠中 ポエトリーリーディングは初めてやりましたね。セリフみたいに演じすぎると曲と合わなくなるし、一方でさらけ出すのも大事なことなので、不思議な感覚でした。この曲も歌い上げるのではなくて、自分の隠に入っていく感じを出したかったので、歌うときにはスタジオのライトを暗くして、力を抜いてポロッと出たものを録る感じでした。ライトを暗くするだけでこんなに気持ちが暗くなるんだっていう発見もあって。単純ですよね。なので悩むときは夜じゃなくて、日の光を浴びながらのほうがいいなと思いました(笑)。

歌が繋ぐ想い、その感動を自らの言葉で届ける「ボトルメール」

――もう1曲の「ボトルメール」は、1stアルバムの収録曲「あの日の約束」以来の、畠中さんがご自身で作詞した曲になります。先ほどのお話によると、テーマは“あなたとあなた”とのことですが。

畠中 実はこの曲、最初は僕が作詞する予定ではなかったんですけど、制作中に(新型コロナウイルスの影響による)自粛に入って、アフレコのお仕事も一旦ストップして、僕に時間ができたこともあって、プロデューサーから「“あなたとあなた”をテーマに歌詞を書いてほしい」という提案をいただいたんです。ただ、漠然とした思いはあったんですけど、はっきりとした形が見えなくて、2か月ぐらい考えても全然出てこなくて。そんななかで、自粛期間中は時間があったので、いろんなドラマや映画を観たり、音楽を聴いたりしていたんですけど、SNS上で盛り上がった「#うたつなぎ」のうちの一つで、1982年生まれのミュージシャンが集まってリレー形式で楽曲制作した「Baby, Stay Home」という曲がめちゃくちゃいいなと思って。

――その曲のどんなところに惹かれたのですか?

畠中 この人たちは「歌いたい」というシンプルな思いで集って、シンプルな楽しさを重ねて曲を作って、それが回り回って僕の元に届いて、僕はその曲でこんなにも感動している。その繋がりってすごくシンプルだけど、昔からずっと続いてきた音楽の素敵な部分だと思ったんです。そういう歌と歌の繋がりみたいなものを歌詞にできたらと思ったら、自然と歌詞が出てきて。誰に届くかはわからないけど、そのメッセージは確実に誰かに届いてその人の心を動かす、ということを“ボトルメール”に表現して書きました。

――ボトルメールというのは、言い得て妙だと思ったんですよね。歌は特定の人に向けてだけではなく、いろんな人が受け取る可能性のあるものなので。

畠中 だから手紙でもメールでもないんですよね。それと僕はこの曲を聴いてすごく広い空間を想像したんですけど、ものすごい広さというのはある意味、孤独を感じる瞬間でもあるじゃないですか。でも広い世界でも誰かと繋がっていることを、自粛期間中に感じることができたので、そういう寂しさも感じながらも繋がりがあることを表現するには、海がいいなと思って。海は果てしなく広いですけど、海の先にはロマンを感じるし、撮影でグアムに行ったときの記憶とも重なったんですよ。僕の目に焼き付いたグアムのすごく綺麗な景色の記憶で、このシングルを染めたいなと思って。自粛期間がなければこういう感情も湧かなかっただろうし、いろんなタイミングが重なって出来た曲だと思います。

――この曲に関しては、空間の広がりを感じさせるサウンドも素敵ですが、何より畠中さんの歌声が素晴らしいですね。特にファルセットの美しさは筆舌に尽くしがたいなと。

畠中 ありがとうございます!グアムで見た景色がすごく綺麗だったので、その雰囲気を出すには地声よりファルセットだろうと思いまして。グアムに行ったとき、こんなに近いのにちゃんと異国を感じたんですね。なので、もっと遠い異国に行ったら、めちゃくちゃ世界の広さ感じられるんじゃないかと思って、単純にワクワクしたんですよ。まだまだ自分の知らない景色があるなと感じたので、ポーンと出すよりは ブワーッと世界が広がっていく感じを歌に込めたかったんです。

――レコーディングはいかがでしたか?

畠中 この曲はレコーディング中に歌詞を変えたんです。当初はサビ頭の“真っ白な砂浜に描くように”を、最後のサビにもそのまま持ってきていたんですけど、僕はこの曲を歌うとき、太陽が沈む時間帯や夜の海をイメージして歌っていたので、最後の盛り上がりの部分は太陽が昇ってほしいなと思って。それで最後のサビは“朝焼けに染まる水平線に”にして。

――ある種の新しい始まりでもあり、希望をイメージさせる締めにしたわけですね。

畠中 そう。太陽を見て、君が歌って、それが誰かに届いて。絶対に繋がってるから、一緒に乗り越えていきたいっていう。たぶんミュージシャンの方にもいろんな気持ちがあって、その中にはライブを届けることができなかったりだとか、苦しい思いもあると思うんです。でも、それはみんなが思っていることで、乗り越えた先にはきっと何かが待っている気もするし。だから太陽に昇ってほしいと思ったんですよね。ちゃんと届いてるよ、僕はこんなに感動してますって言いたかったんです。

――1年ぶりのリリースとなった今回のシングル、ご自身としてはどんな作品になったと感じていますか?

畠中 個人的には「これからも一緒によろしくね」というメッセージを込めましたし、新しいスタートの曲でもありますし、その二つの意味合いを込めたボトルメールのようなものであってほしいですね。今まではずっと自分がどれだけできるかということを考えていて、「頑張らなきゃ」という気持ちが強かったですけど、今はそれを応援してくださる皆さんともっと新しいものを見に行きたいと思っているので、共有できる1枚になっていると思います。

――畠中さんとファンの皆さんが、これからどんなヒストリーを紡いでいくのか楽しみです。

畠中 いやー、その締め方最高です、ありがとうございます(笑)。ちゃんとヒストリーを繋いでいけるように頑張ります!

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)


●リリース情報
「HISTORY」
8月19日発売

【初回限定盤(CD+ Blu-ray)】

品番:LACM-34007
価格:¥2,200+税

【通常盤(CD)】

品番:LACM-24007
価格:¥1,300+税

<CD>
01. HISTORY
作詞:松藤量平 作曲・編曲:白戸佑輔 (Dream Monster)
02. Regret
作詞:坂井竜二 作曲・編曲:白戸佑輔 (Dream Monster)
03. ボトルメール
作詞:畠中 祐 作曲・編曲:白戸佑輔 (Dream Monster)
04. HISTORY (Instrumental)
05. Regret (Instrumental)
06. ボトルメール (Instrumental)

<Blu-ray>
01. HISTORY (Music Clip)
02. Making of HISTORY Photo Shooting
03. Making of HISTORY Music Video Shooting

5thシングル発売決定!
10月28日

【初回限定盤(CD+Blu-ray)】
価格:¥2,300+税
品番:LACM-34071

【通常盤(CD)】
価格:¥1,300+税
品番:LACM-24071

<CD>
表題曲+カップリング2曲+各曲Inst.の計6トラック収録

<Blu-ray>
リード曲のMusic Clip、メイキングを収録

●配信情報
バースデー&4thシングル「HISTORY」発売記念生配信番組
8/17に26歳の誕生日を迎え、そして8月19日に4thシングル「HISTORY」をリリースした畠中 祐。
誕生日&「HISTORY」リリースを記念して、8月23日(日)に生配信番組が決定!

Twitterでは質問なども募集中!
詳細は畠中 祐official Twitterをチェック!
ハッシュタグ:#畠中祐生配信

【番組概要】
◆番組名:畠中祐 バースデー&4thシングル「HISTORY」発売記念SP!!
◆放送日時:2020年8月23日(日)16:30〜
◆配信はこちら
※アーカイブ期間:2020年8月29日(土)23:59までを予定しております

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP