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INTERVIEW

2020.05.13

TVアニメ『八男って、それはないでしょう!』OPテーマ「時空の迷い人」担当、デーモン閣下×宝野アリカ(ALI PROJECT)スペシャル対談!

TVアニメ『八男って、それはないでしょう!』OPテーマ「時空の迷い人」担当、デーモン閣下×宝野アリカ(ALI PROJECT)スペシャル対談!

現在放送中のTVアニメ『八男って、それはないでしょう!』は、商社マンが下級貴族の八男として生まれ変わる、いわゆる異世界転生物。そこで主題歌アーティストに白羽の矢が立ったのは、異世界の住人であるかのような魔物/闇の女王、デーモン閣下と宝野アリカ(ALI PROJECT)。共にヴォーカリストとして30年以上に及ぶ実績を持つお二方が、歌詞を紡ぎ、その歌声を重ね合わせた。

――まず、お会いしたときの第一印象から教えていただけますか?

デーモン閣下 初めて会ったのは「時空の迷い人」のレコーディングが終わったあとだからね。それまでのやりとりはすべてEメールで。レコーディングもばらばらだったので、「一度も会わずに終わっちゃった」と思っていたのだけれども、ちょうど吾輩のソロツアー(「DEMON’S ROCK “DKR(うたどくろ)” TOUR」)があったので「よろしかったらいらっしゃいませんか」と声かけをしたら観に来てくださった、というのが初対面。

宝野アリカ はい、終わったあとに「やっとお会いできました」と。

閣下 今日でまだ4回目くらいだから。

宝野 そうですよ。でもEメールのやりとりはしているので。

閣下 かなりいっぱいしているよね。

――では、「時空の迷い人」がどのように制作されたかを教えていただけますか?

閣下 男女がデュエットする歌の作曲はあまり経験がなかったので、まずメロディの概要を作り、その次にキーをどの高さに合わせるかを考えていったのだが、このデュエットはどちらかが主旋でどちらかがハモばかりになるのではなく、場面場面で入れ替わるようにしたいと思ったのだ。それに、普通はサビのメロディを1種類書けばいいんだろうけれども、掛け合い部分もあったほうがいいわけだ。そこが吾輩にとっては第一ハードルではあった。それから、メロディが出来上がったものをアレンジャーに送って、そのたたき台が戻ってくる間に歌詞を同時進行で進めた、というところだな。

宝野 最初にメロディだけをいただきましたね。

閣下 そうだよね。あとで「北欧メタルっぽく」なるから、と話しておいて。歌詞を共作に、という話は当初から決まっていたので、どういう順番で作ろうかとなったんだけれども、まずは「自分が歌うところはお互いが詞を書きましょう」ということになった。ただ、同じ言葉が重なるのは避けたかったので、(『八男って、それはないでしょう!』の)主人公は男の子だから感情を描くところは基本的に吾輩が担当し、状況説明やメッセージといった部分はアリカ嬢が、ということにして、ほぼ並行して作っていったのだ。だから、相手の出方がわからない部分は空欄にしておいて、向こうが書いてきたのを見て、「こう来たのか、じゃあこうしてみよう」といった流れであった。

宝野 第1便が閣下から来て、私が書き足してまた戻して……まさにやり取りという感じでした。

閣下 2曲目(カップリングの「薔薇異形」)はその順番が反対だったということだな。

――楽曲を北欧メタルで、という判断については?

閣下 そこに関してはそもそも制作からのリクエストがあったので。大げさなコーラスから始まって北欧メタルに突入するような曲で、という(笑)。だから。大げさで勇敢なメロディにはなっているんだけれども。

――北欧メタルでいくならば、ということでアレンジャーには、幾度も手を組んだアンダース・リドホルム氏に白羽の矢を立てられたわけですね。

閣下 いちばん適任だろう、ということだな。なにせ北欧の人だから(笑)。

宝野 北欧の人がやるから北欧メタルですよね(笑)。アレンジが上がった曲を聴いたときは夢のようでしたよ。すっごくかっこいいんだもん。私、シンフォニックメタルが好きなんですよ。普段、車で聴いている音楽も全部そう。で、調べたらほとんどが北欧メタルでした(笑)。だから、「こんなことがあるんだ」と思いました。

閣下 でも、「イントロ長げーな」とは思ったがな(笑)。

宝野 (笑)。間奏も長いですよね。

閣下 アニメのテーマソングは80秒くらいにしなきゃいけないのにイントロだけで終わってしまうところだった。だから、どこをカットするのかは非常に苦労した。デュエットだからアリカ嬢と吾輩と、どちらのヴォーカルもほぼ平等に入れなければいけない。よって、(TVサイズ版は)CDとは少し違う歌い分けになってはいる。

宝野 だからCDをちゃんと聴かないとダメなんですよ。

――お二方の歌声が合わさったものを聴いて、どのような印象でしたか?

閣下 やるまではどんなふうになるのか想像がつかなかったんだが、合わさったものを聴くと不思議なことに、自分の声もいつも聴いている感じとは違って聴こえてきたな。多分、合わさることで声の倍音とかの響き方も変わるんだとは思う。だからそれも新鮮な経験ではあった。

宝野 そうですね。やっぱり、誰とやってもいいわけではないと思うんですよ、男女のデュエットって。そう考えると閣下とわたくしの声は非常に相性がいい。そう思わない?

――思います。すごくしっくりと来ているというか。

閣下 誘導尋問だ(笑)。

宝野 でも本当にそう思いますよ。

閣下 アリカ嬢が歌うハードロックというのを吾輩は聴いたことがなかったので、メロディを作る段階では疑心暗鬼を持っていた部分もあった。しかし歌を聴いてみたところ、新たな魅力が出てきた、という感覚を抱いた。歌い方の個性や特徴というのは、違う種類の音楽を歌ってもそんなに変わらないと思うんだが、その意味ではこの手のロックに合っていたという印象ではあったな。それに自分が予想していたよりも色気があったね。なんて表現をしたらいいのか……。失礼がないように言うのは難しいんだけれども。

宝野 いいですよ、気を使わなくても。

閣下 語尾とか、ちょっと甘ったれた感じの歌い方をするだろう?だから、アリカ嬢でありながら北欧メタルっていうのが面白かった。北欧メタルなのに(松田)聖子ちゃんが歌っている、みたいな(笑)。

宝野 なるほど(笑)。わかりやすい。

――コケティッシュな歌声ですよね、アリカ様は。

閣下 そう、良い表現!

――お褒めにあずかり光栄です。一方のアリカ様は、閣下の歌声についてあらためてどのような印象を持ちましたか?

宝野 「時空の迷い人」は、閣下の伸びやかな声を堪能できますよね。でも、カップリングの「薔薇異形」は「デーモン閣下がアリプロを歌ったらどうなるか?」という曲なんですけど、結果は想像以上に、と言うと失礼ですけど、高貴な感じがするんですよ。気品というものは作られるものではなく、その人が持って生まれたものでしょう?それが滲み出たときの美しさを感じました。「薔薇異形」では特に閣下の声が美しく聴こえる気がします。気品がありますね。

Interview & Text By 清水耕司(セブンデイズウォー)


●リリース情報
TVアニメ『八男って、それはないでしょう!』OPテーマ
「時空の迷い人」デーモン閣下×宝野アリカ(ALI PROJECT)
魔暦22(2020)年5月13日発売
品番:VTCL-35316
価格:¥1,200+税

<CD>
01.時空の迷い人
02.薔薇異形
03.時空の迷い人(Instrumental)
04.薔薇異形(Instrumental)

●作品情報
TVアニメ『八男って、それはないでしょう!』
放送中

TOKYO MX 毎週木曜22:30~
BS11毎週木曜24:30~
AT-X毎週木曜21:00~
J:テレ毎週木曜26:00~

【スタッフ】
原作:Y.A(MFブックス/KADOKAWA刊)
キャラクター原案:藤ちょこ
監督:三浦辰夫
シリーズ構成:宮本武史
キャラクターデザイン:田辺謙司
音響監督:菊地晃一
音響制作:グルーヴ
効果:スラワ・プロ
音楽:カテリーナ古楽合奏団、関美奈子
音楽制作:フライングドッグ
アニメーション制作:シンエイ動画、SynergySP

【キャスト】
ヴェンデリン:榎木淳弥
エリーゼ:西明日香
イーナ:小松未可子
ルイーゼ:三村ゆうな
ヴィルマ:M・A・O
エルヴィン:下野紘
ローデリヒ:高塚智人
ヴェンデリン(幼年):石上静香
クルト:杉田智和
アマーリエ:ゆかな
アルフレッド:浪川大輔
ブランターク:屋良有作
アームストロング:山根雅史

©Y.A/MFブックス/「八男って、それはないでしょう!」製作委員会

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