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INTERVIEW

2020.02.26

TVアニメ『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』EDテーマ「Play the world」リリース記念 佐々木李子インタビュー

TVアニメ『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』EDテーマ「Play the world」リリース記念 佐々木李子インタビュー

幼少の頃からミュージカルなどの経験で磨き上げてきた歌唱力と、あらゆるジャンルの楽曲を歌いこなす表現力を持ち合わせるシンガー、佐々木李子。近年は声優としても活躍の場を広げている彼女が、TVアニメ『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』のEDテーマとなるニューシングル「Play the world」をリリースした。ギター演奏に作曲に路上ライブにと様々なことに挑戦するなか、『防振り』との出会いが彼女にもたらしたものとは一体何なのか? ときめきに溢れた世界を冒険中の彼女に話を聞いた。

――新曲の話に入る前に、まずは今年1月に開催した2ndワンマンライブ“佐々木李子 2nd Oneman RicoRium ~ただ、君に歌いたい~”の手応えについてお聞かせいただけますか?

佐々木 あの日は本当に心から楽しむことができて、曲数も多かったんですけど一瞬で終わったと感じるぐらいでした。最初はチケットの売れ行きが滞っていたりもしたんですけど、私は大きな会場でたくさんの皆さんと一緒に音楽を楽しむことをずっと目標にしてきたので、それを絶対に達成しようと思って。正直、諦めそうになって、リリースイベントのトークで泣いてしまったこともあったんですけど、私の本気の思いがファンの方に伝わったみたいで、「李子ちゃんが本気でやってるのなら、俺らも本気で頑張るね」と声をかけてくださったり、私のCDを友達に広めてライブに誘ってくださる方もいらっしゃって。皆さんのおかげで会場を満員にできたので、本当に愛おしかったですし、みんなのことが大好きという想いが、より強まった1日でした。

――佐々木さんは今回のワンマンライブの宣伝をするために、ギターを持ってひとりでストリートライブをされていましたよね。シンガーとして充分キャリアのある佐々木さんが、路上ライブでチケットを手売りするハングリーさはすごいなと思いました。

佐々木 今の自分にできることを何でも頑張ろうと思って、生の歌でしか届けられない想いもあると思ったので、秋葉原とか池袋とか、いろんな場所の路上で歌いましたね。その前に弾き語り動画をTwitterに上げたりもしていたんですけど、それだけでは伝わらないところもあったので。でも、やっぱり路上ライブやリリースイベントで皆さんに直接想いを伝えたときに、初めて「あっ、本気なんだな」と気づいてくださる方が多くて。そういう気持ちを間近で伝えることができて良かったですし、スタッフさんもいろんな場所に加勢に来てくださって、そういうのもあって満員にすることが出来たんだと思います。

――ワンマンではエレキギターも弾かれたとのことで、最近はギター演奏にも力を入れているみたいですね。

佐々木 今も(ギターの)レッスンに通っているんです。前回のワンマンのときは、まだギターを練習し始めた頃だったので、アンコールで少しだけアコギを弾いたぐらいだったんですけど、今回は弾き語りタイムも作りました。前のライブのときに「もし2ndワンマンをやるときは李子フィーバータイムでギターを掻き鳴らすんで!」みたいなことを言ってしまったので(笑)。今回はガンガン弾き語る感じの「Play the world」から始まって、デビューシングルに入っている「ドリームクライマー」も弾き語って、そこからロックな曲に繋げてみんなで一緒にタオルを振り回したりしました。

――その弾き語りでライブ初披露した新曲「Play the world」が、現在放送中のTVアニメ『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』(以下、『防振り』)のEDテーマです。佐々木さんは『防振り』という作品自体にどんな印象をお持ちですか?

佐々木 私は(テーマ曲の)お話をいただいてから原作を読ませていただいたんですけど、とにかく主人公のメイプルちゃんの破天荒さというか、ゲーム初心者だけどナナメ上の発想で敵を倒したり物語を進めていくところがすごく面白いなと思いました。アニメも毎週観させていただいていますけど、本当に心から笑えるし、癒される作品だと思うんです。それと私、メイプルちゃんと性格ちょっと似てるなと思うところがあって。私もゲームが好きなんですけど、こういうパーティを組む系のゲームをするときは、サポート側に回るタイプなんですよ。攻撃よりも防御したい派なので、共感できるところも多くて、楽しいです。

――その「攻撃よりも防御派」というのは、佐々木さんの性格的なものなのでしょうか?

佐々木 私はどちらかと言うと内気で、自分の殻にこもるタイプなんですよ。最近はそうでもないんですけど、昔から自分の意見を言ったりとか、自分から人の輪に入っていくのは苦手で、ひとりでいるのが好きなタイプだったので、わからないですけど、たぶん無意識に守りたくなっちゃうんでしょうね(笑)。なので私も『防振り』の世界でゲームをするなら防御力にステータスを振ると思うんですけど、さすがに極振りする勇気はないかもなあ。でも、日々、守りがちかもしれないです(笑)。

――ただ、最近は自発的にストリートライブをやるぐらいなので、攻め感が強くなってきているのでは?

佐々木 あー、たしかに! ちょっとタイプが変わってきたのかもしれないです。でも、ひとりではやっぱり何もできないんですよね。ストリートライブも、何度も心が折れそうになりながらやってましたから。いろんな方が素通りしていくなか、お客さんがいない空間でひとりで歌う時間もあったりしたので。たくさんの人に(自分の歌を)広めたいという気持ちは強いので、現地には行けるんですけど、やっぱり突然何もないところで歌い出すのは勇気がいりますね。でも、なんでできるんだろう……(笑)。

――元来の内気な性格を覆してしまうほど、何かを届けたいという気持ちが今は強くなっているんでしょうね。

佐々木 ですね。うん。自分でもちょっと驚いたりしますけど。

――話を少し戻しますが、ゲーム好きということは、『防振り』の世界観にはワクワクしたのでは?

佐々木 そうですね。私、ゲームでも『モンハン(モンスターハンター)』とかの自分でいろいろ進めて攻略していく系が好きなんですけど、日常でも冒険するのが好きなんですよ。ひとりでひたすら散歩したり、知らない街を適当に歩いたりとか。私は秋田県出身なんですけど、小さいときは結構ワンパクな性格で、周りの田んぼとか山で虫を捕まえたりするタイプだったんです。トカゲを捕まえてしっぽコレクションとかもしてました(笑)。

――それ、すごくないですか(笑)。

佐々木 今は虫とかはちょっと苦手なんですけど、昔はカナヘビが無限にいる場所だったので捕まえて飼ってみたり、青虫もちゃんとアゲハチョウになるまで育てたことがあります。カエルを捕まえて家に持ち帰って怒られるとか(笑)。外でたくさん遊んでた子なので、『防振り』を観てるとそういうのが思い出されますね。

――佐々木さんの意外な過去を知ることができました(笑)。そんな『防振り』のEDテーマ「Play the world」を最初に受け取ったときの印象はいかがでしたか?

佐々木 とにかく明るくて、元気になれる、ポジティブな曲だと思ったので、最初は「私、ちゃんと笑顔で歌えるかな……」っていう心配がありましたね。私は結構ネガティブ要素がたくさんあるので(笑)。今まで歌ってきた曲も、ロック調のかっこいい曲だったり、自分との葛藤とか世の中に対する軋轢みたいな、ちょっと闇の部分があることが多かったので、こういう春っぽい雰囲気の曲を前向きに歌うというのは、ほぼ初めてだったんです。でも、レコーディングでもPV撮影のときも、自然に笑顔になれて、本当に楽しく歌っていたら、いつの間にか終わってたという印象でした。

――おっしゃる通り、開放感やこれから冒険に旅立つワクワク感のようなものを感じられる曲です。

佐々木 そうですね。疾走感もあるし、「みんなで冒険に行こう!」みたいなところがすごく好きです。最初はOPテーマかなと思ったぐらいなんですよ。でも、そこが逆にいいなあと思っていて。EDテーマだけど、次の新たな1ページに進んでいくようなところが、『防振り』にぴったりだなと思いました。

――佐々木さんの歌声からも、いつも以上に明るさや溌溂さみたいなものが感じられました。

佐々木 ありがとうございます! 伝わっていてうれしいです。今回はいい意味で深く考えないというか、歌詞から伝わる楽しさやワクワク感を、感じるままに歌っていたので、いつも以上に力も抜けて、でも力強く、一歩一歩踏みしめて歩いていく感じになったと思います。私も完成した曲を聴いて「挑戦してよかったな」と思いましたね。

――個人的には今までの押しの強さとはまた違った、包容力のようなものが歌声に生まれているなと思って。

佐々木 たしかにこの曲を歌うときは、ファンの方だったり、みんなのこともたくさん考えたので、もしかしたら伝わったのかもしれないですね。ちょうどこの曲を歌った時期は、TVアニメ『キラッとプリ☆チャン』のイベントで新たな出会いがたくさんあったので、自分ひとりで歌うというよりは、みんなと一緒に歌っているという気持ちがありました。

――佐々木さんは『キラッとプリ☆チャン』にバーチャルアイドルのだいあ役の声優として参加していますが、やはりそこからの広がりを感じることも多い?

佐々木 そうですね。おかげさまで去年は「はじめまして」をたくさん言えた1年になりました。本当にありがたいです。この出会いを大切にしたいと思います。

――最近は見た目も性格も違うアナザーバージョン、いわゆる「黒だいあ」が登場しましたね。

佐々木 そうなんですよ。ちょっとギャルっぽい感じにイメチェンしただいあちゃんになって。最初は子どもたちがびっくりしないかなぁと思って不安だったんですけど、みんな驚きつつも楽しみながら受け入れてくれて。だいあ役に決定したときは、まさかこんなギャルのキャラクターを演じるとは想像もしていなかったですけど、いろんな自分を引き出してもらえて、楽しいですし、ありがたいですね。

――「Play the world」のお話に戻りますが、この曲の歌詞は1番が作品の世界観に寄り添った内容でありつつ、2番以降はより日常感のあるものになっていますよね。佐々木さん的にお気に入りのフレーズを挙げるとすれば?

佐々木 たくさんありますけど、特に刺さったのは1番Bメロの“偶然できっと 運命は動いてる 思い出せば ささいなことも 奇跡のようで”という歌詞ですね。例えば、私が路上ライブに挑戦することで、私のことを新しく知ってくださる方がいたり、応援してくださってる方がライブに友達を誘って来てくださったり。そういうひとつひとつのことが、奇跡のように感じられる出会いに繋がっていくのと重ねることができて。あとはDメロの“一歩踏み出せたこと その勇気は胸にある いつだって世界を 変えれるのは 自分だったんだ”も好きですね。最初は(2ndワンマンの)会場を埋められない、無理だと思っていたけど、みんなのおかげで勇気を出して路上ライブとかチラシ配りができたし、そうやってみんなが自分の勇気を引き出してくれたおかげで、自分の景色を変えられたので、この曲をライブで歌ったときも「すごくいい歌詞だなあ」と思いながら歌いました。

――佐々木さん自身の実体験と重ねられるところがたくさんあると。

佐々木 ありますね。それとサビも好きです。“もう一回 明日へ(明日へ)”って繰り返すところがあるんですけど、そこもライブで、佐々木李子のライブは初めましての方がたくさんいるなか、みんなで合唱できたのがすごく楽しくて、心強くて、自分は一人じゃないんだなと思ったし、みんなのおかげで今の自分がいるし、このみんなと一緒にもっともっと冒険して、新しい世界に行きたいなと思えたので。本当にいい曲です……。

――今回のシングルのカップリングに収録されている新曲「Good Night」も、『防振り』の挿入歌としていろんな場面で使われていますね。

佐々木 そうなんです。最初は「どこで流れるんだろう?」と思っていたんですけど、2話で流れたときは、メイプルがサリーちゃんと一緒に洞窟の中のいろんな場所を冒険しているシーンで流れて、素敵でした。でも、この曲は難しかったですね……。

――だと思います。そもそも全編英語詞ですものね。

佐々木 それも挑戦のひとつでしたし、歌い方もウィスパーボイスで、息多めで歌わなくてはいけなかったので、練習したての頃は息が続かなくなることもあって。レコーディング本番の日も、英語の発音についてディレクションを受けながら歌わせていただきました。でも、この曲の歌詞もすごく共感できるところがあって。私は本当に気弱な考え方をしてしまうんですけど、この歌詞は「でも、もうそんな私に支配されない、明日はもっと勇気ある自分になっていますように、おやすみ」という素敵な内容になっているんです。ラテンっぽい曲調、芯があって情熱を感じる歌詞、でも包み込むような優しさもある曲ということで、最初はバランスを取るのが難しいなと思ったんですけど、それこそ異世界にいるような異国感も感じられる曲なので、そこも楽しみながら歌いました。

――全編英語詞の曲を歌うのは初めて?

佐々木 いえ、以前に歌った「Knock Out!」という1分半ぐらいの長さの曲は全英詞でした。でも、この曲は結構長めだし、ラテンやボサノヴァっぽい曲調の曲を歌うのも初めてだったので、雰囲気を壊さないように歌うのが難しかったですね。

――英語の歌は好きなんですか?

佐々木 中学の頃から英語の教科がいちばん苦手だったんですけど、英語の歌をうたうのは昔から好きでした。小学2年生のときに映画の『タイタニック』を観てすごく感動して、セリーヌ・ディオンさんの「My Heart Will Go On」を聴きながらカタカナで歌詞を全部メモして歌っていましたね(笑)。カラオケでも英語の歌をうたったりします。

――英語で歌う場合は、感情移入や言葉のニュアンスの表現が難しそうだなと思うのですが。

佐々木 たしかにそういう部分もあるかもしれないですけど、私は逆に英語の歌の方が気持ちを込めやすいと感じることがあります。私は日本語だといろいろ考えすぎちゃって、例えば言葉の意味の通りに強く歌ったほうがいいのか、引くほうがいいのか、みたいに悩むタイプなので。英語の場合は、いい意味で何も考えず、自然と出せる感じがしますね。

――この曲はサウンドやアレンジの洗練性もあって、佐々木さんの新しい一面が出ているなと感じましたね。

佐々木 おしゃれですよね。Twitterでも「なにこのおしゃれな曲」「えっ、もしかして佐々木李子さん!?」みたいな反応があったので、うれしいです。全英詞なので、初めて聴いただけではそこまで意味がわからない方も多いと思うんですけど、でも逆に何も考えずにこの世界観を楽しんでほしいなって思います。

――そしてニューシングルにはもう1曲、「GALAXYZ」という新曲が収録されています。この曲はマンガ家の押切蓮介さんがキャラクターデザインを手がけるスマートフォン向けゲームアプリ『GALAXYZ』の挿入歌ですね。

佐々木 はい。ゲームの舞台が宇宙なんですけど、この曲も英語の歌詞が多いので、同じ事務所の海外出身の社員さんからアドバイスを直接受けながらレコーディングしました。

――作詞はhotaruさん、作編曲は白戸佑輔さんによるこの楽曲、舞台が宇宙だからかなのかはわかりませんが、ジャンル的にはディスコっぽいスペーシーでファンキーなサウンドが特徴です。

佐々木 そうなんです。今までもかっこいい曲をたくさん歌わせていただいているんですけど、この曲はちょっとファンクな感じで、私の中でも新鮮な印象を受けました。まず最初の“Heeey! Just do it now! Let’s get it started tonight!”という(男性によるDJ風の)セリフで心を鷲掴みにされて(笑)。テンポ感が早くて、歌詞も詰め込まれてるところが多いので、この曲も毎日夜に練習していました。白戸さんの曲は毎回すごく素敵なんですけど、難易度もいつも高いんですよね。

――たしかに白戸さんの書かれる楽曲は、その曲を歌うシンガーの限界をついてくるようなところがありますよね。

佐々木 あー、たしかにそうかもしれないです。いつも新たな何かを発見できるような気がしますね。以前に『紡ロジック』というゲームの「Knock Out!」という曲を書いていただいたときも、ゴスペルっぽい歌い方の曲に挑戦させていただいて。今回も自分の視野が広がる曲だったので、レコーディングにも挑ませていただく気持ちで臨みました。

――この曲の歌で挑戦したことは?

佐々木 この曲は速さに流されてビートを感じられなくなったらダメだなと思ったので、ビートを感じつつ、時には突き刺す感じというか、ガンガンにぶつけていくところも出したくて、口や身体が慣れるまで何度も練習しましたね。

――こういうタイプの曲って、歌にもグルーヴ感みたいなものが必要ですものね。

佐々木 そうなんですよ。発音に気をつかいすぎてもダメだし、ちゃんと歌詞を見て、言葉を感じて、世界すらも飛び越えて、宇宙まで、銀河まで行くぞ!という思いで歌い上げるのが楽しかったです。

―――佐々木さんはこれまでにも「酩酊」(2018年)や「Blooming!」(2019年)のように、ジャジーだったりグルーヴィーな曲を歌われる機会も多くて、いろんな歌の引き出しをお持ちですよね。

佐々木 ありがたいことにいろんな曲を提供していただいているので。やっぱり小さい頃からお芝居をやっていたこともあって、いろんな自分になれるのがすごく楽しいし、いろんな世界の中で歌うのが楽しいので、生きがいを感じます(笑)。曲によって色が全然違うし、自分の歌い分けでも曲が変化するんですよね。

――曲の世界観によって自分自身の心持ちも変わったりするんですか?

佐々木 あ、変わります。やっぱりスイッチみたいなものが入る曲もありますし、完全に殻に閉じこもって自分の中で歌う曲もありますし、一人ひとりと目を合わせてみんなで歌う曲もありますし。あとは自分で作詞した曲を歌うと、全然違うなと思ったりもしますね。やっぱり自分から出てきた言葉なので、歌ってて本当に泣きそうになったりとか、いろいろ思い出したりとか、そういうのをより強く感じたりします。

――佐々木さんは声優としても活躍されているので、いろんな役柄を演じていることが、歌手としての活動にもフィードバックされているのかもしれませんね。

佐々木 そうですね。私の場合、『プリ☆チャン』で言うと、「キラにちは!だもん!」っていうバーチャルだいあちゃんと、そのだいあを生み出した虹ノ咲だいあっていう内気な感じの女の子、それと最近登場したアナザーだいあちゃんの全員が全然違うタイプなので、「こういうタイプの子はこういう考え方をするんだ」って知ることができて。その中でも虹ノ咲だいあちゃんは自分と共感するところが多いので、「あの時の気持ちってこういうふうに思っていたから出てきたんだ」とか、改めて自分の心の動き方を知ることもできるんですね。そういうところから作詞のネタが生まれて、制作に繋がるところもあるので、すごく勉強になっています。

――なるほど。

佐々木 それとアフレコの現場では、先輩たちの台本に対する向き合い方がすごく勉強になります。ただ台本に書かれたセリフを読むのではなくて、なんでそのセリフがあるのかというト書きも大事だし、ト書きとセリフにも書かれていない隠れたメッセージを自分で想像して読み取ることもすごく大事で、先輩方はみなさん積極的に監督に意見を聞きにいったりされていて。私はミュージカルの『アニー』とかに出演していましたけど、今までは台本に書かれてることをその通りになぞって演じてしまうことが多かったんです。でも、それでけでは伝わらない気持ちがあることは、いろんな現場で学ばせていただきましたね。

――そういった気づきが、歌をうたう際の歌詞の解釈や、歌の組み立てに反映されている部分もあると。

佐々木 そうなんですよ。想像力というのは、歌にも本当に繋がりますね。私は今、“SynapstoRy”という朗読と生歌と生楽器でお届けするストーリーライブを定期的に開催しているんですけど、最初の頃は脚本の方や演出の方に言われたことをただその通りにやっていて、「気持ちが入ってない」と言われても、それが何故なのか自分ではよくわからなかったんです。でも、やっぱり歌にせよ朗読にせよ、自分から湧き出た感情がすごく大切で、ただ歌詞を歌うのではなくて、歌詞の奥にある物語を自分で想像したり、読み取ることで、深みが出るんだなということがわかって。声優としていろんな現場を経験させていただいていることが、いろいろ繋がっていると思います。

――個人的に、佐々木さんは今、シンガーとしての自分の強みはどんなところにあると思っているのかを聞いてみたいのですが。

佐々木 そうですね……私はいろんなジャンルの曲を歌ってるからこそかもしれないですけど、同じ曲でも感じ方が変わったという感想をいただくことがよくあって。なので、同じ曲だけど一人ひとりに違う解釈で歌を届けられるところが強みなのかなと思ったりはします。もちろん今はまだまだ模索中なんですけど、ちっちゃい頃からお芝居も歌も大好きで、歌っていてもいろんなジャンルに憑依できるところはこれまでの経験が活かされていると思うので、そこはもっと究めていきたいです。最近は作曲にも挑戦していますし、楽器の演奏も頑張っているので、もっと自分でも作っていきたいなと思います。

――今回のシングルは3曲とも全然タイプが違うので、そういう意味では、佐々木さんの楽曲ごとにいろんな表現が出来る一面をパッケージングできているのではないかと思います。じゃあ最後に、今後もしまた別の表情を自分で歌で表現できるとしたら、どんな歌をうたってみたいですか?

佐々木 うわー、なんだろう? 今まで歌ったことがないのは演歌ですけど(笑)、私、たぶんセンスがないのか、昔に何回か民謡のレッスンも受けたことあるんですけど、すごく難しくて。こないだのワンマンで初披露した「手作りの歌」という曲は、今まで自分の歌でコール&レスポンスする曲があまりなかったので、みんなで作る曲がほしいと思って自分で作詞作曲したんですけど、もっとみんなが参加できる曲を作っていきたいですね。例えば、みんなから言葉をもらって、そこから私が物語の続きを書いていく曲とか……。

――落語の三題噺みたいな(笑)。

佐々木それも面白そうですね(笑)。あとは、もっと季節感を感じられる曲を増やしていきたいかも。ライブでも季節の移り変わりが感じられると面白そうだし。あと、いつかやりたいと思っているのが、ポエトリーリーディング。

――おっ、それはちょっと意外ですね。

佐々木 私、MOROHAさんが大好きで、ライブにも結構通ってるぐらいなんですよ。歌でもなく、朗読でもなく、魂の叫びを形にしているあのスタイルがすごくかっこよくて、初めて出会ったときには自然と涙が溢れてきたんです。私もいつか自分の伝えたい思いとか、抱えていた気持ちとかをちゃんと言葉にして、ライブでやってみたいですね。

――それはたしかに今までにない挑戦ですし、朗読劇やミュージカルの経験が活きる部分もありそうです。

佐々木 繋がっていきそうですよね。いつになるかはわからないですけど……(笑)、頑張ります!

Interview & Text By 北野 創(リスアニ!)


●リリース情報
「Play the world」
2月26日発売

【DVD付盤(CD+DVD)】

品番:USSW-0241
価格:¥2,000+税
※アニメ描き下ろしデカ帯ジャケット仕様

【通常盤(CD)】

品番:USSW-0242
価格:¥1,500+税

<CD>
1.Play the world(TVアニメ『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』EDテーマ)
2.Good Night(TVアニメ『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』挿入歌)
3. GALAXYZ(スマートフォン向けゲームアプリ『GALAXYZ』挿入歌)
4~6. 1-3の各off vocalトラック

<DVD>
1.Play the world(TVアニメ『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』EDテーマ)MV
典:リバーシブルB2ポスター付き

●作品情報
TVアニメ「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」
AT-X、ABCテレビ、TOKYO MX、テレビ愛知、BS11にて放送中

AT-X:毎週(水)22:00〜
ABC: 毎週(水)26:11〜
TOKYO MX:毎週(水)25:35~
テレビ愛知:毎週(水)26:05~
BS11: 2020年1月10日(金)深夜1:00~
※放送日時は変更になる可能性があります。

<配信スケジュール>
dアニメストア:毎週(水)22:30〜
Amazon Prime Video:毎週(水)22:30〜
ほか

スマートフォン向けゲームアプリ
『GALAXYZ』
配信日:2020年1月末予定
配信プラットフォーム:android/iOS
金額:基本プレイ無料 ※一部有料課金あり

●ライブ情報
4/11(土) 2nd Oneman RicoRium 〜ただ、君に歌いたい〜アンコール公演
2020年4月11日(土)
時間:開場 17:00/開園 18:00
会場:SHINJYUKU BLAZE
チケット:¥5,000円(税込)スタンディング / 整理番号付
※別途、ドリンク代¥500必要
※未就学児童入場不可
※1申し込みにつき4枚まで
詳細はこちら 

<佐々木李子Profile>
幼少期より歌と音楽をこよなく愛し、様々な音楽と触れ合いながら育つ。小学校3年生の時に、ミュージカル「アニー」の舞台を観て感動し、その舞台に立つことを夢見る。そして、小学校5年生の時に見事9000人の応募の中から主演「アニー」の座を勝ち取った。それ以来歌と演技に目覚め、高校卒業後上京。2016年6月に佐々木李子名義の1stシングル「カサブタ/想いのかけら/ドリームクライマー」をリリース。その後、TVアニメ『デュエル・マスターズ』EDテーマ「明日への風」、『クリオネの灯り』挿入歌「百日の花」、ゲーム『誰ソ彼ホテル』挿入歌「酩酊」、『紡ロジック』OPテーマ「Blooming!」他、数々のアニメ&ゲームソングのテーマソングを担当。2019年11月20日にはTVアニメ『デュエル・マスターズ!!』EDテーマCD「カーテンコールを揺らして」をリリース。
現在は声優として、TVアニメ「キラッとプリ☆チャン」だいあ役、「邪神ちゃんドロップキック」ぽぽろん役、「美少女遊戯ユニット クレーンゲール」響子役などでも精力的に活躍中。その小柄な身体からは想像つかないソウルフルな歌声を響かせる。

© 2020 夕蜜柑・狐印/KADOKAWA/防振り製作委員会
© 2019-2020 fuzz, Inc./押切蓮介

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