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INTERVIEW

2020.01.15

上坂すみれ、唯一無二のポップソング集『NEO PROPAGANDA』リリースインタビュー

――次の「ウエサカダイナミック」はビートまりおさん提供のハイテンションなナンバー。個人的には“上坂すみれ”というキャラクターのキャラソンという印象を受けました。

上坂 そうですね。私は『チャージマン研!』(1974年に放送されたネットを中心にカルト的な人気を誇るアニメ)が好きなのですが、その作品をトリビュートしたコンピレーションアルバム(『チャージマン研! Tribute to Soundtrack』)に、ビートまりおさんが書かれたボルガ博士の曲「ボルガダイナマイト」というのがあるんですね。私が「あの曲がめちゃくちゃ好きです」とビートまりおさんにお話したら、「ボルガダイナマイト」の構成に近い楽曲を作ってくださったんです。

――その曲へのオマージュの意味も込めて、「ウエサカダイナミック」という曲名なんですね。しかしこの曲は“右坂軍”と“左坂軍”を討伐するパートがあったりして、ライブですごく盛り上がりそうですね。

上坂 すごくいろいろ詰まっている曲なので、「ライブではどうすればいいんだろう?」という感じではありますが、適度に休憩する部分を作りながら歌おうと思います。皆さんにコールなどをやっていただく部分もありますが、これは初見だと追いつかないと思うので、皆さんこの曲だけはライブ前によく聴いてきてください。

――9曲目の「夜勤の戦士のテーマ」も上坂さんの作詞曲です。いわゆるユーロビート歌謡っぽい曲調ですが、どんなコンセプトで作られたのですか?

上坂 まずユーロビートがいいなということで曲を作っていただいて、当時のユーロビート歌謡は謎のポジティブさがある歌詞が多かったと思うので、そういう「何を根拠に言ってるんだ?」という歌にしようと思って歌詞を書きました。ただ、全部そういう感じにしてしまうと、聴いてくださる方が「上坂さんはどうしてしまったんだろう?」となるのではないかと思ったので、これは「夜勤で働いている人がハイになっている歌」ということにして、このタイトルになりました。なので曲の最後は電車の発車音が鳴って終わるんです。

――「謎のポジティブさ」を狙って歌詞を書いたというお話は、すごく納得しましたね。この曲の歌詞はすごく前向きですけど、すごく空虚でもあるじゃないですか。

上坂 そうなんです。何も共感できない、というところがこの曲のミソなので。

――ハハハ(笑)。じゃあ歌入れのときはどんな気持ちで歌われたのでしょうか?

上坂 なのでもう、右から左に流れていくような感じですね(笑)。とにかくほがらかに、どこにも何にも気持ちをかけていないという、虚ろな感じで歌いました。この曲は男性コーラスも非常にかっこよくて、曲自体はイケイケですね。

――夜勤明けの方にはぜひ聴いてほしいですね。お次の「アウターモスト -超自然恋愛-」はTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND制作のテクノポップチューン。TECHNOBOYSさんとは、これまでにも「リバーサイド・ラヴァーズ(奈落の恋)」「恋する図形(cubic futurismo)」などでご一緒されていますが、今回はどんなテーマで作っていただいたのですか?

上坂 この曲は「オカルト」をテーマに作っていただきました。TECHNOBOYSさんの曲には毎回恋愛の要素が入っていて、“恋”シリーズみたいになっているのですが、今回もかわいく、かつ、インテリジェンスのある曲にしていただきました。

――テーマに「オカルト」を選んだ理由は?

上坂 何となくと言えば何となくなのですが、ちょうどこの頃に植芝理一先生の「ディスコミュニケーション」というマンガを読んでいたので、そういう世界観がいいなあと思ってお願いしたんだと思います。

――たしかに「ディスコミュニケーション」は民俗学やオカルトの要素がありつつ、甘酸っぱい恋愛要素もある作品ですものね。あと、松井洋平さんがTECHNOBOYSとして書く歌詞は、あえて内容や意味を持たせない部分があるので、そういうところは上坂さんの嗜好や音楽性にハマりそうだなと思いました。

上坂 そうですね。テクノポップに人生を説かれたらたまったものじゃないですから。

――名言ですね(笑)。続いての「SPY」は大槻ケンヂさんが作詞、NARASAKIさんが作編曲した、ロシアのスパイを題材にした物悲しい雰囲気の打ち込みロックです。

上坂 この曲はまずNARASAKIさんにお願いしたら、「じゃあ歌詞は大槻くんにお願いするね」とおっしゃってくださって、「パララックス・ビュー」ぶりにこのおふたりが曲を作ってくださることになりました。大槻さんとは2019年もオカルト番組などで何回かご一緒したのですが、私がソ連好きな理由を「上坂さんの脳にマイクロチップが入っていて、ソ連のスパイとしての使命を果たしているからだと思う」とおっしゃるんです。そのご自身の説を、この歌詞にしてくださったとのことでした。

――では、この歌詞は「大槻さんから見た上坂さん像(妄想含む)」みたいなものが形になったものだと。

上坂 はい、オカルト的な見解で。

――スパイの歌であるのと同時に、ロマンチックな恋の歌でもありますよね。最後は“ナホトカ”という言葉で締めくくるのも、それっぽいというか。

上坂 そうですね。スパイ映画っぽくて。オケも悲しげな感じで。“ナホトカ”も意味がわからないのですが、とにかく哀愁があるっていう(笑)。大槻さんの歌詞によくある、不思議な単語で締める曲になりました。

――そしてアルバムの最後を飾るのが、本作のリード曲でもある「ネオ東京唱歌」。この曲はドレスコーズの志磨遼平さんが作詞・作曲されていますが、これはどんなご縁で?

上坂 アルバムのリード曲を作るにあたって、スタッフの方から推薦をいただきまして。私はそのときに初めてドレスコーズの曲を聴いたのですが、夢アド(夢みるアドレセンス)とかももクロ(ももいろクローバーZ)とか、いろんな方への曲提供をされているうえに、ご自身の楽曲と提供曲では全然違っているところが面白いなと思って、私に書いていただいた場合はどんなふうになるのかな?という期待を大いに込めてお願いしました。

――そして完成した楽曲が昔の唱歌風という、レトロかつインパクトの強いナンバーです。

上坂 これは志磨さんがいろいろ考えてくださって、私に寄せてくださったらしいんですね。でも私からすると、すごくドレスコーズっぽいなあとも思ったりして。そこに昭和歌謡などいろんなエッセンスが入っていて、楽器もすごく豪華だし、前作の「ノーフューチャーバカンス」とは全然違うリード曲になったと思います。

――こういう唱歌風の歌い方はあまり経験したことないと思うのですが、いかがでしたか?

上坂 レコーディングでは志摩さんがディレクションしてくださったのですが、歌い出しのところは意図的に戦前の録音みたいな感じで歌ったり、サビは結構ポップに晴れ晴れと歌ったりと、独特のニュアンスを指定してくださるので、楽しいレコーディングでした。なのでライブでどう歌っていいのかちょっとわからないのですが(笑)。

――歌詞的には2020年感と言いますか、オリンピックイヤーを意識したようなフレーズも散りばめられていますね。

上坂 そうですね。オリンピックの名前を出すわけでもなく、かと言って批判をするわけでもなく、ただ隣にあるという感じで。東京スカイツリーのふもとの押上の商店街で流れている曲みたいな感じだと思います(笑)。

――絶妙な例えですね(笑)。どことなくプロパガンダ感があるところもアルバムタイトルの『NEO PROPAGANDA』にピッタリですし、最後はロシア民謡の「カチューシャ」を引用して終わるところも上坂さんらしさと言いますか。

上坂 最初はこのパートは入っていなかったんですけど、編曲の時点で増えていました。なのでこれはライブだと必然的に最後の曲になると思います。

――この曲のMVでは上坂さんが、歌劇団の少女、彼女と恋に落ちる特権階級の学生、ビッグ・マザー・マリアというディストピアの支配者的な存在の3役を演じられています。

上坂 お話は壮大だったのですが、全員私が演じているので、そこはかとないB級感が見どころだと思います。知らない単館の映画館に入ったらやっていた映画みたいな感じですね。昔の映画のいろんなエッセンスも入っていますし、ばかばかしくもあるので、とても良いんじゃないかと思います。

――全編ネタや仕掛けが満載で上坂さんにしか作り上げられない作品になりましたが、ご自身としてはどんな作品になったと感じていますか?

上坂 よりどりみどりで、いろんな味がありますし、お得感があるかなと思います。ツアー(“上坂すみれのPROPAGANDA CITY 2020”)でもこのアルバムの曲をいっぱいやる予定ですし、皆さんとの掛け合いがある曲も多くて、要予習の曲が結構あるので、ライブにいらっしゃる方は、アルバムをたくさん聴いて頑張っていただきたいと思います。

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)


●リリース情報
上坂すみれ 4th Album
『NEO PROPAGANDA』
1月22日発売

【初回限定盤A(CD+Blu-ray)】

品番:KICS-93891
価格:¥3,600+税

【初回限定盤B(CD+PHOTOBOOK)】

品番:KICS-93892
価格:¥3,600+税

【通常盤(CD)】

品番:KICS-3891
価格:¥3,000+税

<CD>
01.「予感(Extra stage)」
作曲・編曲:R・O・N
02.「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」
作詞・作曲・編曲:清 竜人
03.「すーぱー呂布呂布ぱらだいす!」
作詞・作曲・編曲:MOSAIC.WAV
04.「快走!ラスプーチン」
作詞・作曲・編曲:アイキッド(ザ・リーサルウェポンズ)
05.「MESSAGE」
作詞・作曲・編曲:group_inou
06.「last sparkle」
作詞・作曲・編曲:吟(BUSTED ROSE)
07.「女神と死神」
作詞:上坂すみれ 作曲・編曲:渡部チェル
08.「ウエサカダイナミック」
作詞・作曲:ビートまりお(COOL&CREATE) 編曲:ARM(IOSYS)
09.「夜勤の戦士のテーマ」
作詞:上坂すみれ 作曲:松浦勇気 編曲:設楽哲也
10.「アウターモスト -超自然恋愛-」
作詞・作曲・編曲:TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND
11.「SPY」
作詞:大槻ケンヂ 作曲・編曲:NARASAKI
12.「ネオ東京唱歌」★ALBUMリード曲★
作詞・作曲:志磨遼平 編曲:長谷川智樹

<Blu-ray>
01.「ネオ東京唱歌」Music Video
02.「ボン♡キュッ♡ボンは彼のモノ♡」Music Video
映像特典
「NEO PROPAGANDA MAKING」

●ライブ情報
上坂すみれライブツアー2020
3月20日(金 祝)・3月21日(土)埼玉・サンシティホール越谷 大ホール
3月28日(土)・3月29日(日)大阪・NHK大阪ホール
4月5日(日)愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
4月19日(日)東京・TOKYO DOME CITY HALL

●イベント情報
4th Album「NEO PROPAGANDA」発売記念 ガリガリ大学入学試験
ガリガリ大学入学試験 対象店舗および試験日程

2月8日(土)
会場:名古屋市某所
11:00 open/11:30 start
内容:ガリガリ大学入学試験
入学願書配布店舗:アニメイト全店(オンラインショップを含む)

会場:ゲーマーズなんば店イベントスペース(大阪)
17:00 open/17:30 start
内容:ガリガリ大学入学試験
入学願書配布店舗:ゲーマーズ全店(オンラインショップを含む)

2月9日(日)
会場:都内某所
アニメイト回1
12:00 open/12:30 start
内容:ガリガリ大学入学試験
入学願書配布店舗:アニメイト全店(オンラインショップを含む)

アニメイト回2
14:30 open/15:00 start
内容:ガリガリ大学入学試験
入学願書配布店舗:アニメイト全店(オンラインショップを含む)

ゲーマーズ・とらのあな・キンクリ堂回
17:30 open/18:00 start
内容:ガリガリ大学入学試験
入学願書配布店舗:ゲーマーズ全店(オンラインショップを含む)、とらのあな全店(一部店舗、通信販売除く)、キンクリ堂

詳細はこちら

オリジナル特典
・アニメイト: A3クリアポスター+複製サイン&コメント入りL判ブロマイド
・amazon.co.jp: A4クリアファイル
・HMV:複製サイン&コメント入りL判ブロマイド
・ゲーマーズ:複製サイン&イラスト色紙(242mm×272mm) 、缶バッジ(56mm)、複製サイン&コメント入りL判ブロマイド
・タワーレコード:複製サイン&コメント入りL判ブロマイド+複製コメント入り特別レシート
※特別レシートは1/21(火)~1/27(月)の期間内に店舗でご購入の方に差しあげます
※全形態対象
※特別レシートはオンライン実施対象外となります
・TSUTAYA RECORDS (※一部店舗除く、オンラインショッピングはご予約分のみ対象):複製サイン&コメント入りL判ブロマイド
・とらのあな(一部店舗のぞく): A4クリアファイル+複製サイン&コメント入りL判ブロマイド
・ネオ・ウィング: KGサイズポートレート
・アニメガ:複製サイン&コメント入りL判ブロマイド+57mm缶バッジ
・Rakutenブックス:ホログラムステッカー
・WonderGOO・新星堂:複製サイン&コメント入りL判ブロマイド
・キンクリ堂:缶バッジ+複製サイン&コメント入りL判ブロマイド
・多売特典:複製サイン&コメント入りL判ブロマイド(配布店舗一覧は後日公式HPに掲載いたします。)
※特典物は無くなり次第終了となります。事前に各店舗までご確認ください。
※特典物は予告なく変更になる場合がございます。予めご了承下さい。
※詳細は各店舗へお問い合わせください。

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