約1年ぶりの新曲「Statice」配信スタート!早見沙織、リリースインタビュー

声優・アーティストとして幅広く活躍する早見沙織が、2ndアルバム『JUNCTION』以来約1年ぶりの新曲「Statice」を配信リリースした。人気ゲーム『無双』シリーズの最新作『無双OROCHI3 Ultimate』の主題歌となる本楽曲は、作品の世界観や早見自身が声優を担当する新キャラクター・ガイアのイメージにも直結する、かつてなく壮大でドラマチックなナンバー。数々のキャラソンを含め、これまでのキャリアで歌唱力と表現力を磨き抜いてきた彼女だからこそ歌いこなせる楽曲と言えるだろう。早見が自ら作詞を手がけた本作に込めた想い、そしてアーティスト活動5周年を迎える2020年に向けた動きについて、話を聞いた。

みんなの力を結集してもの作りをしている意識がより強くなった

――新曲のリリースは1年ぶりになりますが、その間の活動を振り返ってみていかがですか? ご自身の音楽活動に対する意識の変化もあったと思うのですが。

早見沙織 たしかに前作のアルバム(2ndアルバム『JUNCTION』)を出してからちょうど1年になりますけど、その間にツアーやライブDVDのリリースがあったり、今回の配信シングルの制作を進めていたりと、内側ではずっと何かしら動いていたので、自分の中ではあっという間でした。今年は音楽チームの皆さんと集まって話し合う機会が増えましたし、今もこの先の展開を含めていろんなアイデアを出し合っているので、みんなの力を結集してもの作りをしている意識がより強くなったと思います。

――10月には自身初となるキャラクターソングを中心としたライブ<早見沙織 Special Live 2019“CHARACTERS”>を東京と大阪で開催されましたが、その試みもチームでアイデアを出し合うなかで生まれたものだったのでしょうか?

早見 まさにその通りです。2020年にアーティスト活動5周年を迎えるので、そのアニバーサリーに向けて、何か特別なライブをしたい気持ちがありまして。そこで、これまでの振り返りという意味も含めて、この12~13年の声優活動のなかで歌わせていただいた数多ある楽曲の中から、限定的ではありますが披露させていただきました。本当にいい曲がたくさんあるので選ぶのが大変だったんですけど(笑)。

――早見さんがこれまで歌ったキャラソンは数百曲にのぼりますものね。

早見 でも、キャラクターソングというものは、その作品が終わると歌う機会がなかなかなくなるんですよね。とはいえ音楽として素晴らしい曲がたくさんありますし、どれも作品を背負っている楽曲なので、それを聴くことで作品やキャラクターに対する思い入れを思い出してもらえるきっかけになりますし、自分自身もその頃の思い出が甦るところがあって。そういうメモリアルなライブを今このタイミングでやりたいなと思って、開催させていただきました。

――自分は残念ながらそのライブを拝見できなかったのですが、あとからセットリストを観て行けなかったことを後悔しました(笑)。特にアゲマキ・ワコ「木漏れ日のコンタクト」(『STAR DRIVER 輝きのタクト』のキャラソン)は生で聴きたかったです。

早見 『スタドラ』の曲は反響が大きかったですね。最初の東京公演では、あらかじめ発表していた2曲を除いてセットリストはわからない状態だったので、皆さまには何百曲もあるなかから予習していただいて「ありがとう!」という気持ちでいっぱいでした(笑)。予告していなかったキャラソンを披露するたびに、各作品のファン層の方々が「うわーっ!」と反応してくださって。心を撃ち抜かれてくださったのであれば、うれしいなと思いました。

――キャラソンの場合は、それぞれのキャラを背負って歌うことになると思うのですが、実際にひとつのライブを通していろんなキャラクターの楽曲を歌う経験はいかがでしたか?

早見 自分自身の歩みではないですけど、歌っている途中でレコーディングした当時のことをすごく鮮明に思い出したりして、感慨深くなる瞬間もたくさんありました。ただ、私としては、来てくださった方と作品やキャラクターの入り口や媒介になれたらいいな、という気持ちが強かったです。作品を知っている人であればそこで思い出してもらえるし、作品を知らない人には「この曲いいな」と興味を持ってもらうことで、アニメを観たり楽曲を再発見していただけるきっかけになるので。

――アーティストとして歌うことと、キャラクターとして歌うことでは、やはり別種の楽しさがあるのでしょうか?

早見 歌をうたう楽しさはどちらも一緒ですけど、キャラソンを歌うときは自然とそのとき歌っていた歌声を意識しました。でも、その当時の表現に完全に寄せるということはせずに、今の自分の感性で、それぞれのキャラクターを通してその楽曲を歌ったらどうなるか?ということはある程度意識して。最終的には今に焦点が置けるようにはしたかったです。

それぞれの作品のカラーや思い出がギュッと凝縮されている

――早見さんは今年も『彼方のアストラ』のユンファ・ルーや『かつて神だった獣たちへ』のベアトリス/セイレーンなど、劇中で歌う役どころのキャラクターを演じることが多かったですね。

早見 たしかに今年は多かった気がします。『アストラ』の曲(「Star of Hope」)もすごくいい曲でしたし、それぞれの作品のカラーや思い出がギュッと凝縮されているので、思い出深いですね。

――これは個人的な意見ですが、「早見さん=歌う役どころ」というイメージが定着しつつあるように思っていまして。

早見 どうなんでしょうね? 自分でそう意識することはないですけど、時期の縁はあるのかもしれないです。似た役どころを演じる時期が重なると、そのぶん皆さまの印象も強く残ると思いますし。それはこの10何年の声優活動の中ですごく感じることで、例えば誰かを罵倒したり強めの言葉を使う役どころが多いクールがあると、新しくそういう役どころのお話をいただいたり、別でも縁ができることが多くなることもあるんです。そういう波があるのは自分も楽しいですし、面白いなと思いますね。

――あと、自分は『覆面系ノイズ』で早見さんがニノとして歌われたキャラソン群が大好きでして。特にアルバム『ALICE ~SONGS OF THE ANONYMOUS NOISE~』の初回仕様盤の特典CDに収められているライブ音源(『THE ANONYMOUS NOISE SPECIAL LIVE 17.9.30 WWW X SHIBUYA』)は、この10年のキャラソンで最も衝撃を受けました。

早見 ありがとうございます。あれはかっこいいですよね~。あのときのライブもすごく楽しくて、『ノイズ』に関わった人たちのなかでは伝説化しています(笑)。『ノイズ』のチームはお互いにみんないい影響を及ぼし合っていて、作品が終わってからもずっと縁が続いていて、みんなでたまに集まったりすることがあるんです。

作品も含めて根本的な軸というのは、人自身が紡いでいくことにあるんじゃないか

――そうなんですね。さて、今回の配信シングル「Statice」はゲーム『無双OROCHI 3 Ultimate』の主題歌です。どのような経緯で制作することになったのでしょうか?

早見 私はこの作品の中で新キャラクターのガイア役を担当させていただいているのですが、そのご縁で主題歌のお話もいただきました。そこから、制作チームの方々にシナリオとオーダーシートのようなものをいただいて、作品が持つかっこよくて爽やかなイメージや、地母神であるガイアちゃんの視点――壮大な人の世を俯瞰した視点や母なる慈愛のようなものを曲に入れてほしいというお話だったので、その要素をうまく融合してくれそうな楽曲をいくつかの候補の中から選びました。

――楽曲自体はコンペのような形式で決めたんですね。この楽曲を選んだ決め手は?

早見 この曲は最初に聴いたときからメロディがすごくキャッチーに感じて、歌いやすく耳にも残りやすそうだなと思ったんです。今回はゲームの主題歌として制作するので、映像と合わさって観たときに印象に残る曲にしたくて。あとは最初は静かな感じだけど、そこからどんどんエネルギーを増していくイメージもあったので、それがガイアの視点として求められた柔らかい部分と激しい部分を一緒に含んでくれるんじゃないかと思って選びました。この曲はメロディにやさしさと強さがあると思います。

――その楽曲に早見さんが自ら歌詞をつけたわけですが、非常にスケールが大きくて、まさに神様が人の世を見守っているような視点を感じました。

早見 そこはかなり意識しました。それと必死さが出てしまうと慈愛感が薄くなる難しさがあるので、そこも考えながら、作品のかっこいい世界観に沿ってくれるようなワードを選びました。これは歌詞を書いているうちに感じたことなんですけど、作品も含めて根本的な軸というのは、人自身が紡いでいくことにあるんじゃないかと思っていて。

――と言いますと?

早見 1番は人が自分自身と向き合って、自分を見つめ直して何かを得ていく姿を描いていて。それが2番になると、今度は人との絆に目が向くようになって、人と人との繋がりによって強さを得ていく。そこでひとりだけで持っていたものとは違う強さが生まれていくんですね。1番の歌詞では“まだ誰も知らない 物語の彼方へ”と書いていて、その時点では「人生は誰にもわからないよね」というお話なんですけど、そこから“人の絆”がいろいろと繋がっていって、最終的に3番の歌詞(“神さえも知らない 物語は彼方へ”)では「僕たちは神様もわからないほどすごいところまで物語を作っていけるんじゃないかな?」みたいなところまでいって。

――「個人」から始まって「人類」にまで広がるような壮大さがありますね。

早見 でも、その物語がどうなるか?という答えは誰にも出せない、というところに落ち着けたい気持ちはありました。この『無双OROCHI3 Ultimate』という作品にも、長い時のなかで変わっていくものと変わらないものがある、という壮大なテーマがあるんですけど、私たちも同じだと思うんです。我々も日々仕事をしたり、生活をするなかで、打ちのめされたりもしますし、でもそのことで自分が成長したり、あるときは仲間の心強さを知ったりもして。10年経ったときにまったく思ってもみなかった自分になっていることに気づいたり。そういうことを言えたらと思って歌詞を書きました。

――そういった大きなテーマを歌詞に落とし込むのは相当難しかったのでは?

早見 今回は曲に救われたところがあって、この楽曲自体が今お話したような流れになっているんですよ。1番はとてもミニマムな少数編成で始まって、自分と向き合うような静かな雰囲気で。でもBメロのあたりから歩んでいくようなリズム感が加わって、サビで世界がバッと広がって。そこから2番では、時の流れに目を向けたり、自分が失ってきたものや残ったものを振り返るような、柔らかい感じが表現されていて、これまでの人との縁でもらったものを気付ける時間を楽曲がくれるんです。その後の落ちサビの一度静かになるところで、聴いている側が「この世界って本当はどうなっているんだろう?」とハッと気づくような、一瞬の安定があって。最後のサビは楽器もフルで入ってきて、リズムもどんどん大きくなって、ラストは英語のコーラスで「何となくこういうことなんじゃないかな?」ということを歌って終わる。わかりにくくて申し訳ないんですけど(笑)、そういう曲の流れに影響されたところがあります。

作品も含めて根本的な軸というのは、人自身が紡いでいくことにあるんじゃないか

――その最後の英語のコーラス部分ですが、“Beliefs and bonds stays in your mind like a statice”という言葉をリフレインしていて、ここでようやくタイトルの言葉が出てきます。

早見 私もまさかいちばんオーラスでタイトルを入れられるとはと思って……もちろん自分で書いたんですけど(笑)。最初はタイトルを歌詞の中に入れなくてもいいかなと思っていたんですよ。でも最後の最後で意外にピッタリとハマって。

――では「Statice」というタイトルは歌詞より先にあったんですね。

早見 はい。「Statice」というのはお花の名前(スターティス)から取っているのですが、このお花がドライフラワーでよく使われるもので、枯れても色が結構残る特性があるんです。なので「時が移ろうけど消えないもの」の象徴として、作品のテーマやこの曲の軸にぴったりくるかなと思ってつけました。

――コーラス部分を直訳すると「信念と絆はスターティスのように残っていく」と。この最後のコーラスが、イントロやAメロのモチーフと同じメロディというところも、最初と最後が円環のように繋がるイメージになっていますね。

早見 たしかに。じゃあ今後はそういうふうに言わせていただきます(笑)。私も曲としてすごく美しい作りになっているなあと思って。運命的な部分も感じますし、ドラマ性がすごくあって楽しい曲になりました。

――そんな大河のように壮大な楽曲を歌うにあたって、どんなところにこだわりましたか?

早見 この曲の持つパワフルさと繊細さの両方を表せたらいいなと考えながら歌いました。体力的にはエネルギーを使うんですけど、歌っていてすごく楽しい曲なんです。メロがすごくきれいで、歌心が詰まっているので、歌っていてとても心地いいです。

――たしか“CHARACTERS”の大阪公演で初披露されたんですよね。

早見 そうなんです。まだそこでしか皆さんの前で歌ったことはなくて。しかもそのときはレアなバンドバージョンでお届けしたんです。原曲にはオーケストラっぽい良さがありますけど、そのライブでは私を含むバンドの各楽器が持ち味を発揮できるアレンジでやったのですごく良かったですね。たぶんこの曲は会場によって色がすごく変わる曲だと思っていて。例えばものすごく大きな会場ならこの曲の壮大感がバーッと伸びる形で響くと思いますし、ライブハウスみたいなところであれば、サビの4つ打ち部分とかにグルーブがあるので、一緒にノリたくなる感じが強くなると思います。

――ここまでスケール感の大きな歌は、ご自身の楽曲としては珍しいと思いますが、作り上げてみていかがでしたか?

早見 たしかにここまで壮大で力強い曲は初めてかもしれないですね。自分としても表現の幅が広がったと思いますし、去年のアルバムとそのツアー、そして“CHARACTERS”もあったからこそ、今この歌をうたえたというのもあるので、出会えて良かったなと思います。

――ちなみにこの楽曲は英語詞バージョンも同時配信されますね。

早見 『無双OROCHI3 Ultimate』には北米版もあるので、そちらの主題歌としてこの英詞バージョンを使っていただけることになりました。1stシングルの「やさしい希望」も英語版(「Bright Hopes」)を歌わせていただいて、すべて英詞の曲はそれ以来になります。

――早見さんは洋楽好きということで、英語で歌うのも楽しみだったりしますか?

早見 楽しさはありましたけど、この曲は緩急があるので、それを英語で表現するとなると、より一層のプレッシャーはありました。レコーディングのときは右脳も左脳もどちらも働かせている感じがして(笑)。ただ、日本語版とは音の響きや乗り方も違いますし、英語版は英語版でこの曲の持つ力強さみたいなものをグイっとより引き出してもらえた感じがあったので、ぜひどちらも聴いていただきたいですね。

――あと、日本語版と英語版の両方とも、早見さんの音源では初のハイレゾ配信も行われるとか。

早見 そうなんです。この曲はボーカルも楽器も繊細な表現が多いので、その色の部分はハイレゾだとより一層引き立ってくれるんじゃないかなと思っています。でも実は私、普段は携帯に曲を入れて繰り返し聴くタイプなので、ハイレゾで音楽をちゃんと聴いたことがなくて(笑)。でもハイレゾを聴ける機器は持っているはずなので、この機会に聴いていこうと思います。

『シスターシティーズ』というタイトルで、全曲アーティストの方とコラボした作品

――そしてアーティスト活動5周年を迎える2020年は、春にミニアルバムをリリース、5月から7月にかけて全国ツアーを行うことも決定しています。ミニアルバムの制作はすでに進んでいるのですか?

早見 絶賛進行中です。今回は『シスターシティーズ』というタイトルで、全曲アーティストの方とコラボした作品になります。それこそ先ほどお話に出た『覆面系ノイズ』でご一緒したNARASAKIさんですとか、『アストラ』でご一緒した横山(克)さん、他にも元キリンジの堀込泰行さん、UNISON SQUARE GARDENの田淵(智也)さん、トラックメイカーの西原健一郎(Kenichiro Nishihara)さんにご参加いただいていて……面白い作品になりそうです(笑)。私も「どういうアルバムになるかな?」というワクワクがありますし、5周年のアニバーサリーだからこそ作れる、特別なコラボアルバムになると思います。

――5周年イヤーは実りある年になりそうですね。

早見 ツアーも今まで行ったことのない石川、福岡、愛知を含めて7公演、ギュッと詰まっていますし、今みんなで絶賛内容を練っているところなので、こちらも楽しくなると思います。もちろん「Statice」は歌うつもりで、今はセットリストのどこに入れようかなと考えています。

――年末の12月28日には中国・上海で開催されるライブイベント“リスアニ!LIVE SHANGHAI”にもご出演いただくということで、最後にそちらの意気込みをいただけますでしょうか。

早見 実はアーティストとしての海外公演はこれが初なので、もうドキドキですよ~。でも、いろんな友達や知り合いが一足先に上海に行かれていて、みんな帰ってくると口をそろえて「楽しかった!」と言っていたので、楽しみです(笑)。現地の美味しいものも食べたいし、会場の皆さんの空気も楽しみですね。2020年もよろしくお願いします!

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創(リスアニ!)


●リリース情報
配信シングル
「Statice」

配信中

「Statice」
作詞:早見沙織 作曲:田辺 望・伽羅奢・瀧口系太 編曲:前口 渉

「Statice(English ver.)」
Lyrics:Saori Hayami/Lyrics in English:Eliana/Music:Nozomi Tanabe, gratia, Keita Takiguchi/Arrangement:Wataru Maeguchi

「Statice」(ハイレゾ音源)

ミニアルバム
『シスターシティーズ』
3月25日発売

品番:1000759200
価格:¥2,500(税込)
※初回生産分には、5周年記念ライブツアーの先行購入抽選申込券が封入。

店舗別オリジナル特典( ※購入前には必ず各店舗、各サイトの特典表記をご確認の上、お買い求めください。)
アニメイト:複製サイン&コメント入りA4クリアファイル
ゲーマーズ:缶バッジ(サイズ:56mm)
Amazon.co.jp限定:複製サイン&コメント入りポストカード ※【Amazon.co.jp限定】商品のみ対象

●ライブ情報
全国ツアー決定!
2020年5月29日(金)東京:Zepp DiverCity(TOKYO)
2020年6月14日(日)大阪:Zepp Osaka Bayside
2020年6月21日(日)福岡:Zepp Fukuoka
2020年6月28日(日)石川:金沢EIGHT HALL
2020年7月12日(日)北海道:Zepp Sapporo
2020年7月19日(日)愛知:Zepp Nagoya
2020年7月25日(土)広島:広島クラブクアトロ

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