2019年9月22日開催!クリエイタートークセッション「アニソン派!vol.1」公式レポート Part.2

良質なアニソンを作家目線でおすすめしていくために立ち上がったプロジェクト「アニソン派!」第1回の模様より作家の発言を書き起こし!

続いては自身の楽曲について語り倒します!こちらもぜひチェックしてください!

出演者:渡辺 翔、eba、やしきん、草野華余子、Tom-H@ck
司会:田淵智也、田代智一

俺のこの曲がすごい!サミット

作家だってこのチャンスに自薦したい!自作の曲の中で特にお気に入りの1曲を選んで力説してもらいました。楽曲制作における裏話、細かすぎるお気に入りポイント、とにかくもっと注目されたい!等など・・・耳より話満載です。

「Thrill, Risk, Heartless」
アーティスト:LiSA

作詞:田淵智也
作曲:カヨコ
編曲:堀江晶太 (PENGUIN RESEARCH)
Drums:山内”masshoi”優
Guitar:山本陽介
Bass and other instruments:堀江晶太
Recording & Mixing Engineer:片岡恭久 (ikiki,inc)
アルバム『LiSA BEST -Way-』M-2収録
ゲーム『ソードアート・オンライン フェイタル・バレット』主題歌

草野華余子:(アニソンの)オケは2・4に重きを置いている洋楽チックなものが多いなか、日本語は一音に対して一音しか乗せられないことが多いので、オケに対して歌詞の速度が遅くなることが多くて。それに対して田淵さんが書く歌詞は、一音に対して5個ぐらいの言葉を詰め込んでるんですよ。

草野華余子:この曲はスピード感のないボーカリストが歌うと苦労すると思います。私としても、ギターを手にして30分ぐらいでワンコーラスを完成させた曲なので、個人的に自分のメロディーを100%打ち込めた楽曲です。

田淵智也:この曲はサビ頭に力強さがあって。華余子さんはどちらかと言うとAメロで勝負に行くタイプの作曲家だと思うんですけど、この曲に関してはサビ頭で勝ちにきてる作曲の仕方だと思う。

草野華余子:私はオンコードにしないんですよ。これは作曲する際のメソッドなんですけど、コードの構成音に含まれていない音をロングトーンで置くとちょっとした違和感が生まれるので、リスナーのみなさんの心に何かを残せるんです。なのでテンションコードをフレーズの最後に置くのはおすすめです。

田淵智也:作詞家というのは大きくふたつのタイプに分かれて、文章で書く人と、音で書く人がいるんですよ。畑亜貴さんはその両方ともができる天才の極致ですけど、(LiSAの「Thrill, Risk, Heartless」は)音に合わせる歌詞という書き方で僕が必要とされた何かがあるんじゃないかと思って書きました。

「JINGO JUNGLE」
アーティスト:MYTH & ROID

作詞・作編曲:MYTH & ROID
E.Guitar &programming:Tom-H@ck (TaWaRa)
mixed by 井野健太郎 (F.M.F)
TVアニメ『幼女戦記』OPテーマ

Tom-H@ck:(MYTH & ROIDの楽曲が世界で人気が高いことを受けて)海外では『Re:ゼロから始める異世界生活』のような雰囲気の作品の人気が高いので、楽曲の力だけではなくて作品も愛されているからこそ、聴かれているんだと思う。

Tom-H@ck:(日本の楽曲が世界でそこまでヒットしない理由は?)理由はいろいろあると思うけど、日本人は日本人の得意なもの、外国人は外国人の得意なものがあるので。それと人口が多い国はお金があるのでエンタメも強いんですよ。予算が多いと音楽クオリティーもあがるので。

「JUSTITIA」
アーティスト:Lia

作詞:稲葉エミ
作曲・編曲:eba
ストリングスアレンジ:秋月須清
Guiar&All programming:eba (F.M.F)
Drum:山内”masshoi”優
Bass:中平”チェリー”皓也
Strings:吉田宇宙ストリングス
Mixing Engineer:井野健太郎 (F.M.F)
TVアニメ『ウィザード・バリスターズ~弁魔士セシル』OPテーマ

eba:サビの途中で転調してサビ中でまた戻るところが気に入っています。実は狙ってやったわけではなく、たまたまこうなりました。僕は転調とかそんなによくわかってないんですけど、作ってたらたまたまこうなって(笑)。

「星屑のカーテン」
アーティスト:三森すずこ

作詞・作曲:渡辺翔
編曲:中山真斗
All Instruments & Programming:中山真斗
Recording & Mixing Engineer:松尾真弥 (Climbers)
ミニアルバム『holiday mode』M-5収録

渡辺 翔:「ユニバ―ページ」を超えたいなと思って書いた曲で。オーダー自体はシンプルで、作品のテーマは休日ということと、星空の写真を一枚渡されて、この写真のイメージで書いてくださいと言われたんです。その作り方が楽しくて。

やしきん:音楽的なことを言われるよりもイメージを伝えてくれたほうが曲を作りやすいことも多々ありますよね。

「All we need is Yang」
アーティスト:Allo&Gras(CV:木村昴、徳留慎乃佑)

作詞・作曲・編曲:やしきん
All instruments & programming:やしきん (F.M.F)
Mixing Engineer:上條直之 (F.M.F)
シングル「Dancing to Night ~君への最短ワープ航路~」M-2収録

やしきん:この曲の入ったシングルのA面にあたる曲はディスコナンバーでして、僕には「ディスコとは違う面白いダンスナンバーを書いてください」という発注をいただきました。そのときは「U.S.A.」が流行ってたんですけど、それを今やってもつまらないなと思ったので、BTSの「IDOL」をオマージュしたんです。

やしきん:K-POPは特徴として、洋楽っぽいダンスナンバーであるにもかかわらず、日本人がとっつきやすいようなキャッチーさやメロディックさを持っているからこそ日本でも受けていると思うんですよ。それはナチュラルにアニソンに落とし込めるなと思って、試してみたらハマりがよかった曲です。

司会の二人も隙をついて便乗自薦。隠れた名曲ここにもあります。

「ぎゅっとBABY☆愛なんだBABY」
アーティスト:蛍(CV:内田彩)、氷柱(CV:藤田咲)、星花(CV:三森すずこ)

作詞:畑亜貴
作曲:田代智一
編曲:高田暁
OVA「Baby Princess 3Dぱらだいす0」OPテーマ

田淵智也:この曲の信じられないところは、サビで半音下に転調するんですよ。

田代智一:これは結構ズルい転調を使っていて。ハーモニックマイナーというんですけど、フラメンコとかスパニッシュ音楽、ジプシー音楽的な展開をしていて。実は「ハレ晴レユカイ」のサビの締めにも似たようなテクニックを使っています。半音ズレで繰り返す展開ですね。僕はこのジプシー的な進行が好きなんですよ。

「むにゃむにゃゲッチュー恋吹雪!」
アーティスト:にゅーろん★くりぃむそふと[朝比奈桃子、江藤くるみ、風町陽歌、黒川凪子、蓬田菫(CV:小倉唯、洲崎綾、早見沙織、後藤沙緒里、五十嵐裕美)]

作詞・作曲:田淵智也
編曲:やしきん (F.M.F)
Guitar:新井弘毅
Bass:工藤嶺 (F.M.F)
Piano:岸田勇気 (F.M.F)
Drum:山内”masshoi”優
chorus:maimie
all other instruments and programming:やしきん (F.M.F)
Mixing Engineer:上條直之 (F.M.F)
ガールフレンド(仮)キャラクターソング

田淵智也:僕はQ-MHzを始めてからしばらく個人の仕事は受けないようにしてたんだけど、この曲のアレンジを担当しているやしきんから話をもらって、そろそろやってみようかなと思って受けた曲で。やるならとにかく速い!とにかくすごい!という曲を作ろうと思ったんです。僕は「こういうアニソンがほしかった!」という曲を書けたと思っていて。

田淵智也:この曲を書いたことによって、まだアニソンには出来ることがあるんじゃないか?と思って。DIALOGUE+のデビュー曲「はじめてのかくめい!」で渾身の一曲を書かしていただきましたけど、それが出来たのはこの曲のおかげだと思っています。

アニソンクライシス
大人気アニソン作家の皆様にも色々思うところはあるんです。

「アニソンシーンのここが危ない!」「こうすればもっと良くなるのに!」・・・安易な批判と思うなかれ、アニソンの未来のヒントが見つかるかもしれません。一般来場者レポート禁止の危険ゾーン突入です。

アニソンクライシスその1「アニソン作家、アイドルシーンへの流出!」
あのアニソン作家を最近アイドルシーンのクレジットで見る、なんてことが最近頻繁に起きつつあるんです。アイドル戦国時代といわれて久しいと思いきや、今もシーンは大いに賑わっております。そこには作家のモチベーションに関わる事情もあったり・・・?

渡辺 翔:アニメの場合は1曲に対してのオファーが多いんですけど、アイドルさんは長期的に曲を書く場合が多いので、「次は何を書こう?」とかを考えながら書けるし、先を見据えて作っていけるんです。

草野華余子:ライブを見て「この子たちには何が必要か?」ということプロデューサー目線で考えて曲を書いても、コンペで通してくれるんですよね。タイアップのあるなしに関わらず、そのアーティストにとって次に必要な曲を書けるのが面白いところだと思います。

草野華余子:アイドルはボーカルディレクションもやりがいがあるところで。私は今35歳なんですけど、アニメシーンで作家として切磋琢磨することで「若い時にこれを知ってたら売れたかも」と思う知識が付いたんです。そういう知識を、20代前半の今から可能性があるアーティストに、ディレクターのフィルターを通さず直接伝えたいんです。アイドルって寿命が短いから、すぐに成功してほしいので。そういう意味で本人たちにダイレクトに言葉を伝えられるのは魅力だと思います。

草野華余子:アニソンの場合はタイアップがあるので、作品を大事にしなくてはいけないんですよ。歌い手の方が1オクターブしか歌えなかったら、その範囲で曲を書かなくてはいけない。でもボイトレができたり、翔くんが手がけてるCYNHNみたいにディレクションができると、可能性をちょっと広げてあげられるんです。

田淵智也:歌詞の書き方でトップキーを更新することができるんですよ。あと、ボーカルディレクションをさせてもらえたら歌えるようにできるから、任せてほしい!
草野華余子:ホントにそう! だって俺たちは声の出し方を知ってるから(笑)。

草野華余子:アイドルは「こういう理由があってアイドルになった」という話を直接聞けるんですよね。「私にはこのプロジェクトしかないんです」と言われたら、この子の一生を変える曲を書いてやろうってなるんですよね。

やしきん:アニソンにはサブカルだから出来る自由度というのがあって、昔は「この界隈はこんなに面白い音楽が作れるんだ」というワクワク感があったと思うんですけど、今はこなれてきたことでアニソンのアプローチが普通になってきたと思うんです。

やしきん:VTuberの界隈には今その雰囲気があって、トラックメイカーの人を中心に「面白いからここで音楽を作りたい!」という気持ちで参加している現状があると思うんです。初音ミクのブームみたいに音楽に特化したものではないんですけど、文化として「新しくて面白いからここで遊びたいな」と思ってる人が集まっている時点で、面白いものが生まれやすい状況ができてるんだと思います。

やしきん:アニソンは歴史ができてしまったせいで、もはや新しいものではない。自分の下の世代で今までアニメを観ていたような人たちも、VTuberの動画を観ている人の割合が増えてきています。

草野華余子:富士葵ちゃんの楽曲プロデュースをしたんですけど、「この人に曲を作ってほしい!」という熱意がすごくあるんですね。私のところにも会社を通さず直接連絡をくださって。本人のボイトレとディレクションもさせていただいて。めちゃくちゃ楽しい現場だったし、フィルターがないので正しい音楽が出来るんです。

草野華余子:アイドル現場は全部書き下ろしですね。予算はなくても熱意はあります。

やしきん:新しい文化のことを面白いと思って集まってくる人たちはそもそも面白いんですよね。だから面白いものができるし、聴いてる人も面白いと思ってたくさん人が集まって、そこでお金が生まれるからビジネスとして成り立つようになって。でもアニメも元々はそうだったはずなんです。流行りは巡るものですし、アニソンは一度ブームを過ぎて普遍的なものになりましたが、フォーマットが出来てしまった今だからこそ、もう一声面白みのあることができるよう努めるべきだと思います。

田淵智也:アニソンで次に権力を持つべきは作家かもしれない思うんです。作家が暴力を振るった方がいいんじゃないかという時代にきてる。アニソンの現場には音楽のことをちゃんとわかってるディレクターが思ったほど多くないような気がするんです。人気のある程度ある声優さんはデビューさせればとりあえず枚数もグッズもそこそこ売れる。そっちを目的にしようとするから音楽が度外視になってるところもあるんじゃないかなという危機感があります。

草野華余子:田代智一さんたちが礎を築く前は、お金がなくても何とかしようという気合いでやってて、それは今私や翔くんややしきんさんがアイドルやVTuberに対して思ってることと近いと思うんですね。「このアニメをこの曲で売ってやろう!」と思って作ってるかどうかはものすごく大事。だからここに来た150人の人には、作品や予算がどうであれ、曲が良かったらインフルエンサーになってほしい。

アニソンクライシスその2「ボーカル大きすぎ問題」

ボーカルソングなんだから歌は大きい方がいいだろ!そう思っている人も多いのではないでしょうか。しかしその反動で失われるものがあるということ、実はあまり知られていないかもしれません。音楽を愛する作家ならではの鋭い目線、是非参考にしてみてください。

eba:歌がしっかり聴こえるというのは本来悪いミックスではないのですが、歌でもっていくタイプの歌い手さんではないのに、無理やり歌を聴かせようとした場合、単純にオケと乖離してしまうことが多いんです。

eba:「オケの音を詰め込んで豪華にしてください」というオーダーに加えて「歌の音量もがっつり上げてほしい」という現場があったりして。音数を多くしてたくさん音を詰め込むのと歌を大きくするというのは矛盾があって。だから「もっとよくできたのになあ」という感覚が多くて。ミックスというのは音数が増えれば増えるほど難しくて、ボーカルがなかなか前に出てこなくなるんです。

Tom-H@ck:音数の多い楽曲には2種類あって、やみくもに多い曲と、ボーカルと絡み合って多い曲があるんです。アレンジャーがボーカルと音が絡み合うよう緻密に作った場合、ディレクターさんが「声をもう少し上げてください」と言った瞬間に、僕たちが何十時間もかけて作ったトラックが台無しになることがあるんです。

eba:ボーカルを前に出したい場合は音数を間引きますし、その場合は必然性のあるアレンジにできますから。

eba:テーマからは逸脱しますが、リード曲のつもりで書いた曲が「コンペで負けましたけどカップリングで使わせてもらいます。」みたいなことも多いですよね。

田淵智也:カップリングというのは重要でリード曲を引き立てる要素がなくちゃいけないと思いますね

Tom-H@ck:作家としては「新しくカップリング用の曲を書いてくださいますか?」と言ってくれる方がうれしいんですよ。

Tom-H@ck:業界的にディレクターさんやプロデューサーが育ってないところはある気がします。それはメーカーも事務所も。昔と違ってスタジオ現場での仕事も少なくなってるし、ヒット作品というものが生まれにくくなっているという事も大きく関係しています。予算が限られているなかで良い音楽を作るのは難しいし、良い音楽を作ってヒットしないと人も育たないので。

eba:アニソンってオケが凝ってて聴くたびに発見がある曲が多いですよね。でも「歌だけ聴いてくださいね」みたいなミックスになっている曲も多くて。歌が適性の音量になることで楽しみ方の幅が広がると思います。よりアニソンを楽しめるようになるんじゃないかなと思っています。

質疑応答&締めの挨拶

イベントでは来場者からの質問を受け付けました。そのハイライトシーンと締めの挨拶を最後にお送りいたします。

Q. アニソンは、キーが高い曲が多い印象なのですが、高い音をどこまで地声で歌うかは曲を作る際に決めるのでしょうか?それともレコーディングしながら決めるのでしょうか?

草野華余子:いい曲ができたときに、どうしても(歌い手の)トップノートの制限範囲を超えた一音を出したいことがあるんです。そういうときは「私が歌えるので」と言ってお願いします(笑)。

草野華余子:ファルセットで歌うか、地声で歌うかは、(メロディーに)乗った歌詞によります。LiSAの「ADAMAS」の〈輝け〉のところは「絶対に地声がいいから」ということで、本人と相談して決めました。

Q.やしきんさんはキャラクターの切り取り方や表現がピカイチだと思っているのですが、キャラソンを作る上でキャラクターらしさの引き出し方のコツやヒントがあれば教えてください。という質問から⇒歌詞を書く際にはどこから着想を得ますか?

やしきん:作詞にはいちばん頭を使っていなくて、これは語弊なく受け取ってほしいんですけど、100%才能で書いてます(笑)。なのであまり理屈はないです。

やしきん:歌詞を書く際にはもちろん資料を読み込みますけど、ぶっちゃけこちら側が投げた球が多少外れていてもクライアントさんが「ここは作品とズレてるので」という感じに整えてくれるんですよ。だから僕は安心して暴投しまくって、そのなかで良かったものを拾っていただくやり方が作品的にも面白くなると思います。

やしきん:僕は締め切りよりも早く提出することがほとんどなので、ダメならダメで直す時間があります。なのでダメ元でもいいから思いついたなかでいちばん面白いものを一度投げてみています。

Q.Re:ステージ!のキャラソンアルバムについて制作エピソードをお聞かせ下さい。

渡辺 翔:「ロケット」は(伊藤)翼くんのストリングスアレンジがすごく好きだったので、それを活かしたいなと思いつつ、キャラクターとしての中身を表現しようと思ってガチで書きました。

Q. 今回のアニソン派に向けて、改めて各クリエーターさんの楽曲に触れておこうと思ったのですが、サブスクなどには歌っている人の名前しか出ないので、ウィキペディアでタイトルを探し、サブスクでまたそれと照らし合わせて探して、プレイリストを自分で作るという作業になりました。また、キャラソンなどはほとんどありませんでした・・・
もちろん、表に出る人は大切ですが、クリエーターがクリエーターとして認められたらいいのに思う自分としては、今の現状についてクリエーター自身の皆様はどう思うのかなと思いました。

田代智一:Netflixとかでは俳優や監督の名前で配信作品をソートできるんですけど、音楽系のサブスクにはそのシステムがないんですよ。例えば楽曲のプロデューサー名をタップしたら、その人の関わった作品の一覧が出るようなサービスがあればと思っていて。

Tom-H@ck:クリエイターやエンジニアの情報は今CDを買わないとわからない。

やしきん:今はサブスクにない時点で、ほぼこの世に存在しないようなものなんですよ。だからそこには時代を見てほしいなと思っていて。

田淵智也:レーベル側にも事情があるのはわかるけど、(サブスクで配信されていないと)聴かれないというのはあると思っていて。アニソンを片っ端から聴くというのはある程度の資金力がないと出来ないことだから、いくらいい曲があるっておすすめしても、その音源がCDでしかないとなかなか聴かないと思うんですよね。

Tom-H@ck:アジア諸国では僕たちのもとにお金が入るインフラがまだ整っていないので、2年ぐらい前からメーカーさんを含めて動いている。

Tom-H@ck:アニメというのは他のJ-POPよりも長くお金が入ることが実際にあるんですよ。ぶっちゃけるとヒット曲が1曲あるだけでずっと暮らせる。

Q. 今日出演されていない同年代くらいの方で、この人の曲に衝撃を受けた、または注目している人など教えてください

草野華余子:i☆Risの「FANTASTIC ILLUSION」を書いてるMotokiyoさんは作詞・作曲・編曲を全部やられてて、結構天才系ですよね。

締めの挨拶

やしきん:クリエイターがしゃべることのできる場というのはそんなに多くなくて。特に自分は純然たる作家なのでなかなかそういう機会がないなかで、こういう機会を設けていただけて楽しかったです。これはキュレーションの場でもあるので、これを機に音楽のことを考えたりして、より深く聴いてもらえたらいいなと思います。帰ってからも今日のことを思い出して、いろんな音楽を聴いてください。

渡辺 翔:普段はツイッターでつぶやくぐらいでしか言葉を発信してなかったので、こうして皆さんとお会いしながらしゃべれてすごく楽しかったです。いろんな角度から楽曲を聴いて「そういう聴き方もあるんだ、いいな」と思ってくれたらうれしいです。

草野華余子:私は30歳を過ぎて初めて楽曲提供をしました。アニメを好きという気持ちで楽曲を書けることをこの業界で体感して、熱意さえあれば後からでも勉強できるという気持ちで、今も毎日アニメソングを作らせてもらってます。今アニソン作家を目指してる方も、自分さえ頑張ればきっと届く世界だと思うので、熱意のある方はぜひ挑戦していただければと思います。

eba:『キャロル&チューズデイ』が果たしてアニソンなのかどうか?ということを、やしきんと議論し合ったことがあったので、次回はこの場でできればと思います。

Tom-H@ck:音楽は誰がプロデューサーで誰がエンジニアで誰が作曲家なのかということがあまり書かれていない。それは何を意味しているかと言うと、音楽が軽視されているんです。業界では映像がすごく重要だと思われていて、音楽はおまけだと思われている。これはダメ。クリエイターたちは音楽を死に物狂いで作ってるわけだし、僕たちが声を上げられる場というのはこういうところしかない。みなさんはその声を聞くことができて、そこから皆さんが声を上げることで、どんどん世界は変わっていく。今回のイベントはその始まりだと僕は思ってるから、その場に居合わせたことがすごく光栄です。

田代智一:音楽との出会い方にはいろんなパターンがあると思うんですけど、今回チケットを買っていただいた皆さんは、スマホゲームで言うと課金ユーザーなんですね。その人たちがその文化を作って走っている最前線のエリート部隊なわけですから、この方々がキュレーターにならずして誰がなるんだという。自分がいいと思うものを人に伝えることを怠ってはいけない、というのがこのイベントの趣旨でもあると思うので、勇気を持っていいものをいいと言う活動を繰り広げて、そこにクソリプはつくと思うんですけど、それは無視して(笑)。

田代智一:これからはコミュニティがどんどん分化して住み分ける時代になっていくと思うので、愛のあるユーザーが繋がっていくことが大事だと思っていて。そのエリート部隊である150人の方々が、これからアニソンを一緒に盛り上げてくれたら嬉しいなと思います。SNSの発信もお願いします。

田淵智也:なぜこのイベントを企画したかというと、誰もアニソンを薦めていないことが本当に嫌だったんですね。J-POPやアイドルソングより、こんなに面白い音楽があるんだ!と思って支えられてきた僕が「誰もおすすめしてくれないじゃん、どうすんだよ!」と思ったときに、僕が仲良くさせてもらってる作家の方に「この曲が好きって大きい声で言いたいですよね?」って声をかけたところからこのイベントは始まりました。こうしないとアニソンは死ぬと僕は思っています。J-POPにも星野源と米津玄師が出てきたことで更に面白くなった。こんなに曲が多いのに、全部が全部面白いわけではないアニソン市場に誰がくるんだと思ってて。でも僕はアニソンが好きなので、どうやったらいろんな人が喧伝してくれるかなと思ってこのイベントを企画しました。

田淵智也:今日で終わりではなく、ここからが始まりだと思ってるので、みなさんアニソン派のエリートとして、みんなが好きなものを大きな声で好きと言っていただけたらと思います。

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