TVアニメ『真・中華一番!』オープニング主題歌「光福論」リリース記念 クアイフインタビュー

TVアニメ『真・中華一番!』オープニング主題歌「光福論」を10月23日に発売するクアイフ。3人がどんな想いを持ってこの歌を作り上げたのか、その背景を、森彩乃(Vo./Key.) 内田旭彦(Ba.) 三輪幸宏(Dr.)の3人の言葉を通してじっくりお伝えします。

「自分だったら、その手段が音楽だな」というところに自分たちと主人公のマオの共通点を感じました。

――最新シングルの「光福論」は、アニメ『真・中華一番!』の世界観をとても意識して作っていますよね。

森 彩乃 そうですね。まずは原作の『中華一番!』から『真・中華一番!』までを読破。そのうえで、原作を読んで感じたことを書きました。

――具体的に、制作のポイントに据えたところも教えてください。

 主人公のマオは料理で人を幸せにしていきますよね。でも、「自分たちだったら、その手段が音楽だな」というところに自分たちと主人公のマオとの共通点を感じ、そこから書き出しました。

――全巻読み切るのは大変だったんじゃないですか?

 わりと巻数がありましたからね(笑)。でも、展開が早くて面白かったので、バーッと読み切れました。何より、その手段が料理だろうが、音楽だろうが、自分が取り組んでいくことへ本気で向きあうほど、その事柄に惹かれる人が現れて、自分のことを支えてくれる人たちが生まれていく。つまり、「人はひとりじゃ生きていけないな」と感じたことから、そういう想いも含めて楽曲へ落とし込みました。

――メンバー皆さん、原作漫画は読破したのでしょうか?

内田旭彦 読み切りました。

三輪幸宏 楽しみながら読めましたね。

内田 音楽に落とし込んでいくうえで、アニメに出てくる主人公の気持ちやストーリーの展開なども僕たち自身が理解しないことには、感情のこもった楽曲は作れないと思うんです。歌詞はもちろん、音の部分でも物語へ気持ちを入れ込むのはすごく大事だと思うので、まずは原作を読んだうえで楽曲を制作していきました。

 「光福論」の原曲はわたしが作りましたけど。楽曲をアレンジしていくうえで、メンバーがわたしの想いを理解して、ふたりとも納得したうえでないと作品にするのは嫌なので、そこの意識もしっかりと持って完成させています。

――改めて、「光福論」へ込めた森さんの想いを聞かせてください。

 原作を読みながら感じていたのが、自分が元々音楽を始めた理由やバンド活動を続けていく中で感じていることと主人公のマオの生き方にすごく共通項があって、マオの生き方に強く共感を覚えたこと。そこが、大きなきっかけになっています。何かを始めるときには、必ずきっかけがあると思うんです。もちろん、料理も音楽も「好きだから始める」のが最初のきっかけだと思うんですよ。マオが、自分が納得のいく料理を求めて必死に作るように、わたしは楽曲を作っては、ライブで歌ってきたわけです。その経験を重ねていくうちに、わたしの場合は、最初は身近な人たちがわたしの作った音楽を聴いて喜んでくれていて。そこからどんどん広がり、クアイフの存在や楽曲を知ってくれた人たちが喜んでくれたり、感動して泣いてくれるようになった。マオは料理に、わたしは音楽に夢中になっていったことが、次第に人の心を動かしていって。そこにマオと自分の共通項を見つけて、迷わずに言葉やメロディが出てきました。

――個人的な感想ですけど、マオがその光であり、その光にメイリィやシロウなどが惹かれていく姿を「光福論」では歌っているのかなと最初は受け止めてしまったんですよね。

 わたしが書いたのはマオ目線ですけど、おっしゃられたことも捉え方の違いというだけというか。私たちは、クアイフの発信する音楽を聴いてくれる人たちが喜んでくれることがうれしいんです。お客さんたちにとって、私たちの音楽が光になっていればうれしいことだし、私たちもそうであってほしいと思っています。つまり、「光となる存在が誰なのか」という誰目線かの受け止め方が違うだけで、感じている想いはみんな同じなんですよね。むしろ、聴いた人それぞれに異なる角度で受け止めてもらえるのも、音楽の楽しさですからね。

――内田さんや三輪さんは「光福論」をどう受け止めていますか?

内田 歌いだしから演奏に入るんですけど、そこの旋律が中華っぽかったので、そこに合わせて音色も選びました。しかもその音色の背景にはうっすらと大太鼓の音や足音を入れ、中国の大陸感というかスケール感も表現しているんです。

三輪 歌詞も曲調も真に迫るというか、上っ面じゃないメッセージ性がガシッと響くなぁと感じました。とくに、迫ってくる感が僕はすごく好きなんです。あえて中華で例えるなら、激辛ラーメン。僕は辛いのが苦手ですけど、それでも刺激的な味覚は伝わってきました(笑) 。

 わたしが激辛好きなんですよ。辛いものを食べるときって戦う感じがあるじゃないですか(笑)。「辛い!!」と言うのをわかっているのに挑んじゃうみたいな感じも、歌詞に入れてます(笑) 。

――皆さんの地元、名古屋の食べ物に例えるなら味仙の台湾ラーメンへ挑む感覚でしょうか。

 そうですね(笑) 。名古屋と言えば「名古屋めし」とも言われるように美味しい食べ物がたくさんあるんです。うちのバンドは打ち上げでよく中華を食べに行くんですけど、わたし自身が中華料理に触れる機会が多いから、『真・中華一番!』のお話が来たときには「きたっ!!」と内心喜んでいました(笑) 。

――「光福論」は頭から歌で始まるように、最初から胸をグッとつかまれます。それも意識していたことなのでしょうか?

 アニメのオープニングで流れる時間が決まっているので、まずはそこで完結させたい気持ちはありました。加えて、イントロ部分でインパクトを与えたい。それこそ「ワクワクするような音がいいなぁ」と思ったので、中国っぽい音階を使いました。

内田 さらに、画を乗せやすくするためにはどうすれば良いかも考え、楽曲にもいろんな起伏を描き出しています。アニメで使われるのは89秒なんですけど、その制約が面白くて。曲によっては短すぎる印象も受ければ、長すぎる印象にもなる。「光福論」に関しては長すぎると感じることなく、でも短かすぎてもいない、本当に良いバランスで89秒にドラマを詰め込めたなと思っています。

――オープニングの映像がついて、楽曲の印象も変わりました?

三輪 変わりましたね。印象もさらに明るくなるというか、視覚的なインパクトも強いなと思って。個人的には『北斗の拳』のオープニングのイメージと重なる印象を受けました。

――『北斗の拳』ですか!

三輪 料理アニメとバトルアニメを重ね合わせた感じの印象をオープニングの映像に受けて。本編もそんな印象を持って、すごく楽しんで観ています。

――おふたりは、オープニング映像の印象はいかがでしたか?

 わたしの場合、曲を作っているときから勝手に「イントロはこういう映像で、こう来て」と頭の中に映像が流れていたんですね。歌始まりの「その笑顔が その涙が」の場面では、マオの仲間たちが笑顔で出てくるイメージで曲を作っていたら、まさにその通りの映像が出てきてたのもうれしかったです。Bメロでの、炎がブワーッと上がる映像も、最初から似たようなイメージが頭の中へ浮かんでいたので、完成したオープニングの映像を見たときには「想い描いてた映像が形になって流れてる!」という印象でした。しかもマオは、ときには料理勝負を通して命を賭け戦っていくじゃないですか。だから(三輪)幸宏の言った『北斗の拳』の印象もわかるなとも思いました。

内田 オープニング映像を観て、そこから物語が始まっていく。それを観るたびに、自分たちの曲だけど自分たちの曲じゃない不思議な感覚というか、普通にアニメの視聴者として観てしまうんです。むしろ、その感覚になって楽しめることが僕はうれしかったですね。

――「光福論」というタイトルにも惹かれました。

 光って、その反対に存在する闇があるから際立つわけじゃないですか。何かを突き詰めながら進んでいこうとすると、絶対に光だけじゃ足りないのはわかっていて。『真・中華一番!』にしても、壮絶な戦いもあれば、苦しい想いもしていくけど、私たちも音楽を続けていく中で、苦しいことはあって。そんなときに「光というのは何なのかな」と考えたら、お客さんが涙を流して聴いてくれる姿や、「この歌に救われました」と言ってくれる言葉だったりするんです。自分たちが挫けそうな気持ちにも、応援してくれる人たちの存在が一筋の光を与えてくれれば、わたし自身も立ち上がれる力になっていく。「光福論」というタイトルにしても、光が存在することで幸せへ向かって進んでいけるなという想いから、「光」という言葉を使いたかったんですよね。

内田 自分と照らし合わせ、自分の気持ちと重ねてという観点で言うと、『真・中華一番!』という作品が自分たちの内面を引き出してくれた面も強かったなと感じています。無意識の中で思っていた感情を「光福論」を通して引っ張りだせてもらった。そのきっかけを『真・中華一番!』にもらえたなと。

――原作を読破した視点から、『真・中華一番!』の魅力も語っていただけますか?

 ひとつは、料理を食べたときのリアクション。そこの描写は凄いじゃないですか。そこが単純に面白いというか、観ている自分のテンションも上がりますし、そこは毎回観ていてワクワクしちゃいますね。

内田 それ、わかる!

 料理を口に放り込んだ瞬間どんなリアクションを起こすんだというところは、観ていて大きなワクワクポイントになっています。あとは、毎回の話の中に涙も喜びもと、料理を通してこんなにいろんな感情や人生を描けるんだというところが魅力だと思います。

――続いて、カップリングに収録した「アイノウ」には、皆さんの地元である愛知県への愛をすごく感じました。これは、今でも愛知県に住んでいるからこそ書けた歌なのでしょうか。

 じつはこの曲を書いてみて、地元の良さを実感したというか。ここが人間の駄目なところですけど、当たり前に住んでいると地元のありがたみを忘れてしまうことも多いんですね。何かが起きて初めて地元のありがたみがわかるなと毎回思うんです。だからといって「アイノウ」を書いたときに何かがあったわけではないですが、書き終えたときに、改めて「この土地で、ここに住む人たちのおかげでわたしは生きているんだな」と地元愛を実感していました。

――この手の楽曲の場合、故郷を離れた人たちが歌うことが多いと思うんですけど。地元在住で歌にすることが斬新だなとも感じました。

 たしかに。普通は、ふるさとを離れた人たちが故郷を想って書くパターンが多いですね。

内田 愛知県にずっと住んでいて感じているのが、東京へ来る機会も多ければ大阪にも足を運んでいる。そういう観点からも、愛知県って良い意味で移動しやすい都合のいい街という印象なんです。たぶん50歳や60、70歳くらいになったときもずっと住んでいたら、心も真っ直ぐに「愛知最高だ」と言えると思うけど、今の僕らの年齢や環境だと、都合の良い街だからこそ、そこに対して自分たちが甘えているんじゃないかという気持ちもあって、手放しで「愛知大好き」とはまだ言えない。いや、愛知県は大好きなんだけど(笑) 、そう手放しで言える感情だけではないからこそ、この質感の歌が生まれたのかなと感じています。あくまでも愛知県に住みながら書いているからこそ、いろんな感情の入り混じった歌になったんだと思います。正直、手放しで「愛してる」という曲ではない。もちろん「好きじゃねぇぜ」という歌ではなく、「好きだけど……」という気持ちを詰め込んだのが「アイノウ」なんです。

三輪 音楽をやっている人の場合、早い時期から上京していく人たちが多いなかで、僕らは愛知県に住むことを選んでいる。だからこそ、いろいろ思うこともあって。まさに、3人とも愛知県に住んでいるからこそ描写出来た楽曲だとも思います。

内田 最後の「ラララ」の部分は愛知でお世話になっている人たちを40人くらい呼んで、一緒に歌ってもらいました。そういう意味でも、いろんな人たちの気持ちが乗っかった歌になりました。

 愛知って「愛を知る」って書くから、タイトルも「アイノウ(愛+知る”know”)」なんですけど、たまたま愛知だったからこのタイトルになっただけのこと。歌詞には地元の地名もいろいろ入れてますけど、けして愛知の人だけに響く歌ではなくて、それぞれに「待ち合わせは駅前のここでしたなぁ」など、自分の思い出と重ね合わせながら聴いてほしいなと思っています。自分の地元で愛を知って、愛を感じて、その反面痛みも知った。それでも地元を愛してるという気持ちを、ぜひ「アイノウ」を通して感じてください。

――せっかくですので、愛知県のお勧めの料理も教えてください。

内田 先ほど出た、味仙の台湾ラーメンも美味しいんですけど、僕は、味仙ならあさりラーメンをお勧めします。あさりのスープの中にラーメンが入ってるんですけど、それがあさりの海の香りもしつつ、とんでもない香辛料が……味仙的な独特の香りが入り交じってエクストリーム感が出ていて、すごく美味しいです。

三輪 僕は、「うな豊」のひつまぶしです。県外や海外から友達が来たら必ず連れていくお店なんですけど、お店自体はこじんまりしていますが、鰻もふわっふわっで美味いし、タレも最高だしと、僕にとっては仲間を連れていく大好きなお店です。ぜひ、名古屋に来たときは「うな豊」のひつまぶしを食べてください。

 わたしたちも打ち上げで使うし、音楽活動をしている人たちがよく打ち上げでも使っているんですけど、今池にある中国料理の「ピカイチ」というお店。ここは何を食べても美味しいんです。でも、わたしはそのお店のラーメンをお勧めしたい(笑) 。「ピカイチラーメン」というのがお店の看板商品なんですけど、辛さも選べるので、辛いの大好きな人なら一番辛い10辛を食べてほしいです。ても、無理しないで自分のレベルにあわせて選んでほしいなと思います。とにかく辛さの中に旨味があるんですよね。

内田 旨味と辛さの限界点はあるよね。辛さのレベルを超えすぎちゃうと辛さしかない(笑) 。

 お店で出しているのは10辛がMAXなんですけど、じつは頼めば際限なく辛くしてもらえるシステムで、20辛いっちゃうと危険です。ちなみにわたしが「光福論」の歌詞に書いた “漆黒の嵐の襲われても 平気さ 何度だって飛び越えて 突き抜ける限界地点” の歌詞は、激辛を食べたときの戦いを書いています(笑) 。激辛って絶対に舌が痛いし、好きでもお腹が痛くなったり、次の日にお腹を壊したり苦痛を伴うのをわかっている。なのに食べちゃうし、食べ終えると幸せだし。その紙一重な思いも含め、どうしてもわたしなりの中華料理との戦いを記したいと思って書きました。つまり、音楽を通しての幸福論に加え、個人的に「中華料理が大好きだ」という気持ちもダブルで「光福論」には詰め込んでいます(笑) 。

Interview & Text By 長澤智典


●リリース情報
クアイフ 3rdシングル
「光福論」
10月23日発売

【通常盤(CD)】

品番:ESCL-5298
価格:¥1,091+税

<CD>
1. 光福論 (TVアニメ『真・中華一番!』オープニング主題歌)
2. アイノウ
3. 光福論 (Instrumental)
4. アイノウ (Instrumental)

【期間生産限定盤(CD)】

品番:ESCL-5299
価格:¥1,364+税
※『真・中華一番!』描き下ろしアニメ絵柄デジパック・ピクチャーレーベル仕様

<CD>
1. 光福論
2. アイノウ
3. 光福論 (TV Size Version)
4. 光福論 (Instrumental)
5. アイノウ (Instrumental)

CD・ダウンロード・ストリーミング詳細はこちら

●作品情報
TVアニメ『真・中華一番!』
MBS・TBS”アニメイズム”枠にて、毎週金曜深夜2:25~
BS-TBS”アニメイズム”枠にて、毎週土曜深夜1:30~
※放送日時は変更の可能性がございます。

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