KOTOKO 15th Anniversary SPECIAL SITE~FIFTEEN TALES~ #10

KOTOKO メジャーデビュー15周年記念 アルバム 第2弾『tears cyclone –醒-』インタビュー【後編】

ついにリリースされたKOTOKOのニュー・アルバム『tears cyclone -醒-』は、前作『tears cyclone -廻-』に続く二部作の完結編にして、戦友・中沢伴行と初めて全曲を作り上げたアルバムとなった。前回のインタビューではその作品の成り立ちから、中沢との制作過程をメインに話を聞いたが、今回はいよいよその中枢である楽曲たちにフォーカスを当てた。KOTOKO×中沢という、フレッシュでもあり懐かしい楽曲たちはどのようにして生まれたのか。そして”涙”をテーマにした『tears cyclone』二部作でKOTOKOが伝えたかったテーマとは――?

――今回はついにリリースとなりましたニュー・アルバム『tears cyclone-醒』の各曲についてじっくりお話をお伺いします。まずはアルバム冒頭を飾る「醒 -metallic tears-」。非常にアグレッシブな一曲になりました。

KOTOKO これね、すごく迷ったんですよ。中沢(伴行)さんとやるにあたって、彼の良いところってやっぱり優しい、キュンとくる曲のイメージが強いじゃないですか。だから、アルバムの頭はそっちを打ち出そうかなっていう考えもあったんですよ。

――たしかにそうですね。

KOTOKO そうなんですけど、ただこれまで私とはやれてない、いわゆる中沢さんが(川田)まみちゃんとやってたときの攻撃的な面っていうことも今回やりたいことのひとつだったので。じゃあ『tears cyclone -醒-』、覚醒というテーマなので、新しいチャレンジの曲ところをリード・トラックにしたほうがいいのかな? っていうところに最終的に落ち着きました。

――いわゆるKOTOKOさんのアグレッシブな部分と、中沢さんが川田さんとやってきたサウンドというふたりのらしさがありつつ、それが合わさるとフレッシュに聴こえるんですよね。

KOTOKO そこはもう本当に。このアルバムは全曲挑戦しているんですけど、挑戦であり攻撃であり、ここから本当に発進するんだよっていう感じの楽曲が多いかな。そのなかでもアルバムの表紙になりそうな一曲っていう意味で、「醒 -metallic tears-」を書いていただきました。中沢さんのなかにも多分その立ち位置というか、この曲のもつ重みのようなものをすごく感じていたと思うんですよ。この曲を作るにあたって悩んだ時間は長かったんじゃないかなと思います。特にメロディが出てくるまで。

――それぐらいこの曲に賭けているものが大きかったわけですね。

KOTOKO そうですねやっぱ、ここを決めないとっていう想いがすごく強かったんだと思うんですよね。

――それぐらい遠慮がない曲じゃないとアルバムの、ふたりのタッグの幕開けにはふさわしくないというか。

KOTOKO そうですね。ただ最初からこれを1曲目にするって決まってなかったんですよね、実は言うと。前作のタイトル・トラック「廻-Ro-tation」をアルバム最後に置いたのもあって、今回も11曲目っていう案があったんです。例えばそのあとの「水無月の恋 ~mimetic memory~」を1曲目に配置したバージョンも考えたんですね。このCDジャケットを見ていただくと、水というイメージだとわかるじゃないですか。そこから「水無月の恋 ~mimetic memory~」で始まったら、「ああ、なるほどね」っていうアルバムになりますよね。ただ、このジャケット見ていきなり「醒 -metallic tears-」が流れてきたら、「おっ!」ってなるかなと。ギャップに驚き眼が覚める、「これが二部作の第2章の幕開けですよ!」っていうのがいいかなと思いました。『tears cyclone -廻-』は最後にタイトル・トラックを持ってきて、また巡るよっていう演出をしていたので、逆に第2章はバーンって派手に幕開けしたほうがいいいかなと思って。

――そこから2曲目の「水無月の恋 ~mimetic memory~」で、アルバムの本筋を描くようになっていますよね。中沢さんとやることで真っ先にイメージされるような、非常にメロディアスな一曲で。

KOTOKO そうですね。ストライクですよね。もう1、22、3曲目は「これぞ中沢とKOTOKOでしょ」っていう曲なんですよ。今回はやりたかったことはもう出し惜しみしないことにしようと思って。いい曲からもう全部どんどん聴かせていきますよみたいなぐらいの気持ちで並べてますね。

――こういうグッド・メロディを聴くと、歌詞やボーカルのイマジネーションは膨らむものですか?

KOTOKO うん。すごくいいメロディだと、聴いた瞬間から絵が浮かぶんです。バーッて。今回は先に私が中沢さんが曲を書きやすいように、詳細なイメージを書いて渡してたんですけど、それがなくても絵が見えるぐらいなんですよ。やっぱりいいのが来るとバーッてもう景色が見えてくる。絶対これいい曲になる!って、もう曲に気持ちが乗っかるんですよ、聴いた瞬間に。

――続きましては「Thank you Birthday!!」。このあたりも中沢さんとのタッグでは待っていました感のあるロッキン・な一曲ですね。

KOTOKO 待ってました感、ですよね(笑)。もうKOTOKOと中沢の代表格でもある「覚えてていいよ」を彷彿とさせるような楽曲を、1曲は入れないとっていう想いがあったので。ここでも思った通りの楽曲がまた来て、これも聴いた瞬間、「うん! よしきた!」みたいな感じだったんですよ。

――それだけに、3曲目ですでにクライマックス感はありましたね。

KOTOKO そうなんですよ。これを最後にもってくる案も実はあったんです。そうなんだけど、惜しまず先に出しちゃうよっていうのが今回なんです。先にいいもの全部聴かせちゃう。でも後に持ってきたものがそれに劣るかっていったら、そうじゃない楽曲が後にもちゃんとあるからできたたっていう面もありますね。

――続いては「scale ~変ホ短調のラブレター~」です。

KOTOKO アレンジとか含め、私的にはいちばん好きです。たしか4枚目(「イプシロンの方舟」)に入っていた「雨とギター」っていう楽曲があるんですけど、それっぽい曲が欲しくてお願いした曲なんですけどね。あの曲のギターのフレーズがすごくいいんですよ。中沢さんもアルバムを作る最初の段階から、「こういう感じの楽曲やってみたいんだよね」って言っていて。ちょっとローテンポなんだけど、ギターのグッとくるフレーズから入っている曲なんですよね。

――お互いがアルバムに求めるアプローチがの楽曲が「雨とギター」にあったんですね。

KOTOKO そうですね。あと私、今回もたくさんギター弾いてくれている尾崎(武士)くんのギターが本当に大好きで、特に「scale ~変ホ短調のラブレター~」に関しては、ギターのリフからすごく好きで。イントロ聴いた瞬間「もう泣きます!」みたいな。

――次は先行してライブで披露された「不機嫌な人魚」です。こうしたデジタル・サウンドはふたりのルーツをなぞるようで感慨深いものがありますね。

KOTOKO そうですね。私たちがかつて所属していたI’veって、打ち込み系とかトランス系って言われてるような系統の楽曲から入ってきたファンの方が多いと思うんですよ。そのピンポイントにある打ち込み系の音楽というところで、「不機嫌な人魚」と「明日への涙 -timeless tear mix-」があると思うんですよね。なので、そこもやっぱり外せないと思いまして。

――おふたりが組むことでフレッシュな感覚もありつつ、やはり若干の懐かしさもあるようで、やはりそこはこの15年という歴史を感じさせます。

KOTOKO そうですね。これまでずっと一緒にやってきた活動の歴史を一枚に収めることなんてなかったから、この際だから全部収めちゃいましょうみたいなところはありますよね。

――そしてそのあとには「明日への涙 – timeless tear mix -」ですが、2004年にKOTOKOさんが川田さんに歌詞を提供した楽曲ですよね。

KOTOKO 16、7年の時を経て、セルフ・カバーをさせていただきました。

――昔の曲なんですが、タイトルからして奇しくも本作のコンセプトにピタっとハマった楽曲になりましたね。

KOTOKO 前作もカバーを入れたので今作も入れようって思ったんですけど、中沢さんとの曲で知名度のある曲…と絞っていくと割と少なくなっていって。選べる幅が少なくなってきているなかで「明日への涙」を思い出して、「……涙じゃん!」みたいな(笑)。これしかないじゃんみたいな感じです。すごくハマりましたね。

――昔の曲ですが、改めてカバーしてみていかがでしたか?

KOTOKO これまでもセルフ・カバーは何回もやっているんですけど、歌詞を書くときは「自分だったらこう歌うだろうな」って考えながら書いてるんですよね。それこそ歌い回しとかもなんとなく思い浮かべながら書いてるので、実際にカバーするときは大抵はスルッと歌えるんですよ。あとだいたいデモ用に仮歌もうたっているので、そのときの仮歌音源を聴き直せば楽なんです。前作の「a-gain」なんかはそうでしたね。ただこの曲は仮歌もうたってないんですね。それは当時まみちゃんがI’veに入ったばっかり頃で、そのときのまみちゃんと私って、声や歌い方がすごく似てるって言われてたんですよね。

――そうだったんですか。

KOTOKO 実際に私も「似てるなぁ」って思ってたんですよね。元々声も似てるんですけど、仮歌の人の歌い回しとかって意識しないでもやっぱり入ってきちゃう。当時はまみちゃんも新人だったんで、素直に私の仮歌で練習するともうそっくりになっちゃってたんですよ。だから当時、高瀬さんにも「私が仮歌をうたわないほうがいいかも」っていう話もしてたんです。

――それもあってこの曲の仮歌は存在しなかったんですね。

KOTOKO そう。だから、今回まみちゃんの曲を聴いて私が歌おうってなると、今度は何度歌ってもまみちゃんになっちゃうんですよ(笑)。

――当時とは逆の展開になってしまったわけですね。

KOTOKO そうなんですよ。もうどうやってもまみちゃんになっちゃう。だからこの曲はまみちゃんにならないようにするのが大変でした。

――ここまでアルバム前半を聴いてきましたが、後半もまた興味深い楽曲が続きます。

KOTOKO 問題作が続きますよ。ここからの3曲はすごいです。

――みずから言いましたね(笑)。

KOTOKO はい、もう大問題の3曲(笑)。

――まずは「Bug」ですね。これはアルバム制作中からおっしゃっていた、アルバムのなかでも異色の曲ですね。

KOTOKO 詞先で書いた曲です。

――非常にダークな雰囲気の曲で、まずど頭からの物騒な言い回しが(笑)

KOTOKO あははは、そうなんですよ(笑)。

――この歌詞が思いついたきっかけはなんだったんですか? いわゆる怒りやフラストレーションがあったのか……。

KOTOKO フラストレーションではないです、全然。あのー、別に怒ってないんですよ。大好きな人なのに、その人に対して、ふと「このまま足バーンって上げたら、この子の顔蹴っちゃうなー」とか思う瞬間あるんですよね。例えばですよ、(靴屋さんなどで)人に靴をこうやって履かせてもらってるときに、「ガーンって足を上げたらどうなるかな」って思ったりしませんか?え?みんな思わないのかな。私が変なのかな(笑)。

――絶対にやらないけど、そうふと思い浮かぶことがあるということですよね。

KOTOKO 絶対にやらないですよ。絶対にやらないんですけど、ふっとなんか悪魔が降ってくるみたいな。それで「怖っ!」って思って、訳がわからないけど大事な言葉のような気がして、それをノートに書き留めておいたんですよ。でもこの言葉を口に出すと、私の人格を疑われるかもしれないから出さないでおこうかなって思ってたんです。

――ある意味「王様の耳はロバの耳」の理髪師のように、穴を掘って吐き出すような。

KOTOKO そうなんですそうなんです。「うわーっ!」って。でも今回挑戦や覚醒をコンセプトにしていたので、「どうせやるんだったら出しちゃうか」って腹を括って出しました。

――出来上がった曲を聴くと、「UZU-MAKI」や「リアル鬼ごっこ」といったホラー・アプローチの楽曲とはまた違うもっと無機質な、無感動な要素が出てきた気がして。

KOTOKO うんうんうん。中沢さんも最初のどぎついフレーズのところを、「タタタータタータタタータター♪」ってひとつの音符だけで表現してくれたじゃないですか。ああいうふうに無機質にしてくれたことで、どぎつくならないようにしてくれたというか。ああやって表現してくれたのはちょっと目からウロコでしたね。

――たしかにあそこに感情が乗りすぎると「本当にそういうこと考えてるの?」ってなってしまうかもしれないですね。

KOTOKO そうなんです。おどろおどろしくなっちゃう。難しいんですけどね。本気じゃないけど、でも浮かんだのは本当だし……本当になんだこれって感じ。いつも思います。何でこんな風に思っちゃうんだろうって。

――それで歌詞にも「…何だこれ?」って書いてしまったと(笑)。

KOTOKO 書いちゃったんです(笑)。歌い方も悩みましたけどね。

――そうしたダークな曲のあとに「・HACHI・=Flunky puppy “Eight”」が来て、一転してかわいい! となるわけですが(笑)。

KOTOKO そうなんです! かわいいでしょう(笑)。

――しかもまたアレンジが素晴らしいですね。

KOTOKO ただこれが、中沢さんにとってのいちばんの問題作です。このアレンジは最後の最後、もうギリギリで出来たんですよ。これは私の作詞作曲の曲なんですけど、自宅で打ち込みをしてコードを弾いて、歌も吹き込んでっていうデモを作ってお渡ししてるんです。作曲までするときはいつもそうで、前回も高瀬さんにお渡しした「回転木馬」も、私の打ち込みがすごくて高瀬さんが度肝を抜かれたそうで。「コードがわからないし、どうしたらいいかわからないよKOTOKOちゃん」って電話がかかってきてぐらいで(笑)。で、今回の「・HACHI・=Flunky puppy “Eight”」が中沢さんにとってのそれだったんです。

――KOTOKOさんのデモをアレンジしていく作業で詰まってしまったと。

KOTOKO そう。ずっと相談受けてて、レコーディングでもコード進行を何パターンも考えてくれて、「これはどう? これはどう?」ってその場で弾きながら、私も「あ! そこはそれがいい!」とか言ってなんとなく決めていったりとかして。そこからまたコード進行を変えましたってまた違うパターンのやつがいくつか出てきて、最終的に今回のやつなったんですね。でも聴いたらいちばんしっくり来るなってコード進行だったんですよね。でもその時点でマスタリングに間に合うのかなってぐらいの進行具合だったんですけど、アレンジでも紆余曲折ありまして、最初はフレンチポップみたいなオシャレな感じを目指すって言ってたんです。そこから「やっぱりこれにしてみました」って来たアレンジが、ブラスの入ったサウンドで。「あ! こうきたか!」みたいな感じでした。

――しかし最終的にはKOTOKOさんもおっしゃったような、60~70年代の海外のポップスのようなサウンドになりましたね。そこは非常にフレッシュかなと。

KOTOKO そうそう。あとはもう中沢さんご本人に語っていただいたほうがきっといいですよ。いろいろあったと思うし、きっとすごく語りたいと思います(笑)。「・HACHI・=Flunky puppy “Eight”」とこの次の「トビウオ」は特にね。

――その「トビウオ」はパンキッシュなロック・ナンバーに仕上がっていますが……。

KOTOKO 私はパンク・ロックがいいなと思って、参考曲で2曲ぐらい投げたんです。最初のコンセプトはちょっと男っぽい硬派な感じのロックにしたくて、ちょっとパンク寄りで畳み掛ける感じにお願いしたんです。ただ途中で、映画の「グレイテスト・ショーマン」を観ちゃって、そのなかの「This Is Me」という曲がすごく気に入って、「この要素入れたいな」って思っちゃったのね。で、それも伝えて、結果で出てきた曲がすごく壮大で。もうパンクじゃなくなってしまったんです。

――本当に「グレイテスト・ショーマン」になってしまった(笑)。

KOTOKO めちゃくちゃ悩んだんですけど、でもやっぱり「違うものは違うし……」って思って電話をかけたら中沢さん、やっと全曲のメロ出しが終わってひと休みに銭湯にいるときで(笑)。なんならちょっとご機嫌で、「送ったのどう? 聴いてくれた?」なんて言ってて。

――わははは! それは切ない!(笑)。

KOTOKO 切ないよ、本当にもう(笑)。それで「ちょっとこれじゃないんだよね~」みたいなことを伝えたらもう、「えっ……」ってなって。

――切ないですけど、KOTOKOさんとしては譲れないものがありますよね。

KOTOKO はい…。でもボツにした曲もすごくいい曲だったので、「これはいつか出そうね」って言って…慰めになったかは分からないですけどね。そういう大リテイクをしたんですけど、スケジュール的に新しくもう1曲って言うには厳しい時間だったんですよ。うわーどうなるのかなって思ってたら、一晩で作って出してくれたんです。中沢さんのなかでボツにしていたバージョンがあったらしくて、それをちょっとブラッシュアップしてくれて。でも結果として、「トビウオ」はすごい会心の一撃になったと思うんですよね。みんなで雄叫びをあげるような「This Is Me」の要素も最終的にはちゃんと入ってて、ライブ映えしそうな曲になりました!

――「トビウオ」のあとはまた、今回のアルバムのテーマをもう一回なぞるようなメロディアスなパートが続きます。アルバムのラスト3曲、まずは「azure blue ~天色の架空線~」ですね。

KOTOKO これは中沢×KOTOKOのもうひとつ個のカラーとして、「421 -a will-」とか「Gratitude ~大きな栗の木の下で~」で聴かれるような温かい気持ちになれる曲が欲しいと思って書いてもらった曲ですね。実はこの曲を中沢さんにお渡ししたときにすごくありがたかったのが、中沢さんが「泣いた」って言ってくれて、「歌詞がすごい刺さりました」って。「こういうの、僕みたいな人に聴かせちゃダメだよ」みたいな。

――最初に楽曲のイメージを伝えた段階で、中沢さんに刺さるテーマだったと

KOTOKO 中沢さんはこの間「KOTOKOちゃんは戦友だ」って言ってくれてたんですけど、私も同志だとすごく思っていて、そういう中沢さんにこの歌詞見て泣いたって言ってもらえたのが、いちばんうれしかったですね。

――そうしたテーマだけに、懐かしいメロディがまた刺さりますね。

KOTOKO そうですね。懐かしいところをなぞってはいるんですけど、そこにちゃんと”今”というのが、すべて音にも歌詞にも反映されている感じですね。

――続いては「ナミダノエノグ」ですね。

KOTOKO 実はね、これは10年ぐらい前に書いた曲なんです。4枚目のアルバム『イプシロンの方舟』を作ってる頃に書いた曲で、それからずっとあたため続けていた楽曲ですね。それで今回改めて「ナミダノエノグ」あるじゃんって思って。「ああ、今のために取っといたのかな?」っていうぐらいの曲ですね。

――また偶然”涙”の曲があったと。

KOTOKO やっと出せるといううれしさもありつつ、改めてそのとき書いた詞も読んで、「あ、この当時からこんなこと思ってたんだなぁ」って思ってちょっとびっくりしました。10年前は順風満帆だったような気もしますけど、でも振り返ったらやっぱそのときそのときでやっぱり悩みもあったし、つまづいてもいたんだって、改めて10年前の自分を振り返るような体験もしましたね。

――そしてアルバム最後の曲となる「オパール」です。KOTOKOさんのなかでこの曲でアルバムを締めくくることは決めていたんですよね。

KOTOKO 最後にエンドロールがかかるところの立ち位置ですね。それで、なぜ「オパール」なのかっていうのも、実は理由があって。オパールって、ほかの宝石とはちょっと違う作りなんですね。ダイヤモンドとかエメラルドとかって、元素と元素がくっついて出来てるんですけど、オパールは二酸化ケイ素とお水がくっついて出来るという、ちょっと作りが違うんですよね。その出来る過程でさまざまな色がつくんですよ。あの海の中で死んだお魚とか貝の骨とか貝殻とかが積もって結びついて、いろんな色になるんです。

――なるほど。

KOTOKO ”遊色効果”っていうんですけど、オパールってそういう過程を経て出来る石なんですね。それってすごく人生に似てるというか。人が死んでそれが溜まって、石になってオパールになって、またそれを人が見て癒されるっていうこのサイクルが、今回のテーマにも合っているのかなって。

――それを知ったうえで、改めて二部作を最初から聴き直したくなりますね。

KOTOKO 本当に2作並べて聴いてほしいぐらい。悪魔の子として生まれた人間が、涙を流していろんな人生を巡っていって、一度死んでまた巡って……みたいな。それを一枚目でやっているんですけど、今回また2枚目で目が覚めて、いろんなことを繰り返して泣いて、最後にオパールになって人のところに行くというこのサイクル。この涙くんはまた水になって、あなたの魂に宿るから大丈夫だよ、っていうこの物語が巡ってほしいなっていう二部作なんですよね。

――まさに”Until be unite again”という最後のフレーズですよね。

KOTOKO そうです。

――こうして聴くと改めて壮大なコンセプトだなと感じますが、2年かけて作り終えた感想としてはいかがですか?

KOTOKO 壮大だし贅沢だし、作り手冥利、歌い手冥利にも尽きる企画でした。高瀬さんの肝も一回潰してるし、中沢さんの骨はもう全身折れてます(笑)。もう、お二人には大感謝!

――その上に成り立っているオパールだからこそ輝くというか(笑)。人の営みや人生をテーマにしたアルバムだけに、さまざまな層に刺さる作品になりそうですね。

KOTOKO そうですね。もちろん若者にも聴いてほしいんですけど、多分社会に揉まれてきた大人の人にも響くようなアルバムなのかなって思ってます。「Thank you Birthday!!」も、バースデー・ソングではありますけど、一方で大人になると誕生日なんかうれしくないよってみんな言うじゃないですか。でも歳をとるのは嫌だけどさ、やっぱり生まれたことが、ここにいるっていうのがうれしいじゃんって。私もそうだけど、でも頑張っていこうぜっていうメッセージも込められているので、大人の人にも聴いてほしいアルバムですね。

Interview & Text By 澄川龍一


●リリース情報
KOTOKO 8th Album
『tears cyclone -醒-』
発売中

【初回限定盤(CD+Blu-ray)】

品番:GNCA-1545
価格:¥5,000+税

【通常盤(CD)】

品番:GNCA-1546
価格:¥3,000+税

<CD>
M01:醒-metallic tears-
作詞:KOTOKO 作曲/編曲:中沢伴行
M02:水無月の恋~mimetic memory~
作詞:KOTOKO 作曲/編曲:中沢伴行
M03:Thank you Birthday!!
作詞:KOTOKO 作曲/編曲:中沢伴行
M04:scale〜変ホ短調のラブレター〜
作詞:KOTOKO 作曲/編曲:中沢伴行
M05:不機嫌な人魚
作詞:KOTOKO 作曲/編曲:中沢伴行
M06:明日への涙 – timeless tear mix -(カバー曲)
作詞:KOTOKO 作曲/編曲:中沢伴行
M07:Bug
作詞:KOTOKO 作曲/編曲:中沢伴行
M08:・HACHI・=Flunky puppy “Eight”
作詞/作曲:KOTOKO 編曲:中沢伴行
M09:トビウオ
作詞:KOTOKO 作曲/編曲:中沢伴行
M10:azure blue〜天色の架空線〜
作詞:KOTOKO 作曲/編曲:中沢伴行
M11:ナミダノエノグ
作詞/作曲:KOTOKO 編曲:中沢伴行
M12:オパール
作詞:KOTOKO 作曲/編曲:中沢伴行

<Blu-ray>
KOTOKO LIVE TOUR 2018「tears cyclone-廻-」ライブ映像(2018/09/30@TSUTAYA O-EAST)

●ライブ情報
KOTOKO LIVE TOUR 2019 ”tears cyclone-醒-”
8月3日(土) 北海道・札幌 cube garden
8月17日(土) 福岡・DRUM Be-1
8月18日(日) 広島・SECOND CRUTCH
8月31日(土) 愛知・名古屋 Electric Lady Land
9月1日(日) 大阪・umeda TRAD
9月7日(土) 東京・TSUTAYA O-EAST

料金:オールスタンディング¥5,400(税込) ※入場時別途ドリンク代要
開場:16:00 / 開演:17:00(※全公演共通)

関連リンク

この記事を書いた人