INTERVIEW
2019.04.21
華やぐトラックに表情豊かなボーカルと個性放つラップが印象的な５人組ダンス＆ボーカルグループMADKID。そんな彼らがアニメソングと邂逅を果たしたのは1月より放送中のTVアニメ『盾の勇者の成り上がり』だ。第1クールのオープニング曲「RISE」では物語の幕開けを、作品の名刺代わりに高らかに歌い上げた彼らは、第2クールでも同じくオープニングを担当し、「FAITH」によって未来へと歩を進めるように『盾の勇者の成り上がり』の世界を彩る。そんな彼らのはじまりを告げる１stアルバム『CIRCUS』が完成。トラックメイクから作詞、ラップ部分の作詞から編曲に至るまで自分たちの手で行うクリエイティヴな彼らの素顔に、「RISE」そして「FAITH」について話を中心に迫ってみた。
──MADKIDさんは「リスアニ！WEB」初登場となります。ぜひ皆さんのことを知っていただきたい！ということで、自己紹介を兼ねて、それぞれの「推しアニソン」を教えていただきたいと思います！
YUKI ラッパーのYUKIです。僕は「推しアニソン」は２曲あるので、どちらも挙げさせていただきます。1曲目は影山ヒロノブさんの「奇跡の炎よ 燃え上がれ!!」という曲なんですが、これは『ドラゴンボールZ』のゲームのオープニングトラックなんですね。もう最初に聴いたときからシビれました。歌詞にもインパクトがあるんです。この曲に出会った当時、空手をすごく頑張っていた時期で、この曲を聴いてから練習や試合に向かう、という自分の中のルーティーンができるほど聴いていた曲です。もう１曲がアニメ『BLEACH』の主題歌だったBeat Crusadersの「Tonight Tonight Tonight」という曲です。僕はバンドはいっさい聴いていなかったんですが、ビークルだけはこの曲で出会ってから聴いていましたし、ライブにも行っていたんです。英語の歌詞で、当時は意味もわからずに聴いていたんですが、今でも流れるだけでアニメの絵を思い出すくらい、自分にとってアニメーションとセットになっているような曲です。アニソンという枠の中で、そこから飛び出していろんなアーティストの楽曲を知ることができたので、僕らの曲もそんなふうにたくさんの人と出会うきっかけになったらうれしいなと思っています。
SHIN ボーカルのSHINです。僕にとっての「推しアニソン」はアニメ『盾の勇者の成り上がり』のOPテーマの「RISE」です（笑）。実は僕、あまりアニメーションを観る機会がなかったんです。でも自分たちの楽曲がオープニング曲になったことを機に、アニメをもっと観てみよう、と思ったんですね。それで『盾の勇者の成り上がり』の第1クールを全部観たことで、このアニメにぞっこんになってしまったんです。今、自分の中で最も大きな存在感を放っているアニソンがMADKIDの「RISE」なので、これからもっといろんなアニソンを知っていきたいと思っています。
LIN ラッパーでトラックメイクと作詞もしているLINです。僕はそもそもアニメやゲームが好きなので推し曲はいっぱいあるんですが、やっぱり『エヴァンゲリオン』ですね。新劇場版の『序』の主題歌で、宇多田ヒカルさんの「Beautiful World」がすごく好きです。新劇場版の公開をずっと待っていたんですが、初めて映画のMVが紹介されたときの、映像と楽曲のシンクロの仕方がすごくて、鳥肌が立ったのを憶えています。最近の曲だとアニメ『BANANA FISH』エンディング曲の、King Gnuさんの「Prayer X」です。元々King Gnuさんは1枚目のアルバムから好きだったんですが、この曲は世界観に合っていて、すごく良かったです。いい意味でKing Gnuらしくなかったけれど、物語とのシンクロ度が凄すぎて、とても好きな1曲です。
KAZUKI ボーカルのKAZUKIです。めちゃめちゃ王道ではあるんですが、きただにひろしさんの「ウィーアー！」です。アニメ『ONE PEACE』の曲ですが、アニメ好きの友だちとカラオケに行くと歌った記憶がいちばん色濃いです。この曲はAAAさんとか、ほかにもいろんな方がカバーもしていますし、世界中で有名な日本のアニソンだと思っています。
YOU-TA リーダーでボーカルのYOU-TAです。僕がいちばん好きなアニソンはFLOWの「GO!!!」です。アニメ『NARUTO-ナルト-』の曲ですが、高校の頃はこの曲ばかり歌っていたっていうくらいに好きでしたし、アニメはそれほど観ないほうだったんですが『NARUTO』はアニメも観ていましたし、ゲームもやっていたので、本当にこの曲は好きです。あとアニメ『逆境無頼カイジ 破壊録篇』のオープニング曲だったFear,and Loathing in Las Vegasの「Chase the Light!」がすごく好きなんです。その２曲がアニソンのツートップだと思っています。
──ありがとうございます。そんなMADKIDの皆さんの結成秘話などを教えてください。
YOU-TA 結成のきっかけはLINとYUKIと僕がオーディションで出会ったことからはじまりました。それからLINと音楽をやっていたんですが、LINが同級生だったKAZUKIを紹介してくれて、その後に僕がSHINと出会ったことで今の５人になったので、紆余曲折ある中で現在のMADKIDになりました。
──結成したときにはどんなグループをめざしていたんですか？
YUKI 最初は音楽の知識自体もそれほど持ちあわせてはいなかったんですが、「音楽がやりたい」という一心だけで集まった感じだったんです。活動をしていくなかでだんだんと自分たちのやっていきたい音楽が磨かれていって、メジャーデビューをして今回完成した1stアルバム『CIRCUS』でようやく「これです」と思う存分に表現ができたと確信しています。
──そんな皆さんがメジャーデビューをして、いわゆる“タイアップ”としてアニメーションとのコラボをすることに。このアニメソングを作る、というのはどんな経験でしたか？
SHIN アニメの曲を歌うと決まったときにはすごくうれしい気持ちはあったんですけど、映像を観るまでは実感がまったくなかったですね。
YOU-TA いつも通りの制作のスケジュールで、いつも通りの流れで作っていった曲だったので、実感は後からついてくる、という経験をしました。
LIN アニメ『盾の勇者の成り上がり』という作品の内容としても、僕らが結成して音楽活動をしていく中で応援してくれたり支えてくれる人が増えていったことで今がある、という状況と重なる部分がすごくあったんですね。だから楽曲も、物語に寄せていったわけではなかったんですが、歌詞が作品と勝手にシンクロしていったようなところがあって。だから第2クールの「FAITH」についても、意識して寄せることはしていないです。
──ただアニソンには「89秒」という制約があります。これまではそういった時間を気にすることもなかったかと思いますが。
LIN それはありました。本当にぴったりなんですよね。しかも作品側からのオーダーで「サビの前に溜めがほしい」というのがあったので、トラックを作るときにはいろいろと試行錯誤をしましたが、それでもうまくできたな、という自負はあります。今までMADKIDはラップと歌とをパートとして離していたんですが、今回はどちらも89秒の中で聴かせたい、というのがあったので、これまでとは違ったアプローチの構成にできましたし、89秒という縛りがあったからこそMADKIDの新しい曲が出来たと思います。
YUKI 今までは3分から4分の1曲を通して色をつけていたのを、89秒でもわかるような構成にして。ただフルバージョンで聴くとまた違った印象を受けるとも思うんですよね。ラップの部分も多いですし。そこは2度楽しめるかなと思います。
──実際に放送でご自身の楽曲が流れるのを見られたときはどのような感想がありましたか？
KAZUKI リアルタイムで鑑賞しつつ、録画もしていたんですが、テレビから自分たちの歌が流れるのがうれしかったです。でも少し、変な感じもしました。疑ってはいなかったんですが、本当かな？と実感できないでいた部分もあったので。
SHIN 絵がすごく良かったですよね。
YUKI アニメのオープニングの良さってそういうところにもあると思うんですよね。絵が浮かぶ。あのときの景色、というのは音とリンクするんですよね。それってアニメならでは。だから「RISE」がアニメの中で流れたときのことを今もすぐに思い出しますし、それは記憶としてずっと残っていくんだろうな、と感じました。
YOU-TA リアルタイムで観ながら、エゴサーチしちゃいました。そうしたら「オープニング、いいじゃん」というコメントが目に入ってきて。うれしかったです。自分たちが感動するのはたしかにそうなるんですけど、周りの、自分たちの知らない人たちの反応を見て、達成感を味わいました。この「RISE」までにメジャーで2枚のシングルを出していたんですが、そこからまた一歩前に、新しいスタートを切ることになった曲でもあるので、アニメの幕開け感ともすごくマッチしたなというのは、今になって改めて感じます。
──そして2期連続のオープニング曲として、今度は「FAITH」が今期は物語を彩っています。
LIN アニメが好きな立場としては本当にうれしいことですよね。作品に関わる皆さんから信用して任せてもらえた、というのはすごくうれしいです。アニメのオープニングって、その作品の顔としてイメージを左右するものだと思うんです。だから「2期もお願いします」と言われたときには本当にうれしかったです。
YOU-TA でも楽曲を制作する姿勢は「RISE」のときと変わらない気持ちで迎えました。
LIN より強化する、という意識はあったんですけど。
KAZUKI 超えなきゃ、というプレッシャーはありました。
YUKI 「RISE」が結果としてすごくいい反響をいただけたこともあって、それをどう超えていこうかっていうのは、個人個人としてもあったと思います。
YOU-TA でも重圧ではなかったです。プレッシャーはあったけど。
LIN そのプレッシャーが作用して、生音を入れるというアレンジであったり、新しいことにも挑戦できた、というのはあります。
──物語としても“超えていく”のが大事ですし。皆さんは「RISE」をどう超えていこうとされたんでしょうか。
YOU-TA TVサイズの89秒尺の中で確実に1個引っ掛かる言葉がほしい、と思って書いたのがサビの歌詞なんです。サビ頭は曲の中でもすごく大事な場面だと思うし、アニメでは場面が切り替わると思うので、そこの言葉に前作を超える、という想いを込めました。
KAZUKI ロックテイストの曲に負けない歌い方を心がけました。Ｄメロは自分でメロディをつけたんですが、レコーディングをしていてもそこはハマりましたね。それと僕の声質としてはロック系だと音に負けてしまっていたんですが、「RISE」以降、歌声がパワーアップできたと思います。
LIN 僕自身、ラップだけではなく歌うこともできるんですが、その歌を、「RISE」を作ったことでもっとやってもいいんじゃないかと思えたので、今回の「FAITH」ではより歌の部分を尖らせて書いてみる、ということに挑戦をしました。あとはトラックがフルバンドになったので、楽曲もレベルアップした作品になったかなと思います。
SHIN 今回はYOU-TAからオチサビを任せてもらえたので、そこに気合を入れて歌わせていただきました。あと2番のサビの部分の「道なき道今切り開いて」という1行だけは僕の歌詞を採用してもらえたので、制作に関わらせてもらえたことが嬉しかったですし、これまでの自分を超えることが出来た作品だと思うので、思い入れは強いです。
YUKI 「RISE」の反応を見ていて、ラップに聴き馴染みがない人はまだまだいるんだということを感じたんです。だからこそ聴きやすさを意識しながらもカッコよく、今っぽいフロウやラップを使って、アニメの世界観とも近づいていける感じを、「RISE」よりもぐっと意識して出すことができたと思います。
──そんな「RISE」、そして「FAITH」を収録したアルバム『CIRCUS』が完成しました。このアルバムにはどんなMADKIDが息づいているのでしょうか。
YOU-TA 全15曲を収録したアルバムになっているので、この1枚でMADKIDとは、という部分がわかります。楽曲の幅も広いですし、同じような曲は1曲たりともないので。「こいつらどんなヤツなんだろう」と思ったなら手に取ってほしいです。必ずお気に入りの曲が見つかると思います。ラップだけの曲もあればバラードもあって、ロックもあるしヒップホップもある。好きな1曲に出会える1枚になっているので、ぜひ楽しんでいただければと思います。
KAZUKI 曲だけでもボリューミーですが、DVD特典のついたほうは70分ものライブ映像がついてくるので、ぜひこちらも観てもらいたいです。
LIN お得だと思います。ライブでしか出せない自分たちというのもあるので、このDVDでよりMADKIDを近くに感じてもらえると思いますので、ぜひ。
YUKI アルバムに入っていない曲もライブDVDで網羅できてしまうので、ベスト盤だと思って手にしてもらいたいですね。
SHIN そしてこのアルバムを聴いて、ライブ映像を観て、僕らのライブにも実際に足を運んでもらいたいです。よろしくお願いします！
Interview & Text By えびさわなち
●リリース情報
MADKID 1stALBUM
『CIRCUS』
4月24日発売
【Type-A（CD＋DVD）】
品番：COZP-1539～40/
価格：￥3,500＋税
【Type-B（CD）】
品番：COCP-40797
価格：￥2,500＋税
＜CD＞
1.CIRCUS
2.Never going back
3.GIANT KILLING
4.COME
5.FAITH
6.OVERAGAIN
7.Summer Time
8.Stuck on U
9. さよなら…
10. 出ていってよ
11.RISE
ボーナストラック
RISE English version／FAITH English version／Sing for you／STAY GOLD
＜DVD＞
MADKID LIVETOUR 2018‘GIANT KILLING’(2018.12.26 SHIBUYA WWW)LIVE 映像（約80分）「FAITH」Music Video
BEHIND THE SCREEN
●ライブ情報
MADKID LIVETOUR2019 ‘Circus’
5月18日（SAT） 17：30開場 18：00開演 福岡 DRUM SON
5月19日（SUN） 17：00開場 17：30開演 大阪 大阪RUIDO
5月25日（SAT） 17：00開場 17：30開演 名古屋 LIVE HALL M.I.D
5月29日（WED） 18：30開場 19：30開演 東京 恵比寿リキッドルーム
全公演共通チケット価格：4000円（税込） Pコード：138-605
※別途1ドリンク（全公演） ※スタンディング
チケットぴあ、ローチケにて一般発売中
＜MADKID PROFILE＞
ボーカル YOU-TA、KAZUKI、SHINと、ラッパーLIN、YUKIの全5人のメンバーからなるダンスボーカルグループ。2018年1月に日本コロムビアよりメジャーデビュー。
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