リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2019.03.22

TVアニメ『不機嫌なモノノケ庵 續』EDテーマ「1%」をリリース!ウォルピスカーターインタビュー

TVアニメ『不機嫌なモノノケ庵 續』EDテーマ「1%」をリリース!ウォルピスカーターインタビュー

TVアニメ『不機嫌なモノノケ庵 續』のEDテーマ「1%」を歌っているのが、動画サイトで歌を投稿し続け、一躍人気者になったウォルピスカーター。“高音出したい系男子”の異名を取るように、女性以上に高い超絶ハイトーンボーカルは圧巻だ。3月20日に1stシングル「1%」をリリースしたウォルピスカーターにインタビューを敢行!ここに彼の魅力をお伝えしよう。

――昨年12月に3rdアルバム『これからもウォルピス社の提供でお送りします。』を出したばかりなのに、今度はアニメ『不機嫌なモノノケ庵 續』のEDテーマ「1%」を含むシングルCDをリリース。怒濤の展開を続けてきましたね。

ウォルピスカーター 本来は、あまりリリースが重ならないようにやっていたんですけど、昨年夏頃から今年の春先まで、リリースやライブが被り続けていて、てんてこ舞いです(笑)。

――ウォルピスさん自身は、作品の制作ごとにうまく気持ちの切り換えができる方ですか?

ウォルピスカーター そうしたいのですが、あまりON/OFFなど切り換えがうまくできなくて。僕が昨年の夏に3人グループで作った同人アルバム、年末に出した僕のソロアルバム、そして今回のシングルと、気持ちを持続したまま作り続けてきた感覚でしたね。もちろん、それぞれ作品の中身が異なるので、どう歌い分けるのかはしっかり考えていきました。アルバムはボーカロイド楽曲が中心で、今回のシングルはオリジナル曲、というふうに、そこでも歌への向き合い方は変わっていきますからね。

――「1%」は、アニメ『不機嫌なモノノケ庵 續』のEDテーマとして放送中。アニメ作品のことも意識しての制作でしたか?

ウォルピスカーター 「1%」を作ってくれたのが、僕が信頼するはるまきごはんさんなのですが、今回の楽曲をはるまきごはんさんにお願いしたくて僕からオファーをしました。内容に関しては、はるまきごはんさんを信頼してお任せしたのですが、僕自身はるまきごはんさんの作る世界観が好きなので、はるまきごはんさんらしく作ってくれれば僕が求めている楽曲が届くと思っていたし、実際にそうなりましたね。

――じゃあ、楽曲をいただいたときは……。

ウォルピスカーター 「こうきたかー!!」という驚きではなく、良い意味で「思った通りだな」と言いますか。「はるまきごはんさんらしい曲を」とお願いをしたら、「はるまきごはんさんらしい楽曲」が届きましたし、求めた形だったからこそ、僕もスムーズに歌入れすることができました。そこは、予想がつかない曲よりも、ある程度予測できたほうが歌いやすくもなりますからね。

――ウォルピスさん自身は、歌いやすさを求めていくタイプなのでしょうか?

ウォルピスカーター 僕の場合、ボカロPさんに書き下ろしをしていただくことがほとんどで。作曲家の方って歌い手のキーの制限を持って作ることも多いじゃないですか。そのストレスを僕で解消してもらおうと、「僕は作ってくださった曲を歌いますので、好きに作ってくれていいですよ」とお願いをしています。その結果、歌入れには苦労しているんですけど(笑)、作曲家の方には「自由に作れて楽しかった」と言ってもらえるので、これからも「受けて立ちます」という気持ちでそこはやっていきたいなと思っています。結果、ライブで歌うのがしんどくもなるんですけどね(笑)。

――1曲歌いきるのもハードルが高いのに、それを続けざまに歌うライブはもっと大変になりますよね。

ウォルピスカーター 僕の活動スタイルとしてキーを下げて歌うのは許されないスタイルだから、めちゃめちゃしんどいです。1曲を歌うなかでさえ録るタイミングを細かく分けてレコーディングをしているのに、それをライブでは連続で歌うわけですから、ライブ中どうしても声のコントロールが効かなくなるときも正直あるんですよ。それがわかっているからこそ、本当ならライブはやりたくないんです。

――そこは難しいところですよね。

ウォルピスカーター ライブを意識して音源のキーを下げるのか、音源で表現する世界観を重視するためにライブをやらないか。僕はキーを下げたくはないので、ライブをやらないという選択肢を選び続けてきましたけど、それでもライブを求められ続けたことによって、今はライブもやっていますけどね(笑)。ライブに関しては、自分で限界を感じるまではやっていこうと思っています。

――話は戻りますが、はるまきごはんさん自身は、アニメ『不機嫌なモノノケ庵 續』のEDテーマという意識を持って「1%」を作った形だったのでしょうか?

ウォルピスカーター 歌詞の面というよりは、曲調として指向を寄せたなとは感じています。実際に出来上がった楽曲をアニメのエンディング映像と重ね合わせ聴いていてもそれを感じますし、アニメファンの方々からも好評なリアクションをいろいろといただいていて。今回のお仕事を経て、自分の歌のアプローチの幅も広がったので、機会があればアニメソングにもどんどん挑戦していきたいですね。

――ケータイのバッテリーが1%になってしまうところから始まる「1%」の歌詞を読んだとき、どんな印象を覚えました?

ウォルピスカーター  いきなり“1%の携帯 2人合わせても数%”と歌が始まるように、別れを示唆するような悲しい話かなと最初は思ったんですけど、じつはけっこうポジティブで、しかもプラトニックな故の甘酸っぱさみたいな感じを帯びていて、すごくいい歌詞だと思いました。ただ、僕はケータイのバッテリーが20%を切ったら充電器を使います(笑)。普通1%までバッテリーが減るってなかなかないと思うんですけど、はるまきごはんさんは北海道出身の方で、はるまきごはんさんによると、「寒い地域に住んでいるせいか、冬になると、40%くらいあったはずのバッテリーが、寒さによって一気にどーんと1%になってしまう」ことがあるそうなんです。それって、いわゆる東北や北海道など寒い地域のあるあるらしいんですけど、そこにも現実感が出ているなとは思いました。

――2曲目へ収録した「アノヒノアノウタ」の歌詞には“100%の携帯”と書かれているじゃないですか。そこは関連性を持たせたことなのでしょうか?

ウォルピスカーター 「アノヒノアノウタ」を作ってくださったいちたさんには、先に仕上がっていた「1%」の歌詞を参考としてお渡しはしましたが、僕自身からはとくにイメージを伝えることはなく、いちたさんの世界観で完全にお任せした形でした。そうしたら「100%の携帯」の表現など、まるで「1%」のアンサーソングのようにも思えるように、そこはいちたさんが遊び心を持ってやってくださったのかなと僕は感じています。

――ウォルピスさんは、“高音出したい系男子”の異名を取るように、超絶なハイトーンボイスを魅力にしていますが、シングルに収録された3曲にも、そこは遺憾なく発揮されています。ウォルピスさんの場合、そこも作家の方にお任せしていくスタイルなんですね。

ウォルピスカーター そうです。例えば今回のはるまきごはんの場合は、お互い良く知っている間柄ということもあって、はるまきごはんさん自身が「僕の歌声がどう乗っかったらよく響くのか」を考えて作ってくださったとおっしゃっていました。「アノヒノアノウタ」を作ったいちたさんは、今回初めてお願いをする方で。基本はお任せとはいえ、一応、僕の限界となるキーはお伝えしておくんですね。そうしたら見事、高音も低音も限界ギリギリまで使った楽曲を作ってくださいました(笑)。あとで、いちたさんにお話を聞いたときにも「『歌えるものなら歌ってみろ』くらいのキーで書きました」と言ってくださっていて。僕自身も挑戦の意識で臨めたのはうれしかったです。

――3曲目に収録した「僕らのミッシングリンク」は、作曲を神谷志龍さんが担当。ウォルピスさんみずから作詞をしています。

ウォルピスカーター  神谷くんは、僕が音楽業界へ入る前からの古い付き合いで、「一緒に音楽の世界で頑張ろう」とずっと言い合ってた友だちです。当時から、僕はボーカリストとして、彼は作曲家として、互いに「その道で食べていこう」と話をして、「どちらかが節目の大きな仕事をもらったら、そのときは一緒に組んで仕事をしよう」という話もしていた間柄なんですね。それもあって、今回、シングルリリースという大きな仕事をいただいたときに、「作曲をお願いしたい。ただし、歌詞は書かせてくれ」という形でお願いをしました。

――歌詞は、自分で書きたかったんですね。

ウォルピスカーター 歌詞も、チャンスがあるのなら書きたいです。ただ、いちばん大切なのは楽曲の持つ世界観。僕がオファーする方はボカロPさんが多いですが、ボカロPさんは作詞までも含めひとつの世界観として表現する方が多いように、結果、両方をお願いすることが多いという形になっています。

――では「僕らのミッシングリンク」の歌詞へ込めた想いも聞かせてください。

ウォルピスカーター ちょっと前向きな歌詞にしようと思い、過去の話を未来に置き換えて書いてみました。じつは僕の中に、前々から文章や歌詞にしてみたい題材がありまして。それは「僕らのミッシングリンク」の歌詞にも書いてあることですが、「僕が眠りの中で体験している世界は果たして存在するのか」ということ。僕は今、起きたら、その日観た夢を記録する夢日記を付けています。その夢日記を付けるようになってから、夢自体をすごく鮮明に覚えるようになりましてた。

――夢日記をつけると、そういう効果があるんですね。

ウォルピスカーター 僕が夢日記を付けているのは、「明晰夢を観たい」ためなんです。明晰夢とは、夢の中で、「”今観ているのは、夢の中の世界”と、自分で夢の中で自覚する」ことを差しています。その夢を観るためには夢日記を付けのが効果的ということを聞いて実践し始めたことでした。ただ、今のところまだ明晰夢は観れてないですけどね(笑)。

――10月27日には、ワンマンライブ“ウォルピスカーター ワンマンLIVE『2019年度 ウォルピス社 “大”株主総会』”も決定しました。いつしか、ライブを行う機会も増えていますよね。

ウォルピスカーター やっぱりライブで歌っていると楽しいんですね。ファンの人たちの反応も直で観れますし、自分がアーティストとして活動をしている充実感も得れるように、そこはWIN-WINなことですけど。ただ、やるまでが本当にしんどくて(笑)。一昨年に初めてワンマンライブを行いましたが、そのときの充実感がいまだに忘れられないこともあって、今でも「ライブをやりたくない」気持ちと、「あのときのようにステージ上での喝采をもう一度浴びたい」という想いとのせめぎあいが生まれてくるんですよね。もちろん、今回のワンマンライブも絶対に楽しい内容にしていくつもりで準備をしますけど、実際にステージへ立つまでの気持ちをどううまく整理していくか。そのためにも、なるべく長めに準備期間を置いて向かっていこうとは思っていますが、その合間合間にもいろいろやることが出てくるので、そこもどうなるのか(笑)。

――ウォルピスさん自身、人前に出ることもけっこう楽しんでいる方なのでしょうか?

ウォルピスカーター もともと人前に出るのは抵抗ない人なので、インストアイベントも含め、そこは楽しんでいます。ただし、インストアでは歌わずにトークのみにしていますし、それもファンの人たちには浸透してきたのかな。僕がライブを避けていたのは、生歌としてのクオリティを求める以上は、という理由からだったので、人前で歌うこと以外なら、僕に求められることがあるのなら何でもやりますよ(笑)。

――ライブを通して歌声のクオリティをどう維持し続けるのかは難しいことですからね。

ウォルピスカーター そうなんです。音源を通して僕の歌声を評価してくださった方が、「生歌も聞きたい」とライブを求める気持ちもわかります。でも、そのライブで音源とは異なる表現をしてしまったら、「そこは音源と違ってライブだから」ではなく、生歌がひどいと音源の評価まで下がってしまうんですね。もちろん、ライブはライブで最高のものをお届けしますが、すべての楽曲で限界に挑戦し続けているように、完璧に歌いこなすのはとてもハードルの高いこと。僕は、音源のクオリティを下げたくはない。だからこそ、「生歌は無理です」とお伝えし続けてきたわけなんです。

――それをわかったうえで、どうライブを楽しむかですからね。最後に、改めて「1%」についてひと言お願いします。

ウォルピスカーター 「1%」は最初に90秒というテレビサイズで作りました。それを踏まえたうえで……この楽曲はテレビサイズに込めた想いを自分なりに改めて捉え、フルサイズの歌を入れています。だから僕もはるまきごはんさんも、テレビサイズとフルサイズでは基本的に別物として作っているんですね。そこを踏まえながら「1%」を聴いていただくと、いろいろ見えてくるものもあると思いますから、そこを楽しんでください。

Interview & Text By 長澤智典


●リリース情報
ウォルピスカーター
1stシングル
「1%」
3月20日発売

品番:COCA-17590
価格:¥1200+税

<CD>
M1「1%」(TVアニメ『不機嫌なモノノケ庵 續』EDテーマ)
作詞/・作曲:はるまきごはん
M2「アノヒノアノウタ」
作詞・作曲:いちた
M3「僕らのミッシングリンク」
作詞:ウォルピスカーター/作曲:神谷志龍
M4「1% -Instrumental-」

●作品情報
TVアニメ『不機嫌なモノノケ庵 續』

TOKYO MX 毎週日曜22:00~
サンテレビ 毎週日曜23:30~
BSフジ   毎週火曜 24:30~
AT-X    毎週土曜 21:00~

●ライブ情報
ワンマンLIVE
『2019年度 ウォルピス社 “大”株主総会』
2019年10月27日(日)豊洲PIT
OPEN16:00 / START17:00
(問)DISK GARAGE 050-5533-0888(平日12:00〜19:00)
チケット詳細はこちら

<ウォルピスカーター(Wolpis Carter)プロフィール>

男性歌い手。”高音出したい系男子”の異名を持ち、トレードマークのハイトーンボイスを武器にリスナーを魅了し続けている。実直な”高音”へのこだわりを掲げる「ウォルピス社」社長でもある。

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP