姉妹ユニットが本当の家族になった幸せな空間。「i☆Ris & Wake Up, Girls!& Run Girls, Run!バレンタインLive 2019」レポート

「i☆Ris & Wake Up, Girls!& Run Girls, Run!バレンタインLive 2019」が2019年2月2日、千葉県松戸市・森のホール21で開催された。

3つのユニットは「avex×81プロデュース アニソン・ヴォーカルオーディション」から生まれたもので、第1回合格者による結成ユニットがi☆Ris、第2回がWake Up, Girls!、第3回がRun Girls, Run!という姉妹関係にあるユニットだ。

i☆RisとWake Up, Girls!は2016年から「わぐりす」としてバレンタインイベントを行なってきた。Run Girls, Run!は今回が初参加。Wake Up, Girls!が2019年3月8日の「Wake Up, Girls! FINAL LIVE ~想い出のパレード~」をもって解散することもあり、今回のイベントは最初で最後の「わぐりすらん」合同イベントとなる。

●出演者
i☆Ris(山北早紀、芹澤優、 茜屋日海夏、若井友希、久保田未夢、澁谷梓希)
Wake Up, Girls!(吉岡茉祐、永野愛理、田中美海、青山吉能、山下七海、奥野香耶、高木美佑)
Run Girls, Run!(林鼓子、森嶋優花、厚木那奈美)
MC:鷲崎健

ステージに順番に登場した3組を見て、まず印象に残ったのはWake Up, Girls!とRun Girls, Run!の衣装だ。WUGは白いスカートに緑のグラデーションが入った冬のイメージ。ランガは白いスカートにイメージカラーのピンクのグラデーションが入った春めいた桜のイメージ。髪飾りも含めて対に見えるデザインは巡る季節を表現しているようで、同じアニメ「Wake Up, Girls!」という作品から生まれたユニットのつながりを感じた。

オープニングでは、WUGのリーダー・青山が「最後のわぐりすらんになります」をめいっぱいかわいらしく軽妙なトーンで挨拶。最後のお祭りとして、楽しいイベントにしようという意志を感じる。昼の部ではランガの林さんと森嶋さんがものすごく緊張している様子が伝わってきたが、林さんが「この中で一番若いんで」と最年少をアピールすると、最年長の山北がすっと歩み出て無言の圧をかけるやりとりで会場を沸かせていた。

昼の部では、「チーム対抗ミニゲーム大会」として、3チームに合わせて様々なゲームに挑戦した。チーム分けは以下の通り。

チームあっちゃん 厚木那奈美、若井友希、吉岡茉祐、芹澤優、 青山吉能、永野愛理)
チームはやまる 林鼓子、山北早紀、奥野香耶、澁谷梓希、田中美海
チームもっちー 森嶋優花、茜屋日海夏、山下七海、久保田未夢、高木美佑

チームリーダーはランガの3人が担当。普段リーダーやセンターという役がない厚木は嬉しかったそうだ。

「みんなで協力6文字クイズ」は、「WUGが2016年に訪れた国は、台湾と?」(答はシンガポール)といった問題に、ひとり一文字で答えていくフリップクイズだ。MC鷲崎の技が光ったのが「i☆Risのいつもの並びの順番を頭文字で」という問題に「漢字で」とオーダーを付け加えたこと。澁谷梓希の「澁」が手書きでは書けない人が多いことをわかった上で漢字を指定、山下たちが「渋」でお茶をにごしたり、「ずっ」と申し訳なさそうに回答した林となんとも言えない表情の澁谷、といった流れを引き出していた。

山手線ゲームをしながら爆弾を渡していく「ドキドキ!爆弾山手線ゲーム」では、鷲崎氏は爆発リアクションを要求。真っ先にi☆Risが乗っかってくることがわかっているあたり、付き合いの長さが伺えた。ステージ上のめまぐるしいテンポにカメラのスイッチャーが追いつけたり追いつけなかったりしたことから、爆発リアクションでまでかわいさをアピールしようとする芹澤が延々映り続けたり、渾身のローリングを見せた若井がカメラにスルーされたりと、熾烈なバラエティバトルが繰り広げられた。私感だが、田中がかなり積極的に乗っかっていくのもユニット単独イベントとはポジションが変わるようで面白い(田中は夜の部ではこどもビールをラッパ飲みする姿を見せた)。

そんな熾烈なバラエティバトルだったが、「自分の所属ユニット以外の楽曲名」というお題では、他のユニットの楽曲を大声で読み上げる姿がちょっとエモーショナル。特に、各メンバーが姉妹ユニットのことをどれぐらい知っているか、ガチで好きなメンバーは選曲に愛情が垣間見えるのが面白かった。

バレンタインらしく甘〜いゼリフの出来栄えを競ったり、告白がテーマのシチュエーションエチュードを見せたりのコーナーもあったのだが、ここで爆発したのが吉岡茉祐だった。客席に向けた甘いセリフでは、「私のこと好き?」と見たことがないほど困った顔で演じ、青山の背中に恥ずかしがっている隠れていた吉岡。

ところが、ひとたび「会社の上司と部下」という設定と役柄を与えられると、吉岡は豹変。自らパートナーの厚木に設定を提案すると、素晴らしい演技と眼力で
厚木を口説きまくる好演を見せた。予想と想定を超えた吉岡の好演に、鷲崎氏も素の称賛を送っていた。やりとりを見ていた林が(自分もやられたいと)悔しがっていたのも印象的だった。また、家庭教師と生徒という設定の告白エチュードで、茜屋先生が引くぐらいの勢いでグイグイ行く小悪魔演技の森嶋も素晴らしかった。

前半のバラエティコーナーでは、吉岡と厚木のエチュードポイントが効いてあっちゃんチームが勝利。高級焼肉店の商品券5万円分を手にしていた。

余談になるが、ライブパートまでのつなぎトークで、山下が得意の阿波踊りを披露。その流れで披露した(させられた)のは、なんとスキップっぽい動き。「山下七海はスキップができない」といういにしえの設定が今ここで披露されるとは思わなかった。もちろん今もできていなかった。

昼の部ライブパートは、i☆Risからスタート。驚いたのは、全員の衣装が白と緑を基調としていたこと。久保田が「WUGちゃんが好きすぎて、i☆Risの衣装WUGちゃん色になっちゃった!」と語っていたのだが、実は6人が着ていたのはイメージカラーが緑の山北の歴代衣装。澁谷が衣装にあしらわれた早紀のSを見せながら「今日は澁谷のSです!」と語ったりと、i☆Risのファンにも嬉しい貴重なサプライズだったと思う。

i☆Risは昼の部で「幻想曲WONDERLAND」「Make it!」「Endless Notes」「Happy New World☆」の4曲を披露。基礎力の違い、アイドルとして戦う肉体の強さを見せつけるようなステージだ。全力で走る若井の笑顔のキラキラさにびっくりした。「幻想曲WONDERLAND」とテイストが近い「Endless Notes」がセットリストに加わることで、ステージ上に物語を描く表現力がぐっと前に出たイメージ。「Endless Notes」の歌い出しのフォーメーションの中で山北が久保田を柔らかく目隠しするビジュアルがすごく印象的だった。

なお、夜の部でもi☆Risはラストに「Happy New World☆」を歌ったのだが、そちらでは「きみに」「きみと」を「WUGに」「WUGと」に変えたスペシャルバージョンを披露。筆者の座席位置的にステージ袖で固唾をのんで、涙を拭いながら見守るWUGメンバーが見えていたのだが、i☆Risの6人はステージ袖に向けてのアピールを何度も見せた。ずっとi☆Risに憧れていた青山にとっては夢のような経験だったと思う。

Run Girls, Run!は昼の部で「キラッとスタート」「Break the Blue!!」「カケル×カケル」を披露。作品としては「Wake Up, Girls!」から生まれたランガだが、「キラッとスタート」を見るとパフォーマンス的にはi☆Risの系譜なのでは、とも感じた(「プリティーシリーズ」の作品カラーもあると思うが)。個人的にランガのパフォーマンスは久しぶりに見たのだが、ダンスのクオリティと精度が格段に上がっていることに驚いた。ボーカルに関しては、以前は林の歌声の印象が強かったのが、厚木と森嶋の存在感が増してチームとしてのバランスが良くなったように感じた。衣装のスカート丈がメンバーごとにアレンジされていて、林は元気いっぱいの躍動感、厚木はお嬢様っぽい優雅さを感じた。

去年、Run Girls, Run!は客席からわぐりんのステージを見て、あんな風になれたらいいなと思っていたそうだ。

昼の部のトリのWake Up, Girls!は、「ゆき模様 恋のもよう」「恋?で愛?で暴君です!」「土曜日のフライト」「少女交響曲」を披露。「恋?で愛?で暴君です!」以外は比較的しっとりした曲や重厚な曲が多く、フェスにこのセットを持ってきたのはWUGというユニットの表現力への信頼と自信を感じる。

「土曜日のフライト」はWUG最後のアルバム「Wake Up, Best!MEMORIAL」に収録された4曲の新曲のひとつで、現在開催中のファイナルツアーで初披露されたばかりの最新楽曲だ。アイドルとして生きる日常を描いた歌詞は作詞家・只野菜摘の真骨頂といえる。高い座席から見ると、非対称なフォーメーションからの流れるようなポジション移動が本当に美しかった。

ラストの「少女交響曲」では、みっつのユニットのファンがひとつになった、渾身の「Wake Up, Girls!」の叫びが記憶に残った。i☆RisのファンもWUGの(アイドルノリとしてはクラシカルな)PPPHに合わせていたり、ランガの「ヨーイドン!」の名乗りの認知度がめちゃめちゃ高かったりと、各ユニットのファンが姉妹ユニットのこともよく知っていることが伝わってきた。

そしてこの日のWUGのステージを語るなら、夜の部で披露したもうひとつの新曲「言葉の結晶」は外せない。無機質で怖いぐらいに美しい、今までになかった表現と新しいWUGの姿。歌い出しの時点では少しだけ散漫な空気があった客席が、徐々に7人の表現に飲みこまれていったように感じた。

昼の部夜の部共に、ラストナンバーは3ユニットが一緒になっての「極上スマイル」。田中が「みんなで笑顔になれる曲を歌いたいと思います!」と呼びこんだ。抑えた涙があふれた夜の部も良かったが、やはり「わぐりすらん最高!」「ここにいるみんな大好きだー!」とピカピカの笑顔で歌いきった昼の部がこの曲にはふさわしいと思った。

イベントを昼夜通して感じたのは、昼の部がっちがちに緊張していたランガの林さん、森嶋さんが、夜の部は最初からかなりリラックスして見えたことだ。それだけこのイベントが楽しい時間だったのだと思う。夜の部のラストは、これが最後になるWUGの分まで、i☆Risと鷲崎氏が泣いていた。この光景を一番想像しなかったのは、かつてのWUGなのではないかと思う。

姉妹ユニットが本当の家族になったような、素敵なイベントだった。

「i☆Ris&Wake Up, Girls!&Run Girls, Run! バレンタインLive 2019」
2019.02.02 松戸森のホール21大ホール 昼の部セットリスト

M01:幻想曲WONDERLAND(i☆Ris)
M02:Make it!(i☆Ris)
M03:Endless Notes(i☆Ris)
M04:Happy New World☆(i☆Ris)
M05:キラッとスタート(Run Girls, Run!)
M06:Break the Blue!!(Run Girls, Run!)
M07:カケル×カケル(Run Girls, Run!)
M08:ゆき模様 恋のもよう(Wake Up, Girls!)
M09:恋?で愛?で暴君です!(Wake Up, Girls!)
M10:土曜日のフライト(Wake Up, Girls!)
M11:少女交響曲(Wake Up, Girls!)
M12:極上スマイル(全員)

Text By 中里キリ

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