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2018.11.07

最新アルバムを携えたツアー「小松未可子TOUR 2018 “Personal Terminal”」東京公演レポート!

最新アルバムを携えたツアー「小松未可子TOUR 2018 “Personal Terminal”」東京公演レポート!

声優の小松未可子による最新ツアー「小松未可子TOUR 2018 “Personal Terminal”」の東京公演が、9月16日(日)に渋谷TSUTAYA O-EASTで行われた。今年7月にリリースした通算4枚目のフル・アルバム『Personal Terminal』を引っ提げた今回のツアー。本公演でも同作からの楽曲を中心にQ-MHzプロデュースによる熱いナンバーが次々と披露され、黒須克彦(ベース)を筆頭とする凄腕のバンドメンバーによるバックアップを含め、彼女のライブ活動の充実ぶりが伝わる内容だった。

金王八幡宮例大祭のため、普段は車が行き交う文化村通りの交通が規制され、神輿や祭りを楽しむ人でにぎわっていたこの日の渋谷。人でごった返すところを何とか通り抜けて会場に到着すると、こちらもまたみかこしのライブを楽しみに来た人で満員御礼の状態だ。小松本人によるライブの注意事項のアナウンスが流されて期待が高まるなか、ステージが暗転し、やがてバンドメンバーと小松が登場。1曲目は『Personal Terminal』からのナンバーでくるのかと思いきや、その前のアルバム『Blooming Maps』の最後に置かれていた楽曲「my dress code」からスタートする。歌詞にある〈ここからちょっと先でまた会おうね〉というフレーズが、前作から最新アルバムへの橋渡しを表しているようにも感じられる。

観客との「ウォーオー」という合唱で冒頭から一体感を作り出した小松は、「〈小松未可子TOUR 2018 “Personal Terminal”〉へようこそ!」と威勢よく挨拶し、そのまま『Personal Terminal』にも収録されたシングル曲「Swing heart direction」へ。橙色を基調とした2トーンのロングスカート姿で、ステージを左右にゆっくり行き交いながら優雅な高音を会場に染み渡らせていく彼女。そこからバンドの力強い演奏でワイルドさ五割増しとなった「Jump Jump Halation!」へと続け、終盤の決め台詞〈“I listen to your heart.”〉も艶っぽいささやき声でバッチリ決めてみせる。

MCで外のお祭りに触れて「〈みこし〉に負けないぐらい〈みかこし〉も頑張っていくから、今日は最後までよろしく!」と語った彼女は、続いて前のめりなロック・チューン「short hair EGOIST」を投下。途中のラップ風に駆け抜けるパートや、新井弘毅(ギター)のフリーキーな演奏も手伝って、会場の熱気を一気に上昇させる。そこから休みなく「だから返事はいらない」、スカっぽいリズムに身体が自然と動いてしまう「Happy taleはランチの後で」へと繋げ、さらに体感速度を加速させる「Lonely Battle Mode」に持っていく構成は実に熱い。この曲では新井とバンドマスターの黒須克彦(ベース)が互いに向き合って演奏するところに、小松も客席に背中を向けて加わり、歌の決めの部分で振り向いてお茶目に笑う一幕も。バンドメンバーの熱気にバックアップされ、ステージで自由に立ち振る舞う彼女は本当に楽しそうだ。

「ここまで一気に駆け抜けて熱くなったので、ここで一息ついてゆっくり聴いてください」と語り、ノリの良い曲が多く並ぶ『Personal Terminal』の中では珍しく横揺れ系の爽やかなナンバー「海辺で逢いましょう」を歌う。続いてアルバム随一のエモーショナルなミディアム・バラード「Pains」で切ない感傷を気持ちに溺れすぎない真っ直ぐな歌声で届けると、一拍置いてドリーミーなワルツ曲「Maybe the next waltz」へ。胸元に手を置き、どこか遠くを見つめるような表情で歌う彼女は、まるで誰かの人生を優しく見守る物語の紡ぎ手のよう。そして歌い終わった後に深くお辞儀し、顔を上げた小松は、いつものように笑顔を浮かべる。

そして鈴木浩之(ドラムス)による怒涛のドラムソロがたっぷり1分近くは披露されたかと思うと、そこから最新アルバムの中でも屈指のアップ・チューン「カオティック・ラッシュ・ナイト」に突入する。明滅するライトと激しくドライブする演奏で、まさにカオティックな光景を演出すると、に続いては今井隼(キーボード)のソウルフルなプレイ「SPICE MISSION」に移行。みかこしもステージ前に備え付けられた台の上に上がって、リズムにノリながら軽快な歌声を紡いでいく。これら『Personal Terminal』の収録曲はライブ映えするものが多く、フロアも盛り上がりっぱなしの状態だ。

続くMCで、免許更新のためにコンタクトレンズを新調したことを報告した小松は、お客さんに向けて「めちゃくちゃよく見える!(笑)」とアピール。そして自身のアーティスト活動について「いろんなライブで思うんですけど、自分の歌ったものがみなさんに届いて、さらに自分にも返ってくる手紙のような楽曲も多いので、みなさんにもいろんな意味で噛み締めてもらえるような曲をこれからも歌えたらと思います」と語り、『Personal Terminal』の1曲目を飾っていた「Restart signal」を歌い始める。過ぎ行く時間、変わりゆく景色の中で、それでも人は前を向いて進まなくてはいけないというメッセージが、聴く者の胸に深く刺さる。〈憧れをもっと 追いかけたがる自分のままで〉というフレーズは彼女自身の気持ちを表しているようにも響く。

そしてバンドメンバーの紹介と各自の熱いソロ演奏を挿み、今やライブで盛り上がること必至のキラー・チューン「HEARTRAIL」で、この日いちばんとも言える高まりを生み出す。フロアからは盛大なクラップやコールが巻き起こり、〈誰より 高く 高く 高く 高く、ね!〉という決めのフレーズでお客さんもまさに誰よりも高く飛び跳ねて大熱狂。小松はラストで「東京!」と叫んで会場を煽ると、ラップ調のまくし立てるような歌が特徴的なアルバム曲「おねがいフューチャー」へとなだれ込む。サウンドも言葉も奔流のようなナンバーが嵐のごとく過ぎ去ると、休みなくシングル曲「Imagine day, Imagine life!」を畳みかけ、最後は『Personal Terminal』のラスト・ナンバー「Romantic noise」でコール&レスポンスを行って締め括り。終盤の怒涛とも言える盛り上がりは、小松本人やバンドはもちろん、彼女の音楽をこよなく愛するファンとの気持ちのやり取りがあってこそのものだったように思う。

そしてお客さんの「みかこ!」「し!」コールに応えて始まったアンコールの1曲目は、意外にも2ndアルバム『e’tuis』に収録されていたダンサブルなポップ・チューン「PandA」。髪を後ろに結わえて、ツアーTシャツ姿でステージに舞い戻った小松は、久々の楽曲をにこやかな表情で歌う。11月25日には自身の30歳のバースデーを記念したライブ「ハピこし!ライブ2018 ~30 years, 30 songs~」で懐かしい曲をたくさん歌うということなので、もしかしたらその前哨戦という意味合いもあったのかもしれない。いずれにせよ、昔からのファンにとっては思わぬプレゼントとなった。

さらに「せっかくなので〈ハピこし!〉の予習でもしましょうか!」と、彼女の誕生日である11月11日にあやかったバースデー・ソング「エンジェルナンバー」が歌われ、会場はアップテンポなスカのリズムに乗せられて大熱狂。オーディエンスは大合唱や「Happy Birthday!」という合いの手で彼女の誕生日を一足早く盛り上げる。そしてこの日の本当のラストを飾ったナンバーは「Catch me if you JAZZ」。続くパートでもスピーディーに展開するバンド・アンサンブルと、それに合わせてリズミカルかつ勢いある歌声でお客さんをのせていく小松。熱さと優美さの両方を備えたそのパフォーマンスは、彼女の現在のライブの魅力を集約したもの。Q-MHzとのタッグも3年目を迎えた今、アーティスト・小松未可子が自身のライブをどう見せようとしているのかが伝わる公演だったようにも感じた。

Text By 北野 創

「小松未可子TOUR 2018 “Personal Terminal”」
2018年9月16日(日)渋谷TSUTAYA O-EAST
<セットリスト>
1. my dress code
2. Swing heart direction
3. Jump Jump Halation!
4. short hair EGOIST
5. だから返事はいらない
6. Happy taleはランチの後で
7. Lonely Battle Mode
8. 海辺で逢いましょう
9. Pains
10. Maybe the next waltz
11. カオティック・ラッシュ・ナイト
12. SPICE MISSION
13. Restart signal
14. HEARTRAIL
15. おねがいフューチャー
16. Imagine day, Imagine life!
17. Romantic noise

EN1. PandA
EN2. エンジェルナンバー
EN3. Catch me if you JAZZ

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