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INTERVIEW

2018.06.13

茅原実里 TVアニメ『フルメタル・パニック!Invisible Victory』スペシャルED主題歌シングル「Remained dream」インタビュー

茅原実里 TVアニメ『フルメタル・パニック!Invisible Victory』スペシャルED主題歌シングル「Remained dream」インタビュー

6月6日にリリースされた茅原実里のニューシングル「Remained dream/Hopeful “SOUL”?」は、自身も出演するTVアニメ『フルメタル・パニック!Invisible Victory』(以下『フルメタ』)の主題歌や挿入歌を詰め込んだ、『フルメタ』ワールド全開のスペシャルな1枚となっている。演じているキャラクター・ナミの気持ちに加え、自らの気持ちも表現した茅原。切ない曲の中で爆発させた熱い気持ちについて詳しく聞いてきた。

すべてが込められたサビの “信じたくない 信じたくない”

――『フルメタル・パニック!Invisible Victory』でナミを演じるところから、スペシャルEDと挿入歌を歌われることになったと思うのですが。

茅原実里 そうですね。私がナミ役とスペシャルED主題歌、そして挿入歌を担当するというお話で制作がはじまりました。ナミの亡くなる回のみに流れるED曲、挿入歌ということで、ナミの最期に寄り添うような楽曲を、菊田(大介)さんと畑(亜貴)さんのタッグで作っていただきました。

――最初に曲を聴いたときの印象は?

茅原 シリアスだなって。とても暗くて悲しい雰囲気の曲……という印象でしたね。菊田さんでは珍しいタイプのしっとりとした雰囲気を持っていて。アニメの第8話で私が演じるナミが、とても無情な殺され方をするのですが、そのエンディングに流れる曲だってイメージしてみるとぴったりな楽曲だと思いました。

――そのときは歌詞はまだ?

茅原 まだでした。基本的にいつもデモを聴かせてもらう段階では歌詞は出来上がっていないんです。でも、のちに受け取った歌詞が、曲の持つ悲壮感をさらに倍増させるような内容になっていましたね。ナミの心の叫びというか……。キャラクターのお話になりますが、ナミはとてもいい子で、治安の悪い街で暮らしながら戦争でボロボロになってしまった街や学校を復興させようって一生懸命頑張っていたんです。だからこそ、夢や希望でいっぱいの十代の少女が理不尽に志半ばで殺されてしまったことの悔しさや悲しみも含めて、歌にぶつけようと思いました。歌詞をいただいてよりテーマが明確になりましたね。それから、ストリングスのレコーディングに立ち会わせていただきました。私は弦楽器の音が好きなので、なるべくレコーディングには足を運びたくて。私にとって歌のイメージを膨らませながら気持ちを整える「特別な時間」だったりするんです。

――弦は楽曲の雰囲気を大きく左右しますよね。

茅原 そうですね。楽器のダビングが進んでいくごとにドラマティックさが増していったように思いますが、特に生のストリングスが入ったことで、より喪失感や虚無感が濃くなったので、楽曲全体の表情がしっかりと見えるようになった感じがしました。スタジオで(ヴァイオリニストの室屋光一郎)大先生も、「菊田君のこういう曲珍しいね。すごくいいね」と仰っていました。

――そこから「Remained dream」はどのように歌おうとイメージされましたか?

茅原 キャラクターソングではないけど、ナミの存在を強く意識しようと思っていました。これは彼女のために作られた楽曲だと受け止めていたので、ナミの人生に花を手向けるようなメージで。問いかけたり、訴えかけているような言葉が多かったので、無念さや切ない感情が伝わるように、しっかりと言葉を刻んでいこうと思っていました。ラストに向かってより叙情的な歌にするイメージを持っていました。

――歌っていて、いちばん印象に残ったフレーズはどこですか?

茅原 “信じたくない 信じたくない”ですね。夢半ばにして命を奪われてしまうナミ自身にとっては、本当に信じられない出来事だったはずで。まだかなえられてない夢があって、伝えることのできなかった恋心もあって。そう考えると、あまりにも無情すぎて、歌えば歌うほどに切なくて……。だけど畑さんから「命が消えてしまっても、自分の夢が誰かに受け継がれていくと信じることができたら、人は救われるのかもしれない……、という人生の疑問をタイトルにしました」というお話を聞いて、「そうか。絶望だけではないんだな」と思うようになったんです。だから悲しみや絶望の中にも僅かな希望の光を見つけるような作業をレコーディングではしていました。

「Sacrifice for Dear」は運命の曲

――今回のシングルは『フルメタ』に関わる楽曲が、表題曲のほかにも2曲収録されています。まず、「Hopeful “SOUL”」についても教えていただけますか?

茅原 ナミが亡くなってしまったあと、宗介が戦うシーンの劇中歌で、「怒り」がテーマになっています。世の中の理不尽なことや裏切りに対する、大きな負のエネルギーが詰まっています。「Remained dream」と同じくシリアスな内容ではありますが、アプローチの仕方が違うんです。「Hopeful “SOUL”」は、感情をむき出しにして、悲しみも苦しみも怒りもすべてを受け入れて越えていくんだっていう、突き抜けた強さを持っているんです。自分自身に火をつけて奮い立たせるような印象でしたね。

――歌うときも、自分を奮い立たせるように燃える気持ちで歌ったんですか?

茅原 自分でも納得のいかない出来事とか、怒りを感じる瞬間ってたくさんあるので、そういう負の感情をかき集めて歌いました。タイムリーに理不尽な事件があったので、気持ちは作りやすかったような気がします(笑)。やっぱり、マイナスが重なり合ってプラスに変わったときのエネルギーっていちばん怖いですよね。

――「Sacrifice for Dear」は、一昨年の12月に期間限定で配信されたオーディオドラマ『踊るベリー・メリー・クリスマス』のテーマソングです。

茅原 去年のライブツアー(“Minori Chihara Live Tour 2017 ~Take The Offensive~”)でも歌っていたので、制作してからは随分時間が経っていますね。ようやくファンのみんなの元へ届けられるんだと思うとうれしいです。改めて聴いたら「速い!」って思いました(笑)。『フルメタ』のバトルシーンをイメージして作ったと作曲家の菊田さんが言っていたので、まさに戦闘に似合うスピード感のあるかっこいい曲です。繰り返されるイントロの雰囲気も、一度聴いたら耳に残る「Paradise Lost」に通じているところがあって好きです。自分の大切な人を守る為なら命を捧げてもかまわないという情熱的な楽曲なので、収録されている3曲はすべて、「生きてる!」って感じがします。特に「Sacrifice for Dear」は、歌っていると気持ちがいいんです。メロディと歌詞が心にナチュラルに溶け込んで、リアルで爽快なんです。不思議です!

――たしかに不思議ですね。この曲のどういったところにリアルさを感じましたか?

茅原 『フルメタ』をイメージして作られた楽曲なのでとても壮大だし、作品の世界観が強いので、客観的に捉えながら歌いそうなところですが、この楽曲は自分の心と体にしっくりくるんです。演じているのとも違うんですけど、まるで自分がミュージカルをしているような感覚というか……って、ミュージカルやったことないんですけど(笑)。なんだろう?とにかくべタっと地に足をつけている感じがして心地よくて!単純に自分好みな楽曲なのかもしれないですね。歌っていてここまで自然に陶酔できるのって新感覚なんです(笑)。実際に初めて曲をいただいたときは余裕もなくて、この疾走感についていくことに必死だったはずなんですけどね。BPMも高速だし、サビなんてせわしなく言葉が多く詰め込まれているし、決して簡単な曲じゃないのに……。もしかしたらライブで歌い続けるうちに馴染んでいったのかもしれませんね。

――では、CDとライブで歌声の違いを感じる方がいらっしゃるかもしれませんね。

茅原 たしかにそうですね!やっぱり人間関係を築いていくのと同じで、楽曲とも向き合って根気よく育てていかないとわからない部分がありますからね。レコーディングの段階って、曲と出会って日が短いので、まだ探っているところもあったりして。付き合いはじめのカップルみたいな(笑)。だから、「今だったらこう歌えるのに」って思ったりする過去の曲もありますが、そのときはそのときでベストを尽くして歌っているのでそれでいいんでしょうね。

――自分好みと仰った「Sacrifice for Dear」にもそういう感覚を持っているんですか?

茅原 そういえばないですね。

――ということは、歌い続けるなかではなく、最初から茅原さんの体に馴染んだ曲だったんですね。完成されていたというか、運命の出会いというか。

茅原 なるほど。運命……。面白いですね。出会ったときから相性のいい曲だったんだ!私も話していて「Sacrificeice for Dear」がより愛しく思えてきました。なんだか今、すごく歌いたくなってきた!(笑)。

Interview By 清水耕司(セブンデイズウォー)
Text By 原澤侑里(セブンデイズウォー)


●リリース情報
TVアニメ『フルメタル・パニック!Invisible Victory』スペシャルED主題歌/挿入歌
「Remained dream / Hopeful “SOUL”」
発売中

品番:LACM-14766
価格:¥1,300+税

<CD>
1.Remained dream(『フルメタル・パニック!Invisible Victory』スペシャルED)
2.Hopeful “SOUL”(『フルメタル・パニック!Invisible Victory』挿入歌)
3.Sacrifice for Dear(『フルメタル・パニック!』オーディオドラマ「踊るベリー・メリー・クリスマス」テーマソング)
4.Remained dream(off vocal)
5.Hopeful “SOUL”(off vocal)
6.Sacrifice for Dear(off vocal)

茅原実里 約2年半ぶりのフルアルバム発売決定!
『SPIRAL』
2018年9月26日発売

【初回限定盤(CD+BD)】
品番:LACA-35747
価格:¥3,800+税

【通常盤(CD only)】
品番:LACA-15747
価格:¥3,000+税

●ライブ情報
SUMMER CHAMPION 2018 〜Minori Chihara 10th Summer Live〜
8月4日(土) 15:30開場/16:30開演
8月5日(日) 15:30開場/16:30開演

会場:河口湖ステラシアター
チケット料金:全席指定 7,560円(税込) ※サマチャンフラッグ付き

※3歳以上有料
※雨天決行(荒天の場合は中止)途中終了の場合、払い戻しは致しません。
※車椅子エリアは会場の都合上、見えづらい場合がございます。予めご了承ください。
※営利目的の転売禁止
※転売チケット入場不可
※オークションへの出品禁止

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