リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2018.05.30

保志総一朗 声優活動25周年記念アルバム『Voice&Harmony』リリースインタビュー

保志総一朗 声優活動25周年記念アルバム『Voice&Harmony』リリースインタビュー

『機動戦士ガンダムSEED』のキラ・ヤマトなどを演じ、最近では『アイドリッシュセブン』でRe:valeの百としても歌声を聴かせる保志総一朗が、声優活動25周年を記念したアニバーサリー・アルバムを完成させた。『Voice&Harmony』と名付けられ、2枚組で構成されるこのアルバムについて話を聞く。

――声優活動25周年のアニバーサリーイヤーとなる本年。ここまでやってきたことに対してはどのような印象や感想をお持ちですか?

保志総一朗 25年もあっという間に経ってしまったので。毎年毎年、何か違うことをやるというよりは、日々やってきている仕事の積み重ねというか。その中で特に若い頃は、アニメはもちろん、ラジオなどの仕事を重ねてきて、それからだんだんそれ以外のことにも目を向けだしてきて。それで音楽活動的なことを始めさせてもらったりもしたんですけど、徐々に25年に近くなって、だんだん自分のなかで、気持ちの変化だったり、いろいろなことをやりたいという欲や興味が出てきて……25年経ってようやく、自分の中であらたなステージに踏み出し始めたかなという感じですね。

――音楽活動としては最初のリリースが1999年ではありますが、本格的には2012年のアルバム『ONE SONGS』からになりますよね。

保志 そうなんです。最初はラジオや作品関連のリリースだったので、どちらかというと、やらせていただいた、というスタートではあったんですが、自分として踏み出すことはその時点ではまだできなかったんですよね。ようやく踏み出せたのが2012年のファースト・アルバム『ONE SONGS』。そこに至るまでが自分としてはちょっと時間がかかっちゃったかな、とは思いますね。

――その間も様々な楽曲を歌ってこられたと思います。キャラクターソングであったり……。

保志 そうですね。キャラクターソングはたくさん歌わせていただいていますね。

――しかもキャラソンは楽曲のジャンルとしてもバラエティに富んでいますよね。そういった部分では実際にご自身で作詞作曲もされる保志さんとしては刺激や影響もあるのではないでしょうか。

保志 あると思いますね。特に作品やキャラによってジャンルも違っていたりしますしね。例えば、自分の演じるのがおとなしいキャラクターであればしっとりと静かな曲であったりもするんですけど、勝ち気なキャラクターではまったく違ったロックであったり。バラエティに富んでいて、そういう部分での面白さも感じていたし、単純にいちリスナーとしても聴くのが楽しいんです。自分が歌っているというのもあるけれど、作品の作り出したいろんな曲たちを楽しんでいます。簡単に言うと、結構、いい歌なんですよね。キャラクターソングと括ってしまう曲だけど。聴く側としても楽しいです。

――最近もアイドル・ソングなども歌われていますし。

保志 『アイドリッシュセブン』とか『スタミュ』とか、アイドル・ソングを歌う機会も多いですよね。しかもクオリティもかなり高くて、びっくりしちゃったりもしているんです。『アイナナ』もデモをもらった時点で「これで完成だよね?完成にしちゃっていいんじゃないか」っていうのがあったりもして。それを自分が歌うのかー、って思っちゃうくらいです。面白いんですよ。皆さん、完成品しか聴いていないからわからないと思うんですけど、デモの段階ですごく完成されている曲とかあると「どうしよう」って思っちゃうんです。あるあるだと思うんですけど(笑)。あと特に最近は歌をモチーフにしたような作品も増えていたりするので、より歌うことに対しての違和感がないというか。劇中でも歌っていたりもしますし、アイドルだったりとかはあるので、キャラクターに入り込めば入り込むほど本当に歌うことに対して違和感がないというか。そのなかで自分の中での苦手意識はどうしようかというのもあるんですけど、それでもうまい具合に気持ちよくやらせてもらっているので。歌は作品と切り離せない存在になってきたなというところですね。でも自分はそのなかで、もちろんキャラソンも好きだけど、自分が生み出す、自分ならではの歌というのもやりたくなった、というのが数年前だったんです。そこまではちょっと「まだまだだ」「まだ早い」っていうのが個人の音楽活動に対してはあったので、時間が経ってしまいました。でも若い頃には気づけないんですよ(笑)。

――しかしキャラソンではないご自身の歌というものを2012年からクリエイトされてきて、そこで向き合うご自身の歌。音楽に対する考え方は変化されたりしたんでしょうか。

保志 今まではキャラクター・ソングで、自分の中でキャラクターのイメージを歌う、というスタンスでいたんですが、自分の曲だと架空のストーリーを楽曲に織り込んだり、浮かんできた様々なストーリーを歌っているんです。それぞれに楽曲の中で設定を作ったり、実は今まで演じてきたキャラクターに繋がるようなものもあったりするんですけど、歌によっては単純なメッセージ性もある。ただ「これが伝えたいんだ!」っていうスタンスでやっているのとも違うかな、とも思っていて。単純に自分が音楽を制作する場合は、自分のイメージするメロディを感じてほしいんですよね。その楽曲の中でもちろん、歌詞に物語性やメッセージも込めたりしているんですけど、キャラクター・ソングとはまたちょっと違う部分でもあって。僕の中の音楽を感じてほしい、と考えているんです。そこが大きな、キャラソンとの向き合い方の違いかなというのはあって。音楽活動を始めてそんなに経ってないというのがあると思うんですけど、自分の中の世界をみんなと分かち合いたいという、まだそういう段階なのかな、と。たぶん、その段階が終わって、徐々にメッセージであったりを訴えかける時期が来るのかもしれないです。音楽という、音を楽しむという部分でのコンセプトが音楽と向き合う理由になっていると思いますが、今後そこも変化していくものだと思っています。

――今回はDisc1の<新録盤>には「Harmony~夢のチカラ~」など新曲が4曲収録されていますが、ご自身の中でテーマを作られての制作だったんですか?

保志 アニバーサリーだということは実際にはCDを出そうか、という話になったときには決まっていなかったんです。なので去年でも出そうと思えば出せたと思うんですけど、どうせなら声優活動25周年になるし、やるならアニバーサリーで出せた方が意味も込められるよね、という話には後々なっていったんです。なので楽曲を作り出したときにはアニバーサリーをテーマにとは思っていなくて、あらたな曲たちを、とそれぞれの楽曲の制作に向き合っていきました。だから楽曲に関しては去年のうちに出来上がってはいたんです。ただ、歌詞は「アニバーサリー・アルバムにしよう」となってから書き出したので、近藤ナツコさんに「アニバーサリーとして意味を持たせたい」と2曲お願いさせていただき、声優活動25年の意味を込めた歌詞を作ってもらいました。結果的には曲自体に関しては自分の中では1曲目と7曲目がアニバーサリーな曲になっています。なので、このアルバムはなるべくして25周年のアニバーサリーになったのかなとは思います。

――さらに以前から歌われている「LUNATIC CRAVE」のリアレンジや「ストレインジャー」のリミックスも収録。改めてそういった楽曲と向き合われていかがでしたか?

保志 リミックスやリアレンジしたものは、自分の中では比較的新しい曲たちで。ライブでのグッズとしてリリースしたCDにしか収録をしていないので、やっぱり自分の中ではもっとたくさんの人に聴いてもらいたいなという想いもあって今回アルバムに収録させてもらいました。この2年で熟成されたものも、やっぱり自分の中では思い入れのある曲なので、新曲のように早く、新鮮なうちに、というのとはまた違って、2年間自分の中でも大事に熟成してきた曲なのでぜひ聴いてもらいたかったんです。「LUNATIC CRAVE」はゲームで収録されていたのが結構前で。今までゲームの挿入歌として存在していたけど、CDに収録できていなかった曲で。いつか収録したい、届けたい、という想いでいたのが、今回ゲームとは違うバージョンで、アルバムバージョンとしてあらたに完成させました。収録してほしい、という要望が結構あった曲でもありましたし。それとは別にオリジナルバージョンであるゲームの曲も聴いてほしいので、そちらはDisc2に収録しました。両方楽しんでほしいですね。

――「LUNATIC CRAVE」のオリジナルバージョンが収録されたDisc2は<クロニクルベスト盤>。こちらは保志さんの歴史を振り返るような1枚です。保志さんの中でも熟成してきた曲たちだと思いますが、どのような印象がありますか?

保志 僕の中で自分の歴史を振り返る一枚にしました。音楽的にはそんなに長くやっているわけではないんですが、年代的にいうと、結構古い部分から最近のものまで。僕が初めてやらせてもらったキャラクター・ソングとか、自分が活動してきた中で歴史的に欠かせない楽曲たちだな、という曲を選曲させていただいたんですが、やっぱり「Shining Tears」というのは自分の中でも代表曲というか、皆さんがよく知ってくださっている曲なので、それを中心に選曲しました。音楽的にもこの曲を中心にライブも組み立てましたし、この曲ありきでいろいろとやってきている部分もあるし、そこから「Starting again」であったり、自分が歌ってきたなかで、キャラソンと違って「保志総一朗」として歌ってきている曲というのは意外に貴重というか。なかなか存在していない曲たちなので、ぜひベスト盤として残したい、という想いで制作しましたね。

――では最後にこの『Voice&Harmony』を読者の皆さんへレコメンドしてください。

保志 自分の中ではなかなかの大作だと思っています。Disc1の新曲からDisc2のクロニクルまで、集大成となっていると思うので、いろいろな保志総一朗を感じていただけると思います。新曲はやっぱり、アニバーサリーとして25年声優をやってきた僕、という要素というか、この25年で育んできた素の部分も詰まっているし、それとは真逆の、声優として向き合って作品によって引き出されたファンタジックな表現をする僕の音楽になっていますので、そんな両面、そして僕の歴史、それらを堪能してもらいたいです。そして<クロニクルベスト盤>はこれまでの僕の歴史が一つひとつの曲のストーリーの中に息づいていますので、それぞれの楽曲を楽しんでいただけるとうれしいです。それらすべてを含めての『Voice & Harmony』です。よろしくお願いします。

Interview&Text By えびさわなち


●リリース情報
保志総一朗 声優活動25周年記念アニバーサリーアルバム
「Voice and Harmony」

5月30日発売
品番:KICS-3708~9
価格:¥3,900+税
※初回製造分特典
・スペシャルBOX仕様
・保志総一朗アニバーサリーLIVE優先販売申込券封入

DISC.1
<新録盤>
01. Harmony 〜夢のチカラ〜
02. Crystal Blaze
03. LUNATIC CRAVE Refrain
04. 恋花の涙
05. ストレインジャー【eternal remix】
06. 白翼のデュアレクス dur.
07. VOICE OF BIRTH

DISC.2
<クロニクルベスト盤>
01. Shining Tears(ゲーム『シャイニング・ティアーズ』OPテーマ)
02. again
03. ONEWAY RADIO 歌:保志総一朗/榎本温子
04. Starting again(TVアニメ『ロスト・ユニバース』イメージソング)
05. ヒカリ(ゲーム『シャイニング・ブレイド』挿入曲)
06. ファイティング!!
07. Departing Party!
08. LUNATIC CRAVE(ゲーム『シャイニング・レゾナンス』ゼストイメージソング)
09. 綺羅星
10. Brave Heart ~輝きの彼方へ~(ゲーム『ブレードアークス フロム シャイニング』主題歌)
11. Heartful Station 歌:林原めぐみ&保志総一朗
12. One Song
13. 希望のうた
14. 希望の花 ~Acoustic Ver.~

●ライブ情報
SOICHIRO HOSHI ANNIVERSARY LIVE “Voice and Harmony”
2018年8月19日(日) 豊洲PIT
続報は近日発表!

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP