INTERVIEW
2018.05.29
劇場アニメ―ション『GODZILLA』。三部作となるこのシリーズの第二章『GODZILLA 決戦機動増殖都市』が公開され、多くのゴジラファンを唸らせている。この『GODZILLA』シリーズにおいて象徴的な主題歌を、第一章『GODZILLA 怪獣惑星』に続いて担当しているXAI（サイ）に、今作の主題歌「THE SKY FALLS」について聞いた。
――第一章『GODZILLA 怪獣惑星』の主題歌「WHITE OUT」に続いての主題歌となります。今、改めてアニメ版『GODZILLA』シリーズに対してどのような印象をお持ちですか？
XAI 前作が、監督から脚本、声優さんに至るまで信じられないほど本当に豪華な方が集結されていたので、月並みになりますが、とにかく「凄い！」と。公開前にもアニメファンとして「これは凄いことが始まるな」と思いました。虚淵（玄）さん節炸裂というか、一章、二章のキャッチコピーからも感じ取れるように絶望感のようなものが凄い、と思いましたし、一瞬も休む暇がないような展開で。ハルオはもちろん、一人ひとりの、今を生きているこの瞬間というのは様々なことがあったうえでのその人のその瞬間に繋がるわけだから、もっと見届けたくなる。そういう作品に主題歌で関わらせていただけるのはうれしかったですね。「WHITE OUT」という楽曲も、自分にとってもそうですが、誰かの力により一層なれるんじゃないかなと思えるような作品だな、と感じています。
――そして今回の第二章も主題歌をされることになりました。今回の「THE SKY FALLS」ですが、制作時にはプロデューサーの中野雅之さんとはどのようなお話をされたのでしょうか。
XAI 中野さんとは、前作「WHITE OUT」のときも、音楽のことはもちろん、いろいろとお話をさせていただいて、そのうえでレコーディングさせていただいたんですけど、前作が包み込むような、星と星との距離をも超えてしまうようなテーマソングだとしたら、今回の「THE SKY FALLS」は戦場に一緒に立つようなイメージで。あとは私がシンガーとして、歌手としてやっていくなかで、こういう主張がある、伝えたいことがより伝わるように歌うことを意識して作っていきましょう、とおっしゃってくださいました。
――戦場に立つようなイメージ、というのは中野さんから出てきたんですか？
XAI いいえ。それは私から出したイメージです。そのことをお伝えしたときには、それに対して技術的な歌い方であったりとか、メンタルの部分であったりとか、そういう部分でもっとアプローチを変えないとね、とはおっしゃっていましたね。
――歌われるときに最も意識したのはどんなことですか？
XAI 技術的なことで言えば今回はわりと激しめというか、声を張るというところもあって。「WHITE OUT」は包み込むような曲だったんですけど、「THE SKY FALLS」は自分も戦場に立って戦うイメージで、「決して君を独りにはさせない」という気持ちで、もっと切実なメッセージがあって。誰かにとってのサバイブ・ソングになれるような、そういう曲だなと思ったので、その意識で歌いました。
――「WHITE OUT」を実際に劇場で聴かれたときにはどのようなことを感じましたか？
XAI そうですね……。私自身、映画が好きなこともありますし、やっぱりそこで掛かっているのは、普通にCDで聴くのとは違いましたね。しかも『アニゴジ』のラストに流れるということで、本編を観た人にその余韻で聴いてもらえることはすごく特別なことだなと思いました。私も特別な感情が湧いてきました。
――そして今回の「THE SKY FALLS」です。激しさを増す戦いの中で共に戦う歌ということで。
XAI 第一章の最後で、あんなに人類自体の人数も減って、あれだけやられてしまって、という状況から始まる第二章では、一人ひとりが自分の正義に向かっていくわけだから、その生き様が見所で、それを受け止めなきゃいけない作品だとも思ったので、この「THE SKY FALLS」に共鳴してもらえると思うんです。前作よりもパワーアップしている作品なので、楽曲でもパワーを送りたいと思います。
――前作のラストで登場した超強大なゴジラ・アース。恐怖や畏怖として圧倒的な存在感のゴジラ・アースに対してはどんな印象がありましたか？
XAI まずはとてつもなくでかいなって（笑）。第一章のゴジラも私的には大きいなって普通に思っていたので、それを超えるゴジラ・アースの存在に驚かされました。
――今回の物語に対して「THE SKY FALLS」がどんな存在になってほしいですか？
XAI 前回は楽曲のメッセージ的にも救いになれるような曲に、と思っていたんです。歌っている本人がそう言ってしまうのは少し強引かなと思ってしまったりもするんですが、作品を観たあとに救いになれたらいいな、と。今回は、前作にも増して展開がすごいですし、観客だから、私たちは彼らを助けることもできないし、一緒に戦うこともできないけれど、それでも一緒に戦っているんだ、という気持ちになると思うんです。だからその人たちに対して「独りにはさせない」と言える、寄り添って力になれるサバイブ・ソングになれる、そんな役割を担えるんじゃないかと思います。
――第一章、第二章と『アニゴジ』の楽曲を歌われてきて、今、ハルオたちに対してはどのような想いがありますか？
XAI この作品って人間ドラマですよね。一人ひとりの生き様が作品の見所でもあると思うんです。日常を生きていると「自分は今、生きてるんだ」という感覚ってそう感じることではないと思うんですが、この作品をご覧になった方はきっと登場人物の誰かに自身を投影して、戦っているような気持ちになれると思いますし、彼ら一人ひとりが自身のために戦っている、その姿はとても尊いと感じています。一見、ストーリーの中で「なんでそんなことを言うんだ」と思うキャラクターがいても、その人はその人の人生を一生懸命に戦って生きているんだ、ということが感じ取れる、そんな作品だと思います。
――そして今回のシングルにはもう一曲「Let Me Free」が収録されています。最初に聴かれたときの印象というと？
XAI デモを聴いたときに、本当に美しい曲で。わたしはこの曲に、暗闇の中を必死に走って逃避行しているようなイメージを持ちました。
――その美しい曲を、どんな想いを込めて歌われたのでしょうか。
XAI 「Let Me Free」はすごく内省的な歌詞ではあるんですが、これから人前に出て行ったり、誰かに想いを伝えたいと歌っていく中で感じるであろう恐れや自分のつまらないプライド、そういうものから自由になりたい、というか。生きていくなかでままならないことたあったり、今まで置かれていた環境や経験によって不自由に感じる部分もあるかと思うのですが、そういったものからもっと自由になりたい、というイメージなんです。制作の時期にそういったことをいろいろと考えていて。自分なりにそういった想いを込めさせていただいたのがこの「Let Me Free」なのかな、と思います。
――では最後に「THE SKY FALLS」を聴かれる皆さんへメッセージをお願いします。
XAI アニメ『GODZILLA 決戦機動増殖都市』は前作に加えてもっと息をつく暇のない作品になっていますし、様々なことを考えさせる映画になっていますので、ぜひご覧になって、いろんなメッセージを受け取ってほしいと思います。それに加えて、そのときに抱いた感情に寄り添えるような曲に、私の楽曲がなってくれたらうれしいと思っています。力が足りないときに聴いていただいて、「WHITE OUT」のときとは違うメッセージを受け取ってもらいたいです。よろしくお願いします。
Interview＆Text By えびさわなち
●リリース情報
アニメーション映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』主題歌
「THE SKY FALLS」
発売中
【アーティスト盤】
品番：THCS-60213
価格：￥1,300+税
＜CD＞
1.THE SKY FALLS（アニメーション映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』主題歌）
作詞：蒼山幸子（ねごと）作曲・編曲：中野雅之（BOOM BOOM SATELLITES）
2.Let me free
作詞：XAI 作曲・編曲：中野雅之
3.THE SKY FALLS（Seiho Remix）
4.WHITE OUT（SEKITOVA Remix）
作詞：蒼山幸子 作曲・編曲：中野雅之
【アニメ盤】
品番：THCS-60212
価格：￥1,300+税
＜CD＞
1.THE SKY FALLS
2.Let me free
3.THE SKY FALLS（Instrumental）
4.Let me free（Instrumental）
●作品情報
アニメーション映画『GODZILLA 決戦機動増殖都市』
全国公開中
【スタッフ】
監督：静野孔文・瀬下寛之
ストーリー原案：虚淵玄(ニトロプラス)
脚本：村井さだゆき・山田哲弥・虚淵玄(ニトロプラス)
キャラクターデザイン原案：コザキユースケ
音楽：服部隆之
副監督：安藤裕章・吉平”Tady”直弘
プロダクションデザイン：田中直哉・Ferdinando Patulli
CG キャラクターデザイン：森山佑樹
造形監督：片塰満則
美術監督：渋谷幸弘
色彩設計：野地弘納
音響監督：本山 哲
【キャスト】
宮野真守、櫻井孝宏、花澤香菜、杉田智和、梶裕貴、諏訪部順一、三宅健太、堀内賢雄、中井和哉、山路和弘、上田麗奈、小澤亜李 他
主題歌：XAI「THE SKY FALLS」(TOHO animation RECORDS)
製作：東宝
制作：ポリゴン・ピクチュアズ
配給：東宝映像事業部
©2018 TOHO CO., LTD.
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