ClariS「ヒトリゴト」レビュー

2017.04.26

伏見つかさ原作のTVアニメ『エロマンガ先生』OPテーマとなるClariSの17thシングル。春風に乗ってスカのリズムが弾む「ヒトリゴト」、カレンが作詞を手がけた「イロドリ」と、切ないラブソング「Butterfly Regret」を収録。

2017年1月には4thアルバム『Fairy Castle』をリリースしたClariS。彼女たちの17枚目のシングル「ヒトリゴト」は、TVアニメ『エロマンガ先生』のオープニングテーマとなっている。『エロマンガ先生』は、ClariSのデビュー曲「irony」がオープニングテーマとして起用された『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』と同じく、伏見つかさ著&かんざきひろのイラストによるライトノベルが原作。

アニメのイメージとも重なる、明るく元気な「ヒトリゴト」のほかシングルには、カレンが幸せの風景を綴った「イロドリ」と、切ないラブソング「Butterfly Regret」を収録している。

「ヒトリゴト」

作曲・編曲は、“二千花(にちか)”のギタリスト&コンポーザー・野村陽一郎。二千花はヴォーカリスト・宮本一粋と野村陽一郎のユニットで、Curly Giraffeこと高桑 圭とGREAT3の白根賢一が参加した、シングル「エーデルワイス」で2007年にデビュー。2ndシングル「Genius Party」は、河森正治、湯浅政明、渡辺信一郎らが参加した、同名のオムニバス・アニメ映画『Genius Party』の主題歌となっている。90年代のUKギターロックに影響を受けた野村のエモーショナルなサウンドと、メランコリックを湛えた宮本一粋の歌声が絶妙に重なり合い、二千花独特の美しい音世界を作り上げている。

野村陽一郎は作曲家・アレンジャーとしても活動しており、元気ロケッツ、渡辺麻友、ハルカトミユキ、Aimerなどの楽曲に携わっている。星羅「ラブレターのかわりにこの詩を。」(TVアニメ『テガミバチ』オープニングテーマ:アレンジ)や、Real Paradise「風と丘のバラード」(TVアニメ『のだめカンタービレ フィナーレ』エンディングテーマ:作曲。作詞はコラムニストやラジオパーソナリティとしても活躍中のジェーン・スー)など、活動の初期は二千花の「エモさ」を受け継いだ傾向だったが、ここ数年はSakuのプロデュースのように、爽やかなギターポップ・サウンドがあふれるシンガーソングライターの楽曲に関わることが多く、瀧川ありさ「アイセイハローのすべて」(1stアルバム『at film.』収録)や、2017年4月より放送されているTVアニメ『夏目友人帳 陸』のオープニングテーマ、佐香智久「フローリア」にも参加している。

そんな野村陽一郎のポップ・サイドが思い切り羽を広げた「ヒトリゴト」。ご機嫌なスカのリズムが春を飛び越して、初夏まで先取りしそうな、明るいサウンドが展開。といってもオーセンティックなスカではなく、『エロマンガ先生』映像やClariSのアーティスト・イメージにも繋がる、ライトなアレンジのスカになっている。スピード感のあるサウンドが逸る気持ちを映し出し、ひたすら繰り返されるリズムが、でも言いたくても言えない好きな気持ちー照れくささに紛れて隠してしまった「ヒトリゴト」ーを描き出す。このようにサウンドは「恋する少女のもどかしい気持ち」をリスナーにも共有させてくれるもの。今回のテーマを表わすのにスカのリズムはぴったりだ。

キラキラとしたアレンジを散りばめたサウンドに乗って、クララとカレンの溌剌とした歌声が心地好くはずむ。清々しさを放ちながら、その複雑な恋心を表わす抑揚のグラデーションが、ハイレゾではよく伝わってくる。歌声がさらっとしつつも、かなりトーンが落ちている、“可愛くない顔みせて 自己嫌悪+後悔で”の、女子なら激しく同意する、リアルな乙女心を反映させたケリーの歌詞もいい感じ。

なおClariSのふたりがシルエットで出演しているミュージックビデオも公開されている。

「Butterfly Regret」

作詞・作曲・編曲は、コーライティング(共作)を楽曲制作のコンセプトとしている音楽クリエイター集団、“CWF(Co-Writing Farm)”のメンバーである長沢知亜紀(mimichaki)と永野小織。『Fairy Castle』に収録されている「このiは虚数」もこのふたりの共作によるナンバー。長沢知亜紀は同じくCWFの鈴木一史とともに、井口裕香の6thシングル『変わらない強さ』のカップリング曲「Valentine Eve」や、アルバム『az you like…』のラストナンバー「おやすみなさい」を手がけている。また「丸の内系早口ガーリーポップ」を掲げるユニット、“mimiclick”としても活動を行なっている。

琴や笛の音色を取り入れたサウンドは、「桜咲く」や「ひらひら ひらら」のように「和」のイメージを想起させるもので、このような曲調とClariSの歌声は抜群の相性をみせる。歌詞もサウンドに寄り添ったもので、めぐる季節に重ねる、“『木漏れ日』” “『幻』”の言葉や、ひたむきな想いを映す菫や金木犀らの花言葉など、差し出した言葉と続く言葉の組み合わせで移り変わる情景を浮かび上がらせる、そのイメージの描き方が実に鮮やかだ。

しかしながらイントロで、“結ばれる未来はもう 叶わない”と告白しているとおり、これは儚く消えゆく恋の歌。夜のように深く沈む空間に、楽器の音色が華やかに舞い散り、哀しみを帯びたふたりの声が透き通って響き渡る。繰り返される、“さよなら”の言葉が、想いを断ち切るため自らに強く言い聞かせているようでもあり、切なさを深く誘う。

ClariS
ヒトリゴト

Sony Music Labels Inc.
2017.04.26

FLAC 96kHz/24bit

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mora

 収録曲

 1.ヒトリゴト
   作詞:ケリー 作曲・編曲:野村陽一郎

 2.イロドリ
   作詞:KAREN 作曲・編曲:湯浅 篤

 3.Butterfly Regret
   作詞・作曲・編曲:永野小織(CWF)、長沢知亜紀(CWF)

 4.ヒトリゴト -Instrumental-

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