人間を凌駕する能力を備えた人間型ロボット“hIE”と共存する100年後の未来を舞台に、「ヒト」と「モノ」とのあらたな関係を描く、長谷敏司原作のTVアニメ『BEATLESS』。
今作のEDテーマとなっているのが、ClariS19枚目のシングル「PRIMALove」。NARASAKIとともに劇伴を手がけるkz(livetune)が、表題曲だけなく収録曲すべてをプロデュースしている。なお「PRIMALove」のミュージックビデオの解禁に合わせて発表されたClariSの新ビジュアルは、原作のイラストを担当するredjuiceによって描かれている。redjuiceはデビュー前のClariSのビジュアルを手がけており、また当時の楽曲はkzがプロデュースしていることもあり、『BEATLESS』という作品を通じてClariS/kz/redjuiceが再び巡り会う、絶好のタイミングで「PRIMALove」はリリースされることとなった。
作品世界に通じる未来的なイメージを織り込みながら、歌詞には過去へも想いを馳せる、大きな時間の広がりがあり、また「今」を表す“誰かが見てた未来”という言葉が、未来と現在をリンクする役割も担っている。このように「未来」で時を重ねながら、なおかつ「現在」での同時代的な歌になっているのがこの曲の特徴といえよう。
そんな「未来」に親しみを覚えるのは、不変的なテーマである「恋」を盛り込んでいることや、どことなく懐かしさを感じるメロディのせいかもしれない。kzの作る楽曲は、煌めきを散りばめた爽快なサウンドはもちろんのこと、タイムレスな感動を与えるメロディもまた魅力的だ。そして、それらがクララとカレン、ふたりの歌声と結びつくことでますます輝きを放つ。ポップなサウンドと清々しいボーカルとの完璧な調和がまた始まる。進化と成長を遂げた両者の才能が瑞々しく弾ける、快心の一曲となった。
ハイレゾは弾力のあるビートのアタックの強さや、リズミカルな音のキレが感じられるメリハリの効いたサウンドで、この曲の醍醐味でもある疾走感がより伝わってくる。またClariSの楽曲ならではのクリアな解像感があり、きめ細やかな音で組み立てられたアレンジを鮮やかに捉える。ボーカルはメッセージを押し出すサビのアクセントや、Dメロの俯瞰的な言葉での微妙な力の抜き加減など、抑揚をスムーズに繋げる歌の繊細なニュアンスが感じ取れる。爽やかだがクールでなく、温かみのある声の質感だ。
夏の風物詩である「花火」を冬の歌に取り入れた、kzのセンスが冴えるバラード。ピアノとギターが繰り返し奏でるフレーズが降り積もる雪を思わせるようで、アコースティックな楽器とシンセが冬の情景をちょっとセンチメンタルに描き出す。そこに細かく刻むスネアや重たいキックが入ってくるのがkzらしく、しっとりとした雰囲気を演出しながら、ビートやリズムを前に打ち出している。オーソドックスなスタイルではなく、今の感性でバラードを作ろうとすると、このような形になるのは必然であるのかもしれない。ハイレゾでは分離感が強く、空間的なサウンドの中にふたりのボーカルが淡く灯るようで、切なさが宙に浮かび上がる。
デビュー曲「irony」のリリースから7周年となる昨年の10月20日に、ショート・バージョンのリリックビデオを公開した「irony -2017-」をさらにバージョン・アップ。2018年3月末に開催される舞浜アンフィシアターでの公演より「season 02」を迎えるClariSだが、そのあらたな始まりを告げるような今回のセルフカバーとなっている。楽曲のリアレンジは「irony」のプロデュースを務めたkzが手がけており、原曲の雰囲気を保ちつつ、さらに清涼感溢れるサウンドとなっている。柔和な表情を見せるボーカルのふわっとした質感が心地よく、また声の透明度も増しているよう。ひたむきな歌声が印象的な原曲とのニュアンスの違いを聴き比べてほしい。
ClariS
PRIMALove
Sony Music Labels Inc.
2018.02.28FLAC 96kHz/24bit
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作詞・作曲・編曲:kz
1.PRIMALove
2.冬空花火
3.irony -season 02-
4.PRIMALove -Instrumental-
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