3rdアルバム『World Atlas』リリース記念 fhánaインタビュー

9thシングルの「calling」から、最新の13thシングル「私のための物語 ~My Uncompleted Story~」まで、数々のアニメ・タイアップ曲が含まれるfhánaの3rdアルバム『World Atlas』が完成した。いろんな楽曲の世界を旅する世界地図が、いつの間にかもっと大きな世界に向かっての一歩を踏み出すための、ガイドになるような世界地図になっていた。そんなアルバムについて、4人にたっぷり語ってもらった。

いつの時代も、何だかんだで愛の歌を歌っている
そういう根底にあるものって変わらない

──3rdアルバム『World Atlas』は、どんなアルバムになりましたか?


佐藤純一
 「青空ラプソディ」のころに『World Atlas』というタイトルが候補として上がってきて、そこからfhánaの集大成的なアルバムになるのかと思っていたんです。これまでのことを踏まえて辿り着いた僕たちの世界という意味を考えていたときに作っていたのが「Hello! My World!!」(12thシングル)だったりして。でもそこから、『メルヘン・メドヘン』の新しいタイアップが決まったりして、予定が変わっていった結果、全然違うところに辿り着いたというか。もっと広いフィールドが見えてきちゃったんですね。自分の居心地のいい場所から離れて、新しい場所に旅に出るために必要なガイドになるような世界地図になったんじゃないのかなっていうのが、今の感じです。

──変わってきた中で作られた新曲が、1曲目でリード曲の「World Atlas」と最後の「It’s a Popular Song」になると思うのですが、「World Atlas」は、みんなで歌ったり踊ったり、クラップしたりできそうな、リスナーを巻き込む感じの曲ですよね。

佐藤 このアルバムのリード曲を作ろうと思って、3曲くらいデモを作った中の1曲で、このアレンジ以外にも4つ打ちっぽいアレンジとかも作ったりしたんですけど、最終的に今の形がいちばんポップかなと思ってこのリズムにしました。家に引きこもっている人たちを広場へ引っ張り出して、パレードをしているようなイメージを描きながら作りましたね。でも決して明るいだけではない。影というか、闇の部分もあるんです。音的にも明るいし、ギターも楽しげだし、ストリングスもきらびやかだけど、すっごく低いところで、低音がズーンズーンって鳴っていたりする。その影の部分が実は大事で、闇があるから光が当たっている部分が輝くんだよっていうのは意識しましたね。それは表題曲だけではなくアルバム全体にも言えることで、もともと持っていたものではあるんですけど。

──全曲にそれは言えますよね。必ずどこかに影の部分があるのがfhánaの曲の特徴なのかなと、あらためて思いました。

佐藤 「青空ラプソディ」も、2番のサビが泣けるって感想をよく聞くんですけど、別れとか悲しいことが常に内包されている感じはあります。

──「It’s a Popular Song」はどうですか?

佐藤 これは作る前からアルバムの締めの曲にしようと思っていました。みんなの歌が作りたくて……。それはライブでサビをみんなで合唱できるような歌という意味と、大勢の人が共感したり良いと思う歌という意味で、なんですけど。でもそれってアルバムのテーマにも繋がっていて、他者と出会おう、旅に出ようっていうのは、その前提として、みんな断絶されていて、居心地のいい場所に引きこもりがちなんじゃないかと思うからで、そこからもう一度引っ張り出して、人と出会おうってことなんです。10年くらい前までって、すべてがオープンになって、SNSやインターネットを含めて、みんなと繋がることがすごくいいことなんだという、理想みたいなものがあったんだけど、今って繋がりすぎた結果、疲れてきちゃってると思うんです。でも、根底にある部分って変わらないよねってことが歌いたかった。つまり僕たちはいつだって〈思い出の虜〉だし、何だかんだで愛の歌をどこの国でもいつの時代でも歌っている。そういう根底にあるものは変わらないけど、上に乗っかっている文化や状況が違うから相互理解ができなかったりする。そういうテーマはずっと温めていたんですけど、“Popular Song”ってタイトルに付けたのは、星野 源さんの「Family Song」があったからです(笑)。あの曲ってすごく良くて、ものすごくていねいにみんなを包み込む曲なんですよね。みんなが家族で誰も取りこぼすことなく包み込んでいる。今の時代だからこそ、星野 源さんはそういう曲を作ったんだと思うんですけど、「Family Song」はみんなを包み込んでいく歌だけど、「It’s a Popular Song」は真反対から同じところをめざしているというか。個人的な小さい視点から、実はみんなそんなに変わらないよね、みんな繋がってるんだよねって感じですね。

──それがわかれば争いなんて起きないのにって思います。今作は、新曲がたくさんあるというよりも、これまで発表してきた楽曲が多く収録されているアルバムだと言えますが、メンバーにも楽曲のことを伺えればと思います。まずyuxukiさんですが、アルバムの中で、すごく明るい部分を担っていたのかなと思いました。あと、なぜかピアノが目立つ曲が多い。


yuxuki waga
 たしかに、言われてみればそうですね(笑)。曲を作るときにピアノで作るから、その音のイメージがすごくあるのかも。「star chart」とかは特にそうですけど。でも、Aメロとかはピアノの音が合うなと思って作っていたけど、このとき、たぶんエド・シーランかなんかを聴いてたんでしょうね。シンセの音にしたら面白いかなと思って入れてみたりしました。ピアノのミディアム・ロックだったら普通かなと思って、ちょっと変わったことをしてみたくなったんです。あとは音数を減らしたくて、2番のAメロでは和音をなくしてみるとか、これまでやってないことをやろうとしていました。あとこの曲は、作詞の林(英樹)さんに無茶振りをしたというか。歌詞のリテイクを何度もお願いしてしまったんです。1曲まるまる書き直してもらったし、その後も何度か直してもらって……。結果的に本当にいい歌詞になったと思っているのでうれしいんですけど。星の歌ってfhánaでも何曲か歌ってきているけど、今回は人間目線ではなくて、宇宙というか星座を主人公にしているんです。その視点からセンチメンタルな話を作ったので、オリオン座と地球人という視点なんです。星座の主人公はほぼ永遠だけど、人は100年もすれば死んでしまうので、そういう切なさみたいなものを、メロディと曲に合った歌詞に落とし込んでもらえたなって。

──ちなみに、どういうところが引っかかって修正を?

yuxuki 歌詞の中身というよりは、言葉の並びですね。ここはこういう韻を踏みたいとかいうのがぼんやりとあって。最近そういう(言葉の)イメージが強いメロディが浮かぶことが多いので、そこが違ってくると、スミマセンって。でも「star chart」に関しては、本当にハマりが良くて、さすが林さんと(笑)。いちばん盛り上がるところで、いちばん強い言葉を入れてくれました。

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