リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

REPORT

2018.03.06

「音楽をやっていてよかった」と、自ら感じたこれまでの集大成のライブに! 竹達彩奈 BEST LIVE“apple feuille”レポート

「音楽をやっていてよかった」と、自ら感じたこれまでの集大成のライブに! 竹達彩奈 BEST LIVE“apple feuille”レポート

2月25日、豊洲PITにて竹達彩奈によるBEST LIVE“apple feuille”が開催。昨年11月にリリースされたベスト・アルバム『apple feuille』を引っさげての今回のライブでは、アルバム収録曲に加えてリリースされたばかりの新曲や、彼女の原点のひとつでもある作品のカバー曲も披露された。

この日のセットは中世のお城のようなもので、“あやな公国”でのBEST LIVEという雰囲気を作ってくれたもの。その背後のメインスクリーンに、最新シングル「OH MY シュガーフィーリング!!」を連想させるカートゥーンのプリンセスが登場。その中で変身したケーキのドレスと同じデザインのドレスでステージ段上に竹達が現れると、「123 ゴー!」のシャウトから始まるロックナンバー「らっきーちゅーん♪」で、一気に会場のボルテージを上げる。この曲ではサビ前のコールがスクリーンに映し出され、公国民からの大きな声が響く。竹達もステージ上からそのフロアを煽ると、「♪の国のアリス」へと“♪リレー”。爽やかなピアノロックに乗せる振付はキュートに、ぱあっと開けるようなサビでは竹達自身の表情も連動するように明るいものになるなど、活動初期を彩った楽曲ならではの気持ちの入り方を見せてくれた。

さて、今回は実は竹達にとって初となるスタンディングライブ。「いつもと違う景色で、不思議な気持ち」と率直な感想を口にし、普段からバンドを従えての自らのライブにはピッタリ、と喜びも語っていた。
そんなMC明けに披露された「ユメイロソレイユ」は、甘めの歌声引き立つミドルナンバー。曲中随所に盛り込まれたラップ部や高低差のあるメロディラインなどを持つこの曲は難易度の高いものだが、甘さと美しくも愛らしいファルセットとの両方の魅力を味わうことができた。また、曲に合わせてステージを彩ったシャボン玉も、視覚の面から楽しませるナイス演出。そして、雑踏のSEですべてを察した公国民がペンライトの色をグリーンに変えて迎えたのが、「時空ツアーズ」。歌いながらゆっくりとステージを往復し、手を振りフロアと視線を合わせながらの披露だ。こうして温かめのナンバーで“時間旅行”へと出かけた竹達は、今度は「週末シンデレラ」に。のっけから会場には大きなコールが響き、再び一気に盛り上がる。竹達はスタンドマイクをセンターに据え、このスカを跳ねるようボーカルで、表情豊かに歌唱。最後はモンキーダンスを入れたり跳ねたりと、ちょっとおてんばなプリンセスとして1曲を全うしていった。

曲明けにはVTRコーナー“5周年記念 あやちリサーチ”を上映。AKIHABARAゲーマーズ本店に“店員・あなや”として潜入し、何人に気づかれるのか?という企画だ。自身の棚の前でポップを書いたり商品を並べたりしつつも意外と気づかれず、自らアプローチをかける場面も見られ、結果気づかれたのは12人。「普通にしてるとわからない」と結論づけていた。

VTRが終わり、衣装チェンジして登場した竹達はまずは最新シングルより「OH MY シュガーフィーリング!!」を披露。歌唱前に「(『だがしかし』の枝垂)ほたるさんのような部分も、私らしさもある曲」と紹介したこの曲は、歌声の面では少し強めでグイグイ来るほたるさんを感じさせ、その一方で歌詞に合わせてハートを描いたりDメロでは曲調に沿って少々おしとやかめな歌声を聴かせたりと、同時にキュートな面も見せてくれた。そこから続いた「齧りかけの林檎」も、同じくアニメのOPテーマ。曲調は温かめのものとなり、フロアは楽曲に合わせて赤に、林檎色に染まる。そのファンの反応を信じていたかのように、サビ直前フロアを照らしたサーチライトはグリーン。会場全体で“林檎”を完成させたのも、実に素敵な光景だった。そこから再びの爽快感あるピアノロック「わんだふるワールド」で一気に世界が明るくなると、この曲もふんだんに盛り込まれたコールポイントで大きな声が上がる。竹達のサビの振付も大きさを増し、ボーカルのワクワク感も合わさって実に楽しそうなステージングを見せてくれた。

続いてはBEST LIVE開催へのお祝いメッセージVTRが上映。公私ともに仲のよい中川翔子や悠木 碧、デビュー曲を手掛けた沖井礼二、そして堀江由衣からコメントが贈られる。特に堀江は、5~6年前に誕生日プレゼントとしてもらったパスケースを未だに愛用していると明かし、「それを見るたびに絶対に竹達さんのことを思い出す」と深い愛を語っていた。

そこからは、2曲続けてのバラードで後半戦スタート。まず雪の舞うなか披露されたのは、最新シングルより「セピア色」。ファルセットも織り交ぜた美しくもまっすぐ向かってくる歌声には情感がしっかり乗っており、生で聴くからこその魅力を感じさせる歌声に。また、そのまま歌われたもう1曲のバラード「HIKARI」は、リリースから4年を経たからこその深みを感じさせるものに。ここでは曲中で歌いかけられる相手にファンを重ね、その4年の月日の中で積み重なった想いを乗せて、フロアに向けて大切に大切に届けていく。この2曲はともに敬愛するアーティスト・奥 華子からの提供曲だが、その言葉を大切に届けようという意図からか、ともにスクリーンには歌詞が映し出されていた。また照明効果も竹達をスポットで照らす程度の最低限のもので、こちらも音と歌声だけで勝負しようという意図のうかがえるものに。

キーボードの音色をきっかけにバンドタイムで繋いだら、そのまま「Little*Lion*Heart」でアグレッシブなゾーンが再開。曲に合わせて今度はイエローに染まったフロアに向けて、竹達はステージ段上からまっすぐな歌声を響かせ、会場中にその歌声を広げていく。そしてさらに続けた「Miss. Revolutionist」は、さらに強さを持った歌声で曲の主題をきっちり表現。高音もファルセットを使わず、地声で歌いきったところからもその意志の強さを感じさせてくれた。

久々のMCタイムでは、初のスタンディングライブの気持ちよさについても言及。始まる前は不安とドキドキが交錯していた心持ちを明かしたが、続けて「みんなの顔を見ると安心するし、キャッキャってしてしまいがち」と支えてくれる存在へ感謝。そして「公国民や応援してくださる方に届いたらという想いで、心を込めて作詞した曲です」と語ってから、ベスト・アルバム収録の新曲「apple*colorful*princess」を歌唱。カーテンが開くようなVJや間奏のおしとやかなスピンなど、歌詞では「柄じゃない」と歌いながらもやはり“お姫様”をイメージさせる演出が並ぶ。この曲でも彼女の歌声には、キュートさの中にも想いが詰め込まれていたように感じられたのだが、それがもっとも強かったのはDメロ。歌詞のメッセージのコア部分が込められたポイントのひとつでもあるここでそう感じられたのは、至極当然なように思う。それを受ける側の公国民も再びフロアを赤く染め上げ、サビでもコールを返したりと彼女を盛り立てていた。

そしてここから本編は一気にクライマックスへ。プリンセスがステッキを手にするミニアニメを挟んでからの「Hey!カロリーQueen」では、竹達のテンションも急上昇。Bメロのコール部では歌いつつ煽り出し、フロアからもさらに大きな歓声が起こる。視覚的にも間奏でさすがのステッキさばきで魅せてくれたところで、ラストを飾ったのは「ライスとぅミートゅー」。ロッキンなサウンドを持つ、生バンドでより映える1曲だ。竹達も引き続き文句無しで楽しそうに歌いゆくナンバーだが、意外にもボーカルは甘めのもので、そのサウンドとのギャップも耳を引く。「L.O.V.E.N.I.K.U.」のコール明けの落ちサビの歌声は子猫のようで、それも耳をひきつける。一方で、観客の盛り上がりもとんでもないもの。前述のコール部分以外にも、曲冒頭からこれでもかというぐらいに登場するコールパートでこの日MAXの声が上がり、それがピークに達した後奏での盛り上がりは、その場で圧倒されてしまうほどのものだった。

竹達の降壇後には、すかさずアンコールを求める「あーやーち!」の声が起こり、それに応えて竹達が再登場。VTRのお祝いコメントへの感謝を述べたのちに「何より素敵な公国民、応援してくださる皆さんに恵まれているなと思っています!」と改めて感謝。続けてこれまでの音楽活動を振り返り、「苦しいことも大変なこともあったけど、音楽をやっててよかったし得るものもすごくたくさんあって、素敵な縁に恵まれることもすごくたくさんあった5年間で。音楽をやっててよかったと感じるライブになりました」とこの日を振り返っていた。そしてここからは未来のお話。6月23日・竹達の誕生日当日にバースデーイベントの開催と、4月14日にファンクラブイベントの開催を発表。詳細は公式サイトにアップされるとのことなので、ぜひチェックのうえ彼女のバースデーを一緒に祝ってほしい。

ファンをバックにした記念撮影を済ませたところで、アンコールで披露する楽曲の話題へ。今回珍しく本編でカバー曲を入れなかった理由を「BEST LIVEなので、本編にカバー曲を入れるのは違うな、と」と語り、「これを歌うことで自分も原点を振り返れる」と続けてカバー曲を歌唱する。その曲は、「天使にふれたよ!」。タイトルを口にした瞬間のフロアからの歓声はすさまじく、かつフロアは即グリーンに染まる。
『けいおん!!』の本編中では“届けられる”側だった彼女が、ここでは“届ける”側へ、「ありがとう」を伝える側へと回り、その想いを精一杯歌に込めていく。最初は“彼女がこの曲を歌う”ということ自体でファンは胸を熱くしていただろうが、その歌声を聴いてからは“今の彼女がこの曲を歌う”ということに、また胸を熱くしていたのではないだろうか。ラスサビ「大好きって言うなら 大大好きって返すよ」に特に強く感情の入っていた彼女の姿が、自然とそう思わせてくれた。

ここからは本当のラストスパート。「CANDY LOVE」が、再び会場をヒートアップさせていく。竹達自身もある種ゾーンに入ったのか、歌声の勢いも終盤に来てさらに増してきたうえにパフォーマンスもどんどん大きなものに。それを万雷のコールが支え、会場のムードはさらに最高の空間へと向かっていく。曲明け「原点に帰って、この曲を大切に歌います」と宣言されてから歌われたラストナンバーは、デビュー曲「Sinfonia! Sinfonia!!!」だ。リリースからもうすぐ6年を迎える彼女のソロ活動の原点であるこの曲で、当時からのファンも新しいファンも、みんな揃って彼女の指揮に合わせて赤のペンライトを揺らす。その光景は、この曲が月日を経てもファンに愛される、みんなにとっての大切な1曲であり続けているものであることを感じさせてくれるものだった。竹達もそのファンへと挨拶するかのように上手下手へと移動しながら歌唱し、歌い終えた瞬間には笑顔を見せる。楽しさと、彼女と彼女の音楽を愛してくれるファンを間近に感じたからこそ生まれた最高の笑顔で、竹達彩奈は自らのBEST LIVEを締めくくったのだった。

BEST LIVEの名に違わぬ、キラーチューン揃いだったこのライブ。これまでの総決算であるこのライブを経て、竹達はまた新しい音楽を作りに歩みを進めていくことだろう。そんな彼女を、ときに声を上げときに光となって支える公国民は、これからもこのプリンセスのタクトの下、最高の景色を探しについていくことだろう。彼女が自分らしい音楽で、みんなを先導していく限り。

Text by 須永兼次

竹達彩奈 BEST LIVE“apple feuille”
2018.02.25@豊洲PIT
<SET LIST>
M1.らっきーちゅーん♪
M2.♪の国のアリス
M3.ユメイロソレイユ
M4.時空ツアーズ
M5.週末シンデレラ
M6.OH MY シュガーフィーリング!!
M7.齧りかけの林檎
M8.わんだふるワールド
M9.セピア色
M10.HIKARI
M11.Little*Lion*Heart
M12.Miss. Revolutionist
M13.apple*colorful*princess
M14.Hey!カロリーQueen
M15.ライスとぅミートゅー

EN1.天使にふれたよ!(※『けいおん!!』挿入歌カバー)
EN2.CANDY LOVE
EN3.Sinfonia! Sinfonia!!!

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP