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INTERVIEW

2017.12.25

林原めぐみの1stライブを映像化!Blu-ray/DVD「林原めぐみ 1st LIVE—あなたに会いに来て—」リリース記念インタビュー

林原めぐみの1stライブを映像化!Blu-ray/DVD「林原めぐみ 1st LIVE—あなたに会いに来て—」リリース記念インタビュー

2017年6月11日、林原めぐみ「1st LIVE—あなたに会いに来て—」開催。その内容は声優・林原めぐみのスタイルがライブとして凝縮された、後々まで語り草となるような驚くべき演出が盛り込まれたライブだった。その模様を完全パッケージしたライブ映像作品がついに発売。林原めぐみに、当時の心境やライブに込めた思いなどを語ってもらった。

――林原さんご自身は1stライブ当日のことをどのように振り返っていらっしゃいますか?

林原めぐみ まだ半年くらいしか経っていないのに、5、6年前の出来事みたいだと感じています。それと同時に「あそこに立っていたのは、“林原めぐみさん”という人だったんだなぁ」って(苦笑)。今映像を見返すと、あのステージに立っていた人はもう、まるで私じゃないみたい。例えて言うなら、リナ=インバースと私の関係性みたいな、パッケージングされた時点で完全分離した存在としての“林原めぐみ”というキャラクターになってしまったという感じです。映像を観ながら、まるで他人事のように「“林原めぐみ”はすごいな!」って思いました(笑)。自分で自分を褒めることなんてしたことほとんどないのにね(苦笑)。

――ライブ当日を迎えたときの心境って、いかがでしたか?

林原 「やれば終わる」(一同笑)。あと、とにかく「何事もないように」って。ライブ中に怪我をしたり、物販でトラブルがあったりしたら、残念なことに今っていろいろと尾ひれをつけたがる人がいて、あっという間に、不本意な形で広がったりするから。関わってくれたスタッフや、楽しみにしてくれていたファンのみんな、つまりこの日のために一生懸命に頑張ってきた人たちが、少しも傷つかないように、何事もないようにって。まるで中野サンプラザを守るために、結界を張っているような気持ちでいましたね(笑)。

――今回、林原さんがキャラクターを演じられてきたさまざまな作品にちなんだCDドラマ的な幕間劇を挟みながら、それぞれの世界観を衣装、舞台演出も含めて見せていくという、いわばおひとりでやることが多くなる構成を選択したのは、なぜだったのでしょうか?

林原 結果的に、という部分も大きいですね。何せ初めてのワンマン・ライブだし、他に比較対象もなかったわけだから(笑)。おかげでやることは本当に多かったし、大変なこともたくさんありましたけど、私を表現する方法としてはベストだったと思っています。みんなが知ってそうな曲ばかりを選んで歌うヒットソングメドレーみたいなライブや、デビュー曲から順番に歌っていくようなライブも、きっと方向としてはあったんだと思うんだけど、今、この年齢で、私がファーストライブってなったら、やはりそこに何かしらの意味が欲しくって。ライブの前のインタビューでも「ライブのテーマは“不親切”です」と言っていましたけど、本当に不親切だったらこのご時世「金返せ!」と言われかねないじゃないですか(一同笑)。私はライブの中で一切作品名もキャラクターの名前も言っていないし、知らない人を置いてけぼりにするようなライブでしたけど、私のファンのみんなは“不親切”であることの裏返しが“親切”であり“信頼”であるということを理解してくれるであろう……という自負はありました。それはラジオ1300回越えという、見えないコミュニケーションの積み重ねによってなせる業だと思います。

――僕もライブを観ていて、最後の林原さんのナレーションで気が付きました。「あ、作品名もキャラ名も一切言ってなかった」って。でもすごく伝わるライブでしたよ。

林原 そもそも林原めぐみは声優であって、キャラクターと共に歩んできた人生です。今もこれが納得の形じゃないかって思いますね。昔私が演じてきたキャラクターや作品のことを知らない若い世代のみんなも、「いま何が起こっているんだろう!?」って、脳みそフル回転させながら楽しんでくれていたみたいだしね。感じ方は人それぞれ。そうやって〈考えること〉ってステキなことなんだよって伝えたかったんです。

――なるほど、サービス精神で過剰包装にしすぎるのではなく。

林原 サービス精神旺盛なライブが、エンターテイメントとして素晴らしいものであることは間違いありません。ただ、世の中足し算があれば、引き算もある。私のライブを観て、何を思ったのか、何を掴んだのか、そして何を持ち帰ったのか、引き算で引かれた部分を自分で埋めて欲しかった。観ている人の脳内を駆け巡る映像が、今回の最大のステージセット。歌っているのは私だけれど……、目は、林原めぐみを観ているんだけど、一方で止まらない風景や思い出がきっと心に溢れてくれるに違いない。だからこそ「—あなたに会いに来て—」というサブタイトルをつけましたけど、私を通じてみんなはどんな自分と出会えたのかな?って。20代の頃からファンのみんなに「説教臭い」と言われてきましたけど(一同笑)、つまりはそういうライブでしたね。“不親切さ”と“説教臭さ”の究極の形かも(笑)。でも、それが、私らしいって思ってもらえるかな……って。

――でも今回のライブ演出は、サンドアートでリアルタイムに背景が描かれていったり、『昭和落語心中』のパートに入るタイミングで落語家が登場するなど、斬新な演出と共に提供されるパフォーマンスは、とても情報量の多いエンターテイメントだったと感じました。そして岡崎律子さんのパートも感動的で。

林原 『with you』を出したばかりだったので、岡崎律子さんの楽曲を中心に据えたライブにしたいとは思っていて。だからライブ本編は岡崎さんの曲で始まって(「夢を抱きしめて」)、岡崎さんのパートと曲で終わろう(「青空」)と思っていたんです。だから岡崎さんのコーラスで始まる『ミンキーモモ』からモモが来てくれたから、あとは芋づる式に「じゃあ次はこの子かな? そして次はこの子で……」と繋がっていきました。最後は岡崎さんの歌を歌って、「青空」に入っている岡崎さんのコーラスが鳴り響く中でライブを締めてもらって、きれいに終わったかと思いきや……『スレイヤーズ』からリナ=インバースに遅刻してきてもらってアンコールをかき回してもらうっていう(笑)。リナをライブの本編に持ってきちゃうと、あまりにもキャラが強すぎて彼女が全部持って行っちゃうんですよ。あと、彼女は自分が中心にいないと気が済まない人だからね。

――あらゆる部分で林原さんの考え方や思いが注ぎ込まれたライブだったんですね。

林原 今回ライブをやってみて、昔のアルバム制作を思い出しました。毎日アフレコでスケジュールがびっしりだったけど、そんなときでも作詞して、レコーディングして……アルバムが完成した後の「“林原めぐみ”ってよくやってるよね」と思った感覚を久しぶりに味わいましたね。ただ、その頃よりも今の自分とこの映像の中の“林原めぐみ”には距離を感じます。こんなに遠い感覚は、初めてのことかもしれませんね。ここまで、全体構成から、曲順、衣装、台本、自分でトータル・プロデュースをして、やりきったことってなかったので。

――本当に最初から最後まで、声優・林原めぐみらしさに溢れたライブと言いますか。

林原 ここまで時空を飛び回るようなライブにすることができたのは、私が声優だからだと思うんです。生身の演者さんでは年齢・性別・性格・時代などいろいろな概念を次々と超えてライブをするのは難しいと思う。ここまで次々とイメージの跳躍ができるのは、声優という仕事の特権でもありますし、ある意味では真骨頂ともいえるかもしれませんよね。昔から自分の芝居のスタイルを“憑依型”とか“いたこ”と言ってきましたけど、ライブでも同じでした。今までの自分の仕事のやり方が凝縮されたようなライブだったなって思いますね。

――多くの感動を生んだ1stライブでしたが、2nd ライブについては?

林原 今のところ予定はございません(笑)。ただ、作品が好き、主題歌が好き、というだけでなく、林原めぐみが生で歌うという現象を待っていてくれた人がいたんだ……ということは痛感しました。申し訳ない……。でも1stライブを発表したとき「生きていると、何がおこるかわからない」と、思った人もいたと思うんですよね。次はいつになるかはわかりませんが、何かが湧くかどうか、気長に待っていてくれたらうれしいですね。

Interview&Text By 冨田明宏


●リリース情報
『林原めぐみ 1st LIVE -あなたに会いに来て-』
12月13日発売

【Blu-ray(DISC 1枚組(本編+映像特典))】
品番:KIXM-303
価格:¥6,900+税

【DVD(DISC 2枚組(DISC 1本編+DISC 2映像特典))】
品番:KIBM-690
価格:¥6,900+税

<収録内容>
「林原めぐみ 1st LIVE -あなたに会いに来て-」
(2017年6月11日中野サンプラザ公演)
<SETLIST>
M-1 夢を抱きしめて
M-2 好きより大好きミンキースマイル!〈Grow up Version〉
M-3 約束〈MOMO&MEGU Version〉
M-4 Successful Mission
M-5 hesitation
M-6 I’ll be there
M-7 私にハッピーバースデイ
M-8 幸せは小さなつみかさね
M-9 Fine colorday
M-10 Over Soul
M-11 trust you
M-12 恐山ル・ヴォワール
M-13 今際の死神
M-14 薄ら氷心中
M-15 For フルーツバスケット for Youth
=MC=
M-16 Lucky & Happy
M-17 はじまりはここから
=MC=
M-18 青空

ENCORE
M-19 スレイヤーズメドレー(Give a reason~Plenty of grit~Front breaking)
=MC=
M-20 JUST BEGUN

<映像特典>
「林原めぐみ 1st LIVE -あなたに会いに来て-」メイキング映像
「SAPPORO CITY JAZZ」(2016年7月24日公演)密着映像

<封入特典>
別冊スペシャルブックレット(※初回製造分のみ)
・林原めぐみ執筆による舞台演出用シナリオ台本
・本人自筆の衣裳ラフスケッチ
・アフターインタビュー(公式 HP 掲載記事より再録)
・超豪華ゲスト陣によるメッセージ&イラスト集
寄稿者(五十音順/敬称略):あかほりさとる、赤松健、あらいずみるい、冲方丁、北川みゆき、高田裕三、武井宏之、
LIVE ブックレット

配信限定アルバム
「林原めぐみ 1st LIVE-あなたに会いに来て-」
12月13日より配信中

【収録内容】
Tr1.夢を抱きしめて
Tr2.好きより大好きミンキースマイル!〈Grow up Version〉
Tr3.約束〈MOMO&MEGU Version〉
Tr4.Successful Mission
Tr5.hesitation
Tr6.I’ll be there
Tr7.私にハッピーバースデイ
Tr8.幸せは小さなつみかさね
Tr9.Fine colorday
Tr10.Over Soul
Tr11.trust you
Tr12.恐山ル・ヴォワール
Tr13.今際の死神
Tr14.薄ら氷心中
Tr15.For フルーツバスケット for Youth
Tr16.Lucky & Happy
Tr17.はじまりはここから
Tr18.青空
Tr19.Give a reason
Tr20.Plenty of grit
Tr21.Front breaking
Tr22.JUST BEGUN

※全てオリジナル音源での収録となります。
※LIVE本編で「スレイヤーズメドレー」として歌唱された楽曲は、各曲フルサイズのオリジナル音源での収録となります。

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